人間の理解

2016年11月26日 (土)

曽野綾子の悲惨な耄碌ぶり/人間の理解(19)

安倍首相の盟友・曽野綾子氏の言動がひどい。
11月16日付の産経新聞で、大阪府警機動隊員の「土人」発言について次のように書いている。

 私は東京の八丁堀生まれの父の娘である。私は父のことを「東京土人」とか、「東京原住民」とかよく書いている。私を含めてすべての人は、どこかの土人、原住民なのだが、それでどこが悪いのだろう。「沖縄の土人」というのは、蔑称だと思う蓮舫氏の方こそ、差別感の持ち主だと思われる。
・・・・・・
 土人も原住民も、それなりに自然な郷土愛や文化への自負を持っている。ましてや沖縄ほどの、料理にも焼き物にも染色にも、個性豊かな文化を持っている土地ならなおさらだ。父が生まれた土地の「土人」だと言われたら、「人の言うことなんざ、気にすることはないよ」と笑うだろう。
なぜ曽野綾子氏は「土人」発言を擁護するのか

「土人問題」については、鶴保庸介・沖縄北方相の発言に関連して、「土人」には辞書的には次の2通りの説明が載っているが、どちらであるかは文脈で決まり、機動隊員は②としては使わないだろう、と書いた。

① 原住民などを軽侮していった語。
② もとからその土地に住んでいる人。土着の人。
三省堂『大辞林』
⇒2016年11月13日 (日):不適格大臣列伝・鶴保庸介沖縄北方相/アベノポリシーの危うさ(104)

曽野氏は、②の用法があるから問題ないし、①の用法だと言って問題にするのは、その人の中に差別感があるからだ、と言う。
詭弁にもなっていない言い種である。

『月刊日本』編集部によれば、『最新 差別語・不快語』(にんげん出版)では「土人」について、次のように解説されている。

 大和民族の社会において、「土人」は古い時代から、「土地の人々」「現地の人々」という意味で、異民族・外国人に対する蔑称は「夷人」でした。アイヌ民族が「夷人」と呼ばれたのも、また幕末の外国人打ちはらいが「攘夷運動」と呼ばれたのも、そのためです。ところが、1855年の日露和親条約で、日本政府は、アイヌ民族をほんらいの日本国民とし、アイヌ民族の居住地域を日本の領土だと主張するようになります。この論理からいえば、アイヌ民族を「夷人」と呼称しつづけることは、領土権をみずから放棄することになります。そこで、日本政府は、アイヌ民族の呼称を「土人」に切り替えたのです。これが、その後アイヌ民族が、「土人」「旧土人」と呼ばれる原因にもなります。
 そして、この切り替えによって、「土人」という言葉の実体的な意味が「土地の人々」から「未開で野蛮な異民族」にすり替えられることになります。日本の植民地主義や侵略戦争が展開するなか、とくに、アイヌ民族に使われたことから、先住民族への蔑称として使われるようになりました。明治時代の初期には、琉球人に対して「土人」という呼称が使われ、また日本が委任統治領とした南洋群島などでも「土人」という呼称が使われました。1997年に「北海道旧土人保護法」が廃止されるまで、「土人」という差別語は、行政用語としても定着していたといえます。
 言葉には文脈や歴史というものがあります。曽野氏のようにそこから切り離した議論をしても意味がありません。そのようなことさえ理解できないのは、作家として致命的と言わざるを得ません。

上記のような歴史的な知識が無くても、機動隊員が発した「土人」を差別語と感ずるのは成熟した大人にとって当たり前であろう。
曽野氏には『人間にとって成熟とは何か』幻冬舎新書(2013年7月)という著書があるが、ブラックジョークのようなタイトルである。
同書に、
野田聖子氏が自分の障害を持つ子供に高額医療を受けている件について、曽野氏の周囲に「どうしてそんな巨額の費用を私たちが負担するんですか」という声があることが紹介されている。
医療保険制度が迷惑であるかのような声であるが、曽野氏がそれをたしなめたという話ではないのだ。

野田氏が自民党総裁選に立候補しようとした際、自民党のネット応援サイトには、障害児を持ちながら立候補するような「自分勝手な人間が増えたのも日本国憲法のせいで、だからこそ自民党は天賦人権論を否定する憲法案を出した」という趣旨の複数のアカウントによる投稿があった。
こういう考え方と、相模原市の障害者施設を襲い、大量殺人を実行した植松某だ地続きであることは明らかであろう。
⇒2016年7月30日 (土):相模原大量殺人事件と優生思想/日本の針路(282)

曽野氏はもはやファシストに親近的と言って良い。
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曽野綾子さん、戦時の英知って何だ?

