相模原障害者施設大量殺人事件/ケアの諸問題(26)
何とも遣り切れない陰惨な事件が起きた。
7月26日午前2時50分、神奈川県相模原市緑区にある障害者施設の職員に男が侵入し、入居者が殺された。
同日8時30分時点の報道によると、相模原市消防局が19人の死亡を確認、他に26人が負傷(うち20人は重傷)しており、死亡した19人全員が施設の入所者である。
東京新聞7月27日
相模原市の障害者施設で起きた刺殺事件は欧米メディアも大きく報じた。
欧米では最近、銃乱射事件やテロといった凄惨な事件が相次いでいる。
それだけに、治安の良さで知られる日本でも大量殺人が発生したことは衝撃的だった。
米CNN(電子版)は現場で救助に当たる救急隊員の映像などを使い、「第二次大戦以降の日本で最悪の大量殺人」と報道。英BBC放送(同)は東京・秋葉原で平成20年に7人が死亡した無差別殺傷事件などにも触れながら、「日本では過去数十年で最悪の事件」と報じた。
メディアは植松聖容疑者(26)が障害者を殺害するとつづった手紙にも強い関心を示し、独DPA通信は植松容疑者が「障害者の安楽死」を図ったと報じ、AP通信は「憎悪が若者を(犯行に)駆り立てたようだ」と伝えた。
海外での関心の高さの背景にあるのは、欧米などと比べて日本が「世界で最も安全な国の一つだ」(BBC)とみなされているためだ。ロイター通信は「大量殺害は世界でありふれている」が、「日本では極めて珍しい」と指摘。一方、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は国連の統計を引用し、2011年の人口10万人当たりの殺人発生件数は0.3件だが、「米国はその10倍以上の4.7件だ」と紹介した。
「日本で最悪の大量殺人」欧米メディアも大きく報道
被疑者の属性についてはこれからさまざまな事実が明らかにされていくであろうが、明らかに精神異常を窺わせる。
被疑者は以下のような手紙を用意していたらしい。
手紙はA4のリポート用紙3枚の手書きで書かれていた。
【相模原事件】大量殺人事件の犯人から大麻の薬物反応!
駿河台大の小俣謙二教授(犯罪心理学)は「計画性があり、メッセージだと思う」と分析する。植松容疑者は自身のものとみられるツイッターやフェイスブックにも書き込み、今月二十二日にドイツ・ミュンヘンで起きた銃乱射事件などにも言及していた。「障害者とうまくコミュニケーションできないなど、複合的ないら立ちがあったのかもしれない」とみる。
一方で筑波大の土井隆義教授(社会病理学)は「職場での境遇などが潜在的な動機としてあるのかもしれないが、排除のレトリックばかりで、経験などで障害者は変わり得るということが理解できていない」と解説する。
手紙ではカジノ建設を求めるなど、支離滅裂な内容が大半を占める。東洋大の桐生正幸教授(犯罪心理学)は「イデオロギーや思想性は感じられず、障害者に対する誤った認識もうかがえる。この手紙をもって犯行予告とは考えられない」との見方を示した。
相模原殺傷容疑者 衆院議長宛ての手紙に障害者への偏見
ケアされるべき人たちが、殺害の対象になるとはひどい世の中になったものだ。
被疑者のツイッターアカウント「聖@tenka333」に事件直後、「世界が平和になりますように。beautiful Japan!!!!!!」というスーツ姿の植松容疑者の写真が添付された投稿があったことが明らかになった。
「beautiful Japan!」というのは、安倍首相の著書『美しい国へ』文春新書(2013年1月)を意識したものであろう。
上記の手紙にもあるように、「安倍晋三様」に深い思い入れがあるようである。
「一億総活躍社会」を謳う安倍首相は、障害者の現状や子に事件についてどう思うのだろうか?
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