技術論と文明論

2018年9月 9日 (日)

無人運転タクシー公道走行実験/技術論と文明論(111)

8月27日から、タクシー大手の日の丸交通(東京・文京)と自動運転技術のZMP(同)のチームによる自動運転の社会実験が行なわれた。
「レベル2」のタクシーが一般客を乗せて公道を走るのは世界初である。
2018年7月19日 (木) 東京都の自動運転実証実験/技術論と文明論(100) 
2018年8月29日 (水) 自動運転とトロッコ問題/技術論と文明論(109)
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日経記者は試乗インプレッションを次のように記している。

 8月28日、六本木ヒルズ(東京・港)。スマートフォン(スマホ)アプリで予約した自動運転タクシーが指定時刻にやって来た。自動運転とは言え、運転手の金子博昭さんとエンジニアが緊急時に備えて同乗している。
 車体のQRコードにスマホのカメラをかざすとドアが開錠。システム動作に15分ほどかかって出発した。通常は乗るとすぐ出発できるという。
。 実は自動運転車に乗るのは初めて。本当にぶつからないのか、緊張しながら運転を見守った。目的地の大手町フィナンシャルシティグランキューブ(東京・千代田)まで5.3キロメートル。六本木ヒルズを出ると交通量が多い六本木通りに合流する。
 いきなり自動運転システムが試される。右折レーンで右折を試みるも、左側から近づいてきた車を感知し、急ブレーキ。後続車がクラクションを鳴らした。金子さんが慌ててアクセルを踏み、強制的に右折した。
 タクシーは複数のカメラやセンサーで周囲の車の速度や距離を測りながらハンドルやブレーキを制御する。車間距離が近すぎたり前方車が割り込むと、自動ブレーキがかかる仕組みだ。安全のため必要な仕組みだが、過敏すぎると周囲の車の流れを妨げる気がした。
 その後はスムーズに進む。直線道路や周囲の車が一定速度で走っている道は得意そうだ。そう思っていると突然、左車線の車が車線変更。タクシーは少し減速した。信号での停車、発進は難なくこなすが、ブレーキのたびに車が前後に大きく揺れるのが気になった。
 金子さんも「人と違って、急ブレーキが多くなってしまう」と話す。ベテランドライバーなら微妙なブレーキ操作で衝撃を和らげる。自動運転車はまだその加減が苦手。ZMPの西村明浩取締役は「快適な走行のため改善が必要」と話す。
 霞が関の交差点に向かう緩やかなカーブにさしかかる。左車線に入ろうと車線変更する際、急ハンドルで車体が左右に大きく揺れた。曲がりながらの車線変更は難しいのだろうか。
 車内にはセンサーが検知した周囲の車や横断歩道を歩く人をリアルタイムで示したモニターが映し出され、それを見ると少し安心した。
 国会前の交差点の大きな右カーブにさしかかった。ここはスムーズに通過。人の運転と変わらない。次は祝田橋交差点を左折。交通量が多く心配だったが、やや大回りに曲がった。人と比べて左折時に少し膨らむようだ。
 内堀通りでは右折のために左から右に2回、1車線ずつ慎重に車線変更した。「法令に従って車線を変えて少し真っすぐ走ってから、再び車線を変える。法定速度もしっかり守っています」と金子さん。法令順守のシステムで、確かに安全性は高そうだ。
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 車は東京駅前の行幸通りへ。左側車線には路上駐車も多い。三角コーンも車線に数個並んでいた。金子さんは「このくらいなら大丈夫だが、車線をすべて隠すように置かれていると、センサーが車線を正しく読み取れない」と言う。車線が消えている道もたまに見かけるが、自動運転車はそうした不備も前提に設計する必要がありそうだ。 東京駅前を通り、ゴールが近づいてきた。鎌倉橋交差点の左折時は横断歩道を渡る人の動きを見ながら、人が途切れた隙に発進。死角に人が居ないかセンサーで確認する。大手町フィナンシャルシティの駐車場に入り、約30分の試乗は終了した。車内のタブレットで精算し、車を降りた。
 初めはドキドキしたが、慣れると安心してドライブを楽しめた。センサーが人の目より緻密に周囲の車や人の動きを検知していることが実感できたからだ。乗車中に何かにぶつかりそうになったり危険な思いをしたりすることはなかった。
 ただ急ハンドルや急ブレーキが多く、挙動はぎこちない。金子さんは「免許取り立ての初心者より少しうまいくらい」と評価する。ベテランドライバーのような運転には時間がかかりそうだ。
 金子さんが乗車中にハンドルを操作したのは2回。後ろからクラクションを鳴らされた時と大手町で路上駐車を避けて運行した際だ。補佐役がいない完全自動運転車なら、不安を感じただろう。
 実証実験は8月27日~9月8日、1日4往復で実施している。料金は片道1500円。
 自動運転について国は運転手が常に車を操作できる「レベル2」の運行を認めている。今回の実験もレベル2だが、技術的にはシステムが全運転動作を制御するレベル3に近い。30分の運転で、人が運転を操作したのは2回だけだった。
 運転手不足やライドシェアサービス解禁を見据え、日の丸交通とZMPは2020年までに一定条件下で完全に自動化するレベル4の実用化を目指す。日の丸交通の富田和孝社長は「世界で新しいモビリティサービスが生まれているが、タクシーやバスなど公共交通が存在感を示すことが大切」と意気込む。
 試乗したタクシーの乗り心地はまだ「若葉マーク」だったが、実験を重ねて経験を積めば、遠くない未来にベテランドライバー並みの運転技術を身に付けそうだと感じた。
(企業報道部 長尾里穂)
自動運転タクシー 乗ってみた

