思考技術

2017年10月22日 (日)

開票速報を眺めつつ/日本の針路(347)

テレビで開票速報をやっている。
最初に目に飛び込んできたのは、なんと稲田朋美氏である。
私が議員であるべきではないと考える人である。
⇒2016年10月16日 (日):稲田防衛大臣の資質と適性/人間の理解(18)
⇒2017年4月 1日 (土):稲田防衛相の虚偽答弁/日本のPost-truth(1)
⇒2017年2月19日 (日):不適格大臣列伝(15)稲田朋美防衛相(6)/アベノポリシーの危うさ(134)

この結果が示すものは、何のための選挙だったのか、改めて疑問に思う。
与党は、ほぼ改選議席と同程度の議席数のようである。
野党は、希望の党が伸び悩み、立憲民主党が上回りそうである。
事前に予想された情勢通りであろう。
Photo_5
自公2/3維持の勢い 希望、立民 野党第1党争い 終盤情勢

⇒2017年10月18日 (水):総選挙終盤の情勢/日本の針路(345)

序盤の情勢分析から、希望と立憲の位置が変わっただけとも言える。
⇒2017年10月12日 (木):安倍首相の暴言と衆院選序盤(?)の情勢/日本の針路(343)

結局、橋本治氏の言うように、自民・希望・民進『三方一両損』の構図なのだろうか。

 安倍は北朝鮮問題やら民進党のスキャンダルやらで、一時は落ち込んでた支持率が、ここにきてちょっと上がったから「今だ」と思って解散総選挙に踏み切ったんだろうけど。選挙戦じゃ希望の党や民進党の悪口ばっかり言っていて、そういうコトしていると自分が嫌われるというのが、相変わらず分かってないでしょ。
 一方、希望の党の小池百合子は民進党を乗っ取って、一気に主役になろうと考えたんだろうけど、その過程で「私にとって都合の悪い人は排除します」なんて言うもんだから、結局はタカ派だってのがあっさりバレて嫌われた(笑)。で、前原がその小池に手玉に取られて、分裂崩壊しちゃった民進党は「ああ、あの人たちってやっぱりバカだったのね……」とみんなに納得されちゃった。
 その希望の党を排除された面々は、急遽団結して立憲民主党を作った。ほとんど忠臣蔵だよね。代表のせいでお家断絶となった民進党の浪士が、仇討ちを決意して結集したという……。日本人の同情はこういうところに集まるから、元の城をなくしてもここはそれなりに勝てる。そういうもんです。

⇒2017年10月22日 (日):「こんな首相」を続けさせて良いのか?(2)/アベノポリシーの危うさ(311)

戦いを前にして解党してしまった民進党は、希望、立憲、無所属に割れた。
結果を見れば、何のための解党だったのだろうか?
もちろん、見解が明快になったという副次的(?)効果はあった。
⇒2017年9月11日 (月:民進党の解体と「真の野党」への再編成/日本の針路(328)

選挙結果は現時点の状態(ストック)を示すものである。
それはそれとして、フロー(ベクトル)がどうなのか?
上げ潮の立憲が勢いを維持できるかどうかがポイントであろう。

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「こんな首相」を続けさせて良いのか?(2)/アベノポリシーの危うさ(311)

選挙戦の初期は、メディアの取り上げ方は「安倍VS希望」の図式が圧倒的に多かったように思う。
周南になって、「政権VS立憲民主」もしくは「改憲勢力VS立憲勢力」にシフトしてきたように感じられる。
たまたま、橋本治『知性の顚覆 日本人がバカになってしまう構造』 朝日新書(2017年5月)を読んでいたら、独特の表現ではあるが大いに共鳴した。

橋本さんは、東大在学中の駒場祭のポスターのコピー「とめてくれるなおっかさん 背中の銀杏が泣いている 男東大どこへ行く」で知られる。
その後、桃尻語などで一世を風靡したのは知っているが、感覚が合わないような気がしていた。
橋本さんは、『自民・希望・民進「誰も得しない」? 橋本治が衆院選を切る』で次のように語っている。

