世界史の動向

2017年5月16日 (火)

FBI長官解任はトランプ政権崩壊の始まりか?/世界史の動向(55)

トランプ米大統領のFBI長官の電撃解任が大きな問題になりつつある。
ニクソン元大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件の再来ではないか、という声だ。
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東京新聞5月12日

トランプ米大統領のコミーFBI長官の解任について、サンダース米大統領副報道官は10日、「司法副長官の解任勧告を受け入れた」と説明していた。
11日の米NBCテレビのインタビューでは一転して、「司法省の勧告とは関係なく、解任するつもりだった」と述べた。
トランプ氏はインタビューで、自身が捜査対象かどうかをコミー氏に3回問いただしたとも明かし、「捜査対象ではない」との回答を得たと語った。
自身の潔白を印象づける目的とみられるが、捜査に圧力をかけたとの疑惑がかえって強まった。
マケイブFBI長官代行は11日の上院情報特別委員会の公聴会で「コミー氏はFBI内で幅広い支持を得ている」と証言し、サンダース氏が解任理由の一つとして示した「FBI職員の信頼を失っていた」との発言を否定した。
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FBI捜査へ圧力 トランプ氏、強まる疑惑

米紙ワシントン・ポストは、トランプ米大統領が先週、ロシアのラブロフ外相やキスリャク駐米大使と会談した際、高度な機密情報を漏らしていたと伝えた。
同紙によると、トランプ氏は10日、ホワイトハウスでの会談で、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」がノートパソコンに爆弾を仕掛け、機内に持ち込もうとしているとの懸念に関する具体的な情報を、両氏に詳しく伝えた。
事情を知る当局者が同紙に語ったところによると、トランプ氏は両氏に「私にはすごい情報が入ってくる。すごい情報の報告を毎日受けている」と話した後、ISISの手口を詳細に説明したという。
・・・・・・
トランプ氏は大統領選で、民主党候補のヒラリー・クリントン元国務長官が機密情報を「極めて不注意」に扱ったと激しく非難した経緯がある。
トランプ氏、ロシア外相に「機密情報漏らす」 米紙報道

一連の事態に対し、米国民の間でも不信感が広がっている。
NBCが10~11日に実施したオンライン世論調査では、トランプ氏によるコミー氏解任は「不適切だ」とする回答が54%を占め、「適切だ」とする回答は38%にとどまった。
未だ就任して4カ月程であるが、前途多難である。

 

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2017年2月15日 (水)

金正男氏殺害か?/世界史の動向(54)

北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏(45)がマレーシア・クアラルンプールで殺害されたらしい。
詳細は分からないが、韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は、暗殺に関して「金正恩政権発足後、スタンディングオーダー(継続的な指示)があった」とした上で、最高指導者の指示で「(北朝鮮は)5年前から暗殺を試みていた」と指摘した。
また、「中国が金正男氏の身辺を保護していた」との情報も明らかにした。

果たして金正恩朝鮮労働党委員長の指令によるものなのか?
もしそうだとすれば、あるいはそうでないにしても、あたかもスパイ小説を思わせる。

私はたまたま高校の英語の授業にS.モームの『月と六ペンス』の一部が載っており、もちろん当時の教師の力量によるものだが、何となく英文学というものの一端を理解したような気がした。
大学に入ると、教養部の英語のテキストが、同じモームの『Ashenden: Or the British Agent』であった。
大学の授業はご多分に漏れずいい加減に単位をもらえる程度の出席で済ませたので、さしたる記憶は残っていない。

モームは1910年代、第一次世界大戦半ばに、従軍軍医(医学校出身)から英国諜報機関へ転属勤務となり、ソビエト連邦成立直前のロシア・ペトログラードへ向かい工作活動を行った。
その体験を元にした作品で、イアン・フレミング、グレアム・グリーン、ジョン・ル・カレなどに繋がるスパイ小説の源流に位置している。