曽野氏の言葉に反応した以下のようなツィートがあった。

ISの残虐よりISの英智を伝えよ。泥棒の非道より泥棒の勇気を伝えよ。バカなクリスチャンの戯言より敬虔なクリスチャンの祈りを伝えよ。
Kusaka Arato  @KusakaArato 2015年2月12日

また、いじめを受けて自殺をした子供を次のように言っている。

自殺した被害者は、同級生に暗い記憶を残したという点で、彼自身がいじめる側にも立ってしまったのである。
曽野綾子氏「(いじめで)自殺した被害者は、同級生に暗い記憶を残したという点で、いじめる側にも立った」

原発避難者をイジメるのはこういう大人がいるからであるが、これ位にしておかないと気分が悪くなってくる。

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2016年10月16日 (日)

稲田防衛大臣の資質と適性/人間の理解(18)

稲田朋美防衛大臣が何かと話題になっている。
白紙領収書問題は、政治家の資質というよりも、社会人としての一般常識が問われる問題だろう。
菅官房長官も同様の問題を抱えているうえ、高市総務相は「規正法に領収書の作成方法は規定されておらず、法律上の問題は生じない」と国会答弁をした。
こんな詭弁が通用するのが、国権の最高機関なのだろうか?
⇒2016年10月12日 (水):領収書の金額は相手先が記入すべきもの/日本の針路(295)

稲田氏の過去の発言も問題視されている。

1.核保有に関して
2011年の雑誌対談で稲田氏が日本の核保有を「国家戦略として検討すべきだ」と発言していた。
10月11日の参院予算委員会でも、白真勲氏が「そのような個人的見解を持っている人が防衛相になったから問題なんだ」と、発言の撤回を何度も求めたが、稲田氏は「過去の政治的な発言は、発言の時点でどうだったかという問題であり、この場で撤回するつもりはない」と突っぱねた。
過去の発言について、現在の時点でどう判断するかから逃げてはならないだろう。

2.自衛隊経験入隊義務化
同じ雑誌対談で「若者全員に一度は自衛隊に触れてもらう制度はどうか」と提言している。
社民党の福島瑞穂副党首が「憲法で禁止する意に反する苦役に当たる可能性がある。徴兵制と紙一重だ」と、撤回を求めたが、稲田氏は撤回には応じずに「徴兵制の類いは憲法に違反する。そのようなことは考えていない」とかわした。

3.子供手当を防衛費
稲田氏は民主党政権時代に、「子ども手当を防衛費にそっくり回せば、軍事費の国際水準に近づく」と発言した。
稲田氏は「財源のない子ども手当を付けるぐらいなら、軍事費を増やすべきではないか、と言った」と反論したが、「防衛費」とするべき部分を「軍事費」を言い間違ったことに気づき、答弁をやり直す場面もあった。
価値観の問題であるが、つい軍事費と言ってしまうあたりが本音の表出であろうか。

4.「中国の戦艦」発言
10月4日の衆院予算委で、6月に中国海軍の艦艇が沖縄県の尖閣諸島の接続水域を初めて航行したことを「中国の戦艦が入ってきた」と表現した。
防衛省はこの種の表現にナーバスであり、「戦闘艦艇」が正しい。
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「防衛相の資質」に集中砲火 「核保有」撤回せず 「軍事費」言い間違い

稲田氏は10月8日、南スーダン・ジュバの自衛隊宿営地などを訪問し、部隊の活動内容や現地の治安状況などを確認した。
稲田氏は、「ジュバの中の状況は落ち着いているという認識をした」と述べたが、ジュバには7時間滞在しただけだという。
政府は今回の視察結果などを踏まえ、派遣部隊に「駆けつけ警護」の新任務を付与するかどうか判断する方針だというが、自衛隊宿営地などを訪問しただけで、住民の窮状に触れないで判断できるのか、というのは当然の批判であろう。
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2016年7月16日 (土)

森喜朗と君が代斉唱/人間の理解(17)