 安倍は北朝鮮問題やら民進党のスキャンダルやらで、一時は落ち込んでた支持率が、ここにきてちょっと上がったから「今だ」と思って解散総選挙に踏み切ったんだろうけど。選挙戦じゃ希望の党や民進党の悪口ばっかり言っていて、そういうコトしていると自分が嫌われるというのが、相変わらず分かってないでしょ。
 一方、希望の党の小池百合子は民進党を乗っ取って、一気に主役になろうと考えたんだろうけど、その過程で「私にとって都合の悪い人は排除します」なんて言うもんだから、結局はタカ派だってのがあっさりバレて嫌われた(笑)。で、前原がその小池に手玉に取られて、分裂崩壊しちゃった民進党は「ああ、あの人たちってやっぱりバカだったのね……」とみんなに納得されちゃった。
 その希望の党を排除された面々は、急遽団結して立憲民主党を作った。ほとんど忠臣蔵だよね。代表のせいでお家断絶となった民進党の浪士が、仇討ちを決意して結集したという……。日本人の同情はこういうところに集まるから、元の城をなくしてもここはそれなりに勝てる。そういうもんです。

超大型の台風が上陸するのはほぼ確実らしい。
総選挙の結果はどうなるか?
もう少し時間が欲しかったところだが、そこが政権の狙いだろうから言っても仕方がない。
しかし安倍首相と枝野立憲民主党代表の街頭演説の様子を並べた写真が雄弁に語っている。
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ものものしい警備の中でしか演説できない首相と、群衆の真ん中で演説する枝野氏。
「「こんな首相」を続けさせて良いのか?」と、本気でもう一度問いたい。
⇒2017年10月20日 (金):「こんな首相」を続けさせて良いのか?/アベノポリシーの危うさ(309)

改めて、各党の主張の概要をまとめた表を引用しておこう。
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東京新聞10月22日

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2017年10月21日 (土)

デフレ脱却という政策目標の誤り/アベノポリシーの危うさ(310)

安倍首相は「アベノミクス」がよほどお気に入りらしい。
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「アベノミクス」と称する経済政策の1丁目1番地は、日銀の黒田東彦総裁による「異次元の金融政策」であろう。
しかす既に4年以上経つのに、広言していた2%の物価上昇目標は未だに達成できていない。
にも拘わらず、反省の姿勢がまったくないまま緩和政策を続けている。
「PDCA]というマネジメントの原則に照らしてみても、安倍一強のマイナスは明らかであろう。
出口政策についても具体策を示していない。

Ws000000_2 国債の大量購入で日銀が保有する国債は発行残高の4割超に膨らみ、市場では不安が強まっている。日銀が将来、出口局面で国債の買い入れを減らせば、市場に出回る国債が増えて国債価格が下落(金利は上昇)すると見込まれる。市場が混乱する恐れがあるほか、日銀が抱える国債に巨額の含み損が発生したり、日銀にお金を預けている民間金融機関への利払い費が膨らんだりして、日銀の財務が悪化する懸念がある。日銀の信頼性が損なわれて円が売 られれば、極端な円安やインフレを招きかねない。
黒田日銀総裁 異次元緩和強気、出口は遠く

企業の業績は上がっても、社員の実質賃金は下がっているので、消費は冷え込んだままだ。
⇒2017年10月19日 (木)::アベノミクスというイカサマ/日本の針路(346)

そもそもデフレは絶対的な悪なのか?
デフレスパイラルといわれるような状況が好ましくないことは、多くの人のコンセンサスであり、アベノミクスはデフレ脱却を最大の眼目としている。

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⇒2013年7月 1日 (月):金融緩和の効果と影響-アベノミクスの危うさ(8)/花づな列島復興のためのメモ(239)

しかし多くの大衆にとってはインフレよりもデフレの方が有難いのではないか?
⇒2013年7月30日 (火):物価上昇はハッピーな事態なのか?/アベノミクスの危うさ(10)

