技術論と文明論

2018年11月18日 (日)

キログラムの定義の変更/技術論と文明論(119)

「国際度量衡総会」が16日、フランスで開かれ、約130年ブルにキログラムの定義の改定案が可決された。
従来の「国際キログラム原器」と呼ばれる分銅から、光に関する物理定数「プランク定数」を基に定める。
測定技術の進歩などを受けて物理定数を基準にした値になる。
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東京新聞11月18日

「歌は世に連れ、世は歌に連れ」と言われるが、単位もまた、世に連れ変化するのは当然であろう。
従来は、1キログラムは、19世紀末に作られた白金イリジウム合金製の分銅の質量が基準とされてきた。
分銅はパリ郊外の国際度量衡局に厳重に保管されているが、年月とともにわずかに質量が変化していることが判明し、精密な測定に支障が起こる可能性がある。

人工物からより普遍性の高い自然定数に変更されたわけで、必然的な流れと言える。
日本の産業技術総合研究所もシリコン球の測定からプランク定数を求める研究に貢献した。
新しい定義は来年5月から実施される。

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2018年11月13日 (火)

エネルギー政策の混迷/技術論と文明論(118)

9月6日、北海道胆振地方を震源とする震度7の地震が発生した。
山が崩れた厚真町や札幌市内の液状化の映像は、地震の強さを物語っていた。
特に戦慄を覚えたのは、ブラックアウトという事態が起きたことであろう。
2018年9月 7日 (金) 大規模集中システムのリスク/技術論と文明論(110)

電力は現代生活に欠かせない。
全系統の電源が失われるブラックアウトという事態は、1977年のニューヨーク大停電が有名である。
日本でこれほど広範囲・長期間にわたり発生したのは初めてと言われる。
電力の供給には、発電システムと送電システムが必要であるが、需要にも供給にも変動があるので、需給バランスを調整する蓄電システムも重要である。

発電システムについては、一次エネルギー源の構成をどう考えるべきか?
池内了『科学・技術と現代社会 下 』みすず書房(2014年10月)に、「課外講義Ⅴ 地下資源文明から地上資源文明へ」という項目がある。
地下資源には、石油・石炭を始めとして、ウランなどが含まれる。
地上資源には、太陽光、水力、風力等が含まれる。
端的に言えば、地下資源は使い捨て、地上資源は再生可能である。

地下資源が大規模集中になじみ、地上資源が小規模分散になじむことは明らかである。
そしてブラックアウトが発生したのは、基本的に北海道の電力供給が極端に集中型であったことも明らかであろう。
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東京新聞11月4日

ブラックアウトを教訓とするならば、集中から分散へにシフトを考えるべきである。
しかし泊原発再稼働に必死である。
ネトウヨまで動員したのも如何かとは思うが、動員されたネトウヨが揃って「泊」を「柏」とミスっていたのはお粗末であった。
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2018年9月12日 (水) ネトウヨ的原発推進派のお粗末さ/メルトダウン日本(29)

一方の九州電力では、発電量の過剰を抑えるため、太陽光発電を抑制した。
本末転倒のような気がする。

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2018年11月 8日 (木)

原子力規制委の存在意義/技術論と文明論(117)

「原則40年」の運転期限が迫る東海第二原発(茨城県)について、原子力規制委員会が20年の運転延長を認めた。
規制委はあくまで技術的な基準との適合性を審査するのであろうが、運転延長を認めるのが妥当な判断と言えるだろうか?
今後20年という期間の変化を見通した結論とは思えない。

先ず第一に、周辺の環境条件の変化である。
東海第二原発の立地は、人口密集地域に変貌している。
万が一の事故の場合、避難は著しく困難だと考えるべきであろう。
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地元は早くも「反対」の声 東海第二原発の運転延長認可

原電は今年3月に、周辺6市村と新たな安全協定を結んだ。
「事前協議により実質的に事前了解を得る仕組みとする」と表記されているが、自治体間で賛否が分かれた場合に再稼働を止められるかどうかが曖昧で、判断が分かれている。
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6市村に事前了解権 拒否権有無で溝

協定の趣旨からすれば1自治体の反対があっても再稼働すべきではないと考えるが、曖昧さは残る。
原電の和智信隆副社長は「拒否権という言葉は新協定の中にはない」と述べているが、一方的な判断だろう。
そもそも老朽原発を、原則を超えて長く動かす正当な理由は何だろうか?