東京・代々木の体育館で3日行われたリオデジャネイロ五輪の代表選手団の壮行会で、森喜朗氏がトンチンカンなイチャモンをつけた。
選手を激励すべき立場なのに、「口をモゴモゴしているだけじゃなくて、声を大きく上げ、表彰台に立ったら、国歌を歌ってください」「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」とクレームを言ったのだ。
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「国歌歌えない選手、日本代表じゃない」森喜朗氏

しかし、場内アナウンスは「国歌独唱」と説明し、ステージ上のモニターにも「国歌独唱」と表示されていた。
要は、森氏の斉唱と独唱の勘違いである。
勘違いは誰にでもあるが、偉そうにお説教するところが、サメの脳みそと評されるゆえんであろう。

森氏と言えば、神の国発言を思い出す。
2000年5月15日、神道政治連盟国会議員懇談会結成三十周年記念祝賀会において、「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知をして戴く」と発言して物議を醸したのだ。
森首相は2000年4月5日に小渕恵三首相の急死により、首相に就任したばかりであった。
この発言などから急速に内閣支持率を一ケタまで落とし、6月2日に衆議院を解散した。
⇒2014年2月21日 (金):浅田真央選手の大健闘と森東京五輪組織委会長の愚劣な発言

神の国発言は、この人の脳が、戦前・戦中のままであることを満天下に晒した。
いや、サメの脳と言われているように、戦前・戦中というよりも、進化論的に哺乳類以前の段階なのだ。
⇒2013年4月20日 (土):脳の3層構造とコミュニケーション/知的生産の方法(49)

相次ぐ不祥事と言い、この人が組織委員会委員長というのはいかにも危うい。
⇒2014年1月22日 (水):先行き不安な森五輪組織委員会会長/花づな列島復興のためのメモ(298)
更迭すべきだと思うが、ガチガチの利権構造で固められているのだろうなあ。

というか、安倍首相の、福島原発事故の汚染水は完全にコントロールされているという虚偽発言からして、「大丈夫か?」と思うのが普通の感覚ではないのかなあ。
⇒2013年9月24日 (火):「嘘も方便」首相と日本の将来/花づな列島復興のためのメモ(264)
⇒2015年2月26日 (木):汚染水はコントロールされていない/原発事故の真相(128)

東京都知事選は、告示直前まで東電の社外取締役だった増田寛也氏を自公両党が推薦するという分かりやすい事態になった。
⇒2016年7月15日 (金):脱原発派の都知事を誕生させよう/アベノポリシーの危うさ(92)
こんな閉鎖的なサークルの人間が牛耳っていていいはずがない。

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2015年7月23日 (木)

五輪招致演説に表出した無責任の構造/人間の理解(16)

安倍首相は、2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場建設計画を、白紙に戻すと表明した。
⇒2015年7月17日 (金):新国立競技場の見直しだけで終わらせない/日本の針路(198)
⇒2015年7月20日 (月):新国立競技場の混乱に関する舛添都知事の批判/日本の針路(200)

明らかな支持率対策であるが、2年前の五輪招致演説では、白紙にしたデザインを念頭に、独創的なスタジアムでの開催をアピールし、財政措置を確実に実行すると明言していた。
演説で、福島第一原発事故の状況について、実態と全く乖離した発言をしていたことを聞き、この人の言うことは信用しないことに決めた。
⇒2015年1月 5日 (月):福島原発事故による海洋汚染/原発事故の真相(124)
⇒2015年2月26日 (木):汚染水はコントロールされていない/原発事故の真相(128)

Photo 演説では、福島第一原発事故について「私から保証します。状況は統御(アンダー・コントロール)されています」と明言した。しかし、汚染水が海に流出し続けるなど、原発事故は収束には程遠い状況だった。政府は今年六月の廃炉に向けた中長期ロードマップ(工程表)改定でも、使用済み核燃料の取り出し開始時期を大幅に遅らせており、現在も原発事故対応をコントロールできているとは言えない。
 招致演説では、競技場について「ほかのどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから、確かな財政措置に至るまで、確実な実行が(東京で開催すれば)確証される」と断言した。
 新国立競技場は、民主党政権時の一二年十一月に日本スポーツ振興センター(JSC)が選定したデザイン。女性建築家ザハ・ハディド氏による、二本の巨大アーチ構造が特徴だ。このデザインについては一三年八月、世界的建築家の槇(まき)文彦氏が大幅な見直しを求める論文を公表した。首相はその約一カ月後に、新国立競技場を招致の目玉としてアピールした。
 ザハ氏のデザインは、東京五輪開催が決まる「大きな原動力」(菅義偉(すがよしひで)官房長官)になったと政府内では受け止められている。自民党議員は「五輪招致の決定で重みを持ったのは事実」と指摘する。
 首相は「民主党政権時代にザハ案でいくことが決まった」と強調するが、安倍政権も招致に最大限利用したことは否定できない。財政措置をめぐっても、既に確保できたのは五百億円のみ。当初見込んでいた工費千三百億円にも及ばない。
首相、2年前の五輪演説も白紙? 「独創的スタジアム」「福島統御」