実際、井沢元彦、中原圭介『「歴史×経済」で読み解く世界と日本の未来』PHP研究所(2017年8月)には、中原氏により次のようなことが解説されている。

経済学者も日本政府も欧米の価値基準にならって「デフレは悪だ」と決めつけてきたわけです。実態を見ているとは、とても言えませんね。

中原氏は「東洋経済オンライン」2016年5月31日で、『「アベノミクスは大失敗」と言える4つの根拠』で、次を指摘している。

(1)円安により企業収益が増えたとしても、実質賃金が下がるため国内の消費は冷え込んでしまう。
(2)大企業と中小零細企業、大都市圏と地方といった具合に、格差拡大が重層的に進んでしまう。
(3)米国を除いて世界経済が芳しくない見通しにあるので、円安だけでは輸出は思うように増えない。
(4)労働分配率の見地から判断すると、トリクルダウンなどという現象は起きるはずがない。

リアルに社会を見れば、納得する人が多いのではないか。
未だにアベノミクスを自慢している安倍首相は、まさに「裸の王様」である。
⇒2013年10月17日 (木):安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(16)
⇒2014年11月27日 (木):続・安倍首相は裸の王様か?/日本の針路(76)
⇒2015年12月12日 (土):続続・安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(64)

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2017年10月20日 (金)

「こんな首相」を続けさせて良いのか?/アベノポリシーの危うさ(309)

総選挙の結果はフタを開けてみなければ分からないとは言え、与党圧勝という予測がほとんどである。
台風直撃という予測もあって、それがどう影響するか?
「モリカケ疑惑隠し」の解散であることは明らかであるが、安倍首相は「丁寧な説明」どころがデマに余念がない。

 衆議院解散総選挙を受け、10月8日に日本記者クラブで党首討論会があった。その際、いわゆる加計学園問題に関する報道をめぐって、安倍晋三首相と坪井ゆづる朝日新聞論説委員の間で応酬があった。
 首相は、八田達夫・国家戦略特区ワーキンググループ座長の証言に関する朝日の報道について「ほとんどしておられない。しているのはほんのちょっとですよ」と指摘。加戸守行・前愛媛県知事に関する報道も「証言された次の日に全くしておられない」と断じた。坪井氏が否定すると、首相が「ぜひ国民の皆さんは新聞をよくファクトチェックしていただきたい」と呼びかける一幕もあった。
 産経新聞は、このやりとりを取り上げた阿比留瑠比論説委員のコラムを掲載。「朝日がいかに『(首相官邸サイドに)行政がゆがめられた』との前川喜平・前文部科学事務次官の言葉を偏重し、一方で前川氏に反論した加戸氏らの証言は軽視してきたかはもはや周知の事実」と首相発言を擁護する趣旨の論評を行った。同紙は7月12日にも、朝日と毎日の両紙が国会(閉会中審査)での加戸氏の発言を取り上げなかったと批判する記事を掲載していたが、これをこの討論会直後にニュースサイトに再掲した。
加計問題報道 安倍首相が呼びかけたファクトチェックの結果 (上)

結果は以下の通りである。
Ws000001
ファクトチェックをしたのは、弁護士の楊井人文氏(日本報道検証機構代表)である。
この件は以下でも触れたが、そもそも一国の首相がイチャモンを付けるような問題ではないだろう。
⇒2017年10月14日 (土):加計疑惑(55)加戸発言の評価/アベノポリシーの危うさ(306)

安倍首相は「1モリカケ疑惑」に沈黙する一方でアベノミクスや北の脅威については雄弁である。
しかしアベノミクスの失敗は明らかであろう。
⇒2017年10月19日 (木):アベノミクスというイカサマ/日本の針路(346)
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東京新聞10月20日

首相のお友達の百田尚樹は相変わらずデマをまき散らしている。
立憲民主党が政党要件を満たしていないから、「違憲民主党やね!」などと放言している。
産経新聞を含め、この連中の言説には品格がない。

ジャーナリストの有本香氏が、公職選挙法が定める政党要件を説明。衆院選で有権者が比例代表で投票できる政党は「国会議員が5人以上所属する」という条件があると紹介した上で、以下のように話した。

立憲民主党は、この要件を満たしているのかという根源的な疑問があります。
(党が)できた日が10月3日ってなってるんですよ。
解散後ということは、枝野さんも含めて議員バッジを外したあとですよ。
厳密なことを言い出せば政党要件を満たしてるのかってことですよ。
法的に問題ないんでしょうか?

