思考技術

2017年2月25日 (土)

森友学園スキャンダル(5)/アベノポリシーの危うさ(139)

学校法人「森友学園」が小学校用地として取得した国有地の取引は、異例さが際立っている。
次から次へとまさに「疑惑のデパート」の観を呈している。

大阪市の24日の衆院予算委員会では、開校時期や財務状況に配慮した前例のない手続きが明らかになり、野党は「政治家が関与していると国民が疑念を持つ」と批判した。
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ごみ撤去、確認不要?
 問題の国有地は約8770平方メートル。近くの伊丹空港の騒音対策区域だったが、航空機の性能向上で役割が終わり、2013年に売却先を公募。森友学園が手を挙げた。
 審議での焦点の一つは、減額算定した約8億円に相当するごみの撤去が実際に行われたかを、政府として確認する必要がない、とする政府側の答弁だ。
 財務省の佐川宣寿理財局長は24日の答弁で「新たにどんな地下埋設物が出てくるか分からない中、土地の売買契約で『隠れた瑕疵(かし)』(想定外のごみ)も含め免責する、という特約付きで適正に時価を反映した」と説明。「どう撤去したか確認する契約上の義務はない。学校建設の中でどういう状況になっているかは学校側の経営判断だ」と答弁した。
土地取引、際立つ異例さ…国会で紛糾

国有財産を大ディスカウント販売して、学校用地として不適格になるかも知れないごみの撤去には「関係ない」という答弁が通用すると思っているのであろうか?
さらに以下の不自然さが指摘されている。

売買契約、類例少なく
 売却前の賃貸契約も異例だ。23日の質疑で佐川局長は、売却を前提にした「買い受け特約付きの定期借地契約」と呼ばれる契約事例が、過去に2例しかなかったと答弁。財務省の事務処理要領に基づくもので、(1)その後の買い受けが確実(2)賃貸借契約をすることがやむを得ないと財務局長らが認める--との要件を満たしたと説明している。
・・・・・・
前例ない国直接算定
 23日の質疑では、大阪航空局が行った約8億円の減額算定に関し、国が直接算定した前例がなかったことも判明。佐川局長が「今のところ(同様の)事例は確認できなかった」と明かした。
・・・・・・
200万円で実質取得?
 また、売却前の昨年4月に政府が学園側にごみの撤去費用として約1億3200万円を支払っていたことも野党は問題視している。政府の調査で判明したヒ素や鉛による土壌汚染と地下ごみに関し、学園側は土地取得前の借地契約の段階で独自に撤去や除染を行い、その費用を後で受け取った。民進の玉木氏は24日の質疑で「1億3400万円の土地代金との差額の約200万円で土地を手に入れている」と指摘した。これに対し、佐川局長は「性質が異なり、比較して計算するのは適当ではない」と反論した。
教育勅語を朗唱
 森友学園が運営する幼稚園は、戦前の教育勅語を唱和させる独特の教育内容で知られ、差別的発言の疑いがある言動には懸念が出ている。
・・・・・・
 幼稚園の保護者への配布文書に「よこしまな考え方を持った在日韓国人や支那人」などと記載していたことや、HPで一時、元保護者とのトラブルに関連して「韓国・中国人等の元不良保護者」と表現していたことが分かり、府が1月、籠池泰典理事長から事情聴取。その後、HPの表現は削除された。
 府私立学校審議会の22日の会合では委員から文書配布の件で懸念が出たほか、23日の衆院予算委員会では民進党の今井雅人議員が、園から「私は差別をしておりません。ですが心中、韓国人と中国人は嫌いです」との内容の手紙を保護者が受け取ったことを紹介した。
 元園児の保護者からは訴訟も起きており、保護者らは元園児は幼稚園の職員から「犬臭い」と非難され、「犬を処分しなさい」と言われたと主張している。
土地取引、際立つ異例さ…国会で紛糾

このように特異な法人に対し、破格の便宜を図っているのである。
安倍首相は、キレ気味に関与を否定した。
この人がキレるときは、内心の動揺がある時のようである。
少なくとも、役所の側に、「安倍」という名前に対して忖度する心理が働いていたことは間違いないだろう。