規制委が認めれば20年の延長もできるというルールもは当初の政府の説明通り「極めて限定的なケース」と考えるべきではないか。
東海第二がそのような稀なケースに該当するとは思えない。

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2018年10月29日 (月)

風力発電の可能性/技術論と文明論(116)

有限の地下資源に依存する文明から、持続可能な資源へのシフトが急そがれる。
2015年1月29日 (木) 「地上資源文明」の可能性/技術論と文明論(15) 
東日本震災からの復興は、再生可能資源を軸に進められるべきであろう。
⇒2011年3月22日 (火):津々浦々の復興に立ち向かう文明史的な構想力を

その観点からすれば、政府が東京電力福島第一原発事故からの復興の象徴にしようと福島県沖に設置した浮体式洋上風力発電施設はの意図は理解出来る。
四方を海に囲まれていつ日本は特に洋上発電が向いているだろう。
中でも浮体式である。

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次世代電源の柱となるか 「浮体式」風力に熱視線

ところが 政府が東京電力福島第一原発事故からの復興の象徴にしようと福島県沖に設置した浮体式洋上風力発電施設3基のうち、世界最大級の直径167メートルの風車を持つ1基を、採算が見込めないため撤去する方向であるという。
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東京新聞10月27日

しかし浮体式洋上風力発電そのものはギブアップするべきではないだろう。
短期的な利益にありつこうとするからうまくいかないのだ。
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同上

功を焦らず地道に地に足をつけた開発を期待する。

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2018年10月24日 (水)

免震・制振偽装と五重塔の技術/技術論と文明論(115)

免震・制振装置のトップメーカーKYBの検査データの偽装には驚ろかされた。
2018年10月17日 (水) 偽装国家の本領(10)免震制振偽装・KYB/メルトダウン日本(55)

しかし検査データの偽装はKYBだけではなかった。
東証2部上場の建材メーカーグループ・川金ホールディングス(HD、埼玉県川口市)の子会社が製造した免震・制振オイルダンパーの検査データを改ざんしていた。
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日本経済新聞10月24日

地震列島で免震・制振偽装はどこまで広がるのだろうか?

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免震は東京都、大阪府各2物件の計6本、制振は26都道府県の89物件に使われた計1423本が、いずれも顧客が指定した基準値を満たしていなかった。国土交通省は免震ダンパーに基準を設定しているが、不適合品はなかったという。
 検査データの改ざんが油圧機器メーカーKYB(東京都港区)以外にも拡大したことを重くみた国交省は、免震・制振装置メーカー88社に報告を求めていた不正の有無の調査について、報告期限を従来の12月下旬から今週内に前倒しした。
 問題のダンパーは、ともに川金HDの子会社の光陽精機(茨城県筑西市)が製造し、川金コアテック(川口市)が販売した。今月16日、KYBと子会社による検査データ改ざんが発覚したのを受けて社内調査し、不正が判明。21日に国交省に報告したという。国交省は23日、川金HD側に対し原因究明や再発防止策の報告を指示した。
 不正期間は、ダンパーの製造・販売を開始した2005年2月から今年9月までで、検査機のデータに特定の係数を入力し、顧客が求めた基準値の上下10%以内に収まっているように改ざんしていたという。免震用は総出荷数の1%余り、制振用は約25%が改ざんされていたとみられる。
 改ざん理由について、川金HDは「顧客に性能面、納期で満足いただくためだった」と説明した。今回の公表分とは別に、台湾に出荷した製品にも不正があったことや、データが基準内だったのに精度を高く見せようとして改ざんした製品もあったことを明らかにした。
免震・制振装置データ改ざん93物件1429本 

