知的生産の方法

2017年12月12日 (火)

組み合わせの論理/知的生産の方法(166)

俳句の基本的な作り方に「一物仕立て」と「取り合わせ」がある。
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夏井いつき『夏井いつきの超カンタン! 俳句塾』世界文化社 (2016年7月)

「一物仕立て」は季語に関連することだけで構成するものであり、「取り合わせ」は季語と他のことを組み合わせる。
夏井氏の講演会を聴いたことがあるが、初心者におススメなのは「取り合わせ」である。
季語には5音(4字+切れ字を含む)が多数あるから、別の12音を考えて季語と組み合わせれば一句できるというわけである。

確かに俳句 らしきもの(季語が入っている5・7・5)はできる。
しかし、実際に試してみるとなかなか思うようにはいかない。
やはり「取り合わせの妙」が重要ということである。

KADOKAWAで出している「俳句」という雑誌の12月号が「取り合わせ」を特集している。
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「取り合わせ」は簡単なようで奥が深い。
「創造とは、既知のことの新奇な組み合わせ」という言葉を実感する。

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2017年11月 2日 (木)

暗号革命と素数(3)RSA暗号/知的生産の方法(165)

暗号の要諦は、次のように言える。
1.暗号文は解読ルールを知らない人間には、分かりにくい程良い。(保秘)
2.暗号文による伝達は確実に伝わる程良い。(伝達性)
⇒2017年7月12日 (水): 暗号革命と素数(1)暗号化の基礎/知的生産の方法(161)

この2つの要件は、基本的に両立が難しい。
保秘は分かりにくさを旨とし、伝達性は分かり易さを旨としているからである。
この両立が、素因数分解を応用することで可能になった。
現在のところ大きな数を素因数分解できる効率的な方法は見つかっていない。
2つの素数 P と Qを掛けて P×Qを求めることは簡単にできるが、逆に掛けた結果の P×Q から P と Qを効率的に求めることは極めて難しい。
⇒2017年8月26日 (土):暗号革命と素数(2)大きな数の素因数分解/知的生産の方法(162)

科学雑誌「Newton]2013年4月号の『素数のふしぎ』という特集に、インターネット時代の暗号方式である「RSA暗号」の簡潔な紹介があった。
RSA方式では、公開鍵をウェブサイトの利用者に送り、利用者はこの鍵を使った計算で暗号化を行い、ウェブサイトに送る。
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RSA暗号では、ウェブサイトの公開鍵がインターネット上で公開されており、その公開鍵で暗号化している。
素因数分解という昔教わったことがある誰でも知っている方法であるが、「巨大な数の約数を発見すこととが非常に難しい」という事実によって、取引の安全性が担保されているのだ。
素数の世界は不思議が一杯である。

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2017年11月 1日 (水)

「見立て」の手法・再論/知的生産の方法(164)

前に「見立ての手法」について触れたことがある。
⇒2013年5月 7日 (火):「見立て」の効用/知的生産の方法(53)

NHKの朝の連ドラ『ひよっこ』オープニングで典型的な「見立ての手法」が使われていた。
桑田佳祐さんの歌が流れている時に使われていた田中達也さんのミニチュア写真の映像である。
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『ひよっこ』タイトルバックも担当 ミニチュア写真家・田中達也の展覧会

このように「A」をまったく別の「B」として見立てることは、文芸のレトリックとして広く用いられてきた。
例えば紀貫之は「さくら花散りぬる風のなごりには水なき空に波ぞ立ちける」と空に波が立つと見立てた。

レトリックは言葉の技術であるが、言葉は思考の乗り物であるから「見立て」は思考の方法論でもある。
日本人は、本歌取りのように、 「A」と「B」を同時に意識する手法が殊に好きだと言われる。
それが文化に奥行きをもたらしたのだという説もあるがどうだろうか?