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2017年2月21日 (火)

森友学園スキャンダル/アベノポリシーの危うさ(135)

学校法人「森友学園」が購入した大阪の国有地をめぐる取引は疑わしすぎる。

 小学校用地として取得を望んだ国有地が隣地の「10分の1」という破格の安値で払い下げ――。不可解な国有地売却問題が浮上した学校法人「森友学園」(大阪市)が問題の小学校設立の寄付を呼びかけた際、ナント「安倍晋三記念小学校」なる名称を用いていた。
「1口1万円で寄付を呼びかけられたのは、2014年のこと。森友学園がちょうど大阪府に小学校の新設認可を申請していた時期で、経営する『塚本幼稚園幼児教育学園』の園児の保護者に、ゆうちょ銀の払込取扱伝票を何度も配っていました」(保護者のひとり)
 伝票(写真)には「安倍晋三記念小学校」の文字がしっかりと記されている。この幼稚園は園児に「教育勅語」を暗唱させる“愛国教育”で知られる。
「14年4月には安倍首相の妻、昭恵夫人が訪問。園長が『安倍首相ってどんな人?』と問いかけると、園児が『日本を守ってくれる人』と答える姿を見て、いたく感動したそうです」(関係者)
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大阪・森友学園 寄付募った名称は「安倍晋三記念小学校」

流れはおおよそ以下のようである。

件の学校法人「森友学園」は2016年6月、大阪府豊中市野田町の国有地約8770平方メートルを購入した。ただ、原則公開とされている国有地の売却金額は、非公表のままだった。
この土地には、森友学園が運営する「日本で初めてで唯一の神道の小学校」である「瑞穂の國記念小學院」が開校する予定だ。
小学校のサイトによると、名誉校長は安倍晋三首相の妻、昭恵さん。校長を務める籠池泰典氏は、政権にも近く、改憲運動を目指す保守団体「日本会議」の大阪支部役員だった。
この取引には、3つの不明瞭な点が指摘されている。
1.なぜ、「9割引き」だったのか
2.なぜ、価格が非公表だったのか
3.なぜ、購入前に基礎工事が始まっていたのか
森友学園「国有地9割引」疑惑 首相夫人が名誉校長の神道小学校の土地取引に次々と浮かぶ疑問点
安倍一強と言われている陰に、このような実態があるのだ。
今こそメディアの力が試されようとしている。

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2017年2月20日 (月)

和算と洋算、算数と数学/知的生産の方法(166)

明治維新に伴う学制改革によって、学校教育の内容も江戸時代に発達した和算から洋算へと転換した。
その洋算を先進的に取り入れたのが、沼津兵学校の付属小学校(後の沼津第一小学校)だという。
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「沼津ふるさと通信」(2016年12月20日)

沼津兵学校については、Wikipediaで次のように説明されている。

沼津兵学校は1868年(明治元年)、フランスに倣った軍隊を目指すという目標を掲げ、駿河国沼津の沼津城内の建物を使って徳川家によって開校された兵学校のこと。受講資格は、徳川家の家臣である14歳から18歳ということが原則ではあった。しかし、他藩からの留学生もいたといわれる。初代学長は西周
であり、教師は優秀な幕臣の中から選ばれた。1870年(明治3年)に兵部省の管轄となり、1872年(明治5年)には政府の陸軍兵学寮との統合のため東京へ移転したが、途中で作られた付属小学校は、現在の沼津市立第一小学校の前身である。
沼津兵学校は日本の近代教育の発祥であるとも言われる。

和算は現実の課題を突破するためのもので、具体性を伴っていた。
これに対して、洋算は抽象性を高めることで発展してきた。
その分、実感とは繋がらないものになってきたことも否めない。

算数と数学の違いを、文字式の使用という点に着目すると、抽象度の差異とも言える。
以下、「算数と数学の違いを教育学部の学生がわかりやすく解説 」というサイトの説明を引用する。