 正男氏は01年5月1日、ドミニカ共和国の偽造パスポートで妻子と見られる女性や子供らと一緒に成田空港から日本に入国しようとした際、日本の入管当局に身柄を拘束された。東京ディズニーランドを訪れるのが目的だったとされており、出入国管理法に基づく退去強制処分を受けて同4日に民間機で中国・北京に向かった。
 公安当局などによると、正男氏は若いころ欧州で過ごした時期があるとされ、コンピューターにも精通していたという。日本に親近感を抱いていたとみられ、01年に身柄を拘束される前にも日本への密入国を繰り返し、東京・赤坂などの繁華街に足を運んでいたとされる。
 母親は映画女優の成恵琳(ソン・ヘリム)氏で02年に療養先のモスクワで死亡している。11年12月に正日氏が死去した後、異母弟にあたる金正恩(キム・ジョンウン)氏の本格的な統治が始まってからはほとんど北朝鮮には帰らず、シンガポールやマカオなどに滞在している姿が確認されていた。
 正男氏とメールなどでやりとりを重ねたとする東京新聞の五味洋治編集委員が12年に出版した「父・金正日と私 金正男独占告白」には、正男氏が北朝鮮の3世代世襲を批判する発言が紹介されていた。公安関係者によると、正男氏はこの世襲批判を悔い、正恩氏に許してほしいと周囲に漏らし続けていたという。
 日本の警察当局幹部は「死亡の経緯などについて情報収集を進めている」と話した。
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金正男氏殺害  過去の世襲批判悔い周囲に「許して」漏らす

人民共和国を称しながら世襲の体制だというのは、根本的な矛盾である。
と思うが、天皇制と同じで、代替的なシステムは必ず争乱のもとになるだろう。
他国の体制の問題ではあるが、わが国とも密接に関連している。
中国を含め、東アジアがどう動いて行くか?
トランプ大統領の登場が、金氏殺害と関係があるのだろうか?

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2017年2月 1日 (水)

トランプ大統領の入国禁止政策と日本の立場/世界史の動向(53)

さすがに、トランプ大統領の中東7カ国入国禁止令については、内外で批判の声が強い。
しかし、口癖のように、「価値観を共有する国との同盟」を言ってきた安倍首相は、「その国の判断」と傍観を決め込んでいる。
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東京新聞2月1日

価値観外交について、Wikipediaでは、以下のように解説している。

価値観外交(かちかんがいこう)とは、民主主義や人権の尊重などを価値として共有する国家との関係を強化しようという外交方針。「価値の外交」とも。
・・・・・・
日本の外務省は、「普遍的価値(自由主義、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済)に基づく外交」と説明している。つまり、こうした価値観を持つ国々や人々との連携・協調を推し進め、また支援し、広めようとする外交方針である。
もともとはアメリカ合衆国で新保守主義の立場から提唱されたもので、日本では新保守主義の父と呼ばれるアーヴィング・クリストルに影響を受けてきた安倍晋三をはじめ、麻生太郎らが共鳴した。2012年12月27日に安倍がPROJECT SYNDICATEに寄せ、自身の価値観外交をあらわした論文「アジアの民主主義的安全保障の四角形」では官房副長官時代の安倍と親しくしていた新保守主義者で有名なジョン・ボルトンが9月10日にウォール・ストリート・ジャーナルで発言した「北京の湖」が引用されている。

価値観外交を振りかざして中韓と対立し、「自由主義、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済」と対立する大統領令とツイッターによる情報発信を多用するトランプ大統領に対しては、「その国の判断」と傍観するのでは、ダブルスタンダードと言われても仕方がない。
このまま傍観を続けるならば、禍根を残すことになるだろう。

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2017年1月22日 (日)

トランプ大統領誕生と日本/世界史の動向(52)

