ブランド・企業論

2018年12月24日 (月)

日産&ルノー、それぞれの内部矛盾/ブランド・企業論(84)

ゴーン前会長が保釈寸前に再々逮捕されたのは、会社法違反(特別背任容疑である。
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東京新聞12月22日

つまり有価証券虚偽記載という形式犯ではなく、会社の財産を棄損したという実質犯である。
しかし、
もし報じられている事態通りならば、日産の企業統治が問題であったことは否めないだろう。
日産の取締役会や監査役会は正常に機能していたのか。
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東京新聞12月14日

一方のルノーはどうか?
ルノーの筆頭株主はフランス政府である。

 取締役会の足並みも乱れてきた。13日の取締役会ではゴーン容疑者の解任が再び見送られたが、ロイター通信によると、ブレア元英首相の妻、シェリー・ブレア取締役が暫定的な経営体制を続けるのは不可能だと主張。複数の取締役もこれに賛同したという。
 筆頭株主の仏政府も「ゴーン容疑者の不正を示す情報は何も得られていない」(政府高官)とのスタンスを維持する一方、水面下で後継候補選びに着手した模様だ。ゴーン容疑者の不在が長期に及べば、現場の士気に影響すると判断したとみられ、仏紙フィガロによると、タイヤ大手ミシュランのジャンドミニク・セナールCEOを会長に起用する案が検討されているという。
 ルノー関係者によると、マクロン仏大統領はゴーン容疑者に対し、日産との提携を維持、強化できる後継者を準備しておくよう指示していた。これを受け、ゴーン容疑者はヘッドハンティング会社を使うなどして外部からの起用を模索していたと言われている。今回もセナール氏ら外部人材を軸に人選が進む可能性があり、トヨタ自動車のディディエ・ルロワ副社長やPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)のカルロス・タバレスCEOらルノーから他社に転じた人物の名前も取りざたされている。
ルノーに亀裂 日産との関係悪化を懸念、ゴーンCEOに怒りも

日産もルノーも企業統治に大きな問題を抱えていると言えよう。

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2018年12月11日 (火)

ゴーン起訴と再逮捕/ブランド・企業論(82)

日産自動車の前会長カルロス・ゴーン氏が、有価証券虚偽記載の疑いで起訴され、再逮捕された。
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毎日新聞12月11日

まあ心情的には報酬額自体がどうかと思う程の額であり、不正流用もしていたとなると許されないと思う。
リストラで生活一変を余儀なくされた社員も多い。
しかし、罪刑法定主義の原則は絶対である。

論点は以下のようである。
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毎日新聞12月11日

不確定な報酬の不記載を罪に問えるのか?
今後の動きを注視したい。

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2018年12月 9日 (日)

ゴーン日産前会長VS検察の構図/ブランド・企業論(81)

日産のゴーン前会長の逮捕は衝撃的だった。
2018年11月22日 (木) ゴーン逮捕をめぐる巷の意見/ブランド・企業論(80)

現時点でゴーン氏は勾留されたままであり、報道は検察サイドの情報に偏っている。

報道されている事件の構図は以下のようである。Ws000000_2
ゴーン前会長と特捜部対立 先例ない事件、今後の焦点は

ゴーン前会長と前代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者の容疑は、報酬の虚偽記載という金融商品取引法違反である。
1億円以上の報酬を得た役員の名前と金額は、10年3月施行の改正内閣府令で個別開示が義務化された。
金融庁は「報酬」の定義は会社法の解釈に準じるとし、同法を所管する法務省はこの解釈について、「実際に支払われたものであるか否かとは無関係」に、「その額が明らかなもの」は「当該事業年度に係る事業報告の内容とすることが求められる」という見解を示している。

特捜部も逮捕前に、こうした法解釈を慎重に検討したはずだ。
その上で、将来の支払い文書の作成に直接関与した秘書室幹部と「司法取引」し、将来の支払いが文書で確定しているという判断を固めたとのであろう。
ゴーン前会長が日産側と毎年交わしていた合意文書では、年間報酬の総額を約20億円と明記したうえで、内訳として、その年に受け取る約10億円と、退任後に受領する約10億円がそれぞれ記載されていた。