偽装を発表した川金HDはストップ安で引けた。Ws000002_2

まあ、当然の結果だろう。
それにしても、五重塔などが、美しい建築美と耐震性を両立させてきた伝統はどこへ行ったのか?
2012年5月22日 (火) 東京スカイツリーの開業/花づな列島復興のためのメモ(70)
⇒2011年5月24日 (火):五重塔の柔構造と震災復興構想/やまとの謎(31)
⇒2011年10月29日 (土):猿橋の「用」と「美」と「レジリエンス」/花づな列島復興のためのメモ(10)

五重塔の免震・制振については以下の説明を紹介しよう。
五重塔は耐震設計の教科書

五重の塔の構造
五重塔は、独立した5つの層が下から積み重ねられた構造をしています。各層が庇の長い大きな屋根を有していること、塔身の幅が上層ほど少しずつ狭くなっていること、中央を心柱が貫通していて、5層の頂部でのみ接していること、5層の頂部に長い相輪が取り付けられ、心柱の先端に被せられていることなど、他の建築物に見られない特徴を有しています。これらの構造的特徴の全てが、五重塔の耐震性に深く関っています。
塔の内部を見ますと、各層は軒、組物(柱上にあって軒を支える部分)、軸部(柱のある部分)より構成されています。上層の軸部から柱盤を介して軒の地垂木に伝えられた鉛直荷重は、軒荷重と共に組物に伝えられ、組物の繋肘木(力肘木ともいう)から軸部に伝えられ、そして当該層の荷重と合わせ、下層の軒の地垂木に伝えられていきます。
五重の塔の免震・制振とエネルギー吸収 
柔構造によって1次の振動モードが共振領域を外れたとしても、2次以上の振動モードが共振領域に入ることは避けられません。ここで問題になるのが、層の浮き上がり、飛び上がりです。
各層は積み重ねられているだけで、柱盤は下層の地垂木に緊結されてはいませんから、ロッキング運動が激しくなりますと、片側で浮き上がりを生じる可能性が出てまいります。後述の鉛直方向の振動の影響と重なって飛び上がるかもしれません。
2次の振動モードで共振しますと、3層から4層にかけて曲げモーメントが大きくなり、上方の層では上層からの自重による鉛直荷重が小さくなることと合わせ、4層あたりで浮き上がりを生じる可能性が高くなります。防災科学技術研究所の振動実験でも4層が浮き上がったことが報告されています。
4層で浮き上がりを生じ、心柱の支持点である5層頂部の変位が大きくなりますと、心柱が3層の頂部と接し、梃子の原理で変位に対する抵抗力が5層頂部に発生します。心柱の回転慣性は大きく、偶力だけでも抵抗力になるでしょう。心柱は“綱渡りの棒”のようなもので、上方の層がバランスを失ったときに力となり、同層がバランスを取り戻せば再び塔身に身を委ねます。心柱の繋部分に十分な強度が求められますが、鉛直上向きの力に対して抵抗力をもたない積み重ね式の弱点を、心柱が見事に補っています。
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テクノロジーとして、現代よりも進んでいたような気もする。
しかし、「偽装」は論外であろう。

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2018年10月23日 (火)

台湾で特急電車が脱線事故/技術論と文明論(114)

台湾北東部・宜蘭県で10月21日、台湾鉄道の特急「普悠瑪(プユマ)」号が脱線事故を起こした。
8人が死亡し、190人が負傷したものとみられる。
死者の多くは先頭から3両目までに集中していたことが分かった。

