原発事故の真相

2017年7月 3日 (月)

原発事故刑事裁判と大津波の予見可能性/原発事故の真相(157)

東京電力福島第1原発事故の刑事責任に対する強制起訴裁判が東京地裁で始まった。
大きな争点は、大津波の予見可能性である。
福知山線事故でも、脱線事故の予見可能性が争われたが、7年余りを要して歴代3社長の無罪が確定した。

 原発事故を巡る捜査では、政府の地震調査研究推進本部が2002年に「三陸沖から房総沖にかけて巨大津波が発生しうる」と指摘した「長期評価」が、東電に津波対策を義務付けるほど信頼できるものだったかがポイントだった。東京地検は13年9月、「学術的に成熟されたものではない」とし、旧経営陣を不起訴とした。これに対し、初公判で指定弁護士側は、東電が実際に長期評価を基に対策を取ろうと、担当者が奔走していた構図を描こうとした。
 08年3月。東電子会社は長期評価を基に、第1原発に最大15・7メートルの津波が来るとの試算を本社に報告。津波対策を担う原子力設備管理部の担当者がすぐに浸水を防ぐための防潮堤の高さについて子会社に検討を指示したところ、敷地の高さ(海面から10メートル)に加えて10メートルの高さの防潮堤が必要との報告を得た。
 この想定は、同部部長だった吉田昌郎(まさお)・元福島第1原発所長(故人)と、担当幹部だった元副社長の武藤栄被告(67)に上げられたが、武藤元副社長は土木学会に想定津波に関する再検討を依頼し、東電としての対策は「先送り」された。
 さらに指定弁護士はこの方針変更が社内でくすぶり続けた点も指摘。08年9月の社内会議では「津波対策は不可避」とのメモが配られ、09年2月には、元会長の勝俣恒久被告(77)や元副社長の武黒一郎被告(71)、武藤元副社長も参加する幹部打ち合わせで、吉田氏が「もっと大きな14メートル程度の津波が来る可能性があるという人もいる」と発言したことも明かした。
強制起訴初公判 津波対策「先送り」争点 東電旧経営陣は否定

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東京新聞7月1日

原発事故を描いた小説に、若杉冽『東京ブラックアウト』講談社(2014年12月)がある。
フィクションではあるが、1つのシミュレーションとしても読める。
この小説では、緊急に運転停止した原発が、非常用電源を失って冷却を継続できなくなり崩壊熱で炉心がメルトダウンする。
⇒2016年8月29日 (月):『東京ブラックアウト』と国会質疑/原発事故の真相(147)

ある部分、福島第1原発事故と共通する。
第1次安倍政権当時の第165回国会において、吉井英勝衆議院議員が「停止した後の原発では崩壊熱を除去出来なかったら、核燃料棒は焼損(バーン・アウト)するのではないのか。その場合の原発事故がどのような規模の事故になるのかについて、どういう評価を行っているか。」と質問した。
これに対し、安倍首相(当時)は、「お尋ねの評価は行っておらず、原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである。」と答弁している。

そして、原子力政策の推進者と現在の政権の中核がオーバーラップしているのだ。
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「週刊エコノミスト」6月20日号

脱原発が世界の趨勢になろうとしているのに、原発利権に執着するのは亡国的である。

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2017年6月 9日 (金)

日本原子力研究開発機構で被曝事故/原発事故の真相(156)

日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター(茨城県大洗町)で放射性物質が飛散して作業員5人が被ばくした。