トランプ氏の大統領就任演説がいやでも耳に入ってくる。
アメリカを連呼し、「米国第一」主義で自国の利益を最優先することを強調した。
私はあまりにも自国利益を強調する様子に気持ちが悪くなったが、日本政府は、想定の範囲内で驚きはない、と冷静を装っている。
しかし日本に大きな影響を及ぼすことは必至だ。
従来の日本政府の外交は、いわゆる「アーミテージ報告」に沿ったものだったが、トランプ路線はそれとは異なる。
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東京新聞1月20日

安倍政権が重視してきたはずの環太平洋経済連携協定(TPP)については、離脱を明言しており、表面上、発効の見込みはなくなった。
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東京新聞1月22日

もちろん、トランプ大統領が、アメリカに有利な条件になったと判断し、豹変する可能性はある。
安倍首相は、施政方針演説で、微妙にプライオリティを変化させた。
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東京新聞1月21日

アベノミクスの破綻もしくは限界が明らかになっている現在、TPPに依存してきた経済政策をどう再構築するのか。
日米同盟への固執がより強まっているが、アメリカの行方をじっくりと見極めない限り、共に世界から孤立していく可能性が高い。

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2017年1月19日 (木)

トランプ氏大統領就任の影響/世界史の動向(51)

いよいよトランプ大統領が誕生する。
2017年が世界史にどう位置づけられることになるのか、まあ、私の生きている間にある程度の評価が定まるものかどうかも分からない。
初めての記者会見で、CNN記者に質問をさせない姿を見たが、いささか不安になるのは私だけではあるまい。
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東京新聞1月13日

「Wedge」誌の1月号が「トランプ革命-期待と不安が渦巻く世界」という特集を組んでいる。
その中に、佐伯啓思『行き詰まるアメリカ近代文明/「普遍的価値」を転換できるか』が載っている。
佐伯氏は、トランプ現象を生み出した背景として、次の2つを挙げる。
1.アメリカ国内における所得格差の拡大、および雇用不安に悩まされる中間層・低所得層の白人労働者層の不満
2.アメリカ人の内向した「本音」を代弁したトランプの「野蛮さ」

1.については、経済的グローバリズムと民主的な政治体制の間の矛盾が格差を生み出した。
先進国のなかで、グローバリズムや金融経済から置き去りにされた層は、政治に不満をぶつけるようになる。
この不満や鬱憤のはけ口は、既存の「体制的」な政治家であり、競合する移民層である。
鬱憤を代弁する政治家が、政権に押し上げられた。

トランプ氏に敗れた側は、アメリカの覇権を確立するため、経済的グローバリズム、IT革命、金融経済化などを推し進めてきた。
しかし、その果実を享受できない国民は、保護主義的な政策を支持したのであり、それは民主主義の帰結であった。
かくして民主主義体制とグローバリズムは矛盾に陥っている。

2.については、アメリカ民主主義の基盤である平等主義、人権主義、多文化主義を「正義」とみつ価値観は、多くのアメリカ人に共有されてきた。
リベラリズムである。
しかし現実には、富裕なエリート層と人種的マイノリティの間には、構造的な格差がある。
これは欺瞞であり、トランプ氏の言動は「本音」のように受け止められた。
これはトランプ氏の見解云々というよりも、アメリカ民主主義の根本的な矛盾である。
ポピュリスト大統領は「パンドラの箱」を開けたのだが、ポピュリズムにしっぺ返しを受ける可能性がある。

問われているのは何か?
富の増大によって人間の幸福を増大しようという近代文明のあり方である。
アメリカ主導で発展してきた近代文明は行き詰っている。
近代社会の「価値」が揺らいでいるのである。

とすれば、それぞれの国がそれぞれ固有の価値・文化に基づいた多様で多相的な政治・経済を相互に承認しつつ共存するしかない。
佐伯氏は、日本はその先陣を切れるはずだ、というが果たしてどうであろうか。

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2016年12月21日 (水)

トルコ ロシア大使が警察官に撃たれ死亡/世界史の動向(50)