なお、自動運転のレベルは以下のように設定されている。
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「Newton」2018年8月号

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2018年9月 7日 (金)

大規模集中システムのリスク/技術論と文明論(110)

北海道で昨払暁発生した地震は「平成30年北海道胆振東部地震」と命名された。
018年9月 6日 (木) 安倍首相の不徳を追及する/メルトダウン日本(27)

私は北海道の一部しか知らないが、札幌は10回近く訪れている。
市内の様相は私の知っている札幌から想像できない。
取り敢えず知人の安否確認はできたが、これからの生活の苦労は大変だろう。
震度7を記録した厚真町の被害状況に息を飲む。
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東京新聞9月7日

「平成30年北海道胆振東部地震」では北海道全域の電力供給が途絶えた。
復旧の努力が続けられているが、完全復旧には2週間程度必要らしい。
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東京新聞9月7日

電力の利便性は高いだけに、一旦供給が途絶すると大変である。
教訓を云々するのは尚早だろうが、大規模集中型システムの脆弱性が露呈したと言えよう。
近代化は効率性の追求であり、その帰結が集中型システムである。
自律分散システムに比べ、ハイリスクであることは間違いない。
パラダイムチェンジの時であり、エネルギーについていえば、地下資源(化石資源、ウラニウム・・・から地上資源(太陽光、風力、水力・・・)への転換である。
2015年1月29日 (木) 「地上資源文明」の可能性/技術論と文明論(15)

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2018年8月29日 (水)

自動運転とトロッコ問題/技術論と文明論(109)

東京都がクルマの自動運転の社会実験のための予算を確保し、支援に乗り出した。1808272

たまたま新幹線の電光ニュースでも見た。
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しかし、実用化されるまでには多くの問題を解決しなければならないだろう。
2018年7月19日 (木) 東京都の自動運転実証実験/技術論と文明論(100)

AIの技術は確実に進歩していくだろう。
クルマの運転には、瞬時の的確な判断が必要である。
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「I/O」2017年10月号

状況とアクションの関係はいわゆる「空雨傘」というフレームワークで考えられる。
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分析をまとめ、説得力のあるプレゼンテーションを行う

センサー等の進歩により、外部環境分析は迅速・的確に行えるようになるだろう。
つまり、「雨が降りそうだ」までの精度を高めることは技術的に解決できる。
しかし、倫理的な判断をどうするかは別である。
例えば、「トロッコ問題」と呼ばれる問題をどう判断すれば良いか?
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「I/O」2017年10月号

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2018年8月12日 (日)

日航機墜落事故から33年/技術論と文明論(108)