これを受けて百田氏は「今、聞いてびっくりした」と驚き、立憲民主党のネーミングになぞらえて「違憲民主党やね!」と話していた。
「立憲民主党は政党要件を満たしてない」 ⇒ 間違いでした

政党要件を満たしていなければ受け付けられるはずもないのに、わざわざ拡散しているのは悪質である。

「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と本気で思う。
と思っていたら、弁護士の郷原信郎氏が『本当に、「こんな首相」を信任して良いのか』と題する投稿をしていた。

“憲政史上最低・最悪の解散”を行おうとする「愚」】でも述べたように、今回の衆議院解散は、現時点で国民の審判を仰ぐ理由も「大義」もないのに、国会での森友・加計学園疑惑追及を回避するための党利党略で行われたものであり、憲法が内閣に認めている解散権を大きく逸脱した「最低・最悪の解散」だ。
疑惑隠しのため解散を強行した安倍首相への批判から、自民党が大きく議席を減らすことが予想されていたが、「希望の党」の結成、民進党の事実上の解党によって、野党は壊滅、その「希望の党」も化けの皮が剥がれて惨敗必至の状況となり、結局、「最低・最悪の解散」を行った安倍首相が、選挙で圧勝して国民から「信任」を受けることになりかねない状況になっている。
しかし、本当に、それで良いのであろうか。

まさに同感である。
それで良いはずがないではないか!

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2017年10月19日 (木)

アベノミクスというイカサマ/日本の針路(346)

安倍首相は、安倍政権の実績として、GDPが50兆円増えただとか、株価が21年ぶりの高水準だとか言っている。
しかし、GDP統計を研究開発費等を加算するという姑息な手段でかさ上げしているし、株価も、公的資金をジャブジャブ使って高値を維持しているのはミエミエだ。
これはイカサマ師の口上である。

「もし消費税が上げられなかったら、それはアベノミクスが失敗したということだ」と安倍首相自身言っていたことを忘れてはならない。
それを、「内需を腰折れさせかねない。延期すべきだと判断した」と述べて先送りした。
「新しい判断だ」と臆面もなく口にしたのである。
⇒2016年6月 8日 (水):誤りを謝らなくてもいい口実/永続敗戦の構造(3)
⇒2016年6月 2日 (木):精神鑑定が必要な安倍首相/アベノポリシーの危うさ(75)

アベノミクスによって庶民の暮らしが良くなったと思っている人など皆無であろう。
「厚生労働省 毎月勤労統計調査 平成27年分結果確報より」となっているグラフに、誰かがキャプションを加筆したグラフがある。
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実質賃金が上がらないでは、暮らしは良くならないし、消費は抑制せざるを得ない。
それが経済の実相である。
その辺の事情を「週刊新潮」10月19日号は次のように書いている。
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アベノミクスなどと、経済政策に自分の名前を付けるなどと言う慎みのないことは、保守の人間のするべきことではないだろう。
マジメな保守が眉を顰めるのは当然だが、希望の党は「ユリノミクス」などと同じ轍を踏んでいる。
「一度目は喜劇だが、二度目は悲劇である」という言葉を見事に裏書きするものだろう。

安倍失政のセイで、エンゲル係数などという懐かしい言葉が復活した。
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日刊ゲンダイ10月17日

実質賃金のグラフを民主党政権時代を外して左に寄せたグラフもある。
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安倍の経済失政は明白

なんとスムーズに繋がる。
つまりいろいろ問題はあったにせよ、民主党政権は自民党に比べ、頑張っていたのである。

憲法問題は知らないが、アベノミクスで景気を良くしてくれそうだから自民党に投票する、
というノーテンキな人がいますが、そういう人はよくよくこのグラフをみるべきです。
安倍は外に戦争の不安を煽り、内に老後の不安を煽り、社会保障をどんどん削っています。
だから個人は消費しない(したくてもできない)し、企業は内部留保をためこみます。
それがアベノミクスで、安倍は、ますますアベノミクスのエンジンをふかす、と言っています。
そんなことをすれば経済は逆噴射で奈落の底に墜落します。
それでも、マスコミの調査では選挙は自民が大勝するそうです。
あなたは、いったい、自民党に何を期待しているのですか?
安倍の経済失政は明白