 原子力機構によると、今回の事故は、最も被ばく量の多い50代男性が点検のため、ボルト留めされた金属製容器のふたを開封したところ、中のビニール袋が破裂して、ウランとプルトニウムを含む粉末が飛散した。他に男性2人がそばで点検の補助をしていた。
 この粉末は、敷地内にある高速実験炉「常陽」(1977年に初臨界)で実験する燃料の試料を作った際に出たくずで、約300グラムあった。粉末はまずポリエチレン製の容器に入れられ、二重のビニール袋で密閉したうえで、金属製容器に入れて91年から26年間保管していた。開封した記録は確認できないという。
 今回の点検は、原子力機構の別の施設で原子力規制委員会から核燃料物質の不適切な管理を指摘されたのを受けて、実施していた。同機構は今回と同様にウランとプルトニウムを含む粉末を保管した金属製容器計21個を点検する計画で、事故が起きたのは最初の1個の点検中だった。
 なぜビニール袋が破裂したのか。出光一哉・九州大教授(核燃料工学)は「ウランやプルトニウムなどは時間がたつと原子核が崩壊し、ヘリウムの原子核(アルファ線)が飛び出す。長期間保管してヘリウムガスがたまり、容器の内圧が高まって破裂した可能性はある」と指摘する。
 原子力機構の関係者もこの可能性を認め「破損の可能性があるポリエチレン製容器を長期保管で使うのはよくなかったかもしれない」と明かした。
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2.2万ベクレル 保管26年、ガス発生か 点検最初の袋破裂

男性職員の肺の被ばく値から、血液や骨、臓器など体全体に取り込まれた放射性物資の総量を算出すると36万ベクレルと推定されるという。
1年間で1.2シーベルト、50年間で12シーベルトの内部被ばくである。
国の基準では、放射性物質を取り扱う作業員の被ばく線量限度を、1年間で0.05シーベルトもしくは5年間で0.1シーベルトと定めている。
年間の被曝量は、国の基準の24倍に相当する。

原研と言えば、一般には最高レベルの研究開発集団だと考える。
それがこのような初歩的ミスを犯すとは、という感じである。
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東京新聞6月9日

再稼働に盲進する前に、安全施策を積み重ねるべきだろう。

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2017年2月17日 (金)

サソリ型ロボ、原子炉直下に到達せず/原発事故の真相(155)

サソリ型ロボットというものが、国際廃炉研究開発機構や東芝によって開発された。
自走式で、前部と後部にカメラがあり、線量計や温度計を搭載している。
累積千シーベルトまでの放射線に耐えられる。
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<福島第1>ロボ 原子炉直下に到達できず

東京電力福島第1原発2号機で、自走式の「サソリ型ロボット」を使った格納容器内部の調査は目標の原子炉直下まで到達できないまま、16日に終了した。2号機は水素爆発した1、3号機より損傷が比較的少ないと見られていたが、格納容器内部にある格子状の足場に穴が見つかるなど破損状況は想定以上に激しく、廃炉作業の難しさを改めて示した。
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福島2号機 想定以上の破損

格納容器を探査するサソリ型ロボットのイメージは下図のようである。
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福島原発自走式のサソリ型ロボット、到着できず

650シーベルト/時というが推定されている。

 ロボットは同日朝、格納容器の貫通部から投入された。圧力容器下部に延びるレール上を走行。内部を撮影しながら、空間線量や温度を計測した。事前調査で毎時650シーベルトの空間線量が推定された地点で実測した線量は毎時210シーベルトだった。
 事前調査のロボットで除去できなかった堆積物を乗り越え前進を試みたが、やや進んだ地点で走行用ベルトの片方に不具合が発生。レールの端までたどり着けなかった。
 目標としていた圧力容器直下の撮影や空間線量の測定はできず、同日午後に調査を打ち切った。ロボットはレール上に残し、回収しない。走行用ベルトが動かなくなったのは、堆積物の破片が挟まったことが原因として考えられるという。
 <福島第1>ロボ 原子炉直下に到達できず

強い放射線量は、核燃料が近くに存在するのだから当然とも言えるが、1分弱で死に至る強度だ。
廃炉作業の難航が予想される。
⇒2017年2月 4日 (土):福島第一原発の廃炉はどうなるか?/原発事故の真相(153)