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 乗客は366人。台湾鉄道は当初、死者を22人と発表したが、その後、消防当局が18人に修正した。死者のなかには、韓国で英語スピーチ大会に参加し、台東市に帰る途中だった中学校の生徒3人と教師2人や、結婚式から帰る途中の親族8人も含まれるという。
 脱線現場は、宜蘭県蘇澳地区にある新馬駅にかかる右カーブ。列車は全8両が脱線してジグザグ状になり、そのうち5両は横転した。車両は日本製だった。
 台湾紙・聯合報(電子版)などによると、死者は先頭車両の8号車内で6人、7号車付近の外で7人、6号車付近の外で2人見つかった。車外で見つかった人たちは、脱線の衝撃で車外に飛び出したと消防当局はみている。
 運転士は負傷して病院に運ばれている。台湾鉄道当局者は22日、事故発生前に、運転士が緊急ブレーキをかけていたことや、電力が不安定になっていると訴えていたことを明らかにしたが、事故原因と関係しているかは分からないとしている。
 蔡氏は22日午前7時(日本時間同8時)ごろ、現場に到着。台湾鉄道幹部から状況の報告を受けた後、「関係当局には早急に原因を究明してもらいたい。ともに、この難関を乗り越えよう」と語った。
 日本台湾交流協会台北事務所(大使館に相当)によると、日本人が事故に巻き込まれたという情報はないという。
死者は先頭3両に集中 台湾脱線事故、蔡総統が 現地入り

まだ全容が明らかになったわけではないが、運転士が事故前に異常を通報していたという情報もある。
複合的な原因の可能性もある。
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東京新聞10月23日

現時点での情報は、JR西日本の福知山線脱線事故とそっくりであるといえよう。
文明は利便性を求めて発展する。
しかしそこには自ずから制約条件がある。
それを定めたのがルールや制度である。

福知山線の場合もそうだったが、そのルールを超えた運用はあってはならないことだろう。
運転士というあるいは運行会社というミクロな世界で良かれと思ってしたことが、より広い視点でみると、真逆の結果になることはしばしばある。
巨大文明の現代においては特に心すべきではないだろうか。

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2018年10月 9日 (火)

エネルギー革命は電池から/技術論と文明論(113)

今年の受賞はならなかったが、ノーベル化学賞の有力候補にノミネートされているのが、リチウムイオン電池の吉野彰博士である。
吉野彰博士は、日本にノーベル賞に擬せられる「Japan Prize:日本国際賞」の受賞者である。
リチウムイオン電池の用途は、電気自動車(EV)向けがIT機器向けを上回っているという。
かつて電気はためられな いもの、と考えられていたが、近未来に数千万台に上ると予測されている電気自動車が蓄電の役割を担うと想定される。
そうすれば、電気の需給は劇的に変化するのだろう。
2018年4月 2日 (月) 吉野彰博士が日本国際賞受賞/知的生産の方法(174) 

エネルギー革命のきっかけはIT革命だった。
1995年のWindows95の発売は、様々な要素技術が結集する結節点だった。
そこから始まった「IT革命」は自動車産業を巻き込み、ついにトヨタ自動車とソフトバンクがジョイントベンチャーを設立するまでに至った。
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日本経済新聞10月5日

東電福島第一原発を契機として、脱原発は喫緊の課題であることは多くの人の共通認識となっているが、期待されるのは「蓄電池」である。181008_7
東京新聞10月8日

可及的速やかに「脱原発」でまとまれば、自公政権は終わるのではないか。


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2018年9月30日 (日)

火山リスクと伊方原発稼働/技術論と文明論(112)

四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町、停止中)について、昨年12月、広島高裁が運転差し止めを命じた。
火山の巨大噴火リスクを考慮した画期的な判断だった。
2017年12月14日 (木) 伊方原発に高裁が停止命令/技術論と文明論(82)

ところが、四国電力による異議申し立てを認め、9月26日、仮処分決定が取り消された。
また大分地裁は9月28日、対岸の大分県の住民4人が運転差し止めを求めた仮処分の申し立てを却下した。
火山リスクに対するはどう判断するべきだろうか?