「本音のコラム」欄で、竹田茂夫法政大学教授が『幸せな日本人』と題して、次のように書いていた。
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東京新聞10月19日

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2017年10月18日 (水)

総選挙終盤の情勢/日本の針路(345)

安倍首相が「今なら勝てる!」と判断して解散したのだから、最初から与党有利のはずである。
それに、機会主義者の小池百合子都知事が都議選の味が忘れられずに乗っかり、バカな前原誠司民進党代表が取り込まれて、ますます与党有利になってしまった。
もはや首相として言ってはならない暴言さえも、問題にする人は少ない。
⇒2017年10月12日 (木): 安倍首相の暴言と衆院選序盤(?)の情勢/日本の針路(343)

そして早くも終盤である。
各紙とも与党堅調を報じている。

Photo_5  二十二日投開票の衆院選について、本紙は十七日、独自取材に、本紙や共同通信社が行った電話世論調査を加味し、終盤情勢を分析した。与党の自民、公明両党で、定数四六五の三分の二(三百十議席)以上を維持する情勢だ。希望の党と立憲民主党はそれぞれ四十議席超を確保する見通しで、野党第一党の座を争っている。
 自民は今回から定数が六減された二百八十九の小選挙区のうち、二百超で優位に戦いを進めている。定数四減となった比例代表も全国各ブロックで堅調で、安倍晋三首相(自民党総裁)が勝敗ラインに掲げた与党過半数の目標に加え、国会運営の主導権を握る絶対安定多数(二百六十一議席)も単独で得る見通しだ。
 公明は、自民とすみ分けて擁立した九つの小選挙区の一部で劣勢で、比例と合わせても公示前勢力を割り込む可能性がある。
 小池百合子東京都知事が代表を務める希望は、多くの小選挙区で野党間の競合を招き苦戦している。小池氏が七月の東京都議選で旋風を起こした東京都でも、小選挙区での議席の確保に手が届いていない。与党と激しく争う小選挙区もあるが、比例が伸び悩んでおり、公示前勢力を割り込む可能性がある。
 枝野幸男元官房長官が代表の立憲民主は、公示前勢力を三倍に増す勢いで自民に次ぐ第二党もうかがう。
 共産党は、米軍新基地建設反対で一致する野党が支援する沖縄1区で優位に立つが、比例では他の野党の勢いに埋没し、前回衆院選の躍進で得た二十一議席の維持は難しい情勢。日本維新の会は地盤の大阪で存在感を示すものの、全国的な支持は勢いに欠け、公示前勢力を維持できるかが焦点だ。
 社民党は小選挙区と比例九州ブロックで計二議席を獲得する見通し。比例で候補を出した日本のこころは議席獲得は見通せない。新党大地は比例北海道ブロックで議席が視野に入った。
 無所属は、二十人以上が議席を獲得しそうだ。この中では、民進党出身のベテラン議員が目立つ。
自公2/3維持の勢い 希望、立民 野党第1党争い 終盤情勢

残念ながら大きくは変わらないだろうが、希望と立憲の争いを見ても、反安倍の野党共闘が成立していれば、情勢は変わっていただろう。
前原を代表に選んだ民進党の限界ということだろう。
その意味では、確固としたリベラル勢力が明確になったのは収穫である。
「週刊金曜日」のブログの山下芳生×中島岳志の対談『衆院選で問われる日本政治の新しい対決軸、リベラル陣営のリアリズムとは』に、中島岳志氏による明快な図が載っている。