溶融燃料(燃料デブリ)は確認できなかったが、一歩一歩積み重ねて行くしかない。
再稼働させる前に、廃炉作業を進めるのは当然のことではないか。

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2017年2月 6日 (月)

原発事故の避難者の現状/原発事故の真相(154)

かつて大規模ダム開発が国土政策の花形だった時代がある。
ダムの重要性は減じているわけではないが、水没地域の犠牲が大きすぎることなどから、新たな大規模ダム建設は、事実上不可能になっている。
水没地域の実態を詳しく調査し、当時の補償基準があまりにも不十分であることを明らかにしたのが、不慮の事故で亡くなられた華山謙・元東京工大教授の『補償の理論と現実―ダム補償を中心に 』勁草書房(1969年)であった。

福島原発事故からの避難者のニュースに接すると、かつてのダム水没地域の人たちを思う。
自主避難者の生徒に対して、「補償金をもらっているだろう」とタカリを繰り返していたいじめ事件があった。
⇒2016年11月17日 (木):原発避難者いじめは社会の反映/原発事故の真相(148)

この事件について、被害者生徒の主張に対して、教育委員会は信じられないような対応をしている。
⇒2017年1月25日 (水):横浜市教育委員会の信じられない判断/日本の針路(321)
補償の十分性を云々するレベルには程遠く、半世紀以上も後戻りしているのだ。

政府は次々と避難指示を解除し帰還を進めようとするが、避難先で住宅を取得して移り住む動きが強まっている。
避難住民の多くは厳しい故郷の現実を前に、避難先で落ち着こうとしているのだ。

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 原発事故の避難者は、福島県内外で約八万一千人(昨年十二月現在)と、徐々に減っているとされる。しかし、この数字は仮設住宅や借り上げ住宅の居住者を中心としたもので、必ずしも実態を表していない。元の住居に戻った人は少なく、住まいは安定していても実質的には避難を続けている住民が多い。
 本紙は、避難住民が新たに不動産を取得した際の税の軽減制度の利用件数を把握することで、公表される数字からは見えない避難者の実情をつかむ努力を続けてきた。
 累計グラフの通り、避難先での住宅などの取得件数は、二〇一一年度末の六十六件からどんどん増え、一六年十二月末では前年から約二千百件増の九千五百五十二件になった。
 都道府県別に見ると、福島(八千二百九十件)が最も多く、茨城(三百七十六件)、栃木(百九十三件)宮城(百七十三件)、埼玉(百五十二件)、千葉(九十六件)と続く。福島県を除けば避難者が最多の東京都は、価格問題もあってか七十八件にとどまる。
 福島県税務課の松山政行主幹は「避難指示が解除されても、故郷で自宅を再建するより、避難先で住宅を建てている人も多い。移転先では、避難地域の近くのいわき市が人気だが、最近は住宅確保が難しく、福島市や郡山市にも広がっている」と話している。
福島、指示解除も現実厳しく 避難先移住1万件に迫る

政府は帰還制限を解除しても、生活者、特に子育て世代の不安感は強い。
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東京新聞2月2日

現実に合った政策を進めないと、事故の犠牲者は救われない。

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2017年2月 4日 (土)

福島第一原発の廃炉はどうなるか?/原発事故の真相(153)

東京電力は2月にロボットを投入してデブリの状態を確かめる予定だったが、ロボットを走行させる作業用の台に穴が開いていて、計画の大幅な見直しが避けられない情勢になっている。
⇒2017年2月 3日 (金):核燃料デブリを撮影か?/原発事故の真相(152)

東電が福島第1原発2号機の格納容器内部を撮影した画像を分析した結果、推定で最大毎時530シーベルトを計測したと発表した。
が直接浴びればほぼ即死する線量で、溶け落ちた核燃料デブリを取り出す作業で、最大の障害になる。
ロボットは積算で1000シーベルトの放射線に耐えられるように設計しているというが、限られた時間で、穴を避けつつ調査することになる。
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格納容器内で530シーベルト計測 核燃料取り出す障害に