安倍首相の虚言は、詐欺師の域に達している。
⇒2015年5月24日 (日):詐欺師のレトリックを多用する安倍首相/日本の針路(164)

よもやこれで支持率が回復することもないと思うが、白紙になっても今までの経緯は不問ということのようだ。
白紙還元により、ザハ氏への違約金を別にして、既に発生した60億円とも言われる費用は戻らない。
誰も責任を取らなくていいのか?
安倍首相も森組織委委員長も遠藤担当相も全体の責任という。
確かに全体としての結果ではあるが、誰の責任かを明確にしないと同じことを繰り返すことになろう。
ちなみに関わっている人物は下図のようである。
Photo
東京新聞7月23日

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2015年7月 3日 (金)

大西英男という安倍チルドレンの「懲りなねえ奴」/人間の理解(15)

  • 安倍首相に近い議員の勉強会「文化芸術懇話会」で報道機関への圧力を求める発言をして厳重注意処分を受けた大西英男衆院議員が、自らの発言について「問題があったとは思わない」と反論している。
    つまり、自分は間違った行動をしていないという確信犯である。
  • 大西氏はどういう人物か?
    Wikipediaで略歴を追ってみよう。
  • •1946年(昭和21年)- 東京都江戸川区生まれ。
    •1970年(昭和45年)- 國學院大學法学部を卒業し、島村一郎(元自民党衆議院議員)公設秘書。
    •1975年(昭和50年)- 江戸川区議会議員初当選。
    •1993年(平成5年)- 東京都議会議員初当選。
    •2003年(平成15年)- 東京都議会自民党幹事長。
    •2012年(平成24年)- 第46回衆議院議員総選挙で東京16区に自民党から出馬し、初当選。
    •2014年(平成26年)- 第47回衆議院議員総選挙で東京16区に出馬し、再選。

  • 上記から分かることは、筋金入りの自民党員であって、自民党が政権に復帰する総選挙で国会議員になったということである。
    昨年の総選挙で再選されたわけだが、東京16区の有権者は、こういう人物を選んだことを自覚すべきであろう。
    もう70歳であるから、報道されているような「若手勉強会」ではない。
    しかし、安倍首相にきわめて近い存在であることは、略歴からも窺える。
    年上のチルドレンと言えようか。
  • なお、以下のような経緯にも注目したい。

    2014年4月の衆議院総務委員会において、上西小百合の質問中に「まず自分が子どもを産まないとダメだぞ」というヤジを上西に対して行った、と指摘された。当初、大西は朝日新聞や共同通信の取材に対して「記憶がない」と述べていたが、後に撤回してヤジを行ったことを認め、上西に謝罪を行った。なお、大西は都議会議員の頃から人間性を疑われるような汚いヤジを飛ばす「ヤジ将軍」として有名だった。
    Wikipedia

    根底にあるのは女性差別であって、これも安倍首相に通底する。
    ⇒2015年5月31日 (日):安倍首相の論理と倫理の欠陥/日本の針路(170)

    以前、M資金詐欺の問題に絡んで、清水一行『懲りねえ奴-小説M資金』徳間書店(1995年7月)を読んだことがある。
    ⇒2009年2月 2日 (月):小説M資金『懲りねえ奴』
    ⇒2009年2月 3日 (火):小説M資金『懲りねえ奴』②
    大西議員などは、まさに「懲りねえ奴」ではないだろうか。