Photo_3横軸はリベラルとパターナルという価値観の問題です。リベラルは、基本的に個人の内的な価値の問題について権力は土足で踏み込まないという原則を持つ。これは寛容ということです。その反対語は、保守ではなくてパターナルで、価値を押しつける権威主義や父権制といった観念のこと。これは夫婦別姓、LGBT(性的少数者)の権利、歴史認識の問題などに現れやすい。
明らかに今の自民党は〈ローマ数字4〉の一番下のラインに位置すると思います。日本は、租税負担率や全GDP(国内総生産)に占める国家歳出の割合、公務員数などあらゆる指標がOECD(経済協力開発機構)諸国最低レベルとなっていて、もはや自己責任がいきすぎている社会です。
小池百合子さんも〈ローマ数字4〉に属します。彼女はかつて夫婦別姓に大反対しており(編集部注・「希望の党」は「寛容な保守」をアピールするために選択的夫婦別姓の導入に取り組んでいくとしている)、完全に思想的にはパターナル。極右的で歴史認識もひどい有様です。

まあ、小池百合子氏の本質は、関東大震災時の朝鮮人虐殺を認めない歴史修正主義や「排除」という言葉から明らかであって、前原誠司氏は、同類か騙されたかのいずれかであろう。
今更ではあるが、希望の党と自民党は無差別である。

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2017年10月17日 (火)

佐川国税庁長官告訴とモリカケ疑惑/アベノポリシーの危うさ(308)

安倍首相は「共産党の小池氏が、解散しろと言ったから」などととぼけた発言をしている。
⇒2017年10月14日 (土): 加計疑惑(55)加戸発言の評価/アベノポリシーの危うさ(306)
そんなに素直に小池氏の言い分を聞くのであれば、全部聞いたらいい。

臨時国会の冒頭解散が、国会を開きたくなかったことを雄弁に語っている。
⇒2017年9月29日 (金): 安倍首相が臨時国会冒頭に解散した理由/アベノポリシーの危うさ(304)
⇒2017年9月21日 (木):国会を閉じたい理由は何だろうか?(続)/アベノポリシーの危うさ(285)
⇒2017年9月24日 (日):国会を閉じたい理由は何だろうか?(3)/アベノポリシーの危うさ(287)
⇒2017年9月26日 (火):国会を閉じたい理由は何だろうか?(4)/アベノポリシーの危うさ(288)
⇒2017年9月20日 (水): 国会を閉じたい理由は何だろうか?/アベノポリシーの危うさ(299)

「モリカケ隠し」のために解散したことは明らかである。
そんなことで憲法違反の疑いも指摘されている解散を行うのだから、国政の私物化以外の何ものでもない。
⇒2017年9月17日 (日): 究極の国政私物化-大義なき解散総選挙/アベノポリシーの危うさ(296)

ところが、解散をチャンスとみた小池百合子都知事が「希望の党」を急遽発信させ、前原民進党代表を巻き込んだ。
そのまま野党共闘路線で走れば違った展開になっていたかも知れないが、小池氏の本質はウルトラライトだから、つい排除を持ち出してしまい、急速に失速している。
しかしお陰で、問われるべき「モリカケ疑惑」が後景化したのも事実だ。
もう一度前景に呼び戻す必要がある。

モリカケ疑惑の経緯は以下のようである。
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東京新聞10月16日

森友学園への土地売却に関して、佐川国税庁長官が告発された。

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、東京大の醍醐聡・名誉教授らで作る市民団体が16日、佐川宣寿国税庁長官を証拠隠滅容疑で、学園側と土地売却交渉をした当時の財務省近畿財務局職員を背任容疑で、それぞれ東京地検に告発した。地検は受理するかを検討する。
 土地売却を巡っては、学園の前理事長籠池泰典被告が財務局職員に値引きを求め、職員が「ゼロに近い金額まで、努力する作業をしている」と答える録音データが明らかになった。売却経緯を調べる大阪地検もこの録音データを入手している。
 告発状は、録音データを「証拠資料として強い証明力を有する」と指摘。職員は地下のゴミ量が未確認なのに、土地を不当に安く売却して国に約8億円の損害を与えたとした。また、佐川氏は財務省理財局長だった今年3~4月、「価格について国からの提示や学園側の希望はなかった」などとうその国会答弁を続けたとして、「事件の証拠を闇に葬る証拠隠滅行為にあたる」と主張している。
佐川国税庁長官らを告発 森友問題めぐり、市民団体

予断は許されないが、巨悪に対する司法の姿勢が問われる。

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2017年10月15日 (日)