広島高裁は四電の異議申し立てを認めた理由を次のように説明している。

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差し止めの理由とした阿蘇カルデラ(阿蘇山、熊本県)の破局的噴火について社会通念上、想定する必要がなく、立地は不適でないと判断した。
・・・・・・
 高裁段階で初めて示された原発差し止め判断が約9カ月で覆り、3号機は法的に運転可能な状態となった。住民側は他の訴訟への影響などを考慮し、最高裁への特別抗告はしない方針。
 三木裁判長は、差し止めの仮処分決定が重視した原子力規制委員会の手引書「火山影響評価ガイド」について「噴火の時期や程度が相当程度の正確さで予測できるとしていることを前提としており不合理」と批判。
 その上で、日本では1万年に1度程度とされる「破局的噴火」について、発生頻度は著しく小さく、国が具体的対策を策定しようという動きも認められない。国民の大多数はそのことを格別に問題にしていない」と指摘。「破局的噴火が伊方原発の運用期間中に発生する可能性が相応の根拠をもって示されているとは認められない」とした。
伊方原発3号機、再稼働可能に 四電異議認める

阿蘇カルデラ(阿蘇山、熊本県)の破局的噴火について社会通念上、想定する必要がな」いだろうか?
自然災害についての社会通念をどう考えるか?
特に今年は様々な自然災害が日本列島を襲い、多くの犠牲者が出ている。
社会通念が有効に機能しているならば、犠牲は局限されていただろう。

西南日本の縄文社会を壊滅させ、三内丸山に遷したとも言われる「鬼界カルデラ噴火」の例もある。
2016年9月 6日 (火) 縄文の西南日本を壊滅させた鬼界カルデラ大噴火/技術論と文明論(64)
2016年9月17日 (土) 三内丸山遺跡の出現と鬼界カルデラ噴火/技術論と文明論(67)
鬼界カルデラ噴火については仮説の要素もあるが、説明力は高い。
考慮すべき要素と考える。

例によって政府のスポークスマン高橋洋一氏がしゃしゃり出て次のように解説している。

   伊方原発はもったとしてもあとせいぜい40年である。その40年の間に、阿蘇の破局的噴火が起こる確率を考えてみたらいい。
   筆者は、この問題をニッポン放送のラジオ番組で解説した。破局的噴火はだいたい1万年に1回であるが、ちょっと考えにくいので、隕石の地球の突入で人が死ぬ確率を考えてみた。大雑把であるが、隕石事故は100年に1回くらいはあるとしよう。ラジオ放送中に、筆者が隕石によって死ぬリスクは確かにゼロではなく、ある。そのリスクがあるから、今ラジオ放送を中止したらどうなるのか、とラジオ放送で言った。そのくらい、阿蘇の破局的噴火を運転差し止めの理由にするのは馬鹿馬鹿しいことだ。
   阿蘇の破局的噴火で、四国の伊方原発を気にするくらいなら、九州は人が住めないだろう。だからといって、今九州への居住禁止にするのだろうか。四国の伊方原発が火砕流に巻き込まれるなら、川内原発や玄海原発も同様である。もっとも、そのときには残念ながら九州には人は住めないだろうから、原発対策をしても意味がないという笑い話にもなる。
原発めぐる「火山リスク」 見直すべき「これだけの理由」

相変わらずトンマな見解を堂々と開陳しているが、ゼロリスクを要求しているわけではないことは当然である。
故武谷三男氏は『安全性の考え方』で次のように述べている。

裁判は“疑わしきは罰せず”だが、安全の問題は“疑わしきは罰しなくてはならない”ということだ.公共・公衆の安全を守るためには“安全が証明されなければやってはならない”のであって、危険が証明されたときには、すでにアウトになっているのである。
2012年7月25日 (水) 政府事故調の報告書/原発事故の真相(41)

