再生可能エネルギー特別措置法をどう評価するか
26日の参院本会議で、「再生エネルギー特別措置法」が可決した。
菅首相が自分の退陣条件の1つとしてこの法案の成立を挙げていたので、法案の評価よりも、退陣させることの方が優先されたような気がする。
菅退陣には賛成だが、本来エネルギー問題は、首相の退陣とは切り離して考えるべきものであろう。
同法の実効性については、これから定められる具体的な制度設計に依存する要素が多いが、現段階でどのように考えられるだろうか?
一般に同法への期待は大きいようだ。
同法はエネルギー政策を転換し、脱原発を進める手段にもなり得る。法を運用しながら、より実効あるものに育て上げ再生可能エネルギー普及を目指したい。
再生エネ法による発電は家庭、企業が主役だ。太陽光、風力、地熱、バイオマスなどで発電した電力を発電者から買い取ることを電力会社に義務付けている。
その価格を決めるのが第三者機関「調達価格等算定委員会」だ。価格の透明性を担保するために資源エネルギー庁に置かれる。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-180986-storytopic-11.html
福島原発事故は、未だにその骨格部分で具体的な事実関係が明らかにされていない。また、その影響範囲と程度についても、進行中の事態である。
しかしながら、少なくとも現在の情報量だけでも、将来的に再生可能な自然エネルギーへの依存度を高めるべきだということについては、大方のコンセンサスは出来上がっているであろう。
つまり、同法の立法の意図についてはほとんどの人が賛成するのではなかろうか。
しかし、実際的にどういうことになるのかという議論は十分といえるのだろうか。
田舎芝居のような民主党代表選にに目くらましされているのではないか。
民主党の代表は、日本国の総理大臣になるわけだから、重要案件であることに間違いはない。
野田氏が決選投票で海江田氏を破って新代表になった。自公との提携(あわよくば大連立)・大増税路線といわれる。
「何のための政権交代だったのか?」と言いたくなるような内閣が誕生するのであろうか。
野田氏は、明確に早期の解散を否定した。詐欺的政権交代を続けるつもりのようである。
ごくシンプルに考えてみよう。
ここでは、「エネルギーが本当に再生できるのか? エントロピーの概念は考えなくてもいいのか?」というような問題はとりあえず触れない。
太陽光等の導入が今まで期待以上に進まなかったのは、突き詰めれば経済合理性がなかったからだろう。
原発のコストに比べればずっと高いとされてきた。
それが福島原発事故によって、原発のコストが巷間言われているようなレベルではないことに気づかされた。
もちろん、気づかないことが悪いと言われればそれまでであるが、専門家が言っていることを信じざるを得ないのではないか。
原発事故に付随するコストを全部織り込めば、原発のコストはどうなるのか?
現在の状況では「禁止的なコスト」とでも言うしかない。つまり原発からは脱却せざるを得ないのだ。
つまり、エネルギーコストは高くならざるを得ない。
それをどう負担するのか?
(1)太陽光発電業者は、作りだした電力はコストに見合う金額で必ず買ってくれるのだから、絶対に損をしない。仮に買い取り金額を低く抑えても、事業者が赤字になるのでは普及しないから、必ず税金か何かで補填することになる。
(2)電力会社は、買い取った電力を買い値に見合う値上げでカバーしてもよいという法律があるから、絶対に損をしない。
原子力発電の20倍も高い電力を作り出して、「当事者である業者も電力会社も損をしない」となると、電気を使う国民と企業が損をするのは明らかじゃないですか。その総額は200兆円! 仮にコストダウンして設置費用が半分になっても100兆円! さらに原発の半分だけをまかなうことにしても50兆円! そんな「破綻の将来」に向かって後戻りできないようにする法律ではないかと思うのですが。
http://www.mentsu-dan.com/index.html#diary
私は市場主義者ではない。
しかし、市場の論理をまったく無視したような法律が成立してしまったことを深く憂慮する。
菅氏は、イタチの最後っ屁のような法律によって、退陣後までも最大不幸をもたらす気なのだろうか。
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