530シーベルトがいかに強烈な線量か。
原発事故発生後に文部科学省が校庭の利用基準を「年間被曝線量20ミリシーベルト」と設定したことに抗議して、小佐古敏荘東大大学院教授が内閣官房参与を辞任した。

文科省は、児童や生徒らが1日のうち屋内で過ごす時間を16時間、校庭など屋外で過ごすのを8時間とする生活パターンを仮定。年間20ミリシーベルトに到達するのは、屋外で毎時3・8マイクロシーベルト、木造施設の屋内で1・52マイクロシーベルトと算出。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110503/edc11050300540000-n1.htm

3・8マイクロシーベルトは以下により、年間20ミリシーベルトに換算される。

3.8μSv/h=30.4μSv/8h
1.52μSV/h=24.32μSv/16h
(30.4+24.32)μSv/24h×365日=19,972μSv≒20mSv

辞任の記者会見で涙ながらに子供の安全性を訴える小佐古氏の姿が記憶に残っている。
⇒2011年4月30日 (土):小佐古・内閣官房参与が辞任/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(19)
⇒2011年5月 5日 (木):校庭の利用基準をめぐって/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(21)

線量の影響については以下にような絶命がある。
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格納容器内で530シーベルト計測 核燃料取り出す障害に

ミリシーベルト/年とシーベル/時という単位の違いに留意する必要がある。
文字通り桁違いに強い線量を出しているのだ。
福島原発事故の廃炉・賠償費用の見積もりは既に21.5兆円と算定されている。

 経産省が9日示した見積もりでは、廃炉は従来の2兆円から8兆円に、賠償は5兆4000億円から7兆9000億円に、除染は2兆5000億円から4兆円に、中間貯蔵施設の整備費用は1兆1000億円から1兆6000億円にそれぞれ膨らむ。
福島廃炉・賠償費21.5兆円に倍増 経産省が公表

炉の実態が明らかになるに連れ、さらに高騰するのは避けられないだろう。
世耕経産相は「原発が安い」と言っているが、どこまで費用を算定しているのか?
⇒2017年1月29日 (日):不適格大臣列伝(8)世耕弘成経済産業相/アベノポリシーの危うさ(126)

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2017年2月 3日 (金)

核燃料デブリを撮影か?/原発事故の真相(152)

東京電力福島第一原子力発電所2号機の格納容器の内部をカメラで確認する調査が行われ、原子炉の真下にある作業用の床に、黒みがかった堆積物が見つかった。
公開された画像では、網目状の作業台に穴が開いていた。

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東京電力福島第1原子力発電所2号機で、原子炉(圧力容器)から格納容器の中に核燃料が溶け落ちた可能性が極めて高くなった。東電は2月上旬にロボットを投入して溶融燃料(デブリ)の状態を確かめる予定だったが、ロボットを走行させる金属格子の作業用足場に1メートル四方の穴が開いており、計画の大幅な見直しが避けられない情勢だ。
福島原発、底部に穴 核燃料取り出し見通せず

網目がなくなっているのは、事故時の高熱で溶け落ちたものと見られる。

 圧力容器底部に接続する制御棒駆動装置などの構造物やケーブルに大きな損傷は見られなかった。動画では圧力容器底部に開いた穴から冷却水が雨のように降り落ちている様子が撮影された。
 30日の調査は、先端にカメラが付いたパイプを、圧力容器を支える筒状の台座(ペデスタル)の入り口に差し入れた。今後は調査で得た情報を基に、当初2月中の投入を予定していたサソリ型ロボットの走行ルートなどを再検討し、改めて投入の可否を判断する。
 物質を透過する宇宙線を使った調査などでは、2号機は溶融燃料の大半が圧力容器内にとどまっている可能性が高いとみられている。