原判決は、伊方原発から約130キロ離れた阿蘇山など火山の影響を重視し、現在の科学的知見によれば「阿蘇山の活動可能性が十分小さいかどうかを判断できる証拠はない」とした。
原子力規制委員会の審査内規に沿い、160キロ先に火砕流が到達した約9万年前の過去最大の噴火の規模を検討した
上で、「約130キロ離れた阿蘇カルデラで約9万年前に起きた破局的噴火を根拠に、火砕流が到達する可能性がある伊方原発を「立地不適」と断じた」のだ。

火山列島日本日本に原発適地があるのだろうか?
⇒2016年10月 9日 (日):巨大噴火リスクにどう備えるか/技術論と文明論(77)
⇒2016年4月15日 (金):熊本の地震と『死都日本』のメッセージ/技術論と文明論(48)
われわれは自然に対してもっと謙虚に向き合うべきだろう。

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2018年9月 9日 (日)

無人運転タクシー公道走行実験/技術論と文明論(111)

8月27日から、タクシー大手の日の丸交通(東京・文京)と自動運転技術のZMP(同)のチームによる自動運転の社会実験が行なわれた。
「レベル2」のタクシーが一般客を乗せて公道を走るのは世界初である。
2018年7月19日 (木) 東京都の自動運転実証実験/技術論と文明論(100) 
2018年8月29日 (水) 自動運転とトロッコ問題/技術論と文明論(109)
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日経記者は試乗インプレッションを次のように記している。

 8月28日、六本木ヒルズ(東京・港)。スマートフォン(スマホ)アプリで予約した自動運転タクシーが指定時刻にやって来た。自動運転とは言え、運転手の金子博昭さんとエンジニアが緊急時に備えて同乗している。
 車体のQRコードにスマホのカメラをかざすとドアが開錠。システム動作に15分ほどかかって出発した。通常は乗るとすぐ出発できるという。
。 実は自動運転車に乗るのは初めて。本当にぶつからないのか、緊張しながら運転を見守った。目的地の大手町フィナンシャルシティグランキューブ(東京・千代田)まで5.3キロメートル。六本木ヒルズを出ると交通量が多い六本木通りに合流する。
 いきなり自動運転システムが試される。右折レーンで右折を試みるも、左側から近づいてきた車を感知し、急ブレーキ。後続車がクラクションを鳴らした。金子さんが慌ててアクセルを踏み、強制的に右折した。
 タクシーは複数のカメラやセンサーで周囲の車の速度や距離を測りながらハンドルやブレーキを制御する。車間距離が近すぎたり前方車が割り込むと、自動ブレーキがかかる仕組みだ。安全のため必要な仕組みだが、過敏すぎると周囲の車の流れを妨げる気がした。
 その後はスムーズに進む。直線道路や周囲の車が一定速度で走っている道は得意そうだ。そう思っていると突然、左車線の車が車線変更。タクシーは少し減速した。信号での停車、発進は難なくこなすが、ブレーキのたびに車が前後に大きく揺れるのが気になった。
 金子さんも「人と違って、急ブレーキが多くなってしまう」と話す。ベテランドライバーなら微妙なブレーキ操作で衝撃を和らげる。自動運転車はまだその加減が苦手。ZMPの西村明浩取締役は「快適な走行のため改善が必要」と話す。
 霞が関の交差点に向かう緩やかなカーブにさしかかる。左車線に入ろうと車線変更する際、急ハンドルで車体が左右に大きく揺れた。曲がりながらの車線変更は難しいのだろうか。
 車内にはセンサーが検知した周囲の車や横断歩道を歩く人をリアルタイムで示したモニターが映し出され、それを見ると少し安心した。
 国会前の交差点の大きな右カーブにさしかかった。ここはスムーズに通過。人の運転と変わらない。次は祝田橋交差点を左折。交通量が多く心配だったが、やや大回りに曲がった。人と比べて左折時に少し膨らむようだ。
 内堀通りでは右折のために左から右に2回、1車線ずつ慎重に車線変更した。「法令に従って車線を変えて少し真っすぐ走ってから、再び車線を変える。法定速度もしっかり守っています」と金子さん。法令順守のシステムで、確かに安全性は高そうだ。
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 車は東京駅前の行幸通りへ。左側車線には路上駐車も多い。三角コーンも車線に数個並んでいた。金子さんは「このくらいなら大丈夫だが、車線をすべて隠すように置かれていると、センサーが車線を正しく読み取れない」と言う。車線が消えている道もたまに見かけるが、自動運転車はそうした不備も前提に設計する必要がありそうだ。 東京駅前を通り、ゴールが近づいてきた。鎌倉橋交差点の左折時は横断歩道を渡る人の動きを見ながら、人が途切れた隙に発進。死角に人が居ないかセンサーで確認する。大手町フィナンシャルシティの駐車場に入り、約30分の試乗は終了した。車内のタブレットで精算し、車を降りた。
 初めはドキドキしたが、慣れると安心してドライブを楽しめた。センサーが人の目より緻密に周囲の車や人の動きを検知していることが実感できたからだ。乗車中に何かにぶつかりそうになったり危険な思いをしたりすることはなかった。
 ただ急ハンドルや急ブレーキが多く、挙動はぎこちない。金子さんは「免許取り立ての初心者より少しうまいくらい」と評価する。ベテランドライバーのような運転には時間がかかりそうだ。
 金子さんが乗車中にハンドルを操作したのは2回。後ろからクラクションを鳴らされた時と大手町で路上駐車を避けて運行した際だ。補佐役がいない完全自動運転車なら、不安を感じただろう。
 実証実験は8月27日~9月8日、1日4往復で実施している。料金は片道1500円。
 自動運転について国は運転手が常に車を操作できる「レベル2」の運行を認めている。今回の実験もレベル2だが、技術的にはシステムが全運転動作を制御するレベル3に近い。30分の運転で、人が運転を操作したのは2回だけだった。
 運転手不足やライドシェアサービス解禁を見据え、日の丸交通とZMPは2020年までに一定条件下で完全に自動化するレベル4の実用化を目指す。日の丸交通の富田和孝社長は「世界で新しいモビリティサービスが生まれているが、タクシーやバスなど公共交通が存在感を示すことが大切」と意気込む。
 試乗したタクシーの乗り心地はまだ「若葉マーク」だったが、実験を重ねて経験を積めば、遠くない未来にベテランドライバー並みの運転技術を身に付けそうだと感じた。
(企業報道部 長尾里穂)
自動運転タクシー 乗ってみた

