ブランド・企業論

2017年12月 2日 (土)

東レよ、お前もか?/ブランド・企業論(69)

東レが11月28日、子会社がタイヤなど形状を維持するための補強材の製品検査データを不正に改ざんしていたと発表した。
13社の顧客に対し、2008年4月から16年7月までの8年3カ月間に計149件の品質数値の書き換えが行われていたとのことだ。
東レと言えば、経団連の現会長榊原定征の出身企業であり、日本の化学会社の代表である。
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東京新聞11月30日

 同社の発表によると、書き換えが行われた製品はタイヤ用、自動車のホース・ベルト用、抄紙用のコードと呼ばれる補強材。子会社の東レハイブリッドコードが、タイヤメーカーや自動車部品メーカー、抄紙用フェルトメーカーに製品を納入する際に、顧客との間で取り決めた規格から外れた製品の品質データを規格内の数字に書き換えていたという。現時点では法令違反や安全に問題のある案件は見つかっていないとしている。
 不正は16年7月に行われたコンプライアンス調査の結果で発覚。都内で会見した東レの日覚昭広社長によると、当初は法令違反や安全上の問題はなかったことなどから公表しない方針だったという。しかし、11月3日にインターネット掲示板上での書き込みがあり、一部株主からの問い合わせもあったことから発表に踏み切ったと話した。
東レ:子会社が製品検査データを不正改ざん、8年間で149件

ここしばらく、神戸製鋼、、日産、三菱マテリアルなど日本を代表するメーカーの不正が続いている。
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東京新聞11月29日

東レの日覚社長の言い方には違和感がある。
安全性や社会への影響云々というよりも、ルールに抵触しているかどうかの問題である。
榊原氏の社長・会長在任中の事案であり、不正は承知していなかったというが、責任は免れまい。
天皇退位の日程が決まったが、平成も終わろうとする時期に、日本の製造業が揺らいでいる。
時代の変わり目ということだろうか。

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2017年7月 4日 (火)

原子力事業で破滅の危機の東芝(9)上場維持の条件/ブランド・企業論(68)

一部市場から姿を消すことになった東芝。
原発事業に執着したツケは余りにも大きい。
⇒2017年6月27日 (火):原子力事業で破滅の危機の東芝(8)2部降格と半導体事業の行方/ブランド・企業論(67)

しかし、二部降格で済むかどうかは予断を許さない。
上場維持の条件は次のようである。
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東京新聞6月24日

虎の子の半導体メモリーの売却という判断であり、売却自体はやむを得ないだろう。
しかし、売却先については、日経新聞の社説でさえ次のように案じている。

 巨額の投資が必要な半導体事業は、財務力の弱った東芝から切り離し、新たなスポンサーのもとで再出発するほうが事業の発展につながるという判断もある。
 ここまではひとまず理解できるとして、疑問が多いのが実際の売却案だ。東芝取締役会は先週、政府系ファンドの産業革新機構を軸にした「日米韓連合」との売却交渉を優先的に進めると決めた。
 同連合は革新機構のほか日本政策投資銀行と米ベインキャピタルが出資者に名を連ね、韓国半導体大手のSKハイニックスもベインに資金協力する形で参画する。
 疑問の第一は連合の中核である官製ファンドの革新機構に半導体のような世界を相手に戦うグローバル事業を経営できる力があるのかどうかだ。同機構の主導でつくった液晶会社のジャパンディスプレイは経営不振が続いている。
 綱川社長は技術流出を招かないことを買い手の条件にあげるが、そうであるなら、SKが参加するのもよく分からない。「我が社の技術を不正に取得した」として3年前に東芝が損害賠償を求めて訴えた当の相手がSKである。
 東芝のメモリー事業の長年のパートナーである米ウエスタンデジタルとの対立も気になる。同社は米国で売却手続きの一時停止を求めて提訴しており、ここで東芝が負ければ、売却そのものが宙に浮くかもしれない。これ以上の迷走はお互いメリットがなく、溝を埋める努力が双方に必要だろう。
 最後に仮に交渉がまとまったとしても、来年3月末までに世界各国の独禁当局の許可を得て、売却を実施できるのかという不確定要素は残る。経営とは予見できない未来に向けて複数の選択肢を用意しておくことだ。「債務超過回避による上場維持」が果たせない場合を想定したプランBを東芝経営陣は持っているのだろうか。
日本経済新聞6月29日

東芝はWD社を提訴するという強硬策にでた。
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東京新聞6月29日