8月には「鎮魂」のイメージが拭えない。
お盆があり、無辜の人間の無差別殺戮というべき原爆投下、敗戦の玉音放送などのためである。
1985年8月12日の日航機墜落事故もイメージを増幅している。
犠牲者520人という、世界の航空史上単独機としては最悪の事故であるが、33年という歳月はやはり長いというべきであろう。
ほぼ一世代にあたる時間である。
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東京新聞8月12日

この事故はリアルタイムで見聞していた。
子供たちとキャンプに出かけ、家に着く直前のクルマの中で、ラジオで聞いた。
「羽田発伊丹行きのJAL123便が18時56分頃、静岡上空で消息を絶っている模様――」
後に、歌手の坂本九やハウス食品の浦上郁夫社長などの著名人が搭乗していたことが分かった。

後年のことではあるが、原田眞人監督の映画『クライマーズ・ハイ』(横山秀夫原作)の迫力あるシーンも印象に残っている。
衝撃的な事故であったことは間違いないが、事故原因は解明されているのか?
1987年(昭和62年)6月19日、運輸省事故調査委員会は事故調査報告書を公表した。
Wikipediaによれば、報告書の事故の推定原因は大要以下の通りである。

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事故機の後部圧力隔壁が損壊し、その損壊部分から客室内の空気が機体後部に流出したことによって、機体尾部と垂直尾翼の破壊が起こった。さらに、4系統ある油圧パイプがすべて破壊されたことで作動油が流出し、操縦機能の喪失が起こった。
圧力隔壁の損壊は、隔壁の接続部の金属疲労によって発生した亀裂により、隔壁の強度が低下し、飛行中の与圧に耐えられなくなったために生じたと推定される。
この亀裂の発生は、1978年に起きた同機の「しりもち事故」の際に、米国ボーイング社による修理が不適切なものであったことに起因する。また、点検でこれらの異常を発見できなかったことも事故原因に関与したと思われる。

ところが、事故についてまったく別の見方もある。

日航ジャンボ123便は、8月12日18時12分に、羽田を離陸した。
離陸後、順調に飛行を続け、18時24分には、大島上空を通過し、相模湾上空に差し掛かっていた。このとき、大きな衝撃音がして、機体に異常が発生した。
このときの模様を、123便の生存者で、日本航空CAを務めていた、落合由美氏が、次のように証言している。
3)水平飛行に移るかなというとき、「パ-ン」という、かなり大きい音がした!
「そろそろ、水平飛行に移るかなというとき、「パ-ン」という、かなり大きい音がしました。
テレビ・ドラマなどで、ピストルを撃ったときに、響くような音です。
「バーン」ではなくて、高めの「パーン」です。
急減圧がなくても、耳を押さえたくなるような、すごく響く音だった。
前ぶれのような異常は、まったく何も感じませんでした。」
「「パーン」という音と同時に、白い霧のようなものが、出ました。
かなり濃くて、前の方が、うっすらとしか見えないほどです。」
「その霧のようなものは、数秒で消えました。酸素マスクをして、ぱっと見たときには、もうありませんでした。白い霧が流れるような、空気の流れは感じませんでした。すっと消えた、という感じだったのです。」
「このときも、荷物などが飛ぶということもなく、機体の揺れは、ほとんど感じませんでした。
しかし、何が起きたのだろうと、私は、酸素マスクをしながら、きょろきょろ、あたりを見まわしていました。
4)私の座席からは、ベントホールは、 見えない位置にあり、確認できない!
あとになって、8月14日に公表された、いわゆる『落合証言』では、客室乗務員席下のベントホール(気圧調節孔)が開いた、とありますが、私の座席からは、ベントホールは、見えない位置にあります。ですから、開いたのかどうか、私は確認できませんでした。」
18時24分に衝撃があり、機体に異常が発生して、結局、18時56分、123便は、群馬県多野郡上野村の高天原山の尾根(通称「御巣鷹の尾根」)に、墜落した。
捜索隊が、墜落現場を確認したのは、墜落から10時間が経過した、8月13日午前8時半ころとされている。
・・・・・・
日航ジャンボ機は、ミサイルによって尾翼を失い、調布に緊急着陸しようとしたが、事実関係の発覚を回避するために着陸が阻止され、群馬県山腹に誘導された疑いがある。
米軍は墜落直後に墜落地点を確認したが、迅速な救援活動を行わなかった。
32年の年月が経過しているが、真相は明らかにされていない。
日航機墜落事故には、マスコミ報道 と全く異なる真実が見えてくる! ミサイルで撃墜!