    Photo 大西氏の発言に先立ち、自民党の谷垣禎一幹事長は30日昼にあった党代議士会で「仕事が前に進むようにするのが与党議員の使命だ。脇を締めて腰を落として頑張るつもりなので協力を心からお願いする」と呼び掛けたばかりだった。公明党の山口那津男代表も記者会見で「報道の自由は憲法で保障された基本的人権の中核で、それを損なうような発言は厳に慎むべきだ」などと苦言を呈していた。
     一方で、自民党内には若手議員を中心に、党執行部が懇話会代表の木原稔前青年局長を1年間の役職停止、大西氏ら不適切な発言をした3人を厳重注意とした処分に対して「厳しすぎる」という不満もくすぶっている。30日の自民党正副幹事長会議では、出席議員から「処分は過剰反応ではないかと地元で言われている」などと異論の声が上がった。
    報道圧力:大西議員「発言問題ない…マスコミを懲らしめ」

    安倍首相も党の処分に不満だと言うから、救いはない。
    今や自民党のガバナンスが崩壊しつつあるのではないだろうか。

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    2015年7月 2日 (木)

    百田尚樹という存在の耐えられない軽さ/人間の理解(14)

    自民党の安倍首相応援団を自認する集団の「勉強会」で講師を務めた百田尚樹氏に批判が集中している。
    しかし、当の百田氏は、何を批判されているのか分かっていないようである。

    ―米軍普天間飛行場の成り立ちについての発言は。
     「住民が騒音などの精神的に苦痛があり、補償しろと言う。苦しみは当事者にしか分からないこともあるだろう。それを踏まえた上で、違和感を覚えると発言した。なぜかと言えば、住んでいた場所に基地が引っ越してきたわけではない」
    ―普天間の現状認識は。
     「地権者には、膨大な地代が払われている。六本木ヒルズに住んでいる大金持ちと同じ。それはメルマガで書いた話だ。普天間が返還されたら、あっという間にまちは閑散とする。ぬくぬく暮らしていた地権者も困るはずだ」
    ・・・・・・
    ―「沖縄2紙をつぶさないと」の発言について。
     「沖縄の新聞をしっかりと読んだことはないが、ネットで読むと、私と歴史認識が違う。全体の記事の印象から私が嫌いな新聞だ」
     「オフレコに近い発言で、冗談として言った。公権力、圧力でつぶすとの趣旨ではない。私も言論人。言論は自由であるべきだ。私と意見が違う2紙を誰も読まなくなり、誰も読者がいなくなってつぶれてほしいという意味での発言だ」
    百田尚樹氏に一問一答 「沖縄2紙は嫌い」「つぶれてほしい」

    普天間飛行場の歴史については、沖縄タイムス紙が次のように説明している。

     百田尚樹氏が「田んぼで、何もなかった」とする米軍普天間飛行場が建設された場所は沖縄戦の前、宜野湾村の集落があった。宜野湾市史によると、1925年は現在の飛行場に10の字があり、9077人が住んでいた。宜野湾や神山、新城は住居が集まった集落がほぼ飛行場内にあり、大山などは飛行場敷地に隣接する形で住宅があった。
     最も大きかった宜野湾は村役場や宜野湾国民学校、南北には宜野湾並松と呼ばれた街道が走り、生活の中心地だった。
     飛行場は、まだ沖縄戦が終結していない45年6月、住民が収容所に入っているうちに、米軍が土地を占領して建設を始めた。住民は10月以降に順次、帰村が許されたが、多くの地域は元の集落に戻れず、米軍に割り当てられた飛行場周辺の土地で、集落の再編を余儀なくされた。
     市立博物館の担当者は百田氏の発言に「人々が戦争で追い出され、何もなくなるまでの過程が抜け落ちている」として認識不足を指摘した。
    Photo
    百田氏発言「普天間飛行場、元は田んぼ」「地主年収、何千万円」を検証する

    飛行場の地代についても、事実誤認だと指摘されているが、それは措くとして、自分と意見が違う新聞は潰れてほしい、というのはどうか?
    百田氏個人がそう思うのは勝手だろうが、この間までNHK経営委員だった人間である。
    「非公開の場の軽口」で済まされる問題とは言えまい。

    安倍首相は、成り代わって謝罪はできないと答弁している。
    これも表面的にはそうかも知れないが、盟友関係の経緯からすればそうとも言っていられない。
    お二人の出会いは、2012年7月に百田氏への安倍氏(当時野党)からの電話で始まった。
    月刊誌「Will]の掲載記事に、安倍氏が「非常に感銘した」というのである。

    そして二人は対談本『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』を出す仲になる。
    首相に返り咲いた安倍氏は、13年11月に百田氏をNHK経営委員に抜擢した。
    とても下記のような経営委員の要件に当てはまるとは思えないのに拘わらず、である。