算数とは実生活で使えるツールを身につけさせることを大きな目標の1つとしています。

もっとザックリ説明すると「これ知らなかったら、日常生活ですごく困るよね!」ということをしっかり身につけさせるのが小学校の算数の大きな目的なんです。
・四則演算
・時計の読み方
・速さの計算
・割合、「%」の計算
などなど
・・・・・・
数学では「数学という学問を通して論理的に考える力」を身につけさせることを大きな目標としているのです。なので問題の抽象度も一気に上がるのです。

図式化すれば、下記のような対応関係であろうか。
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武谷三男氏の三段階論に倣えば、算数は現象論に近く、数学は本質論に近いと言えよう。
⇒2013年8月11日 (日):三段階論という方法①武谷三男の科学的認識の発展論/知的生産の方法(71)
⇒2013年8月21日 (水):三段階論という方法③庄司和晃の認識の発展過程論/知的生産の方法(73)

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2017年2月16日 (木)

原子力事業で破滅の危機の東芝(5)/ブランド・企業論(66)

東芝が14日、同社本社で記者会見を開き、半導体メモリ事業を100%売却する可能を問われた綱川智社長は、「柔軟に考えていく。なんでもあり得る」と回答した。
既に経営再建策の柱のひとつとして、メモリ事業を分社化することを発表していた。
しかし、20%未満の外部資本の導入で、東芝が主導権を維持した形で事業運営する姿勢だったが、この方針を撤回したことになる。
それだけ事態は切羽詰まっているということだろう。

東芝は、2015年の「不適切会計」が明るみに出てから経営再建に努めてきた、はずであった。
⇒2015年8月 2日 (日):東芝の粉飾と原発事業の「失敗」/ブランド・企業論(37)
⇒2016年1月 4日 (月):経営危機にまで追い詰められた東芝/ブランド・企業論(46)
⇒2016年5月 1日 (日):原発事業によって生じた東芝の深い傷/ブランド・企業論(52)
⇒2017年1月18日 (水):原子力事業で破滅の危機の東芝/ブランド・企業論(62)
⇒2017年1月20日 (金):原子力事業で破滅の危機の東芝(2)/ブランド・企業論(63)
⇒2017年1月28日 (土):原子力事業で破滅の危機の東芝(3)/ブランド・企業論(64)
⇒2017年1月31日 (火):原子力事業で破滅の危機の東芝(4)/ブランド・企業論(65)

エネルギーとメモリが2本の柱であった。
Photo
東洋経済2017年2月4日号

原発事業の失敗によって、もう1本の柱であるメモリも手放さざるを得なくなってしまったのだ。
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東洋経済2017年2月4日号

東芝のなかでメモリ事業が大事な事業であるという位置づけを継続したいという希望も放棄せざるを得なかったというわけである。
買い叩かれることを避けるため、関連の売却は期末を越える見通しで、そうなると東証の規定により2部に降格になる。
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東京新聞2月16日

名門の自負からすれば屈辱だろうが、原子力事業は取り返しのつかない失敗を犯したことになる。
しかも、大局的に考えれば、いずれ撤退を図るべき事業だったにも拘わらず、である。

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2017年2月14日 (火)

「計画:PLAN」と「実行:DO」/「同じ」と「違う」(104)

ビジネスパーソンにとっては、PDCAサイクルは、マネジメントの1丁目1番地として馴染み深いものだ。
しかし、政治家の場合、そうではないらしい。
アベノミクスと称する経済政策についても、原発を軸とするエネルギー政策についても、破綻、失敗が明らかであるのにも拘わらず、見直そうとしていない。
⇒2016年5月14日 (土):PDCAなき安倍政権の政策/アベノポリシーの危うさ(64)