吉と出るか凶と出るかは分からないが、追い込まれた結果のデシジョンであることは間違いないだろう。
長年のパートナーと泥沼の争いをするところに明るい展望はないように思える。

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2017年6月27日 (火)

原子力事業で破滅の危機の東芝(8)2部降格と半導体事業の行方/ブランド・企業論(67)

東京証券取引所は23日、経営再建中の東芝の株式について、8月1日付で東証1部から2部に降格させると発表した。
今年3月末時点で、負債が資産を上回る債務超過の状態にあったことを東証が確認したためであり、予測はされていたが、「とうとう」という感慨新たである。

 東芝は23日、2017年3月期の決算内容を記した有価証券報告書(有報)の提出期限の延長を関東財務局に申請し承認を受けたと発表した。新しい期限は8月10日。半導体メモリー事業の売却交渉で官民ファンドの産業革新機構などを優先交渉先に決めたばかりだが、その一方で有報提出は先送りせざるを得ないといった綱渡りの運営が続いている。
 綱川智社長は東芝本社(東京・港)で会見を開いた。冒頭、有報の提出期限の延長などについて説明し「株主など利害関係者に多大な心配をおかけすることをおわびします」と謝罪した。15年春の会計不祥事発覚以降、有報の期限を延期するのは今回で5回目だ。
 提出期限延長の主因は、3月下旬に法的整理に踏み切った米原子力事業会社のウエスチングハウス(WH)。WHは米連邦破産法11条の破綻手続きに入っているが、再生計画が固まるのは7月末がめどとなる。これに伴い決算や監査手続きの完了に時間がかかるほか、米国の原子力発電所建設プロジェクトの工事損失引当金について損失の認識時期が適切だったかどうかの確認も進めている。
 監査法人のPwCあらたとは見解の対立が続いているが、協議を継続し、新しい有報提出期限までに「適正意見」の獲得を目指す。
東芝社長、日米韓連合と基本合意「28日までに可能」 

東芝の失敗は、国策と一体化した原発事業への執着にある。
「週刊エコノミスト」6月20日号に、以下のような図が載っている。
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その国策の推進者が現在の政権を支えているのだ。
政権を変えないと、10年後には日本全体が東芝化する蓋然性が高いと言えよう。

半導体メモリーの売却について東芝は革新機構と日本政策投資銀行、米投資ファンドのベインキャピタルの連合を優先交渉先に選んだ。
しかし、協業先の米ウエスタンデジタル(WD)が売却に反対の姿勢で法的手段にも出ており、前途は不透明だ。
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東京新聞6月22日

半導体メモリーの売却についても、国を「忖度」するようでは、東芝は所詮、その程度の会社、ということになる。
残念であるが、そんな会社にイノベーションは期待できないだろう。
東芝が上場を維持するとしても、ウリという判断だろう。

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2017年4月13日 (木)

原子力事業で破滅の危機の東芝(7)政官との癒着/ブランド・企業論(67)

東芝はどうなるのであろうか?
米国の子会社WHの破綻処理で今期赤字が1兆円を超え、債務超過に陥った。
2年連続で債務超過ならば上場廃止である。
虎の子の半導体事業を分離・売却して損失を穴埋めする計画であるが、2期連続債務超過を回避できるかは不透明だ。
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静岡新聞4月6日

背後に、原子力ムラの事情があったのであろうが、福島原発事故以後も国策として原発を推進してきた自民党政府にも大きな責任があるだろう。
「週刊文春」4月13日号で、『東芝“原発大暴走”を後押しした安倍秘書官』という記事を掲載している。
その人の名は、今井尚哉。

今井秘書官の叔父の今井善衛は、城山三郎『官僚たちの夏』の主人公のモデルと言われ、通商産業省で事務次官を務めた。
また、同じく叔父の今井敬は、新日本製鐵の社長を経て経済団体連合会の会長を務めた。
そういうバックグラウンドもあってか、“影の首相”として権力を振るってきたことが知られている。
⇒2016年11月 7日 (月):「驕るお友達」は久しからず/日本の針路(307)

森友疑惑のキーパーソン・谷査恵子氏の上司である。
今井氏は資源エネルギー庁次長だった経歴からしても諸利権の網の目の中核である。
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「週刊文春」4月13日号

今井氏は、森友疑惑、加計疑惑等にも絡んでいるだろう。
⇒2017年3月27日 (月):森友疑惑(34)林査恵子氏および上司を国会へ/アベノポリシーの危うさ(169)
今後、隠されいた事実が暴かれていくと思われる。

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2017年4月11日 (火)