トルコの首都アンカラで19日夜、トルコに駐在するロシア大使が式典でスピーチをしていたところ、警察官の男に銃で撃たれて死亡した。
男はその場で射殺されたが、トルコ語で「アレッポを忘れるな。シリアを忘れるな。この弾圧に加担している者は誰もがツケを払わなければならない」と叫んだほか、アラビア語で「神は偉大なり」と繰り返していたという。

シリア北部のアレッポ県に属する都市アレッポは、シリア最大の都市である。
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シリアは、1946年のフランスの植民地支配から独立後、宗教に基づかない近代西洋的な国民国家を範とする国造りが行われた。
2000年に「先代」ハーフィズの後を襲うかたちで次男のバッシャールが大統領に就任し、実に40年以上にわたってアサド一家による独裁政治が続いていた。
2011年3月、「アラブの春」がシリアにも飛び火した。チュニジアとエジプトでの政変を受けて、シリアでもアサド政権に対して市民が政治改革を要求する声を上げた。

アサド政権は憲法改正など一定の政治改革を行うこと市民の声に応えようとしたが、市民による民主化運動は全国規模へと拡大して行った。
政権は軍・治安部隊を用いて民主化運動を弾圧し、民主化運動も武装して行く。
2011年9月の「自由シリア軍」の結成とそれに続く各地の武装組織の出現である。
シリアにおける「アラブの春」の民主化運動は、アサド政権の軍事的な打倒を目指す革命闘争へと変質したのである。

反体制派には次の3勢力のバックアップがあった。
1.米国、欧州連合、トルコ、サウジアラビアなどの湾岸産油国
2.シリア国外で活動してきた反体制派の諸組織
3.過激なイスラーム主義者

アサド政権側には、欧米諸国の影響力拡大を嫌うロシアと中国と中東政治でサウジアラビアと競合関係にあるイランが支援した。
また、レバノンのイスラーム主義組織・政党ヒズブッラー(ヒズボラ)が、アサド政権側で「内戦」に参戦した。

シリアでの「内戦」は国際的な代理戦争の様相を呈することになったのだ。
国際政治では欧米と露中、中東政治ではサウジアラビアとイラン、そして、国内政治では反体制諸派とアサド政権という三層構造の対立図式ができ上がったのだ。
そして今年12月、内戦が続くシリアの激戦地アレッポから、反体制派が完全に撤退することでアサド政権側と合意した。
しかし、国連の人権機関は政権軍側の兵士がアレッポ市内の反体制派から奪還した地域で、女性や子どもを含む市民少なくとも82人を殺害したと発表している。

まさに泥沼としか言いようのない状態である。
事件に対し、トルコのエルドアン大統領、プーチンロシア大統領、トルコ外務省、米国務省報道官、トランプ米次期大統領、シリア政府などが非難声明を出している。
しかし、アサド政権がほぼ全域を制圧したアレッポに取り残された住民の避難をどう図るかなど、課題は残されたままである。
解決はどのような形でやってくるのであろうか。

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2016年11月30日 (水)

韓国朴大統領が辞意表明/世界史の動向(49)

韓国の朴槿恵大統領が、29日、国民向け談話で2018年2月の任期満了前の辞任を受け入れる意向を表明した。
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東京新聞11月30日

韓国大統領の末路は暗いという印象である。
以下のようなマンガがあった。
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韓国大統領の末路の巻

任期途中で大統領を辞任することになれば1987年の民主化以降初めてである。

 朴氏は13年2月に韓国初の女性大統領に就任。今年10月24日になって、40年来の親友、崔順実(チェ・スンシル)被告(60)に演説草稿を見せていたことが報じられ、朴氏が翌日に認め謝罪した。その後も崔被告を巡るさまざまな疑惑が噴出。検察は今月20日、財団設立に際し企業に巨額の資金拠出を強要したり、朴氏元側近を通じ大統領演説文や外交文書を不正入手したりしたとして、崔被告や朴氏元側近ら計3人を職権乱用罪などで起訴した。朴氏の共謀も起訴状に記され、現職大統領として初めて「容疑者」となった。25日発表の韓国ギャラップの世論調査では朴氏の支持率は歴代大統領の最低記録を更新。韓国の憲法では現職大統領が欠位となった場合、60日以内に次期大統領選を実施すると定められる。在任中、大統領は内乱罪などを除き起訴されない。
朴・韓国大統領 任期満了前の辞任受け入れ 国民向け談話

