世界史の動向

2018年6月19日 (火)

世界のリーダーの誇りを捨てたトランプ大統領/世界史の動向(62)

先進国の間の対立が鮮明になったG7。
それを象徴するような写真が話題になっている。

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 世界に最も拡散されたのは、ドイツ政府が配信した写真だろう。9日午前、メルケル独首相がトランプ米大統領を説得する姿が写る。安倍晋三首相の同行筋によると、この場で話したのはイラン問題だった。
 トランプ氏は首脳宣言にイランが「テロ支援国家」であると明記するよう求めた。しかしメルケル氏は認められないと説いた。イランとの良い関係を保ちたい首相も困った様子だ。最後は「イランが支援するものを含む、全てのテロリズムへの財政的支援を非難する」との表現で折り合った。
 日本政府が首相官邸のフェイスブックに載せた写真は、安倍首相が米欧の橋渡し役を果たす構図だ。首相周辺はプラスチックごみを話した場面だと解説する。
漂流G7 ネット戦の裏側

G7の分裂の構図は次のようである。
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東京新聞6月10日

「公正」とは何かが問われるが、「アメリカ・ファースト」に拘るトランプ大統領が「公正」を主張するのは疑問である。
日本は基本的に自由貿易立国のはずである。
トランプ追従で「自由と公正」と立派な言葉ではあるが、具体的にどうするかが曖昧な立場の安倍首相の姿勢が際立つ。

政府が説明する「プラスチックごみ」について、安倍首相は何をどう話したのか?
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海のプラスティックゴミ問題は深刻である。

 世界の海はプラスチックのごみに満ち、生態系の乱れを加速させている。事態は深刻なのである。
 国連環境計画(UNEP)が五日公表した報告書によると、世界のプラスチックの廃棄量は年々増え続け、二〇一五年には三億トンに達している。このうち約半分を、レジ袋やペットボトルといった使い捨て製品が占めている。
 使い捨てプラ製品の廃棄量は中国が最も多い。しかし一人当たりでは米国が世界一、次いで日本、欧州連合(EU)の順である。
 海を漂うプラごみは、紫外線や波の力で分解されて微小な粒子に変わる。直径五ミリ以下のものをマイクロプラスチックと呼び、洗顔料や歯磨き粉などに含まれるもの(マイクロビーズ)もある。
 これらはポリ塩化ビフェニール(PCB)のような有害物質を吸着する性質があり、のみ込んだ魚を食べた人間への影響も懸念されている。今や廃プラ問題は、温暖化に次ぐ国際環境問題になったと言われており、危機感を抱いた欧米やアフリカなどは、使い捨てプラの規制強化を進めている。
 EUは先月末、ファストフード店で使われるスプーンや皿、ストローなど、使い捨てプラ食器を禁止するよう、加盟国に提案した。
 米国は一五年、マイクロビーズの配合の禁止を決めた。フランスは二〇年から、使い捨てプラ容器を禁止する。
 日本では例えばレジ袋の削減は、企業や自治体の自主的な取り組み任せ。政府としては「プラスチック資源循環戦略」の策定は進めるものの、今のところ、国として使い捨て製品の流通規制にまでは踏み込むつもりがなさそうだ。
 プラごみを作り、捨てるのは人だけだ。人の仕業は必ず人に環(かえ)るというのも温暖化と同じである。海洋国、そして廃プラ大国日本は、ここでも世界の大きな流れに取り残されていくのだろうか。
海のプラごみ 誰がクジラを殺すのか

安倍首相がこの問題で「米欧の橋渡し役を果たす」とは、とても思えない。

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2018年6月12日 (火)

米朝首脳会談合意文書に署名/世界史の動向(61)

アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長(朝鮮労働党委員長)は、12日、シンガポール南部セントーサ島のカペラホテルで初の首脳会談を行い、共同声明に署名した。

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Trump and Kim Signed Something in Singapore. Here's What It Says