    公共の福祉に関し公正な判断をすることができる、広い経験と知識を持つ12人の委員で構成されています。委員は、国民の代表である衆・参両議院の同意を得て、内閣総理大臣により任命されます。
    http://www.nhk.or.jp/keiei-iinkai/about/

    NHKの私物化である。
    ようやく、百田尚樹の人間性が世間に周知されるようになったことを喜びたい。
    ⇒2014年12月29日 (月):百田尚樹の正体?/人間の理解(8)

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    2015年6月 2日 (火)

    安倍晋三=サイコパス論/人間の理解(13)

    安倍首相のオリンピック招致の際のスピーチに驚いた人も多かったのではないか。
    福島原発事故の影響について、「汚染水による影響は福島第1原発の港湾内の0・3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされています」 と言ってのけた。
    汚染水が港湾に流出し、湾内と外洋の間で水の出入りがあることが分かっていたにも拘わらず、こういうスピーチができるのは、異常である。
    ⇒2015年1月 5日 (月):福島原発事故による海洋汚染/原発事故の真相(124)
    ⇒2015年2月26日 (木):汚染水はコントロールされていない/原発事故の真相(128)

    不審に思っていたが、サイコパスという言葉がキーだという。
    サイコパスとは何か?
    あるサイトでは次のように事例を挙げている。
    Ws000000
    http://www.psy-nd.info/

    Wikipedia-精神病質では、次のように記述されている。

    精神病質(せいしんびょうしつ、英: psychopathyサイコパシー)とは、反社会的人格の一種を意味する心理学用語であり、主に異常心理学や生物学的精神医学などの分野で使われている。その精神病質者をサイコパス(英: psychopath)と呼ぶ。

    確かに符合することが多い。

    途上国に行く度に、まるで御大尽気分で税金をばらまいているあの安倍ってサイコパスでしょ?もう誰か何とかしませんか?総理大臣になって数か月で50数兆ばら撒いたんですよ?国家予算の半分人にやって何してる訳?
    国民を苦しめて企業を潤わせるのが安倍政治の正体、国民以外の全部を潤してる、敵国もね。
    もうね、皆さん、サイコパスの実例ですよ 安倍政権って。

    安倍首相は5月14日の記者会見で、次の3点をあげた。
    ・アルジェリア、シリア、チュニジアで日本人がテロの対象となった。
    ・北朝鮮が数百発の弾道ミサイルと核兵器を開発している。
    ・自衛隊機の緊急発進(スクランブル)の回数が10年前と比べて実に7倍になっている。
    そして、「これが現実です。私たちはこの厳しい現実から目をそむけることはできません」と言った。

    しかし次のような指摘がある。

    「自衛隊機の緊急発進(スクランブル)の回数が10年前と比べて7倍」というのは完全なまやかしだ。たしかに、2014年のスクランブル回数は943回で2004年の141回の7倍弱。しかし、それはもっとも少ない年と比較しているだけで、1980年から1990年代はじめまでは常に毎年600回から900回のスクランブルがあった。その後、2000年代に100回から300回に減少していたのが、2013年に突如、急増。24年ぶりに800 回台をマークしたのだ。これはむしろ、安倍政権になって無理矢理スクランブルを増やしただけだろう。実際、2014年も増えているのはスクランブルだけで、領空侵犯されたケースはゼロである。
    自衛隊機の緊急発進急増も嘘…まるで“サイコパス”安倍首相の安保法制会見の詐術を検証

    私は詐欺師のレトリックを多用していると言ったことがある。
    ⇒2015年5月24日 (日):詐欺師のレトリックを多用する安倍首相/日本の針路(164)
    そうだったのだ。
    サイコパスと考えれば、不審な点も理解できる。
    とすれば、この政権の暴走を止めることが喫緊の課題である。

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    2015年4月30日 (木)

    オウム真理教高橋被告に無期懲役/人間の理解(12)

    地下鉄サリン事件などに関与したとして、殺人などの罪に問われたオウム真理教元信徒・高橋克也被告に対して、東京地裁の中里智美裁判長は、求刑通り無期懲役を言い渡した。
    地下鉄サリン事件は、戦後史にくっきりと刻印されている事件である。
    ⇒2015年3月20日 (金):地下鉄サリン事件から20年/戦後史断章(19)