まさかとは思うが、未だ全容が解明されたとは言えないのも事実であろう。
事故の取材にあたった記者がまとめた、北村行孝、鶴岡憲一『日航機事故の謎は解けたか 御巣鷹山墜落事故の全貌』花伝社(2015年8月)なども同様の立場である。
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事故調査の際の供述書が明らかにされたのを機会に、より深い検証がなされることを期待したい。

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2018年8月 9日 (木)

長崎への原爆投下という非人道性/技術論と文明論(107)

長崎は9日、米国による原子爆弾の投下から73年となる「原爆の日」を迎え、長崎市の平和公園で平和祈念式典を執り行った。Ws000001
8月9日、長崎から「日常」が奪われた。

既に広島への投下でその威力が確認されていたことを考えれば、長崎は非人道性を上塗りしたことになる。
田上富久市長は平和宣言で、核保有国や「核の傘」に依存している国に対し「核兵器に頼らない」安全保障政策への転換を呼び掛けた。
田上市長は、2007年4月の市長射殺という忌まわしい事件の直後、市役所職員を辞し、急遽立候補した。
本日の東京新聞に、2009年の今日読み上げられた「平和宣言」の中の言葉が紹介されている。
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田上市長は、政府に唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約に賛同し、世界を非核化に導く道義的責任を果たすよう求めた。
しかし、安倍晋三首相はあいさつで、条約に言及しなかった。

 長崎、広島の悲劇が再び繰り返されてはならない。唯一の戦争被爆国として「核兵器のない世界」の実現に向けて、粘り強く努力を重ねていくこと。それはわが国の使命です。
 近年、核軍縮の進め方について、各国の考え方の違いが顕在化しております。
 真に「核兵器のない世界」を実現するためには、被爆の悲惨な実相の正確な理解を出発点として、核兵器国と非核兵器国双方の協力を得ることが必要です。わが国は、非核三原則を堅持しつつ、粘り強く双方の橋渡しに努め、国際社会の取り組みを主導していく決意です。
 その具体的な取り組みとして、昨年立ち上げた「賢人会議」を、本年秋に、ここ長崎で開催予定です。「賢人会議」を通じて得られる知見も踏まえながら、核兵器不拡散条約(NPT)発効50周年となる2020年のNPT運用検討会議が意義あるものとなるよう、本日、ご出席頂いているグテーレス国連事務総長とも緊密に協力しつつ、積極的に貢献してまいります。
長崎の平和祈念式典 安倍晋三首相のあいさつ全文

首相が核禁条約に消極的なことは、確信的にそう考えているからであろう。
「賢人会議」に下駄を預けても、その「賢人」はどういう基準で選んだのか?
毅然として核廃絶に向かうという姿勢がない限り、前身はしないであろうし、被爆者の賛同も得られないであろう。
被爆者は高齢化が進んでいる。
安倍首相らは絶滅するのを待っているのかも知れないが、思いは伝承されていき、決して絶えることはない。

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2018年8月 7日 (火)

核兵器禁止条約に参加を拒む安倍首相/技術論と文明論(106)

1945年8月、6日に広島へ原爆を投下されたが、それでもなお日本は戦争を継続しようとしていた。
その結果、9日に長崎へ再度の原爆投下を受け、旧ソ連の参加を許してしまった。
この終戦の意思決定の遅延による犠牲者はまったくの犬死と言えよう。
2007年8月 9日 (木) 長崎への原爆投下
2007年8月10日 (金) ソ連の対日参戦 

戦争指導層の責任は大きいが、歴史に学ばなければ同じことを繰り返すことになろう。
安倍首相は、祖父・岸信介(A級戦犯容疑で収監。CIAのエージェントになることで釈放されたという説が有力)と同じ道を歩もうとしている。
2014年3月24日 (月) 安倍晋三と岸信介/「同じ」と「違う」(68) 
2009年4月30日 (木) M資金とCIA 
2009年2月10日 (火) 岸信介と児玉誉士夫