この「見立て」の力に卓越していたのが、梅棹忠夫さんである。
梅棹さんは産業の発達を生物の器官の発達に擬えた。

人類史において,文明の初期には,まず農業の時代があり,そこでは,食糧の生産が産業の主流をしめた。やがて工業の時代がおとずれ,物質とエネルギーの生産が産業の主流をしめるようになった。つぎに産業の主流をしめるようになるのが,情報産業である。経済的にも,情報の価値が,経済のもっともおおきい部分をしめるようになるであろう。
⇒2009年4月10日 (金):「情報産業論」の先駆性

 

梅棹さんが世界の識者に先駆けて、このような見通しを発表したのは1963年であった。
まさに『ひよっこ』の時代である。
そして、情報産業という概念がその後の日本の電子産業の隆盛を導いたとも言われる。
現在、老若男女こぞってスマホやタブレットなどの情報端末を片時も離さず、AI(人工知能)の話題が溢れていることを思えば、見事に的を射抜いた先見性であった。

かし今や電子業界は苦戦を余儀なくされている。
のみならず、「失われた〇〇年」が続いているように、産業界もしくは社会全体が停滞している。
この停滞を打破するためにはアップル社のキャンペーンで言うように、「Think Different」が重要であろう。

しかし、言うは易く、行うは難し。
どうすればいいのだろうか?

創造的発見は、既知のものを新しい視点から見たり、新しく見聞したことを自分の問題のヒントすることが重要だと言われる。
梅棹さんは、若い時から登山や探検を通じ、見慣れぬ世界に身を置いてきた。
そのことが、もの見方・考え方を鍛えたと考えられる。
政府はインバウンドに注力しているが、創造性を涵養するためには、アウトバウンドにも力を入れるべきであろう。

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2017年9月 9日 (土)

熱力学第二法則と量子力学/知的生産の方法(163)

熱力学は物理学や化学の基礎である。
特に熱力学第二法則は「エントロピー増大則 」として人口に膾炙している。
つまり現象の非可逆性に関する基礎を示した法則である。
しかしその含意を把握するのは容易ではなく、「煮ようと焼こうと勝手にしやがれエントロピー」という戯れ歌が化学系の学生に広く伝わっている。

不可逆性とは次のような現象を指す。
・室温の空気中の熱 いコーヒーは、放っておけば冷めて行くが、その逆の冷めたコーヒーがひとりでに熱 くなることはない。
・コップに垂らしたインク滴は均一に拡散して行くが、その逆の拡散したインクがひとりでに濃いインク滴にはならない。

熱力学はマクロな現象に関する法則性である。
マクロ現象の運動に関するニュートン力学は、分子や原子などのミクロな現象に関する量子力学とは別である。
マクロな系の不可逆性は、時間可逆なミクロな基礎法則から、どのように説明されるのか? 
いわゆる「時間の矢」の起源の解明は、現代科学の基本問題である。
Photo_2http://ridb.kanazawa-u.ac.jp/public/detail.php?id=2499

東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の伊與田英輝助教、金子和哉大学院生、沙川貴大准教授は、な世界の基本法則である量子力学から、理論的に導出することに成功しました。これは、極微の世界を支配する「量子力学」と、日常を支配する「熱力学」という、二つの大きく隔たった体系を直接に結び付けることに成功した。

 本研究では、量子多体系の理論に基づき、単一の波動関数(注4)で表される量子力学系において、熱力学第二法則を理論的に導きました。従来の研究とは異なり、カノニカル分布などの統計力学の概念を使うことなく、多体系の量子力学に基づいて第二法則を導出したことが、本研究の大きな特徴です。さらに、ゆらぎの定理と呼ばれる熱力学第二法則の一般化を、同様の設定で証明することにも成功しました。
 本研究の成果は、量子力学だけに基づいて不可逆性の起源を理解する大きな一歩となるのみならず、冷却原子気体など高度に制御された量子多体系の非平衡ダイナミクスの理解にもつながると期待されます。
東大、量子力学から熱力学第二法則を導出することに成功

詳細は理解不能であるが、エントロピー生成の時間依存性の計算結果が下図で示されている。
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2017年8月26日 (土)

暗号革命と素数(2)大きな数の素因数分解/知的生産の方法(162)

【2017年7月12日 (水):暗号革命と素数(1)暗号化の基礎/知的生産の方法(161) 】から続く。

因数分解を初めて教わった時、何だか大人の世界の扉が開いたような気がしたことを覚えている。
算数から数学への変化の実感であったのだろうか。
因数分解の一種に、素因数分解がある。
正の整数、すなわち自然数を素数の積で表すことである。

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3分でわかる!素因数分解とはなんだろう??