声明の内容は以下の通りである。

 トランプ大統領と金正恩委員長は米国と北朝鮮の新たな関係樹立や朝鮮半島の持続的で強固な平和体制の構築に関連した問題を議題とし、包括的かつ深く、真摯(しんし)に意見を交換した。トランプ大統領は朝鮮民主主義人民共和国の安全を保証することを約束し、金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化に向けた確固たる変わらない約束を再確認した。
 新しい朝米関係を樹立することが朝鮮半島や世界の平和、繁栄に寄与するという点を確信し、相互信頼を構築することが朝鮮半島の非核化を進めることを確認し、トランプ大統領と金委員長は次のような合意事項を宣言する。
1.米国と北朝鮮は平和と繁栄に向けた両国国民の願いを踏まえ、米国と北朝鮮の新たな関係を築くことを約束する。
2.両国は朝鮮半島の持続的かつ安定的な平和を構築するため、共に努力する。
3.2018年4月27日の板門店宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向け、努力することを約束する。
4.米国と北朝鮮は身元の確認ができた戦争捕虜、行方不明者の遺骨を直ちに送還することを含め、戦争捕虜、行方不明者の遺骨収集を約束する。

現時点では不透明な部分が多いのは確かであるが、大きな一歩を踏み出したことは間違いないだろう。
しかし、当然のことながら拉致問題の解決については、安倍首相のように口先だけで最重要課題というだけでなく、自ら動いて解決していかなければならない。
家族会の反応も冷ややかなように感じる。

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2018年4月28日 (土)

歴史の歯車は回ったか?/世界史の動向(60)

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅大統領は27日、約70年に及ぶ両国の戦争状態を年内に終結させることで合意した。
朝鮮半島の「完全な非核化」を目指すことにも同意した。
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東京新聞4月28日

もちろん楽観は許されないが、止まっていた歯車が動き出したと言えよう。
文大統領と金主席は対照的な存在だ。
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東京新聞4月26日

しかし、同一民族意識があってこそであろう。
私はテレビで下記のような映像を見て、計算されつくしているとは思ったが、それでも歴史が動いたことを実感した。
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南北首脳:戦争終結へ、完全な非核化目指す-歴史的な「板門店宣言」

この事態に、日本は完全に置いて行かれている。
最重要課題と言い続けてきた拉致問題さえ、トランプ大統領頼みという外交方針のお粗末さ・脆弱さが露呈したのである。
2018年4月23日 (月) 北朝鮮情勢と拉致問題のアメリカ頼み/世界史の動向(59)

残念ながら以下のようなことだろう。
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頼みのトランプ大統領も、中国の習金平主席には感謝の意を表明しても、安倍首相のことは一顧だにしていない。
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にもかかわらず、自民党(与党)および政府にはその認識がないようだ。
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「皆様のNHK」の岩田明子氏は、安倍首相と親しいことがウリになっているが、こんな解説だ。
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もちろんNHKの解説を鵜呑みにする人だけではないが、影響は大きいだろうなあ。
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もちろん、テレビの解説でも岩田さんはむしろ特異であろう。
ニュースステーションの星浩氏などは、歴史を踏まえた解説をしている。
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NHKの受信料を払い続けるべきか、思案の時期かもしれない。

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2018年4月23日 (月)

北朝鮮情勢と拉致問題のアメリカ頼み/世界史の動向(59)

拉致問題の解決は国民共通の願いである。
安倍政権も第一優先に掲げていたはずである。
しかし、日米首脳会談でトランプ大統領にひたすら協力を懇願する様子は、基本的に安倍政権にカードがないことを表明したようなものであろう。
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北朝鮮問題に関して、「最大の圧力を・・・」と言い続けている間に、情勢は大きく転換しつつある。
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東京新聞4月22日

もちろんまだ非核化が実現したわけではないので予断は禁物だが、流れは変わったのではないか。
トランプ大統領は北朝鮮の態度を率直に喜んでいるようだ。
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セクハラ問題でも、世界の常識から大きくズレていることを内外に示した安倍政権である。
018年4月19日 (木) 国際標準を逸脱した安倍政権のセクハラ認識/ABEXIT(8)