改めて、PDCAサイクルの解説を確認してみよう。

ちょっと小難しいPDCAサイクルを、少し簡単に表現してみましょう。ものすごくざっくり表現します。
P(計画)=これからすることを考える
PDCAサイクルの一つ目。これからすることを、細かく分解して考えます。何をするのか、誰に対してのものか、何故するのか、どれぐらいの量か、いつまでにやるか、いつまで行うか、どのように行うか、誰と行うか、どうなったら良い結果なのか…など、考えると無限に出てきますし、何をするかによっても考える項目は変わってきます。
ちょっと勘の良い人はピンときたはず。「5W1H(=What/Who/Why/When/Where/How)」が基本です。
D(実行)=計画したことを実行する
PDCAサイクルの二つ目。先ほどのPで計画したことを実行にうつします。何かを作るなら作る。身体を使うなら動く。頭で考えるなら考える。
実行で大事なことはふたつ。計画を意識して行動する事と、あとで評価できるように、結果が分かるような仕込みをしておくこと。時間を測るのか、数を数えるのか、日記を書くのか、評価を尋ねられる誰かに声をかけるのか。
C(評価)=結果が良かったか悪かったか判断する
PDCAサイクルの三つ目。実行した結果が望むものだったか、そうでないかを調べて、善し悪しを判断します。この時点では良かったか悪かったかだけを判断します。
判断するうえで、先ほどの実行のときに仕込んだ結果を使います。なので結果は数字のような誰が見ても分かる基準があると良いでしょう。(間違いではないですが)人の意見は、主観であることが多いので、具体性に欠けるので判断するときは気をつけましょう。
A(改善)=見直しをかけて、次の計画に進む
PDCAサイクルの四つ目。善し悪しの判断を元に全体の見直しをします。続けるか、止めるか、ちょっと手直しして続けるか、などです。結果が悪いとしても、結果が出るまで時間がかかると分かっているものはこの段階では「続ける」という見直しになります。
ここで大事なことは、次のP(計画)を意識した見直しをすることです。これがPDCAサイクルのサイクルたる所以でもあります。
PDCAサイクルをすごく簡単に説明します

金田法相の滅茶苦茶な答弁が問題になっている「共謀罪=テロ等準備罪」の1つの焦点は、Pの段階で、逮捕拘留、強制捜査ができるか否かである。
2170201
東京新聞2月1日

PLANを対象にしようというのは、罪刑法定主義的に苦しいのは当然である。
検事出身の民進党山尾志桜里議員の質疑である。

毛ば部とる子 @kaori_sakai 2017-02-05 01:18:10   
逢坂議員の質疑までは、総理も大臣も「準備行為が会って初めて処罰される」と言葉を揃えていた。が、総理は「検挙できる」大臣は「逮捕できる」とブレはじめた。 ・罪が成立すること ・成立して処罰をされること ・罪を成立を証明するために捜査をすること、逮捕を含む これらは全く違う概念。           
毛ば部とる子 @kaori_sakai 2017-02-05 01:24:42   
山尾氏・総理も大臣も「準備行為があって初めて逮捕できる」これが統一見解であると言った。それを実務上の運用でそのようにするという話なのか、法案の中にきちんと書き込むのか、今の段階では答えられない、と。これが実務上の運用という話であれば、これまで廃案になった共謀罪と同じです。
毛ば部とる子 @kaori_sakai 2017-02-05 01:34:09   
「準備行為の有無」に関して、法の中に条文として盛り込むのか、法運用で対応するのかというのでは、法解釈の範囲に大きな違いが出る。共謀罪の問題は、まさにこの「解釈の範囲」であるのに、これを首相にぶつけても、「現場の人に聞くべきでしょう」と、アサッテな回答。しかも切れ気味で。ナニ切れ?
・・・・・・
毛ば部とる子 @kaori_sakai 2017-02-05 04:17:31 
山尾氏「総理の指示で明日にでも政令で指定すればいいんです。政令で足りることについて、なぜ共謀罪という法律が必要になると仰るのか」 安倍首相「テロ組織などが秘密裏に開発している薬品に関しては、未知なので指定できない。」(4分間の安倍節を簡潔にした) ⇨未知なるものが立法事実って。
毛ば部とる子 @kaori_sakai 2017-02-05 05:16:24   
山尾氏「私も一言だけお返ししますね。犯人は何を持っているか予測できない、と。その裏を返せば、これから国民は何を持っていれば逮捕されるか予測できない国家になるということです。そういう危険性をしっかりと踏まえていただきたい。当たり前のことでしょ。」
毛ば部とる子 @kaori_sakai 2017-02-05 05:41:29
山尾氏「罪刑法定主義について(私たちの見解と)これだけ差があるとは思いませんでした。」苦笑
毛ば部とる子 @kaori_sakai 2017-02-05 05:42:36 
※罪刑法定主義(ざいけいほうていしゅぎ) ある行為を犯罪として処罰するためには、立法府が制定する法令(議会制定法を中心とする法体系)において、犯罪とされる行為の内容、及びそれに対して科される刑罰を予め、明確に規定しておかなければならないとする原則のことをいう。   
政府が共謀罪が必要と言っている案件は現行法制で全部対処できる(山尾しおり氏)