ファシズムの初期兆候として、以下のような警告がある。Photo_2

安倍政権は殆どすべてが当てはまると言えよう。
広島の平和記念式典で、小学生が「平和の誓い」を読み上げた。180807_4
東京新聞8月7日

平和記念式典に臨んだ人は皆、人間がつくった恐ろしいもの-核兵器の廃絶を願ったであろう。
安倍首相を除いて。
被爆者の声を聞く会においても、切実な声を聞こうとしなかった。
2018年8月 6日 (月) 兵器としての核エネルギー/技術論と文明論(105)

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 首相に条約への参加を求めたのは、広島被爆者団体連絡会議の吉岡幸雄事務局長。「日本政府は禁止条約に反対し、署名も批准も拒否している。国民多数の意思に背き続けることはできない。条約に署名し、批准への努力を強く求める」と迫った。さらに「私はこれまでもこの席で、安倍内閣の集団的自衛権の容認や憲法改悪の主張に対し、抗議して撤回を求めた」と強調した。
 首相との面会後、吉岡氏は記者団に「われわれの要望に全然聞く耳を持たない態度は腹立たしいことこの上ない。もう(広島に)来てほしくない」と怒りをあらわにした。
 広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長は記者団に、日本政府が昨年立ち上げた核保有国、非保有国の専門家が核軍縮について議論する賢人会議について「核兵器禁止条約(に賛成)の立場に政府が立たない限り、賢人会議そのものに意味がない」と指摘した。
 被爆者が首相を批判するのは、要望を政策に反映しようという姿勢が感じられないからだ。核廃絶に関しては、日本政府が米国など核保有国に対して、真剣に核放棄を迫っているようにもみえない。
 首相は被爆者との面会で、核軍縮を巡る各国の立場の違いが顕在化していると指摘。日本に求められるのは橋渡し役だとした上で、条約は「アプローチが異なる」として参加は難しいとの考えを示した。賢人会議に言及し「核兵器国と非核兵器国への働きかけを行い、国際社会を主導していく」と理解を求めた。
祈りと怒りの原爆忌 首相、核禁止条約なお「不参加」

日本に求められているのは「橋渡し=調整」ではなく、潮流の創造ではないのか。
「唯一の戦争被爆国」という言葉は、安倍首相にとっては単なる枕詞に過ぎないのだろう。

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2018年8月 6日 (月)

兵器としての核エネルギー/技術論と文明論(105)

広島は6日、米国による原爆投下から73回目の「原爆の日」を迎えた。
今年は西日本豪雨の災害もあって、二重の鎮魂が込められていたように思う。
平和記念公園(広島市中区)で平和記念式典があり、広島市の松井一実市長は平和宣言で「自国第一主義」の台頭、核兵器の近代化などに懸念を表明し、採択1年を迎えた核兵器禁止条約の発効に向け、日本政府が役割を果たすよう求めた。Ws000000

しかし安倍首相は、平和記念式典の後広島市内のホテルであった被爆者7団体の代表らが参加する「要望を聞く会」に出席し、被爆者側からは、被爆国として核兵器禁止条約への署名・批准を求められたが、「条約とは考え方、アプローチを異にしている。参加しない考えに変わりない」と不参加を明言した。

昨年のノーベル平和賞は、「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)に授与された。
核兵器の非合法化と廃絶を目指す国際NGOであり、核兵器禁止条約成立に貢献した功績である。
ノーベル平和賞については疑問の点も多いが、この決定については
ノルウェーのノーベル委員会の意思を評価したい。
2017年10月 7日 (土) 核兵器廃絶国際キャンペーンにノーベル平和賞/世界史の動向(56) 

今日の東京新聞に、14歳の時に原爆投下を現認した被爆者の手記のことが紹介されている。
まだまだ発掘を待っている資料があるに違いない。
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東京新聞8月6日

松井広島市長は平和宣言の冒頭で、参列した85カ国の駐日大使らと欧州連合(EU)代表部らに、「73年前、今日と同じ月曜日の朝。あなたや大切な家族がそこにいたらと想像してください」と呼びかけた。
米国からは初めてハガティ駐日大使が出席したが、安倍首相やトランプ大統領こそ、被爆の現実を見るべきであろう。
核エネルギーは桁違いに大きいが、兵器に利用することが「非人道的」であることは間違いない。