原子力事業で破滅の危機の東芝(6)第3Q決算発表/ブランド・企業論(68)

東芝が11日、2度にわたり延期していた2016年4~12月期連結決算(米国会計基準)を発表した。
最終損益は5325億円の赤字(前年同期は4794億円の赤字)だった。
監査法人が決算内容に「適正意見」を付けない異例の公表であった。
ウェスティングハウス社の会計処理や内部統制をめぐり監査法人と見解が折り合わなかった。

東芝の失敗が原発事業に拘ったことが原因であることは明らかである。
⇒2017年2月16日 (木):原子力事業で破滅の危機の東芝(5)/ブランド・企業論(66)
⇒2017年1月31日 (火):原子力事業で破滅の危機の東芝(4)/ブランド・企業論(65)
⇒2017年1月28日 (土):原子力事業で破滅の危機の東芝(3)/ブランド・企業論(64)
⇒2017年1月20日 (金):原子力事業で破滅の危機の東芝(2)/ブランド・企業論(63)
⇒2017年1月18日 (水):原子力事業で破滅の危機の東芝/ブランド・企業論(62)
⇒2016年5月 1日 (日):原発事業によって生じた東芝の深い傷/ブランド・企業論(52)
⇒2016年1月 4日 (月):経営危機にまで追い詰められた東芝/ブランド・企業論(46)
⇒2015年8月 2日 (日):東芝の粉飾と原発事業の「失敗」/ブランド・企業論(37)

東芝再建は、下記のようなスキームで進められようとしている。
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東京新聞3月30日

しかし▲の課題解消は一筋縄ではいかない。

 株主から預かったお金を示す自己資本は昨年末時点で2256億円のマイナスとなり、債務超過に陥った。
 16年4~12月期は売上高が前年同期比4%減の3兆8468億円、本業のもうけを示す営業損益は5762億円の赤字(前年同期は2319億円の赤字)だった。前回1兆円超の最終赤字としていた17年3月期通期の業績予想については「未定」とした。
・・・・・・
 今回、監査法人の適正意見を得られなかったのは米ウエスチングハウス(WH)の内部統制について監査法人のPwCあらたと意見の違いを埋めきれなかったためだ。
 WHでは昨年末に発覚した巨額損失を少しでも抑えようと、一部経営陣が従業員に過度な圧力をかけた疑いが出ている。監査法人は内部統制の不備があったとされる期間や過去の決算などに疑義を持っている。適切に処理してきたとする東芝側と見解の差は大きい。
東芝、最終赤字5325億円 16年4~12月期

東芝の先行きは不透明で株価もそれを反映している。
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11日の東京市場で東芝株は前日比3%安の223.5円で取引を終えた。
市場の信頼を失っているが、今後回復できるであろうか?

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2017年2月16日 (木)

原子力事業で破滅の危機の東芝(5)/ブランド・企業論(66)

東芝が14日、同社本社で記者会見を開き、半導体メモリ事業を100%売却する可能を問われた綱川智社長は、「柔軟に考えていく。なんでもあり得る」と回答した。
既に経営再建策の柱のひとつとして、メモリ事業を分社化することを発表していた。
しかし、20%未満の外部資本の導入で、東芝が主導権を維持した形で事業運営する姿勢だったが、この方針を撤回したことになる。
それだけ事態は切羽詰まっているということだろう。

東芝は、2015年の「不適切会計」が明るみに出てから経営再建に努めてきた、はずであった。
⇒2015年8月 2日 (日):東芝の粉飾と原発事業の「失敗」/ブランド・企業論(37)
⇒2016年1月 4日 (月):経営危機にまで追い詰められた東芝/ブランド・企業論(46)
⇒2016年5月 1日 (日):原発事業によって生じた東芝の深い傷/ブランド・企業論(52)
⇒2017年1月18日 (水):原子力事業で破滅の危機の東芝/ブランド・企業論(62)
⇒2017年1月20日 (金):原子力事業で破滅の危機の東芝(2)/ブランド・企業論(63)
⇒2017年1月28日 (土):原子力事業で破滅の危機の東芝(3)/ブランド・企業論(64)
⇒2017年1月31日 (火):原子力事業で破滅の危機の東芝(4)/ブランド・企業論(65)

エネルギーとメモリが2本の柱であった。
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東洋経済2017年2月4日号

原発事業の失敗によって、もう1本の柱であるメモリも手放さざるを得なくなってしまったのだ。
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東洋経済2017年2月4日号