政権は頭悪すぎなのか、悪いフリしてやり過ごす作戦なのか?
いくらなんでも騙せないだろう。

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2017年2月13日 (月)

不適格大臣列伝(14)歴代文科相/アベノポリシーの危うさ(133)

文部科学省の組織的な「天下り」あっせん問題の構図が明らかにされつつある。

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仲介役だった人事課OBの嶋貫(しまぬき)和男氏(67)の支援策を検討した文書を同省人事課職員が作り、当時の山中伸一事務次官も報告を受けていたことがわかった。文書は別の次官経験者にメールで送られ、計3人の次官経験者が嶋貫氏の処遇を相談した形跡もある。OBの支援に文科省ぐるみで関与していた構図が鮮明になった。
 この文書は、文科省が6日に公表した「再就職支援業務について」(2013年9月11日付)。文書によると、同省は嶋貫氏について「週2日程度の保険会社顧問に就任し、残り3日間で再就職支援業務をボランティアで行う」と提案。同氏が審議役だった一般財団法人の教職員生涯福祉財団(東京)に「秘書給与や執務室賃料を負担していただけないか」と求めた。財団は「再就職支援業務が財団から切り離されるのであれば」との条件付きで「秘書給与や執務室賃料を支援できる」との立場を示したという。
 また、文書では嶋貫氏の処遇について、元事務次官で財団理事長だった国分正明氏から、同じく元次官で放送大学教育振興会の理事長だった井上孝美氏に「相談する」とも記され、生涯福祉財団顧問弁護士だった清水潔元事務次官の同席予定も記録されている。
文科省OBの天下り、歴代4人の事務次官が関与か 再就職支援を相談した形跡

まさに組織ぐるみである。
いやしくも教育を担当する行政である。
まして、安倍政権は、道徳教育の強化に意欲的である。
ブラックジョークとしか言いようがない。

『小学校道徳 読み物資料集』に、「ぽんたとかんた」というお話があるという。
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東京新聞2月1日

ちなみに直近の文科相は以下のようである。
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歴代文部科学大臣

天下り先は広がりを見せており、全容をはっきりすべきだ。

 文部科学省の組織的な「天下り」あっせん問題で、昨年3月に退職した元幹部が慶応大学に再就職した際、同省人事課OBの嶋貫和男氏の仲介を受けていたことがわかった。退職から約2カ月後に再就職しており、文科省は経緯に問題がなかったか調べている。
 慶応大などによると、この元幹部は私立大への助成金などを担当する私学助成課長などを務め、昨年3月末に文科省を退職。同年6月1日に慶応大に参事として再就職した。
 この経緯について文科省が調べたところ、天下りの仲介役だった嶋貫氏が同省人事課から元幹部に関する情報提供を受け、慶大側とやりとりをしていたことがわかった。自らあっせんに関わって依願退職した前川喜平前事務次官らも認識していたという。
慶応大にも天下りか 文科省元幹部の再就職、OBが仲介

まさに天下りの目的と効果の典型例ではないのだろうか。

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2017年2月12日 (日)

「戦闘」と「武力衝突」/「同じ」と「違う」(103)

TPPの国会審議の際、真っ黒に墨の塗られた資料の印象が強く残っている。
⇒2016年4月 8日 (金):秘密のヴェールに包まれたTPPと甘利前大臣/アベノポリシーの危うさ(50)
トランプ大統領が反対している以上、発効の見通しが立たなくなっているが、果たして何が問題になりそうだと、誰が判断したのだろうか。