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<福島第1>溶けた核燃料か 堆積物撮影

メルトダウンしたと思われる映像であるが、どこがどう損傷しているかは、分からないということである。
デブリ再現実験をフランスで進めるということだが、再稼働の前にやるべき課題は山積している。
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日本経済新聞1月15日

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2016年12月14日 (水)

原発の事故対応コストを社会化するな/原発事故の真相(151)

経産省が2016年12月9日に示したところによると、福島原発事故のコストが21.5兆円になる。
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東京新聞12月13日

にもかかわらず、世耕・経産大臣は、原発は安いとの発言を2016年12月7日におこなっている。

世耕経産大臣:「色んな費用を全部、含めたとしても発電単位あたりのコストは原発が一番、安いと考えている」
世耕大臣「原発コスト安い」強調…廃炉費用増加でも

いつまでこんなことを言っているのだろうか。
大島堅一立命館大学国際関係学部教授(環境経済学)の説明を見よう。

原発のコスト計算の方法には、1)実績コストを把握する方法と2)モデルプラントで計算する方法の2つがある。
2)の方法で計算した値は、政府のコスト検証ワーキンググループが2015年に試算したものが最新だ。ここでは、原発のコストを10.1円/kW時としている。おそらく世耕大臣は、この計算結果を言っているのだろうと思われる。
政府の計算には、いくつもの前提があって問題点もあるが、長くなるのでここでは詳しくは述べない。さしあたってこの計算方法の特徴を一言でいえば、想定や計算式で数値は変わってくる。
原発の実績コスト
これに対して、実績コストは、想定も何もないので誰が計算しても同じになる。過去の原発のパフォーマンスを知るのに最適だ。
では、原発の実績コストはどれくらいなのだろうか。
まず、発電コスト。これは、電気料金の原価をみれば把握することができる。データは、電力各社の有価証券報告書にある。また計算方法は、電気料金を算定する際にもちいる省令に書いてある。この2つをもちいて計算する方法は、室田武・同志社大学名誉教授が開発した。計算すると、8.5円になる。
次に、政策コスト。原発には、研究開発費や原発交付金といったものに国費が投入されている。つまり国民の税金だ。財政資料を丹念にひろうとこの費用も計算できる。これは1.7円。
最後に、事故コスト。これは経産省により21.5兆円という数値がでた。そこで、これまでの原発の発電量で割って単価を計算すると、2.9円となる。
つまり、原発のコスト=発電コスト+政策コスト+事故コストで、13.1円(kW時当たり)となる。
他の電源は
原発以外の電源も計算すると、火力は、発電コスト9.9円、政策コスト0.0円(値が小さいので四捨五入するとこうなる)で合計9.9円。
一般水力は、発電コスト3.86円、政策コスト0.05円で合計3.91(ほぼ3.9)円だ。
これらのコストも原発のコストと同じように計算できる。
計算結果のまとめ
以上をまとめると、原発(13.1円)>火力(9.9円)>水力(3.9円)。つまり、過去の実績(1970-2010年度)でみると、原発は安い、どころか、原発は最も経済性がない電源だったと言える。
それでも安いのなら電力会社が払うべき
原発は、政策コストと事故コストが大きい。これは、結局、ほとんどを国民が払っている。
「原発が安い」というのは何故か。それは、原発のコストを電力会社が全て負担しているわけではないからだ。
最終的に負担しているのは国民。つまり、電力会社にとっては安くても、国民にとっては高いのが原発、ということになる。
もし仮に、今でも原発が安いというのであれば、原発に対する国の支援を全て止めるべきだ。東京電力を含む電力会社は、事故コストを含む全てのコストを自分で払うべきだろう。それが資本主義のルールなのだ。
原発は高かった~実績でみた原発のコスト~

科学は基本的に倫理によっている。
原発は、科学の精華であるといっても良い。
しかし、(自民党の)政治家は、原発になると、とたんに非論理的である。
社会的費用を内部化しないで、「安い、安い」と言うのは、1960年代の公害と同じ構造である。
半世紀以上、自民党のアタマは停滞したままのようだ。