安倍首相の人権感覚と共謀罪/アベノポリシーの危うさ(306)

共謀罪の審議において、一般人が対象となるのか否かが議論されたが、一般か否かは文脈や立場による。
例えば小川洋子さんの『博士の愛した数式』では、何の変哲もないと思われる28が、重要な意味を持つ数字として描かれていた。
⇒2014年2月 4日 (火):小川洋子『博士の愛した数式』/私撰アンソロジー(31)

悪名高い治安維持法も、当初「国体」の変革と私有財産制度の否認を掲げた結社やそれへの参加の処罰を対象とするとされていた。
しかし対象範囲が拡大していき、宗教団体や俳句結社などを含む広範な団体が弾圧された。
捜査機関が「怪しい」と判断すれば、逮捕して「未決勾留」として長期間の拘束が可能になる。
冤罪で有名な松川事件では、多くの人が貴重な時間を奪われ、人生を台無しにした。新法はその可能性を高めるだろう。

推定無罪という考え方がある。
「推定無罪の原則」とは、「検察官が被告人の有罪を証明しない限り、被告人に無罪判決が下される(=被告人は自らの無実を証明する責任を負担しない)」ということを意味する(刑事訴訟法336条等)。
⇒2010年10月 8日 (金):冤罪と推定無罪/「同じ」と「違う」(22)

しかし未決拘留によって、「推定無罪の原則」は実質的に無化しうることは、松川事件等が教えてくれる。
であるから共謀罪には慎重であるべきなのだ。

ところが安倍首相は、自ら「推定無罪の原則」を無視して憚らない。
逮捕拘留中の籠池氏を「詐欺を働く人間」と決めつけ、昭恵夫人も騙されたと言うのである。
⇒2017年10月12日 (木):安倍首相の暴言と衆院選序盤(?)の情勢/日本の針路(343)

さすがにこれに対しては、驚き、あきれる声が大きい。
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共謀罪を強行成立に持ち込んだのも、加計疑惑隠しの疑いが濃厚だ。
⇒2017年6月15日 (木):共謀罪強行成立という極めて大きな汚点/アベノポリシーの危うさ(233)
日本は既に法治国とは言えないのではないか。

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2017年10月14日 (土)

加計疑惑(55)加戸発言の評価/アベノポリシーの危うさ(306)

10月8日の党首討論会で安倍晋三首相は、加計学園問題を追及されて朝日新聞を例にマスコミ批判を展開した。
首相は「朝日新聞は、加戸守行前愛媛県知事や八田達夫・国家戦略特区ワーキンググループ座長の報道を しておられない」などと発言して、朝日新聞などが推進派の発言を報道していないと指摘したのだ。

さっそく朝日新聞社は、次のように反論した。

 朝日新聞(東京本社発行の最終版)は、閉会中審査での八田氏の発言につい て、7月25日付の朝刊で獣医学部新設の決定プロセスを「一点の曇りもない」 とした答弁や、「不公平な行政が正された」とする見解を掲載した。また、こう した国会での発言も含め、八田氏に単独取材した今年3月下旬以降に10回以 上、八田氏の発言や内閣府のホームページで公表された見解などを掲載してき た。
 加戸氏については、閉会中審査が開かれた翌日の7月11日と25日付の朝刊 で、国会でのやりとりの詳細を伝える記事で見出しを立てて報じたり、総合2面 の「時時刻刻」の中で発言を引用したりしている。
【党首討論】安倍首相の朝日批判、朝日新聞社が反論!「加計学園側の発言を10回以上も紙面掲載」

まあ、取り上げているかいないかと言えば、取り上げているといって良いだろう。
安倍首相の言いたいことは、取り上げ方の問題と思われる。
八田達夫氏らの特区WGが、「すべてオープン」「一点の曇りもない」と胸を張った内実については既に触れた。
⇒2017年8月13日 (日):加計疑惑(45)特区WGのいかがわしさ(2)/アベノポリシーの危うさ(276)

ここでは加戸氏の発言について考えてみよう。
首相の発言はおそらく以下のようなことだろう。

加戸守行前愛媛県知事が国会で重大な証言を行い、ネット上では日本中の国民から納得したという声があがった。しかし一部マスコミは証言を隠蔽し、わざと放送しないようにした。
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加戸守行の重大証言を報じなかった5つの大罪メディア