公開された南スーダン派遣の陸上自衛隊の日報にも墨塗りがある。
⇒2017年2月 8日 (水):不適格大臣列伝(11)稲田朋美防衛相(4)/アベノポリシーの危うさ(130)
それでも「TK射撃含む激しい銃撃戦」の文字などが読める。

昨年10月、ジュバを視察した稲田朋美防衛相はわずか7時間の滞在にもかかわらず「状況は落ち着いている」と述べた。
⇒2016年10月16日 (日):稲田防衛大臣の資質と適性/人間の理解(18)
戦闘があったのか、なかったのか。
改めて国会で質問された稲田氏は、「憲法9条があるから、戦闘という言葉を使ってはいけないので、武力衝突はあったが、法的な意味での戦闘はなかった」と答弁した。

つまり「憲法9条の内容に抵触する事象は発生しているが、そのまま表現すると、憲法9条に違反する可能性があるから、別の言葉を使っている」と言っているのだ。
これを詭弁と言わずして何を詭弁と言うのか?

権力者が自己の都合の良い情報操作をして虚偽の情報を発信することを揶揄して、「大本営発表」と言うことがある。
さも戦況が有利であるかのような虚偽の情報を発表し、印象を変えるための言い換えを行ったのである。
辻田真佐憲『大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争』 幻冬舎新書(2016年7月)から引用する。
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安倍政権は、安全保障関連法を平和安全法制と、カジノ解禁法を統合型リゾート整備推進法と、共謀罪をテロ等準備罪と言い換えてきた。
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東京新聞2月9日

言葉を変えれば、実態が変わるとでも言うのだろうか。
言霊の作用を全否定するわけではないが、起きている事象の客観的な認識や表現は重要であろう。

情報の価値評価の軸は、質と希少性と言われる。
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質の高い情報と希少な情報 -価値ある情報の創り方

政府が大本営発表と同様の情報操作に走れば、それが自分の判断や行動を縛ることになるだろう。
自縄自縛である。
日本軍は次第に現実を無視した作戦が、現場に押し付けられていった。
神風が吹くと言われ、犬死のように多くの命が奪われたのだ。

稲田氏が頑なになればなる程、防衛省はかつての軍部に似てくるように思われる。
安倍首相の任命責任が問われよう。

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2017年2月11日 (土)

読解力の研究(1)東ロボくんの方向転換/知的生産の方法(165)

東大合格を目指していたロボット(AI)・東ロボくんが方向転換した。
⇒2014年11月 3日 (月):ロボットが東大に入るようになったら/知的生産の方法(109)
⇒2016年11月18日 (金):「東ロボくん」とリベラル・アーツ/知的生産の方法(164)

週刊新潮2月2日号に、プロジェクトリーダーの新井紀子国立情報学研究所教授が、事情を説明する寄稿をしている。
まず、東ロボくんの成績を見てみよう。
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どこに基準を置くかではあるが、普通の高校生としてみれば、まあ立派な成績と言って良いだろう。
代ゼミの理系数学など、偏差値76.2であるから、その限りでは抜群であるし、ベネッセの世界史Bでも、66.3になっている。
このままもう少し頑張れば、東大合格ラインに達するようにも思われる。
しかし、新井紀子情報学研究所教授は、今の延長線上には発展はないと判断した。

今までのアプローチは例えば以下のようである。
英語の短文問題を解けるようにするため、500億語を読ませた。
短文問題とは、空欄の単語を4択で答えたり、語順を正しく並び替える整序問題なのである。
文の数で19億文勉強して、正答率がようやく9割を超えた。
人間とは明らかに違うのだ。

これが2文、3文、整序問題を解くとなると500億の掛け算になり、統計を使っても意味までは分かるようにならない。
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そこで新井教授たちは、脳神経回路の仕組みをもしたものでは限界があるという結論に達した。
そして東ロボくんのレベルに達していない中高生が大勢いることから、中高生対象に読解力をテストすると、案の定著しく読解力が低下していることが分かった。
教科書の読解ができていないのだ。

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2017年2月10日 (金)

不適格大臣列伝(13)稲田朋美防衛相(5)/アベノポリシーの危うさ(132)