北朝鮮問題でも国際的な流れに逆らうことにならないか?
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まあ、少なくとも、圧力と言っている相手に胸襟を開くことはないだろう。
日本が世界からどう見られるか、考えないと。
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2017年12月22日 (金)

エルサレム問題の「義」と「利」/世界史の動向(58)

国連総会(UN General Assembly)で21日、エルサレムをイスラエルの首都と認定した米政府の決定を無効とする決議案の採決が行われ、賛成128、反対9、棄権35の圧倒的多数で採択された。
安倍首相は、涙ぐましいほどにトランプ大統領との蜜月を演出してきたので心配だったが、賛成票を投じた。
外務省幹部は「あえて反対する理由が見当たらないし、棄権という選択肢は米国との関係でも何らプラスに働くものではない」と説明している。
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米のエルサレム首都認定「無効」国連決議、賛成128反対9で採択

エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3大宗教の聖地である。
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東京新聞12月7日

このように微妙な問題に、思いつきのように判断を出すのがトランプ流であろうか?
米国の決定に反対するなら、財政支援をやめるというスタンスのトランプ大統領の言辞が諸国の批判を招いている。
そんなことは織り込み済みで、トランプ大統領は米国が他国のために財政を支出することに消極的であるから、財政援助を減らす理由にしたいという見方もできよう。
しかし人間にとって経済はもちろん重要であるが、場合によっては敢えて経済的に不利な選択を取る場合もある。

 パレスチナ自治政府のハムダラ首相は21日、ツイッターに「エルサレムの保護とパレスチナの人々の権利を支持するため、法的、道義的責任を果たすよう望む」と投稿し、決議案に賛成票を投じるよう訴えた。
 トルコはイスラム諸国でつくるイスラム協力機構(56カ国とパレスチナ)の議長国として、国連総会の開催を求めた。チャブシュオール外相は国連総会へ出発前の20日、イスタンブールで会見し、「名誉ある国は米国の圧力に屈しない」と強調した。ユルドゥルム首相も21日、首都アンカラで講演した際、「トランプ大統領はすべての国が自己決定できることを理解すべきだ。強者が必ずしも正しいわけではない」と訴えた。
 対イスラエルでアラブ諸国を牽引(けんいん)してきたエジプトは、米国がエルサレムをイスラエルの首都と認めたことの撤回を求める国連安保理(15理事国)の決議案を作成。同案は18日に採決され、エジプトを含む14理事国が賛成したが、米国の拒否権行使で廃案になった。
 政府系アハラム紙の政治記者アルアザブ・アルタイーブ氏は「エジプトは国連総会でも決議案に賛成する。米国の脅しには屈しない」と語る。同国市民の間では「米国の支援は無意味」など反米姿勢が目立つ。
 だが、エジプトはシナイ半島でイスラム過激派に対する掃討作戦を進め、米国から毎年13億ドル(約1470億円)の軍事支援を受けており、米国との関係悪化は避けたいのが本音だ。シーシ大統領はトランプ氏のエルサレム首都宣言を「拒否する」と述べたが、その後は発言を控えている。
「札束でほおたたく」トランプ流外交術 中東で強い反発

「利」と「義」をどうバランスさせるかは価値観の問題である。
サムライを自負するならば、「義」に傾くところだが、わが国のリーダーは「利」に傾いているように見える。

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2017年11月10日 (金)

トランプ大統領のアジア歴訪/世界史の動向(57)

アジアを歴訪中のアメリカ・トランプ大統領が、韓国、中国訪問を済ませ、ベトナムでAPECの臨んだ。
この長い歴訪は、世界にとってどのような意味を持つのだろうか?
また、日本の外交は成功したのか?