つまり、自然数を素数の因数に分界することであり、素数の因数すなわち素因数である。
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例えば、35=5×7であるから
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自然数は正の整数のことであり、0や負の整数は含まない。Photo_3
中学1年生のガンバレ数学!90点コース

上図のように、0は自然数ではない。
素数とは、約数が1と「その数自身」の2つだけである自然数のことであり、2、3、13などである。
1は約数が1だけなので素数ではない。

12を素因数分解すると、2・2・3になる。
12=3×4であるが、4は素数ではないから素因数分解ではない。
12や35=5・7などの比較的小さな自然数ならば、素因数分解は容易である。

それでは、6887 はどう素因数分解されるだろうか?
2つの素数に分解できるが、簡単には思いつかない。
現在のところ大きな数を素因数分解できる効率的な方法は見つかっていない。
2つの素数 P と Qを掛けて P×Qを求めることは簡単にできるが、逆に掛けた結果の P×Q から P と Qを効率的に求めることは極めて難しいということである。

6887=71×97
であるが、簡単には思いつかない。
この素因数分解の難しいことが、現代の暗号技術の革命の基礎となった。

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2017年7月12日 (水)

暗号革命と素数(1)暗号化の基礎/知的生産の方法(161)

素数について、初めて学校で教わった時の記憶がない。
ちょっと調べてみたら、以下のような図があった。
Photo_3
算数の系統表の一部 (新学習指導要領における算数・数学内容系統一覧表より抜粋)

つまり、小学校5年の教程に位置づけられている。
遙かな昔であるが、小学校の担任教師の顔を思い浮かべても、素数にまつわるエピソードをまったく思い出さない。
しかし、この素数が暗号のパラダイムシフトに深く関係している。

暗号と言って先ず思い浮かべるのは、例えば、ホームズものの『踊る人形』であろう。
森谷明子『春や春』光文社文庫(2017年5月)でも、俳句甲子園を目指す高校生の共通の話題として取り上げられていた。
⇒2017年7月 7日 (金):森谷明子『春や春』/私撰アンソロジー(48)

以下のような図が何を意味するか?
Dancing_men

何かのいたずら書きだろうか?
しかし、ホームズは、これがメッセージだと考え、人形の図形とアルファベットを対応させた。
最初のステップは、英語で最も使用頻度の高い文字「E」の特定である。
ホームズは何とか解読して、対応表を完成する。
古典的な暗号の代表が、文字の置換である。
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このように、暗号化のカギを知っていることが、解読の必要条件である。
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しかし、このカギの安全性をどう担保するか?
カギを盗まれたら、暗号化の意味がなくなる。
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特にインターネットが普及した現代において、「確実な情報伝達」と「情報の保秘」という反対のベクトルの要請にどう応えるかが重要な課題になっている。

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2017年2月20日 (月)

和算と洋算、算数と数学/知的生産の方法(166)

明治維新に伴う学制改革によって、学校教育の内容も江戸時代に発達した和算から洋算へと転換した。
その洋算を先進的に取り入れたのが、沼津兵学校の付属小学校(後の沼津第一小学校)だという。
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「沼津ふるさと通信」(2016年12月20日)

沼津兵学校については、Wikipediaで次のように説明されている。

沼津兵学校は1868年(明治元年)、フランスに倣った軍隊を目指すという目標を掲げ、駿河国沼津の沼津城内の建物を使って徳川家によって開校された兵学校のこと。受講資格は、徳川家の家臣である14歳から18歳ということが原則ではあった。しかし、他藩からの留学生もいたといわれる。初代学長は西周
であり、教師は優秀な幕臣の中から選ばれた。1870年(明治3年)に兵部省の管轄となり、1872年(明治5年)には政府の陸軍兵学寮との統合のため東京へ移転したが、途中で作られた付属小学校は、現在の沼津市立第一小学校の前身である。
沼津兵学校は日本の近代教育の発祥であるとも言われる。