    1995年(平成7年)3月20日午前8時ごろ、東京都内の帝都高速度交通営団(現在の東京地下鉄(東京メトロ)、以下営団地下鉄)丸ノ内線、日比谷線で各2編成、千代田線で1編成、計5編成の地下鉄車内で、化学兵器として使用される神経ガスサリンが散布され、乗客や駅員ら13人が死亡、負傷者数は約6,300人とされる。日本において、当時戦後最大級の無差別殺人行為であるとともに1994年(平成6年)に発生したテロ事件である松本サリン事件に続き、大都市で一般市民に対して化学兵器が使用された史上初のテロ事件として、全世界に衝撃を与え、世界中の治安関係者を震撼させた。
    事件直後、この5編成以外の編成で事件が発生したという情報もあったが、これは情報の錯綜などによる誤報であり、5編成以外で発生はなかった。しかし、乗客等に付着したり、気化したりしたサリンは他の駅や路線にも微細に拡散していった。
    地下鉄サリン事件-Wikipedia

    高橋被告は17年間逃亡を続けた後に逮捕され、一連のオウム真理教による事件で最後の1審判決となった。
    ⇒2011年11月25日 (金):オウム真理教事件と知的基礎体力(?)

     被告は地下鉄サリン事件の他に、2件のVX襲撃(94年12月〜95年1月)▽仮谷清志さん(当時68歳)監禁致死(95年2〜3月)▽東京都庁爆発物(同年5月)−−の各事件でも殺人罪などに問われた。
     地下鉄サリン事件では「サリンをまくとは知らなかった」と無罪を主張。VX襲撃2事件も「教団が作るVXは効果がないと思った」と殺意を否認した。監禁致死と都庁爆発物の両事件は一部で有罪を認めたものの「主体的ではない」として逮捕監禁罪などのほう助にとどまると主張した。
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    サリン事件:オウム高橋被告に無期判決 東京地裁

    高橋被告について、教団からの脱会を支援してきた元信徒の男性は次のように語っている。

     公判で被告は、松本死刑囚を宗教的指導者を意味する「グル」と呼び、「グルの意思を実現することが救済」「今も信じている面がある」と述べた。最後まで遺族らへの謝罪もなかった。男性は被告の心理をこう分析する。「彼にとって謝罪は信仰を捨てること。自分を正当化するには、帰依を続けた方が楽だ。この20年がうそだとなると、被告は壊れてしまうだろう」
    オウム高橋被告、帰依続け判決へ 元信徒「むなしさ…」

    また同被告と面会した西田公昭立正大学教授は、「誰にも教団への疑問をぶつけることができないまま二十年かけて理論武装し、動揺しない帰依心を作り上げてしまった」という(東京新聞4月30日)。
    人間にとって、宗教とは何か?
    永遠の問いのように思える。

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    2015年3月19日 (木)

    「左手のピアニスト」の活躍/人間の理解(11)

    私は想定外の脳梗塞の発症という事態に遭遇し、後遺症で長期の入院を余儀なくされた。
    回復期の病院を退院して間もない頃、舘野泉さんの紹介新聞記事を目にした。
    ⇒2010年11月29日 (月):左手のピアニスト

    厳しいトレーニングによりプロの演奏家になった舘野さんの姿は大きな励みになった。
    その頃は、私も後遺症がさほど厄介なものとは思っていなかった。
    5年後の現在も、右手でマウスすら操作できないということになろうとは考えていなかったのである。
    もちろん、舘野さんに比べれば、私のリハビリは緩いであろう。
    しかしこれは性格なのでどうしようもない。

    その後やはり左手のピアニストとして演奏活動を続けている智内威雄さんの生演奏を聴く機会があった。
    智内さんは、局所性ジストニアという病気を発症し、やはり右手の随意性を失ったのだ。
    ⇒2011年4月13日 (水):左手のピアニスト・智内威雄さんの演奏を目の前で聴く

    NBO(日経ビジネスオンライン)に舘野泉さんの記事が載っていた。
    3月11日号の『南相馬を照らす「左手のピアニスト」』である。
    舘野さんは、「2012年のNHK大河ドラマ「平清盛」で、テーマ曲の独奏ピアノを担当したことでも知られる」とあるが、私は「平清盛」をほとんど見なかった。
    2004年に南相馬市民文化会館(愛称「ゆめはっと」)が開館した時から、名誉館長を務めている。