私の周辺の安倍信者は、「やはり安倍ちゃんの外交力はスゴイ」などと言っているが、本当か?
韓国、中国でもそれぞれすくなくとも表面上は「熱烈歓迎」を受けたように見える。
日本では安倍首相の、まるで宗主国の元首を迎えるかのような接遇が印象に残った。
この「ご接待」は成功したのだろうか?
私にはそう見えない。
⇒2017年11月 7日 (火):トランプ大統領にへつらう安倍首相とマスメディア/永続敗戦の構造(12)

外務省OBの天木直人氏は以下のように論評している。

 首脳外交とは、決して首脳間の個人的友好関係を誇示するものではない。
 その国の国民を背負った二国間の首脳の、国家の威信と国益を賭けた凌ぎ合いなのだ。
 ひるがえって、それに先立って行われたトランプ大統領の来日はどうだったか。
 個人的友好関係を強調するあまり、ゴルフと会食パフォーマンスが優先された。
 米国大統領の初来日にもかかわらず国賓としなかったのは、天皇陛下の謁見を避けるためではなく、ゴルフをしたかったからに違いない。
 いまとなってはそう思わざるを得ない。
 トランプ大統領の国会演説よりも、トランプ大統領とのゴルフと会食を優先したかったのだ。
ゴルフと会食を優先した安倍対米首脳外交の歴史的敗北

しかも、そのゴルフたるやひどいものだったようだ。

 政界で話題になっているのはバンカーにハマった1番ホールでの安倍首相の衝撃映像だ。1回ではバンカーからボールを出せず、2回目のショットで何とかバンカーから脱出。安倍首相は先を歩くトランプと松山英樹に取り残されまいと、バンカーからフェアウエーに一気に駆け上がろうとしたが、バランスを崩して後方にスッテンコロリン1回転。亀みたいに手足をバタつかせて自身がバンカー入りしてしまった。この“珍プレー”をテレビ東京がニュースで放送すると、ユーチューブに映像がアップされ、瞬く間に再生回数が30万回を超えた。
ゴルフで転倒 衝撃映像で露呈した安倍首相の“体調悪化説”

別にミスショットやトランプ大統領との腕の差をあげつらっているのではない。
ゴルフ、豪華会食、プレゼントという一連の発想が、底の浅さを示している。
残念ながら、世界の舞台でリーダーシップを発揮して行けるとは思えない。
しっかり勉強したことがないツケが回ってきているのだ。
加計孝太郎氏とも「留学」という名目で渡米して、実際は遊びまわっていたに違いあるまい。

安倍首相の姿勢と対照的に猛烈な勉強ぶりで知られる佐藤優氏は、以下のように批判している。
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東京新聞10月10日

自民党も、本気で安倍降ろしを考えないとマズイだろう。

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2017年10月 7日 (土)

核兵器廃絶国際キャンペーンにノーベル平和賞/世界史の動向(56)

ノルウェーのノーベル委員会が、2017年のノーベル平和賞を、核兵器の非合法化と廃絶を目指す国際NGOで、今年の核兵器禁止条約成立に貢献した「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)に授与すると発表した。
Ngo171007
東京新聞10月7日

核兵器禁止条約への参加は、世界のコンセンサスになっている証拠であろう。
しかし「唯一の被爆国」の日本政府は同条約に反対である。
⇒2016年10月31日 (月):核禁止条約に反対する日本政府/永続敗戦の構造(5)

もちろんヒバクシャの感情を逆なでするものだ。
今日の筆洗の全文を引用する。
171007

山田洋次監督の『母と暮らせば』については何回か触れた。
⇒2016年1月14日 (木):母と暮らせば』と複素的な世界観/戦後史断章(24)
⇒2017年8月 9日 (水):『母と暮らせば』と『シン・ゴジラ』/戦後史断章(27)
⇒2017年9月 3日 (日):『母と暮らせば』の医学生のモデル・土山秀夫/追悼(112)

映画の中で、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の甘美なメロディが印象的だったが、亡霊となった学生のモデルの土山秀夫さんの実体験に基づいていたのは知らなかった。
奇しくも文学賞は長崎出身のカズオ・イシグロに授与されることが決まった。
果たして偶然の一致だろうか?