和算は現実の課題を突破するためのもので、具体性を伴っていた。
これに対して、洋算は抽象性を高めることで発展してきた。
その分、実感とは繋がらないものになってきたことも否めない。

算数と数学の違いを、文字式の使用という点に着目すると、抽象度の差異とも言える。
以下、「算数と数学の違いを教育学部の学生がわかりやすく解説 」というサイトの説明を引用する。

算数とは実生活で使えるツールを身につけさせることを大きな目標の1つとしています。

もっとザックリ説明すると「これ知らなかったら、日常生活ですごく困るよね!」ということをしっかり身につけさせるのが小学校の算数の大きな目的なんです。
・四則演算
・時計の読み方
・速さの計算
・割合、「%」の計算
などなど
・・・・・・
数学では「数学という学問を通して論理的に考える力」を身につけさせることを大きな目標としているのです。なので問題の抽象度も一気に上がるのです。

図式化すれば、下記のような対応関係であろうか。
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武谷三男氏の三段階論に倣えば、算数は現象論に近く、数学は本質論に近いと言えよう。
⇒2013年8月11日 (日):三段階論という方法①武谷三男の科学的認識の発展論/知的生産の方法(71)
⇒2013年8月21日 (水):三段階論という方法③庄司和晃の認識の発展過程論/知的生産の方法(73)

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2017年2月11日 (土)

読解力の研究(1)東ロボくんの方向転換/知的生産の方法(165)

東大合格を目指していたロボット(AI)・東ロボくんが方向転換した。
⇒2014年11月 3日 (月):ロボットが東大に入るようになったら/知的生産の方法(109)
⇒2016年11月18日 (金):「東ロボくん」とリベラル・アーツ/知的生産の方法(164)

週刊新潮2月2日号に、プロジェクトリーダーの新井紀子国立情報学研究所教授が、事情を説明する寄稿をしている。
まず、東ロボくんの成績を見てみよう。
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どこに基準を置くかではあるが、普通の高校生としてみれば、まあ立派な成績と言って良いだろう。
代ゼミの理系数学など、偏差値76.2であるから、その限りでは抜群であるし、ベネッセの世界史Bでも、66.3になっている。
このままもう少し頑張れば、東大合格ラインに達するようにも思われる。
しかし、新井紀子情報学研究所教授は、今の延長線上には発展はないと判断した。

今までのアプローチは例えば以下のようである。
英語の短文問題を解けるようにするため、500億語を読ませた。
短文問題とは、空欄の単語を4択で答えたり、語順を正しく並び替える整序問題なのである。
文の数で19億文勉強して、正答率がようやく9割を超えた。
人間とは明らかに違うのだ。

これが2文、3文、整序問題を解くとなると500億の掛け算になり、統計を使っても意味までは分かるようにならない。
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そこで新井教授たちは、脳神経回路の仕組みをもしたものでは限界があるという結論に達した。
そして東ロボくんのレベルに達していない中高生が大勢いることから、中高生対象に読解力をテストすると、案の定著しく読解力が低下していることが分かった。
教科書の読解ができていないのだ。

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2017年1月23日 (月)

「バカの壁」と「バカの力」(2)/知的生産の方法(164)

「Think different」は、「ものの見方・考え方」すなわち思考技術の問題である。
荒俣宏『図像学入門―目玉の思想と美学 』集英社文庫(荒俣宏コレクション( 1998年4月)に、ものの見方として、以下の説明がある。

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 そして、とてもつもなく凄いと思ったのは、図像の見方を3分類するのだが、そのネーミングである。「バカの見方」「ボケの見方」「パーの見方」というのだ。ここでいう「バカの見方」とは、図像が見えるままに認識する。二つの丸の図をみて、大きな丸と小さな丸があると素直に読む。そこに、補助線を引いてみると、その大きな丸と小さな丸が立体になって、この二つの丸は同じ大きさの球体に見えたりする。でも、「バカの見方」をする人は、そんなことは度外視して、大きな丸と小さな丸があると平然といえるのだという。ところが、「ボケの見方」をするひとは、最初は大きな丸と小さな丸と思っていても、「補助線を引いたらどうだ?」と問われると、「そうだな、大きさは同じかもしれない」と考えが動いていく。どんどんと人のペースに乗せられるのがボケの特徴だという。そこへいくと、「パーの見方」というのは、見方がぶっとんでいて、斜線が引いた背景に大小の二つの穴があいていて、そこから向こう側の空白が見える、という見方をしたりするというのだ。
第274歩『図像学入門』荒俣宏著、マドラ出版