朴大統領は、若い頃に両親を亡くし、側近に裏切られ、人を信じられなかったらしい。
そばに置いたのがチェ・スンシル被告だったのだが、人を見る目がなかったことは別としても、非常に強力な大統領制度の下で、率直に耳が痛い意見を言ってくれる人がいなかったのがは悲劇の根本であろう。
「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」のである。

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2016年11月 9日 (水)

アメリカ大統領選はトランプ氏が勝利/世界史の動向(48)

激戦と伝えられてきた米大統領選は、共和党候補の実業家ドナルド・トランプ氏が、大差で勝利した。
ニューヨークの陣営本部で勝利宣言を行ったトランプ氏は、クリントン氏から電話があり、祝福されたことを明らかにした。
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米大統領選挙(アメリカ大統領選挙)2016

トランプ氏は、選挙期間中から、過激と思える政策を訴えてきた。
各国との同盟関係について「米国は世界の警察官ではいられない」と見直しに言及し、「日本の核保有は悪いことだとは思わない」とも主張した。
その発言が実際の政策としてどう具現化するかは未知数で、そのアマチュア感が期待感となったのではないか。

しかし何が起きるか分からないという不安感は大きく、トランプ優勢が伝えられるに連れ、日本の株式市場は暴落した。

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トランプ氏は、TPPに反対しており、離脱を公言している。
TPP承認を強行しようとしている安倍政権は、どう対処すろのであろうか。

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2016年7月17日 (日)

ヨーロッパにおけるテロとクーデターの連鎖/世界史の動向(47)

7月1日に、バングラデシュのダッカで、日本人7人を含むテロが起きた。
日本人がターゲットにされる時代になったことを改めて思い知らされた。

ヨーロッパでもテロが頻発している。
7月14日に、ニースで、84人死亡、202人が負傷、うち52人が重体というテロが起きた。
ニースは地中海・コート・ダジュールに面する、世界的に有名な保養地・観光都市だ。Photo
Wikipedia

革命記念日(Bastille Day)の花火の見物客にトラックが突っ込み少なくとも84人が死亡した事件について、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が16日、犯行声明を出した。
 IS系の通信社アマック(Amaq)を通じて出された声明は「IS掃討作戦に関わっている有志連合への参加国を攻撃せよ」との呼びかけに応じて「戦士」の1人が14日夜、攻撃を実施したとしている。
仏ニースのトラック突入、ISが犯行声明

一方、トルコでクーデター未遂事件が発生した。
首都アンカラや最大都市イスタンブールなどで展開されており、かなり周到に計画されたものだったことを窺わせる。
エルドアン大統領は南西部で静養中で、このタイミングを突いたものと考えられる。

 ただ、クーデターとは呼べない。トルコではこれまで3回、クーデターが成功しているが、いずれも内政が混乱した末に軍が政権を奪取した。その際は参謀総長がトップとなり、陸海空軍と憲兵隊が結束して政治に介入した。だが、今回はあくまで一部の軍人による反乱でしかなかった。
 トルコ軍は、イスラム教の政治介入を認めない「世俗主義」の原則を支持してきた。エルドアン政権は最近、これをやめる方向を打ち出し、反発した軍の一部が反乱を起こした可能性はある。だが、多くの国民は支持しないだろう。
 エルドアン政権の近年の独裁化、強権化を嫌う国民も多く、反乱側はそうした人たちの支持を期待したのだろうが、直前の政権支持率は約5割に上る。特に貧困層には手厚い政策をとっており、支持は盤石だ。
トルコのクーデター未遂、理由は?今後は? 識者の見方

イギリスのEU離脱も含め、世界は液状化しているように見える。
それが必然的な動向なのだろうか?
人間の理性は、秩序を維持する力を持ちえないのだろうか?