安倍首相はあいさつで、「唯一の戦争被爆国として『核兵器のない世界』への努力は我が国の使命」と言うが、「核兵器国と非核兵器国の双方の協力が必要」と強調して、廃絶のリーダーシップをとることに消極的だった。
核兵器廃絶の方が、憲法改正などよりずっと価値のある目標だと思うが・・・。

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2018年7月28日 (土)

異例の経路をたどる台風12号/技術論と文明論(104)

台風12号の進路が異例だ。
当初から東海沖を進む寒冷渦との相互作用で、28日(土)になると西よりに進路を変えると見られていたが、進路を変える位置が次第に比べると南にシフトし、東海沖から紀伊半島、西日本方面を通過するルートと予想を変えてきた。Photo_2
台風12号、西へ進む異例の逆走 高気圧と寒冷渦で複雑化

このまま進めば西日本豪雨被災地を再び直撃することが予想される。12
台風12号 東海に上陸の恐れ 警戒期間

通常はは日本の南の海上に太平洋高気圧が張り出すため、その北側を吹く西よりの風や、ジェット気流と呼ばれる上空の強い西風に流され、日本付近では北東方向に進む。
2016年8月の台風10号も、太平洋側から上陸するという珍しいルートを辿った。Photo_3
台風10号 史上初ルートで本州接近・上陸へ

台風10号は、東日本に接近すると、寒冷渦の反時計回りの風に乗ったことが原因だった。
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台風10号 史上初ルートで本州接近・上陸へ
2016年8月28日 (日) 台風10号の経路と狩野川台風/戦後史断章(25)

2016年の10号や今度の12号は、珍しい進路であるが、頻発する異常気象と関係があるかどうかはデータを積み重ねて判断すべきだろう。
大きな災害にならないことを祈るばかりである。

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2018年7月27日 (金)

世界的な猛暑の原因/技術論と文明論(103)

7月23日に埼玉県熊谷市で観測史上最高となる41.1度の気温を記録するなど、7月中旬以降、東日本から西日本までの広い範囲で、平年値に比べて3度以上も高い気温が続いている。
2018年7月25日 (水) 災害としての酷暑/技術論と文明論(101)
しかし、このような記録的猛暑は日本だけにとどまらない。
米国では、7月8日にカリフォルニア州デスバレー国立公園で最高気温52度を記録するなど、世界各地で記録的猛暑が起きている。

また、ヨーロッパでは、アイルランド、イングランドの東部および南部、スカンジナビア半島南部、バルト諸国などを中心に、平年値より3度から6度ほど高い気温が継続している。
北極圏に位置するノルウェーのテュスフィヨール市ドラッグ村で7月18日に最高気温33.7度を記録した。
スウェーデンでは、記録的な猛暑と乾燥により、北西部のイェムトランド、中部のイェヴレボリやダーラナなど、これまでに50地点以上で森林火災が発生している。
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東京新聞7月26日

熱波や猛暑の原因が何であるかは軽々に結論を出すべきではないだろうが、異常気象が人間の活動に起因している可能性は大きいであろう。
米エネルギー省(DOE)傘下ローレンス・バリモア国立研究所の研究チームは、7月20日、米学術雑誌「サイエンス」で「人間が対流圏温度における季節循環に影響を及ぼしている」との研究論文を発表した。

衛星が実際に観測した温度データと、気候モデルに基づきシミュレーションした人為的要因のフットプリント(痕跡)を分析し、対流圏温度の季節循環において、人間活動に起因するフットプリントを、自然変動によるものから分離して示すことに成功した。対流圏温度の季節変動幅は、とりわけ中緯度において大きくなっており、水陸分布の違いにより南半球よりも北半球でより大きくなっているという。
・・・・・・
また、海洋の循環流が地球温暖化に影響を及ぼしているとの指摘もある。米ワシントン大学と中国海洋大学との共同研究プロジェクトは、7月18日、学術雑誌「ネイチャー」において「大西洋循環の弱体化が地表温度の上昇を招く」との研究論文を公開した。
これによると、大西洋循環の減速化は、地球温暖化によるものではなく、数十年規模の自然変動サイクルによるものだが、これによって、今後、気温が上昇する可能性があるという。
海流のスピードは海洋表層の熱が深層にどれだけ多く移動するかによって決まり、早く循環するほど多くの熱を深層に送り込むことができる。裏を返せば、海流が遅くなると海洋での熱の蓄積量が少なくなり、大気の温度が上昇しやすくなるというわけだ。