なお、自動運転のレベルは以下のように設定されている。
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「Newton」2018年8月号

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2018年9月 7日 (金)

大規模集中システムのリスク/技術論と文明論(110)

北海道で昨払暁発生した地震は「平成30年北海道胆振東部地震」と命名された。
018年9月 6日 (木) 安倍首相の不徳を追及する/メルトダウン日本(27)

私は北海道の一部しか知らないが、札幌は10回近く訪れている。
市内の様相は私の知っている札幌から想像できない。
取り敢えず知人の安否確認はできたが、これからの生活の苦労は大変だろう。
震度7を記録した厚真町の被害状況に息を飲む。
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東京新聞9月7日

「平成30年北海道胆振東部地震」では北海道全域の電力供給が途絶えた。
復旧の努力が続けられているが、完全復旧には2週間程度必要らしい。
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東京新聞9月7日

電力の利便性は高いだけに、一旦供給が途絶すると大変である。
教訓を云々するのは尚早だろうが、大規模集中型システムの脆弱性が露呈したと言えよう。
近代化は効率性の追求であり、その帰結が集中型システムである。
自律分散システムに比べ、ハイリスクであることは間違いない。
パラダイムチェンジの時であり、エネルギーについていえば、地下資源(化石資源、ウラニウム・・・から地上資源(太陽光、風力、水力・・・)への転換である。
2015年1月29日 (木) 「地上資源文明」の可能性/技術論と文明論(15)

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