東芝のなかでメモリ事業が大事な事業であるという位置づけを継続したいという希望も放棄せざるを得なかったというわけである。
買い叩かれることを避けるため、関連の売却は期末を越える見通しで、そうなると東証の規定により2部に降格になる。
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東京新聞2月16日

名門の自負からすれば屈辱だろうが、原子力事業は取り返しのつかない失敗を犯したことになる。
しかも、大局的に考えれば、いずれ撤退を図るべき事業だったにも拘わらず、である。

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2017年1月31日 (火)

原子力事業で破滅の危機の東芝(4)/ブランド・企業論(65)

東芝の危機は衝撃的である。
2015年に発覚した不正会計処理に対応するため、優良事業だった東芝メディカルシステムズの全株式を売却するなどろリストラを進めていたところだった。
約1兆円という巨額の資金を捻出し、社長を含む8人の取締役が引責辞任した。
16年3月期は、7000億円以上の営業赤字、医療機器子会社の売却益を加えた最終赤字は4600億円に達した。

それを底として、V字回復するはずだった。
それが一気に暗転である。
書店に、「東芝解体」と大きく書いた雑誌が平積みされている。
発売中の「週刊東洋経済」2017年2月4日号である。

同誌によれば、東芝解体は待ったなし!
選択肢としては、「優良資産の売却」「原子力事業の分離」「外部資本の受け入れ」があるが、これらを同時並行的に進めなければならない。
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グループ企業も合わせると19万人のマンモス企業である。
福島原発事故を教訓にして、原子力事業からの方向転換を図っていれば、と今更ながら思う。
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東京新聞1月28日

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2017年1月28日 (土)

原子力事業で破滅の危機の東芝(3)/ブランド・企業論(64)

原子力事業を深追いした東芝が窮地に立っている。
⇒2015年8月 2日 (日):東芝の粉飾と原発事業の「失敗」/ブランド・企業論(37)
⇒2016年1月 4日 (月):経営危機にまで追い詰められた東芝/ブランド・企業論(46)
⇒2016年5月 1日 (日):原発事業によって生じた東芝の深い傷/ブランド・企業論(52)
⇒2017年1月18日 (水):原子力事業で破滅の危機の東芝/ブランド・企業論(62)
⇒2017年1月20日 (金):原子力事業で破滅の危機の東芝(2)/ブランド・企業論(63)

経緯は以下の通りである。
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東京新聞1月27日

東芝「倒産」はついに秒読み段階か 〜取締役会議長が明かした内情」には、次のような記述がある。

そうした中、いま市場関係者の間で注目が集まっているのが東芝の「CDS値」。これは「企業の倒産危険度」をやり取りする金融商品で、値が高いほど危険度が高まっていることを示す。
東芝のそれを見ると、昨年12月には80台だったのが、年末の発表以降に急上昇し、一時は400を突破したほどだ。
「日立のCDS値は20台、ソニーは40台。比較すれば一目瞭然で、東芝は完全に『危険水域』に入った」(外資系証券債券アナリスト)
東芝破綻の一報をどこが最初に打つか――。

そして、ついに虎の子の半導体事業を切り売りせざるを得なくなった。
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東京新聞1月28日

世耕経産相は未だに「原発は安い電源」などと言っているが、東芝や東京電力という日本を代表するエクセレント・カンパニーを破綻の淵に立たせている原発事業は、まさに亡国の事業というべきであろう。

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2017年1月20日 (金)

原子力事業で破滅の危機の東芝(2)/ブランド・企業論(63)

東芝の米原発事業での損失が最大で7000億円規模に膨らむ恐れが出てきた。

Photo不正会計が発覚した2016年3月期、東芝はリストラ費用や米原発事業の損失により、株主資本が3289億円に落ち込んだ。キヤノンに6655億円で医療機器子会社を売却した利益がなければ、負債が資産を上回る債務超過に陥るところだった。
 成長事業と不採算事業を切り離し、新生東芝として再出発したはずだったが、原発で再び損失が発覚した。損失発覚前の予想では、期末の株主資本は3200億円の見込み。最大7000億円の損失を考えれば、事業売却による資金調達や金融支援がなければ、債務超過に陥りかねない。
 2年連続で巨額損失を出す原発事業のために稼ぎ頭の半導体に外部資本を入れる。インフラやIT関連についても、金融筋は「売却できる事業がある」と指摘する。
 損失額は現在精査中の監査を経て、2月中旬に発表する16年4~12月期決算で確定する。事業を縮小したパソコンやテレビ、損失続きの原発で成長の絵図を描くのは難しく、前途が見えない。
近づく「東芝解体」=相次ぐ事業売却