地球温暖化についても結論が出ているわけではない。
しかし「かけがえのない惑星」であることだけは間違いがない。
私たちが「文明のあり方」を再考すべき時期に来ているのは間違いないのではないか。

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2018年7月26日 (木)

櫻井よしこ氏の「美しき勁き」間違い/技術論と文明論(102)

よく、「野党は反対ばかりでなく、対案を出せ」という人がいる。
実は、対案を出していないのではなく、与党が審議に応じていない法案が多数ある。Photo_2

「原発ゼロ基本法案」はその典型であろう。
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東京新聞7月20日

櫻井よしこ氏が産経新聞の「美しき勁き国へ」という欄に、「小泉純一郎元首相の脱原発・・・壮大な間違い エネルギー政策は「科学の視点」で考えよ」という一文を寄せている。
「エネルギー政策は「科学の視点」で考えよ」には賛成であるが、私には、櫻井氏の論は感情的な「反・脱原発」のように見える。
彼女は小泉元首相の原発政策を批判して、次のように言う。

 だが、「日本は単純計算で太陽光だけで原発27基分を出しており、原発ゼロでも自然エネルギーだけで十分にやっていける」という氏の主張が壮大な間違いであることは明確に指摘したい。
 氏の主張は、わが国の太陽光発電は平成26年度末で2688万キロワット、1基100万キロワットの原発に置きかえれば約27基分との計算から生まれたものだろうか。同じ論法で計算すれば28年度末での太陽光発電は原発43基分だ。
 しかし、「それは、kW(キロワット)の数字、つまり、性能上の発電能力の数字だけを見たもので、実際に発電した時間を乗じたkWh(キロワットアワー)の数字を見なければ実態はわかりません」と、東京工業大学特任教授の奈良林直氏は語る。
 kWで示された性能上の能力は晴天時の瞬間的な出力を示す。太陽が強く輝くのは1日の内6時間、24時間の25%だ。しかし雨の日、曇りの日、雪の日、台風の日もあり、25%の半分、13%ほどの時間しか発電できない。太陽光発電の稼働率は13%前後にとどまるのだ。残りは火力発電に頼るしかない。
【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】小泉純一郎元首相の脱原発…壮大な間違い エネルギー政策は「科学の視点」で考えよ

しかし、小泉氏も直ちに今現在、自然エネルギーだけでやっていけるとは考えていないであろう。
重要なことは、将来へ向かってのベクトルである。
世界の趨勢は再生エネルギーに向かっている。
それは核廃棄物の処理が難しいからであると共に、再生エネルギーはイニシアルコストは必要であるが、限界コストが0に接近していくからである。
2018年7月 2日 (月) スマート化に逆行する日本/技術論と文明論(95 

政府が閣議決定した「エネルギー基本計画」は、依然として原発ありきである。
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東京新聞7月4日

私は、今こそエネルギー政策について、議論を深める時ではないかと思う。
例えば、「限界費用ゼロ社会」を提唱しているジェレミー・リフキン氏は『スマート・ジャパンへの提言』を発表している。
スマート・ジャパンが、原発よりも再生エネと親和することは、言うまでもない。
2018年7月 2日 (月) スマート化に逆行する日本/技術論と文明論(95)

しかしながら、政府・与党にエネルギー政策を再考すべきがという問題意識はない。
国の政策を追認する櫻井氏の論は、「美しき勁き」間違いと言うべきであろう。
もっと柔らかな思考に立たないと、先見的な議論はできないのだ。
杉田水脈氏と同レベルでは視野狭窄に陥るのは止むを得ないが。
2018年7月24日 (火) 杉田水脈議員の発言にみる自民党のホンネ/ABEXIT(77)

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