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2016年7月14日 (木)

イギリスによるイラク戦争の総括/世界史の動向(46)

多くの犠牲者を出したイラク戦争。
米国に追随して参戦したイギリスの独立調査委員会が最終報告書を提出した。
一方、わが国はお座なりの検証しかしない。
反省がないのは、原発事故や経済政策も同様である。
⇒2016年7月 3日 (日):福島原発事故の調査はまだ途上だ/原発事故の真相(143)
⇒2016年5月14日 (土):PDCAなき安倍政権の政策/アベノポリシーの危うさ(64)

イギリスでは、機密文書も閲覧できる強い権限を持つ独立調査委員会が、ブレア元首相ら150人以上から聞き取りを重ねた。
7年の歳月と14億円をかけて書き上げた全12巻の報告書である。

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チルコット卿と調査委員会は、アルファベットで260万字にわたる報告書で、ブレア氏を丸裸にした。綿密に書かれた正確な証拠にもとづく報告書は、ブレア政権の大量破壊兵器をめぐるリポートは根拠がなかったと断定した。
チルコット卿の声明は静かに、ブレア政権の軍事面、そして情報戦略の失敗を断罪した。そしてブレア氏自身、調査委員会に対し、占領政策を事前に策定していなかったと述べていたことが明らかにされた。
「それは結果論だという話には同意しない」。チルコット卿はここで最も辛辣になった。「イラクの国内紛争のリスク、隣国のイランが自国の利益を求める活動、地域の不安定化、そしてイラク国内におけるイスラム過激派組織『アル・カイダ』の動き、これらは武力侵攻の前に、すべて事前に把握されていた」
これは、ブレア氏が常々述べている「私を批判する人は、単に結果論で言っているに過ぎない」という批判に反論するものだ。
イギリスは、なぜ間違えたのか。調査報告書が審判した「根拠なきイラク戦争」

イラク戦争は2003年3月20日に始まった。
ブッシュ米大統領は生物・化学などの大量破壊兵器を開発・保有するイラクの脅威から米国や国際社会を守ることを大義に掲げたが、私などの目から見ても、大義なき戦争っであることは明白だった。
結局、大量破壊兵器は結局発見されず、戦争は国際社会に深い傷痕を残す。
今日のイスラム国(IS)もイラク戦争によって生み出されたものと言えよう。
戦争を支持した日本政府も、その判断が正しかったのかを検証する必要がある。

しかし、安倍政権はイラク戦争に関し、米英の武力行使を支持した当時の小泉純一郎首相の判断を「妥当」とする立場を今後も維持するという。

 政府筋は七日、小泉氏の支持表明を妥当とする日本政府の立場に関し「現時点でも変更する必要はない」と強調した。理由について「イラクは当時、大量破壊兵器を保有していない事実を証明しようとせず、査察受け入れを求める国連安全保障理事会決議にも違反した」と説明した。
 世耕弘成官房副長官も六日の記者会見で、小泉氏の判断を巡り「今日でも妥当性を失うものではない」と表明。川村泰久外務報道官は同日の会見で、英国の動きを踏まえて政府見解を修正する可能性を問われると「わが国はイラクで人道復興支援と後方支援のみを行った。(参戦した)英国と同列に論じるのは適切でない」と否定した。
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安倍政権、イラク戦争の判断変えず 「支持は妥当」 英の対応と違い

イラク戦争ばかりではない。
福島原発事故をしっかりと検証し、公開する義務があるはずだ。
⇒2016年7月 3日 (日):福島原発事故の調査はまだ途上だ/原発事故の真相(143)
検証なしに再稼働など、本来あってはならないことだろう。

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