しかし、実際に支払われていない、退任後に「支払の約束」をした金額については、退任後に顧問料などの「別の名目」で支払うためには、日産側での改めて社内手続を経ることが必要となる。
不透明な支払は、内部監査、会計監査等で問題を指摘される可能性もあるし、今後、日産の経営が悪化し、大幅な赤字になってゴーン氏が引責辞任することになった場合、過去に支払う契約をしていたからといって、引責辞任した後の経営トップに「報酬」を支払うことは、株主に対して説明がつかないだろう。
「支払の約束」の契約の履行には不確定性があり、退任後の「支払の約束」は、無事に日産トップの職を終えた場合に、支払いを受ける「期待権」に過ぎないとも言える。

言ってみれば手形のようなものである。
状況からすれば結果的に不渡りになる可能性が高い。
退任後に支払う約束をした役員報酬が、有価証券報告書の虚偽記載罪に相当するのかどうか。
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東京新聞12月9日

森友学園の籠池前理事長夫妻は長期勾留された。
法の前では平等であるべきだが、対仏関係もあるので、そんなことはできないだろう。
検察は再逮捕する見通しだが、果たして起訴に持ちめるのだろうか?
そして有罪の勝算はあるのだろうか?181208_2
東京新聞12月8日

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2018年11月22日 (木)

ゴーン逮捕をめぐる巷の意見/ブランド・企業論(80)

日産のゴーン会長が、解任された。
報道されている容疑が事実だとすれば当然のことだろう。
2018年11月20日 (火) 日産ゴーン逮捕の衝撃と教訓/ブランド・企業論(73)

しかし容疑の全容には未だ不明な部分が多く、今後明らかにされるのを待ちたい。
現時点での謎というか疑問点をTwitterから拾ってみよう。
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権力の行使は公平に行われるべきだが、特捜部は胸を張れるのか?
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国民に謝るのならともかく、官邸に?

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まあ余り報道されたくない、あるいは多くの国民に知られたくないことが多いのは事実だろうなあ。
技能実習生のタコ部屋のような実態など。
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東京新聞11月22日

日産サイドのクーデター説もある。
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そういう側面もあるのだろうが、おすれば特捜部は民間企業のクーデターには注力して、政府や政治家には「忖度」する存在なのか?
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まったくその通り!

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2018年11月20日 (火)

日産ゴーン逮捕の衝撃と教訓/ブランド・企業論(73)

日産自動車再建の功労者(だったはずの)カルロス・ゴーン氏が東京地検特捜部に逮捕された。
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東京新聞11月20日

有価証券報告書に自分の報酬を過少に虚偽記載していた疑いだという。
「ゴーンよ、お前もか!」という感である。
当然のことながら、日産自動車の株価は急落した。
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大部分のビジネスパーソンが、「まさか!」と思うだろう。
レバノン出身のブラジル人で、日仏の代表的な企業の代表を務めた人物である。
昨年1月には日本経済新聞の「私の履歴書」欄に登場し、それをベースにした著書も出ている。
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日本経済新聞社(2018年3月)

まさにカリスマと呼ばれるに相応しい経営者だ。
そのカリスマが日本社会の常識からすれば、余りに多額の役員を得ていた。
にもかかわらず、それを少しでも少なく見せたかったのだろうか。

余りに強い権力の集中による驕りだろうか?
権力は腐敗する。絶対権力は絶対に腐敗する。
改めて噛みしめたい。

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2018年2月 4日 (日)

コインチェックに立ち入り検査/ブランド・企業論(72)

仮想通貨取引所「コインチェック」から580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が不正に流出した。
⇒2018年2月 2日 (金) コインチェック経営陣の認識の甘さ/ブランド・企業論(71)
この問題で、金融庁は2日午前、東京都渋谷区のコインチェック本社に、資金決済法に基づく立ち入り検査に入った。
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東京新聞2月3日

 午前7時50分ごろ、金融庁検査官約10人が、報道陣が取り囲んだ同社本社に、裏口から入った。麻生太郎副総理兼財務相は2日の閣議後会見で、「利用者保全を確保するという観点から、経営者やコインチェック社の対応を確認していく」と述べた。
 金融庁はネムの流出が発覚した1月26日以降、コインチェック側から流出の詳しい経緯や、サイバー攻撃を防ぐための安全管理態勢などについて聴取してきた。同月29日には、同社に業務改善命令を出し、安全管理面の改善状況や、再発防止策、責任の所在などについて今月13日までに報告するよう求めていた。
 今回の検査は、コインチェックのこれまでの説明内容を実地で確認するのが狙い。同社は1月28日にネムを預けている全顧客に対し、会社の自己資金を充当して日本円で補償すると発表しているが、裏付けとなる財務内容の説明には不明瞭な点が多いことから、検査で詳しく確認する。
コインチェックに金融庁が立ち入り