×印のメディアは、加戸発言を故意に報じなかったと言っているのである。
ちなみに×印が付いているのは、電波ではNHKよテレビ東京、新聞では朝日、毎日、日経である。
いわゆるネトウヨは鬼の首を取ったような勢いで指摘しており、おそらく安倍首相も彼らの発言に力を得ているのではないか。
彼らの主張したい点をピックアップすれば以下のようになるのだろう。

加計学園は12年間、正当に努力していたので選ばれて当たり前。獣医学部新設の必要性に共感し、昔から粘り強く提案していたのは加計学園だけだった。これは贔屓などという話ではなく正当な評価である。だから安倍首相が加計学園をエコ贔屓したというのは難癖に等しい。

そうだろうか?
加戸氏と安倍氏は、愛媛県と国という立場の違いがある。
「(他は拒んだのに)加計学園だけが手を上げてくれた。だから愛媛県が加計学園を選んだのは正当だ。」というのは正しい。
しかし、問われているのは 「国が加計学園を選んだのは正当なのか?」である。
「加計学園だけでなく京都産業大も応募したかったにもかかわらず、加計学園だけ応募できるように、「広域」という条件を付けて、京都産業大を応募資格の点で排除した」のである。
⇒2017年5月28日 (日):加計疑惑(7)京産大排除の論理/アベノポリシーの危うさ(218)

これを、制度を歪め、行政を歪めたと言っているのである。
安倍首相は、「丁寧に説明する」と言いながら、国会を冒頭解散した。
しかも「共産党の小池氏が解散しろと言ったから、解散したのだ」などと開き直っている。
小池氏は「冒頭解散しろ」などとは言っていない。
説明できないし、説明する気もないことは明らかである。

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2017年10月13日 (金)

今、そこに見える「国難」/日本の針路(344)

安倍首相は解散を自ら「国難突破解散」と名付けた。
言わんとしているところは、北朝鮮の脅威と少子高齢化という国内事情のようである。
しかし、世間では「安倍政権の継続こそが国難だ」という声も聞こえる。
「国難だ」と言って、異論を排除してきた歴史もある。
大政翼賛会がその例であるが、まさに似たような雰囲気になりつつある。

しかし「国難」と呼ぶかどうかは別として、目に見える危機があることは確かだ。
米軍普天間基地に所属する大型輸送ヘリCH53が東村高江の牧草地に墜落、炎上した。
現場には米軍による規制線が張られ、立ち入り禁止になっている。

 12時頃、自民党の岸田文雄政調会長が比嘉なつみ候補(沖縄3区・自民)と現場を訪れた。
 親米の政権党だからだろう。2人はいとも簡単に規制線をくぐれた。規制線は現場から400~500m離れた位置に張られている。
 同じく沖縄3区の玉城デニー候補は規制線の中に入れなかった。玉城候補は野党でしかも基地反対を掲げる政治家だ。
 「同じ候補者なのにおかしいではないか」。抗議の住民・市民と警察が揉み合いとなった。現場は一時緊迫した。
 午後1時頃、翁長知事が現場を視察し「国難とはこういう状況だ」と語気を強めた。
地元農民・西銘晃さんの土地に墜ちたのだが、である。
【沖縄発】翁長知事「国難だ」 米軍ヘリ、牧草地に墜落 自分の土地に入れない農民

現場の状況をテレビの映像などで見る限り、明らかに「墜落」というイメージである。
しかし米軍は緊急着陸と公表し、日本政府もそう表現している・
1710132
東京新聞10月13日

事故原因は「日米地位協定」により、日本はアンタッチャブルである。
翁長知事のいうように、これこそが「国難」ではなかろうか。

そして「もの作り日本」を象徴する企業の不祥事続きである。
神戸製鋼や日産自動車の検査不正である。
検査部門の強い力が優れた品質を担保してきたのだ。
「〇〇ミクス」という浮ついた経済政策の裏側で、堅実な企業が浮利に走ってしまったのではないか。

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