クリエイティブとは、「パーの見方」ができるかどうかである、ともいえる。
それは、生田幸士『世界初をつくり続ける東大教授の 「自分の壁」を越える授業 』ダイヤモンド社(2013年7月)流に言えば、どこまで「バカ」になれるか、である。
⇒2017年1月12日 (木):「バカの壁」と「バカの力」/知的生産の方法(163)

差別的な言葉遣いを避けるならば、「馴質異化・異質馴化」である。
人間の視覚は上下反転しただけで、違うように見える。
等価変換理論で有名な市川亀久弥元同支社大学教授は以下のような図を示していた。
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あるいは古代史を考える場合に必須の環日本海という視点。
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環日本海諸国図

ちょっと視線をずらせば、地政学的状況も違って見えて来るかも知れない。
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226.マッカーサーの世界地図

それにしても、「Think different」は容易ではないのが実感だ。

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2017年1月12日 (木)

「バカの壁」と「バカの力」/知的生産の方法(163)

養老孟司さんの『バカの壁』新潮新書(2003年4月)は、新潮新書の創刊の1冊であり、大ベストセラーになってこの新書の成功を約した。
Photo_5「バカの壁」はこの年の流行語となったが、Amazonの紹介には次のようにある。

「人間というものは、結局自分の脳に入ることしか理解できない」、これが著者の言うところの「バカの壁」であり、この概念を軸に戦争や犯罪、宗教、科学、教育、経済など世界を見渡し、縦横無尽に斬ったのが本書である。

この本を意識して書かれたのが、生田幸士さんの『世界初をつくり続ける東大教授の 「自分の壁」を越える授業 』ダイヤモンド社(2013年7月)である。
Photo_6これもAmazonで、次のように紹介されている。

「自分の人生が平凡に思える」「どこかで見たようなアイデアばかり」「結局、二番手以降で終わってしまう―」そんな人にこそ効く。バカの力!「その他大勢」から突き抜ける頭の使い方を東大名物教授が初公開。

一読して共感する箇所が多かった。
例えば、「π型人間」論である。
昔、人間類型を示す言葉として、「T型人間」という言い方があった。
Tの字のタテの棒は、特定の領域における知識が深いことを意味する。
ヨコの棒は、周辺知識が浅いけれども広いことを意味している。

「π型」というのは、タテの棒が2本である。
複数の専門領域を持っていることを意味する。
生田氏によれば、アメリカのエリート層には、複数の学科を出ることはごく普通のことだという。
2つの学科を出ればダブルメジャー、3つの学科を出ればトリプルメジャーである。
生田氏自身は金属材料工学科と生物工学科で学び、大学院は理工学研究科に進んだ。

なぜ「π型人間」が好ましいか?
1997年のアップルコンピュータの広告キャンペーンのスローガンの「Think different」は広く知れている。
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Wikipedia

しかし、現実には「Think different」が難しい。
「同じ」と見るか、「違う」と見るかは相対的な問題である。
⇒2009年8月 8日 (土):「同じ」と「違い」の分かる男

生田氏は山登りを例に、次の3つを挙げる。
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上掲書

企業戦略論の「ブルーオーシャン」は、「違う結果」が得られた場合であろう。
競争の激しい既存市場は「レッド・オーシャン(赤い海、血で血を洗う競争の激しい領域)」であるが、、競争のない未開拓市場は「ブルー・オーシャン(青い海、競合相手のいない領域)」である。
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任天堂を復活させた、ある戦略

「Think different」とは、まさに認識論の問題である。
「I型人間」のような「専門バカ」ではムリな世界と言えよう。

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