条約に不参加の日本の外務省担当者は「受賞決定は承知している。核廃絶の目標は共有しているが、アプローチは異にしている」と述べた。
安倍晋三首相による祝福の談話は6日には出ていない。

イシグロさんは5歳まで長崎で生活していた。
海洋学者だった父が英国の研究所に招かれたため、一家で移住し、以来、英国で暮らし、英国籍となった。
しかしナガサキでの生活は一種の原体験のようである。

「最初に小説を書き始めた際の動機は、私の日本の記憶を保存することにありました」と共同通信に語っていた。
長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)会長の谷口稜曄さんのように、直接被爆体験を語ってきた人たちが亡くなりつつある。
⇒2017年8月31日 (木):赤い背中の告発・谷口稜曄/追悼(110)

それは、その人たちの記憶の中の風景が消え去るということだろう。
核兵器禁止条約に反対する政党に一票を投ずるわけにはいかない。

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2017年5月16日 (火)

FBI長官解任はトランプ政権崩壊の始まりか?/世界史の動向(55)

トランプ米大統領のFBI長官の電撃解任が大きな問題になりつつある。
ニクソン元大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件の再来ではないか、という声だ。
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東京新聞5月12日

トランプ米大統領のコミーFBI長官の解任について、サンダース米大統領副報道官は10日、「司法副長官の解任勧告を受け入れた」と説明していた。
11日の米NBCテレビのインタビューでは一転して、「司法省の勧告とは関係なく、解任するつもりだった」と述べた。
トランプ氏はインタビューで、自身が捜査対象かどうかをコミー氏に3回問いただしたとも明かし、「捜査対象ではない」との回答を得たと語った。
自身の潔白を印象づける目的とみられるが、捜査に圧力をかけたとの疑惑がかえって強まった。
マケイブFBI長官代行は11日の上院情報特別委員会の公聴会で「コミー氏はFBI内で幅広い支持を得ている」と証言し、サンダース氏が解任理由の一つとして示した「FBI職員の信頼を失っていた」との発言を否定した。
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FBI捜査へ圧力 トランプ氏、強まる疑惑

米紙ワシントン・ポストは、トランプ米大統領が先週、ロシアのラブロフ外相やキスリャク駐米大使と会談した際、高度な機密情報を漏らしていたと伝えた。
同紙によると、トランプ氏は10日、ホワイトハウスでの会談で、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」がノートパソコンに爆弾を仕掛け、機内に持ち込もうとしているとの懸念に関する具体的な情報を、両氏に詳しく伝えた。
事情を知る当局者が同紙に語ったところによると、トランプ氏は両氏に「私にはすごい情報が入ってくる。すごい情報の報告を毎日受けている」と話した後、ISISの手口を詳細に説明したという。
・・・・・・
トランプ氏は大統領選で、民主党候補のヒラリー・クリントン元国務長官が機密情報を「極めて不注意」に扱ったと激しく非難した経緯がある。
トランプ氏、ロシア外相に「機密情報漏らす」 米紙報道

一連の事態に対し、米国民の間でも不信感が広がっている。
NBCが10~11日に実施したオンライン世論調査では、トランプ氏によるコミー氏解任は「不適切だ」とする回答が54%を占め、「適切だ」とする回答は38%にとどまった。
未だ就任して4カ月程であるが、前途多難である。

 

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2017年2月15日 (水)

金正男氏殺害か?/世界史の動向(54)

北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏(45)がマレーシア・クアラルンプールで殺害されたらしい。
詳細は分からないが、韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は、暗殺に関して「金正恩政権発足後、スタンディングオーダー(継続的な指示)があった」とした上で、最高指導者の指示で「(北朝鮮は)5年前から暗殺を試みていた」と指摘した。
また、「中国が金正男氏の身辺を保護していた」との情報も明らかにした。

果たして金正恩朝鮮労働党委員長の指令によるものなのか?
もしそうだとすれば、あるいはそうでないにしても、あたかもスパイ小説を思わせる。

私はたまたま高校の英語の授業にS.モームの『月と六ペンス』の一部が載っており、もちろん当時の教師の力量によるものだが、何となく英文学というものの一端を理解したような気がした。
大学に入ると、教養部の英語のテキストが、同じモームの『Ashenden: Or the British Agent』であった。
大学の授業はご多分に漏れずいい加減に単位をもらえる程度の出席で済ませたので、さしたる記憶は残っていない。