昨年4月の同法改正で登録制に移行後、仮想通貨取引所に立ち入り検査が実施されるのは初めてであるが、予想通り管理体制に問題があると言わざるを得ないようだ。
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東京新聞2月3日

仮想通貨ブームに水を差してたのは間違いないだろうが、加熱していたとも考えられるので少し冷静になれば良いだろう。

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2018年2月 2日 (金)

コインチェック経営陣の認識の甘さ/ブランド・企業論(71)

仮想通貨の話題が賑やかになってきたのは私にも感じられた。
そこで1月19日に「当面仮想通貨に投資する気はないが、ウォッチしておこう」と、心づもりを書いた。
⇒2018年1月19日 (金)  仮想通貨はどうなっていくのか?/技術論と文明論(90)

ところが現実の動きは急で、ゆっくりウオッチングしている間もなく、コインチェックの不正流出事件が起きてしまった。
⇒2018年1月28日 (日)  コインチェックから仮想通貨が580億円分不正流出/技術論と文明論(91)
⇒2018年1月31日 (水)  コインチェックの仮想通貨・分散送金か?/技術論と文明論(92)
この話題はマスメディアの格好のテーマになっているようであるが、帰趨はまだ予測できないと言うべきであろう。

しかし、何となく「起こるべくして起きた」事件という感じがする。
それは、金額の規模に比較して、コインチェックのセキュリティ管理が甘いようだったからである。
それと共に、コインチェック経営陣は、神妙に頭を下げて謝罪しているものの、流出してしまった事態を甘く見ているのではないかという印象を拭えなかった。

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 インターネット上で確認できる取引記録によると、26日午前0時ごろからの約20分間に被害のほぼ全額に当たる約576億円相当のネムが特定のアドレスに流出。同日午前2時57分からの約30分間には、このアドレスから八つのアドレスに分散して送金された。さらに約20時間後の午後11時42分には、九つ目となるアドレスに2次送金されていた。
 コインチェックによると、同日午前11時すぎには社内で異常を感知し、午後11時半ごろから記者会見で被害を発表。九つめのアドレスへの送金は会見中になる。
コインチェック巨額流出、記者会見中もNEM2次送金 分散、9アドレスに

記者会見の最中に新たなトランザクションがあったのでは、シャレにならない。
ノンフィクションライターの窪田順生氏は次のように言っている。

 要するに、「危機は管理できる」という妄想にとらわれた時点で、「危機」を自分たちが理想とするシナリオで収束できるのではないかという甘い期待を抱いてしまうのだ。
 先日会見したコインチェックの経営陣は、まさにこの「罠」に陥っていたように見受けられる。
 セキュリティが甘かったのではという質問に対して、安全性の高いセキュリティシステム・マルチシグの「準備に至れていなかったという形」という回答でやりすごそうとした大塚雄介COO(最高執行責任者)は、「今の説明でお客さんが納得するかと思うか」と厳しく追及され、30秒ほど絶句してしまった。
 被害者の怒り、社会の不信感というものを真正面から受け止めていれば、こんな言葉遊びのような釈明は出てこないが、「危機」を「管理」できるという妄想にとらわれたことで、自分たちが望む答え方でスルーしてくれるのでは、と見込み違いをしてしまったのだ。
 断っておくが、大塚氏やコインチェックの経営陣が無能だと断じているわけではない。
 どんなに頭脳明晰でも、どんなに優秀なカリスマ経営者であっても、1人の人間である。人間というものは、目の前で起きている「危機」をある程度コントロールできると思ってしまった時点で「奢り」が生まれる。その奢りは、「どうすれば自分たちの被害を最小限に抑えられるか」、「この状況でも、なるべくいい印象を与えておきたい」といったスケベ心を生んでしまう。
 ややこしい話だが、「危機」に臨む際にそのようなスケベ心を持っていると、燃えている火に灯油をぶっかけるような事態となり、新たな「危機」を引き起こしてしまう、ということを申し上げたいのである。
コインチェック、はれのひ…炎上謝罪会見を生む「傲慢な思い違い」

これはかなり好意的な見方であると思う。
パソコンショップなどで、分からないから聞いているのに、「そんなことも知らないの?」というような対応をするスタッフがいるが、その時と同じような感じを受けるのである。
「自己資金で弁済する」という発言も、返せば問題ないだろうと言っているように聞こえる。
仮想通貨全体の信頼性を毀損しているという自覚がないようである。

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2017年12月25日 (月)

「今年の漢字」に対する私の違和感/ブランド・企業論(70)