本当に弁護士資格を持っているのだろうか?
そんな疑念が湧いてくる稲田朋美防衛相の答弁である。
南スーダンの状況について、陸自の日報で「戦闘」と書いてあるのを、法的には、「武力衝突」であって「戦闘」ではない、と説明した。

なぜ「戦闘」ではいけないかと言えば、「憲法9条」があるからだという。
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9条問題、言葉で操る 「戦闘」は問題になるから「武力衝突」に

さすがに言霊の国である。
言葉を換えれば、事象がないことになるのだろうか。

「大本営発表」では、「全滅」を「玉砕」と言い、「撤退」を「転進」と言い換えた。
それに倣って、「戦闘」を「武力衝突」と言い換えたということであろうか。

「国会答弁する場合、憲法9条上の問題になる言葉(戦闘)は使うべきでないから、武力衝突という言葉を使っている」――8日の衆院予算委員会での稲田防衛相の答弁が波紋を広げている。南スーダンPKOに派遣されている陸上自衛隊の日報に「戦闘があった」との記載があった問題で、野党の質問に答えた時のものだ。
 稲田氏はなぜこんな、持って回ったような答弁をしたのか。憲法9条は国際紛争を解決する手段としての「武力行使」を禁じており、政府は「武力行使とは国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為」としている。自衛隊が国連職員などの救助のための駆け付け警護で「戦闘」に巻き込まれ、反撃した場合、9条が禁止する「武力行使」に当たる。そのため、自衛隊日報にあった「戦闘」を言葉通りに認めると、PKO5原則に基づき、すぐにも派遣部隊を撤退させなければならなくなる。
 稲田氏の苦しい答弁はそのためだが、「戦闘と言うと憲法9条に違反するから戦闘とは言わない」というのでは、自ら憲法違反を認めたのも同然。語るに落ちるとはこのことだ。
稲田大臣が本音ポロリ 憲法違反になるから戦闘と言えない

「語るに落ちる」というか、論理になっていないことに自ら気がつかないのであろうか。
共謀罪をテロ等準備罪と呼ぶなど、言い換えれば済むと考えている節も窺える。
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東京新聞2月9日

いくら言い換えても、全滅は全滅であるし、撤退は撤退である。
憲法の規定を逃れるためという理由は本末転倒である。
安倍首相が好んで使うように、日本は法治国家ではないのか。

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2017年2月 9日 (木)

不適格大臣列伝(12)金田勝年法務相(2)/アベノポリシーの危うさ(131)

恣意的な運用が大きな危険性を持つことは、治安維持法の歴史を見れば明らかである。
⇒2017年1月24日 (火):東京五輪のために共謀罪は必要か/アベノポリシーの危うさ(124)
その担当大臣の金田勝年法相が何とも頼りない。
⇒2017年2月 2日 (木):不適格大臣列伝(9)金田勝年法務相/アベノポリシーの危うさ(127)

大蔵相(財務相)の主計官だったほどの秀才だというが、答弁はしどろもどろだし、論点はずれている。
挙げ句には、質問封じと見られかねない文書を報道陣に配布した。
批判されて、撤回・陳謝したが、お粗末すぎるだろう。
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東京新聞2月9日

どう見ても法に詳しいとは思えない。
もっとも本人は、法相というポストに不満があるらしい。

「出身官庁の財務相をやりたかったようです。最近の法相は、大臣待機組の解消ポストといわれるほど軽量級の扱いになっています。もともとプライドの高い人だけに、法相ポストをハナからなめており、もちろん必死で共謀罪の勉強をすることなどない。おまけに常に上から目線で、他人を見下しがちだから、官僚のペーパーをそのまま読むことをよしとしない。生半可な知識しかないのに、出しゃばって“断定”したりするから手に負えません。答弁に矛盾が生じ、野党が反発するのは当然ですよ」(政界関係者)
野党が辞任要求 金田法相“バカ丸出し”のルーツと地元の評判

数の力で、どんな事態になっても法案は可決できるとなめて掛かっているとしか思えない。
当然任命責任が問われることになるだろう。
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東京新聞2月9日

それにしても、ふざけた内閣である。

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