モームは1910年代、第一次世界大戦半ばに、従軍軍医(医学校出身)から英国諜報機関へ転属勤務となり、ソビエト連邦成立直前のロシア・ペトログラードへ向かい工作活動を行った。
その体験を元にした作品で、イアン・フレミング、グレアム・グリーン、ジョン・ル・カレなどに繋がるスパイ小説の源流に位置している。

 正男氏は01年5月1日、ドミニカ共和国の偽造パスポートで妻子と見られる女性や子供らと一緒に成田空港から日本に入国しようとした際、日本の入管当局に身柄を拘束された。東京ディズニーランドを訪れるのが目的だったとされており、出入国管理法に基づく退去強制処分を受けて同4日に民間機で中国・北京に向かった。
 公安当局などによると、正男氏は若いころ欧州で過ごした時期があるとされ、コンピューターにも精通していたという。日本に親近感を抱いていたとみられ、01年に身柄を拘束される前にも日本への密入国を繰り返し、東京・赤坂などの繁華街に足を運んでいたとされる。
 母親は映画女優の成恵琳(ソン・ヘリム)氏で02年に療養先のモスクワで死亡している。11年12月に正日氏が死去した後、異母弟にあたる金正恩(キム・ジョンウン)氏の本格的な統治が始まってからはほとんど北朝鮮には帰らず、シンガポールやマカオなどに滞在している姿が確認されていた。
 正男氏とメールなどでやりとりを重ねたとする東京新聞の五味洋治編集委員が12年に出版した「父・金正日と私 金正男独占告白」には、正男氏が北朝鮮の3世代世襲を批判する発言が紹介されていた。公安関係者によると、正男氏はこの世襲批判を悔い、正恩氏に許してほしいと周囲に漏らし続けていたという。
 日本の警察当局幹部は「死亡の経緯などについて情報収集を進めている」と話した。
Ws000000
金正男氏殺害  過去の世襲批判悔い周囲に「許して」漏らす

人民共和国を称しながら世襲の体制だというのは、根本的な矛盾である。
と思うが、天皇制と同じで、代替的なシステムは必ず争乱のもとになるだろう。
他国の体制の問題ではあるが、わが国とも密接に関連している。
中国を含め、東アジアがどう動いて行くか?
トランプ大統領の登場が、金氏殺害と関係があるのだろうか?

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2017年2月 1日 (水)

トランプ大統領の入国禁止政策と日本の立場/世界史の動向(53)

さすがに、トランプ大統領の中東7カ国入国禁止令については、内外で批判の声が強い。
しかし、口癖のように、「価値観を共有する国との同盟」を言ってきた安倍首相は、「その国の判断」と傍観を決め込んでいる。
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東京新聞2月1日

価値観外交について、Wikipediaでは、以下のように解説している。

価値観外交(かちかんがいこう)とは、民主主義や人権の尊重などを価値として共有する国家との関係を強化しようという外交方針。「価値の外交」とも。
・・・・・・
日本の外務省は、「普遍的価値(自由主義、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済)に基づく外交」と説明している。つまり、こうした価値観を持つ国々や人々との連携・協調を推し進め、また支援し、広めようとする外交方針である。
もともとはアメリカ合衆国で新保守主義の立場から提唱されたもので、日本では新保守主義の父と呼ばれるアーヴィング・クリストルに影響を受けてきた安倍晋三をはじめ、麻生太郎らが共鳴した。2012年12月27日に安倍がPROJECT SYNDICATEに寄せ、自身の価値観外交をあらわした論文「アジアの民主主義的安全保障の四角形」では官房副長官時代の安倍と親しくしていた新保守主義者で有名なジョン・ボルトンが9月10日にウォール・ストリート・ジャーナルで発言した「北京の湖」が引用されている。

価値観外交を振りかざして中韓と対立し、「自由主義、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済」と対立する大統領令とツイッターによる情報発信を多用するトランプ大統領に対しては、「その国の判断」と傍観するのでは、ダブルスタンダードと言われても仕方がない。
このまま傍観を続けるならば、禍根を残すことになるだろう。

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