年末の恒例行事となっている日本漢字能力検定協会のキャンペーン「今年の漢字」。
2017年の世相を表す「今年の漢字」は、「北」とされ、「漢字の日」にあたる12月12日、京都・清水寺で発表された。
例年のように、清水寺の森清範貫主が揮毫したが、森貫主はその場で知らされるという。
言わば、ぶっつけ本番である。

1位の「北」には7104票が集まった。北朝鮮のミサイル発射や核実験の 強⾏、九州北部豪雨、北海道産のじゃがいもの不作、北海道日本ハム の大谷翔平選手や清宮幸太郎選手、競馬キタサンブラックなどが選ばれた理由として挙げられた。
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今年の漢字は「北」 その理由は?

まあ、一種の遊びであろうからどうこういうこともないだろうが、理由がいかにも無理しているような感じがする。
松尾貴史氏が次のように言っているが、同感である。

 もう少し、「なるほど」とうなずける文字はなかったのか。確かに、「北」朝鮮の行儀の悪い挑発には辟易(へきえき)させられたが、そんなもので今年を象徴されるのは片腹痛い。九州「北」部豪雨というのもこじつけが過ぎるのではないか。まだ「北」海道産のジャガイモの不作のほうが「北」の意味がストレートだが、今年の漢字の理由に数えるのは無理やりな気がする。
・・・・・・
 とはいえ、これは一般公募で多数だったという決定であって、審査員が選ぶようなシステムならば別の文字が選ばれた可能性も高いと思う。逆にいえば、これは政権による「北の脅威を煽(あお)ること」が成功している証しなのかもしれない。
 私が今年の漢字を投票するなら、「隠」だろうか。資料、書類、証拠を「隠(いん)」蔽(ぺい)し、逆に証拠「隠」滅も逃亡の恐れもない森友学園の籠池泰典氏を「隠」すために、さながら禁錮刑のような扱いで閉じ込め続け、疑惑満載の加計学園の加計孝太郎理事長や安倍晋三総理大臣の妻昭恵氏は「隠」れ続けた。これほど「隠」し事が取りざたされる一年も無かったのではないか。
 「操」という漢字も捨てがたい。「印象操作はやめていただきたい」と言っていた人の繰り出す印象「操」作の数々に、翻弄(ほんろう)され続けた一年でもあった。経済政策がうまくいっているふりをするための株価「操」作や、各交通機関の「操」作ミスも多かった。裁判所や警察、原子力規制委員会、検察審査会、一部の報道機関が、政権に「操」られているのではないかと感じることも多かった。
 もうひとつ、「難」という字もふさわしいかもしれない。「国難突破解散」と、自身の「難」を隠すためとしか思えない奇妙な解散をして、彼自身が国「難」であることを指摘する人も多かったが、与野党の非「難」合戦もかまびすしかった。官僚たちの「難」解な答弁にあきれた。日本海の「難」破船や遭「難」者の増加もあった。山中伸弥教授らによる研究で「難」病の治療法に光が差したということもある。
松尾貴史のちょっと違和感

いずれにせよこじつけ感が残るのは、そもそも漢字一字で代表させることに無理があるのだろうが。
私は一字という制約を外せばもう少し考えようがあるように思う。
例えば、「排除」である。
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東京新聞12月24日

驕慢な小池都知事の言動や安倍首相の「こんな人たち」という言葉を忘れないためにも。
ついでに「今年の漢字」に比べるとマイナーではあるが、「大人げない発言大賞」というアワード(?)がある。

 今年もまた貫禄の大人げない発言を連発して、我が国の大人げないシーンを力強く牽引してくれたのが、安倍晋三首相です。さすが我らがリーダーです。
 とくに着目したいのが、2月に衆院予算委員会で、森友学園をめぐる疑惑を追及された際の発言。
「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい」
 安倍首相自身や昭恵夫人が「何の関係もなかった」と言い張るにはどうしても無理があります。安倍首相には「なぜこんなに強気だったのか不思議で仕方ないで賞」と、もっとも栄誉ある(?)「金賞」を贈らせてください。盾とか賞状とかはありませんが、気持ちだけでも受け取っていただけたら幸いです。Ws000000
安倍首相が金賞! 「大人げない発言大賞」を石原壮一郎が選んだ

「今年の漢字」に比べれば、よほど納得的である。

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2017年12月 2日 (土)

東レよ、お前もか?/ブランド・企業論(69)