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2016年11月23日 (水)

「3.11」は終わっていない/原発事故の真相(150)

昨日の福島沖地震は、「3.11」が未だに渦中にあることを認識させた。
確かに、福島第二原発の使用済み燃料プールの冷却水が一時的に停止したものの、大事に至らずに済んだ。
⇒2016年11月22日 (火):福島原発事故の汚染水対策を急げ/原発事故の真相(149)

しかしそれは、多分に僥倖だったと考えるべきではないのか。
復興庁復興推進委員会委員長代理を務めた政治学者の御厨貴氏は、復興の指針として「災後」の概念を提唱し、単行本として『 「戦後」が終わり、「災後」が始まる』千倉書房(2011年11月)を著した。
しかし、「戦後」は終わっていない、というよりも敗戦が続いている(=永続敗戦)。
⇒2016年6月 6日 (月):伊勢志摩サミットとは何だったのか/永続敗戦の構造(2)

福島第一原発事故も、メルトダウンした核燃料(デブリ)の最終処分をどうするか、方針さえ決まっていないのだ。
⇒2016年8月 1日 (月):『シン・ゴジラ』と福島原発事故/技術論と文明論(60)

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東京新聞11月23日

福島原発事故はまさに現在進行中の事態であることを再認識すべきであろう。
私は、「自然の怒り」だとか「神の意思」のような表現は使いたくない。
しかし、自然に対して敬虔な態度を失ってはならないだろう。
福島原発事故が収束していないままで、原発を再稼働させたり、他国に輸出したりする神経を持ち合わせていない。

奇しくも斎藤美奈子氏が『シン・ゴジラ』や『君の名は』のヒットを自然災害の記憶と関連づけて論じている。
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東京新聞11月23日

自然災害に対して、「怖れ」を失ってはならないだろう。

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2016年11月22日 (火)

福島原発事故の汚染水対策を急げ/原発事故の真相(149)

今払暁、福島県沖でかなり大きい地震があった。

 22日午前5時59分ごろ、福島県沖を震源とする地震があり、福島、茨城、栃木3県で震度5弱、北海道から中国地方までの広い範囲で震度4~1を観測した。津波警報や注意報が青森県から千葉県にかけての太平洋岸と伊豆諸島に出され、沿岸部の住民らが避難。同8時3分に仙台市の仙台港で最大1.4メートルの津波を観測した。気象庁によると、震源地は福島県いわき市の東北東沖約70キロで、深さは約25キロ。地震の規模を示すマグニチュード(M)は7.4と推定される。
福島震度5弱  仙台津波1.4m 「東日本」以降最大

いやでも東日本大震災のことが頭を過る。
関係はどう考えられるか?

Ws000000 気象庁の中村浩二・地震情報企画官は記者会見で、「東日本大震災以後、陸側のプレートが東側に伸ばされる形で動いている影響で、福島県沖や茨城県沖などの地域では正断層型の地震が増加する傾向にある」と指摘。「大震災の1カ月後に発生した福島県浜通りの地震(M7.0)と同じタイプ」と説明した。
 今回の津波について、安倍祥(よし)・東北大災害科学国際研究所助手(津波工学)は「震源が浅く、地震の規模も大きかったため津波が高くなった」と話した。政府の地震調査委員会委員長を務める平田直・東京大教授は「今後も同規模の地震が起こる可能性もある。地震や津波に十分な警戒を続けてほしい」と呼びかける。
福島震度5弱 震源浅い正断層型