     僕の熱心なファンの1人だった当時の原町市長(現在は合併し、南相馬市)から頼まれ、開館と同時に引き受けたのが縁です。
     病で倒れてからの依頼でしたから、正直驚きましたが「今だからこそ」と言ってくださったのは、とてもうれしかったですね。その気持ちに応えたいと思いました。
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     ゆめはっとは、音響設備を重視し、2階席もあって1000人以上が入る立派なホールです。名誉館長として年に2回演奏をしに行く約束があります。震災が起きる前は、海外のオーケストラを僕が呼んで、コンサートを開いたりもして活発に活動していました。
     このホールができる以前は、演奏会といえば結婚式場とか、公民館が会場でした。もともと、吹奏楽が盛んな土地柄でしたから、音楽の拠点であるこのホールのことを、音楽や演劇を愛する地元の人たちがとても誇りに思っています。

    旧原町市にある原町高校は私の知人の出身校である。
    この記事を読んでいたとき、TVで、原町高校出身の長距離ランナー、箱根駅伝で元祖・山の神と称された今井正人選手が世界選手権代表に決定したというニュースが流れた。
    知人の話だと、今井選手のご両親は避難生活を続けているらしい。
    原町高校という名前など、普通ではなかなか記憶に残らないのだが、不思議な縁を感じる。

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    2015年3月18日 (水)

    確信的「無知」の「無恥」・三原じゅん子/人間の理解(10)

    もはや予算委員会は、「そこまで言って委員会」である。
    私が生きている間にこの言葉を、国会の場で聞くとは思っていなかった。
    16日の参院予算委で、質問に立った自民党の三原じゅん子議員(50)が「八紘一宇」という戦前・戦中のスローガンを唐突に持ち出し、「日本が建国以来、大切にしてきた価値観」とまで言ってのけたのである。
    三原議員はグローバル資本主義の影の部分から目を背け続けることはできないとしながら次のように発言した。

    この八紘一宇という根本原理の中にですね、現在のグローバル資本主義の中で日本がどう立ち居振る舞うべきかというのが示されているのだと私は思えてならないんです!
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    三原じゅん子議員、国会で大日本帝国の政策標語「八紘一宇」こそが日本のあるべき立ち居振る舞いであると熱弁

    八紘一宇は、原義的には「全世界を天皇の下にひとつの家のようにする」という意味である。
    しかし先の大戦中に朝鮮半島・台湾の植民地化、中国・東南アジアへの侵略を正当化するためのスローガンとして喧伝され、皇国史観の代表的表現として使われたのは広く知られていることである。
    『日本書紀』に記されている神武天皇の言葉を元に、大正期に日蓮宗系の宗教家、田中智學が造語されたもので、田中智學自体は戦争を批判していたが、昭和10年代には軍部や時の内閣によっても盛んに使われるようになっていく。

    例えば、昭和15年には、第2次近衛内閣によって閣議決定された政策方針である「基本国策要綱」に明記された。

    皇国ノ国是ハ八紘ヲ一宇トスル肇国ノ大精神ニ基キ世界平和ノ確立ヲ招来スルコトヲ以テ根本トシ先ツ皇国ヲ核心トシ日満支ノ強固ナル結合ヲ根幹トスル大東亜ノ新秩序ヲ建設スルニ在リ

    つまり大東亜共栄圏を作り上げるための基本原理とされたのである。
    三原議員がこのような歴史的な事実を知らずに質問したとすれば、基本的な知識の欠落である。
    もし侵略戦争を合理化し遂行するためのスローガンであったという歴史的な背景を知っていて質問したのであれば、過去の戦争を肯定し、美化する立場を明示したことになる。
    三原議員がお勉強に熱意がなかったであろうことは推察できるが、おそらくは後者であろう。
    戦前回帰がそこまで行っているということである。

    そもそも、三原議員は何を基準として「建国」を言っているのであろうか?
    日本国の誕生という意味なら、大化改新、白村江の戦い、壬申の乱という一連の事象をネグレクトできない。
    まさか本気で、神武天皇の橿原での即位を「建国」と考えているのであろうか?

    もちろん知識がないことを卑下する必要もない。
    ただ、「無知」の自覚は必要であろう。
    でなければ、「無恥」と言わざるを得ない。
    ⇒2015年3月 8日 (日):「無知」の「無恥」・末期的症状の安倍内閣/日本の針路(117)

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