東レが11月28日、子会社がタイヤなど形状を維持するための補強材の製品検査データを不正に改ざんしていたと発表した。
13社の顧客に対し、2008年4月から16年7月までの8年3カ月間に計149件の品質数値の書き換えが行われていたとのことだ。
東レと言えば、経団連の現会長榊原定征の出身企業であり、日本の化学会社の代表である。
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東京新聞11月30日

 同社の発表によると、書き換えが行われた製品はタイヤ用、自動車のホース・ベルト用、抄紙用のコードと呼ばれる補強材。子会社の東レハイブリッドコードが、タイヤメーカーや自動車部品メーカー、抄紙用フェルトメーカーに製品を納入する際に、顧客との間で取り決めた規格から外れた製品の品質データを規格内の数字に書き換えていたという。現時点では法令違反や安全に問題のある案件は見つかっていないとしている。
 不正は16年7月に行われたコンプライアンス調査の結果で発覚。都内で会見した東レの日覚昭広社長によると、当初は法令違反や安全上の問題はなかったことなどから公表しない方針だったという。しかし、11月3日にインターネット掲示板上での書き込みがあり、一部株主からの問い合わせもあったことから発表に踏み切ったと話した。
東レ:子会社が製品検査データを不正改ざん、8年間で149件

ここしばらく、神戸製鋼、、日産、三菱マテリアルなど日本を代表するメーカーの不正が続いている。
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東京新聞11月29日

東レの日覚社長の言い方には違和感がある。
安全性や社会への影響云々というよりも、ルールに抵触しているかどうかの問題である。
榊原氏の社長・会長在任中の事案であり、不正は承知していなかったというが、責任は免れまい。
天皇退位の日程が決まったが、平成も終わろうとする時期に、日本の製造業が揺らいでいる。
時代の変わり目ということだろうか。

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2017年7月 4日 (火)

原子力事業で破滅の危機の東芝(9)上場維持の条件/ブランド・企業論(68)

一部市場から姿を消すことになった東芝。
原発事業に執着したツケは余りにも大きい。
⇒2017年6月27日 (火):原子力事業で破滅の危機の東芝(8)2部降格と半導体事業の行方/ブランド・企業論(67)

しかし、二部降格で済むかどうかは予断を許さない。
上場維持の条件は次のようである。
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東京新聞6月24日

虎の子の半導体メモリーの売却という判断であり、売却自体はやむを得ないだろう。
しかし、売却先については、日経新聞の社説でさえ次のように案じている。

 巨額の投資が必要な半導体事業は、財務力の弱った東芝から切り離し、新たなスポンサーのもとで再出発するほうが事業の発展につながるという判断もある。
 ここまではひとまず理解できるとして、疑問が多いのが実際の売却案だ。東芝取締役会は先週、政府系ファンドの産業革新機構を軸にした「日米韓連合」との売却交渉を優先的に進めると決めた。
 同連合は革新機構のほか日本政策投資銀行と米ベインキャピタルが出資者に名を連ね、韓国半導体大手のSKハイニックスもベインに資金協力する形で参画する。
 疑問の第一は連合の中核である官製ファンドの革新機構に半導体のような世界を相手に戦うグローバル事業を経営できる力があるのかどうかだ。同機構の主導でつくった液晶会社のジャパンディスプレイは経営不振が続いている。
 綱川社長は技術流出を招かないことを買い手の条件にあげるが、そうであるなら、SKが参加するのもよく分からない。「我が社の技術を不正に取得した」として3年前に東芝が損害賠償を求めて訴えた当の相手がSKである。
 東芝のメモリー事業の長年のパートナーである米ウエスタンデジタルとの対立も気になる。同社は米国で売却手続きの一時停止を求めて提訴しており、ここで東芝が負ければ、売却そのものが宙に浮くかもしれない。これ以上の迷走はお互いメリットがなく、溝を埋める努力が双方に必要だろう。
 最後に仮に交渉がまとまったとしても、来年3月末までに世界各国の独禁当局の許可を得て、売却を実施できるのかという不確定要素は残る。経営とは予見できない未来に向けて複数の選択肢を用意しておくことだ。「債務超過回避による上場維持」が果たせない場合を想定したプランBを東芝経営陣は持っているのだろうか。
日本経済新聞6月29日

東芝はWD社を提訴するという強硬策にでた。
Wd170629
東京新聞6月29日

吉と出るか凶と出るかは分からないが、追い込まれた結果のデシジョンであることは間違いないだろう。
長年のパートナーと泥沼の争いをするところに明るい展望はないように思える。

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