東芝の株主資本は、原子力事業によって大きく毀損されている。
年9月末時点で東芝の自己資本は3600億円強あり、本業の回復と円安進行による外貨建て資産の価値の増加により、米原発事業による損失が無ければ今期末の自己資本は5000億円前後に膨らむ可能性があった。
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東芝、米原発事業の損失5000億円超も 政投銀に支援要請

東京証券取引所は、東芝を投資家に注意を促す特設注意市場銘柄に指定しており、一般の投資家から幅広く資本を募る公募増資などは困難だ。
東芝は日本政策投資銀行に資本支援を要請すると共に、他の取引銀行にも協力を求め、財務や事業構造の立て直しを急ぐという。
事業構造の見直しを迫られているなかで、主力のフラッシュメモリーを含む半導体事業は分社化するという。
⇒2017年1月18日 (水):原子力事業で破滅の危機の東芝/ブランド・企業論(62)
しかし、原発事業を温存するのでは、解決にならないのではないか。

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2017年1月18日 (水)

原子力事業で破滅の危機の東芝/ブランド・企業論(62)

昨年暮れ、東芝は原発事業に関し、数千億円規模の減損損失が出る可能性があると発表した。

 多くの人が大晦日の準備を始めていた先月27日、東芝は米国の原発事業において数千億円の損失が発生する可能性があると発表しました。しかも、正確な金額が確定しておらず「数千億円という段階までしか言えない」というかなりずさんな内容でした。
 損失が発生するのは、米子会社のウェスチングハウス(WH)社が2015年12月に買収したCB&Iストーン・アンド・ウェブスター社(S&W)です。東芝の説明によると資産価値を精査したところ想定よりも大幅に価値が下回ったとのことです。
 米国の原子力事業で巨額の損失が発生する可能性があることは、以前から指摘されていました。同社は累計で数千億円の金額を投じてWH社を買収しましたが、東芝による買収後もWH社の経営は安定しませんでした。WH社は状況を打開するため、米国の原子力サービス企業S&Wと提携し、原発建設のプロジェクトを積極的に進めてきましたが、プロジェクトがうまく進まず、S&Wは巨額の損失を抱えてしまいます。
 東芝グループとS&Wの親会社であるCB&Iは損失処理をめぐって対立するようになり、一部では訴訟に発展しました。各種報道によると今回の買収は、S&Wの損失処理をめぐる紛争解決の手段だったとされています。損失を抱えた会社を買い取ったわけですから、買収が行われた段階で、相応の損失が発生することはある程度、予見できていたことになります。東芝経営陣の見込みはかなり甘かったといってよいでしょう。
東芝が巨額損失問題、自己資本はすべて吹き飛び、債務超過に転落の可能性も

債務超過になれば、東証のルール上2部に転落し、東芝株の買い手は極端に少なくなる。
まさに危機的状況であるが、その原因は、原子力事業である。
⇒2015年8月 2日 (日):東芝の粉飾と原発事業の「失敗」/ブランド・企業論(37)
⇒2016年1月 4日 (月):経営危機にまで追い詰められた東芝/ブランド・企業論(46)
⇒2016年5月 1日 (日):原発事業によって生じた東芝の深い傷/ブランド・企業論(52)

「見切り千両」という言葉があるが、原子力事業を見切ることができなかった必然的な結果である。
⇒2016年7月19日 (火):原子力を死守する東芝の未来/ブランド・企業論(55)

しかし原子力事業は国策としての側面が強いので、何らかの政府主導の救済が模索されるだろう。
日立製作所やNECとの経営統合が囁かれている。
東芝は、リストラクチャリングとして半導体事業の分社化を発表した。

Ws000000 米原発事業で多額の損失が出る見通しの東芝が、半導体事業の主力製品「フラッシュメモリー」を分社化する本格検討に入ったことが17日、分かった。損失の規模によっては債務超過となる可能性もあるため、外部資本の導入によって財務基盤を強化する準備を急ぐ。
 外部から数千億円規模の出資があれば、原発事業の損失を吸収できそう。分社化の対象製品は、三重県の四日市工場で生産している。中でもスマートフォンなどの記憶媒体として使われる「NAND型フラッシュメモリー」のシェアは世界トップクラスで、今後の成長も見込まれる。「市場価値は2兆円」(金融機関)との見方もある。
東芝、半導体分社化を本格検討

原発事業はブラックホールである。
一時的にしのいでみても、原発事業を続けている限り、東芝の危機は去らない。

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