幸いにして大きな被害は出なかったようであるが、肝を冷やした人も多かったのではなかろうか。
福島第二原発の使用済み核燃料プールの冷却装置が自動停止した。

 原子力規制庁によると、午前6時10分ごろ、福島第2原発3号機の使用済み核燃料プールの冷却装置が自動停止し、核燃料を冷やす水の循環ができない状態となった。
 3号機の使用済み核燃料プールには2544本の核燃料が貯蔵されており、うち184本が新燃料。停止当時のプールの水温は28.7度で、1時間に0.2度ずつ上がると予想され、運転上の制限値である65度に達するまでには1週間程度の余裕があった。
 核燃料の発熱量が少なかったため、すぐさま危険な状態には至らなかったが、午前7時47分に冷却用のポンプが再起動し、冷却が再開されるまで実に1時間半にわたって現場には緊張が走った。
早朝の列島に悪夢再び…福島第2核燃料冷却装置が一時停止

安倍首相が東京五輪招致のプレゼンで、汚染水はコントロールされていると世界に発信してから2年半が経つ。
⇒2014年5月17日 (土):汚染水は完全にブロックされている?/原発事故の真相(113)
しかし汚染水は外洋に垂れ流されているのである。
⇒2015年2月26日 (木):汚染水はコントロールされていない/原発事故の真相(128)

東京電力が、21日に福島第一原発1~4号機の周囲に造られた凍土遮水壁の地中の様子を報道陣に公開したばかりである。
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東京新聞11月22日

凍土壁の運用開始から8カ月経つが、効果は疑問である。
ケーブルや配管を収納する地下トンネルによって凍結管が貫通できず、その部分が凍結できないため、汚染水が抜けるのだ。
建屋への地下水流入は下図のようである。
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東京新聞11月22日

東電は山側の凍結を増やすと言うが、効果は限定的であろう。
今朝の地震では被害が出なくても、いつもそうとは限らない。
一刻も早く汚染水を止めるべく、事故を収束させる対策を優先させるべきである。

見せられた地点の土は確かに凍っていた。しかし、凍結が進むにつれ、減っていくはずの建屋地下への地下水の流入は一向に減らない。運用開始から八カ月、三百四十五億円の税金を投じた対策の効果は表れていない。

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2016年11月17日 (木)

原発避難者いじめは社会の反映/原発事故の真相(148)

東京電力福島第1原発事故で福島県から横浜市に自主避難した中学1年の男子生徒(13)がいじめを受けていた。
代理人の弁護士が15日、男子生徒の手記を公表し、代読した。
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東京新聞11月16日

 手記は不登校になっていた昨年7月、小6の時に書いた。小2で自主避難した直後から名前に菌を付けて呼ばれるなどのいじめを受けており、「ばいきんあつかいされて、ほうしゃのうだとおもっていつもつらかった。福島の人はいじめられるとおもった」とつづった。
 小5の時に「(原発事故の)ばいしょう金あるだろ」と言われ、同級生らの遊興費などを負担したことについては「ていこうするとまたいじめがはじまるとおもってなにもできずにただこわくてしょうがなかった」としている。
 いじめの内容では「いつもけられたり、なぐられたりランドセルふりま(わ)される、かいだんではおされたりしていつもどこでおちるかわかんなかったのでこわかった」と訴えた。
 学校側に何度訴えても対応してもらえなかったことにも触れ、「いままでいろんなはなしをしてきたけどしんようしてくれなかった」「(先生に)むしされてた」と悔しさをにじませた。
 手記の後半では「いままでなんかいも死のうとおもった」としつつ、「でも、しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた」と書いている。
生徒が手記公表「しんさいでいっぱい死んだからいきるときめた」 弁護士が涙の代読

日本という国は、弱者に対して、冷たい国になってしまったのだ。
福島県は自主避難者に対する住宅無償提供を打ち切る方針を発表している。21611092
東京新聞11月9日

2つの出来事には因果関係はない。
しかし自主避難者に対して冷たい公的な対応が、子供社会におけるイジメにまで繋がっているのだろう。
それにしても教師たちは、生徒の行動の何を見ているのだろうか?
多少注意力を発揮すれば、分かるはずのことが分からないで過ぎて行く。

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