書籍・雑誌

2017年8月 8日 (火)

民主党政権の「顧客満足度」から学ぶ/戦後史断章(26)

このブログを始めて10年。
入院してネットへ接続できなかった期間を除き、基本的には関心の向くままに書いてきた。
当初の想定とはだいぶ変わってきた。
想定していなかった最大の出来事は、やはり東日本大震災と福島原発事故だと思う。
⇒2011年3月11日 (金):大規模地震で日本国はどうなるのか?

私は2012年8月と2016年8月に東北旅行をしたが、2012年の時は、未だ爪痕が生々しい状態であった。
⇒2012年8月27日 (月):大川小学校の悲劇と避難誘導の難しさ/因果関係論(20)・みちのく探訪(1)
去年は直接の被災地へは出向かなかったが、南相馬市出身の知人の話等を聞くと、東日本大震災、とりわけ原発事故からの復興は未だ途上だと感じざるを得ない。

福島原発事故は廃炉の工程の入り口にも立っていない。
規制委の適合性審査は必要条件に過ぎないのに、合格したら可及的速やかに稼働させるというのは明らかに短絡だろう。
⇒2013年7月 9日 (火):規制委の安全性審査は必要条件ではあるが十分条件ではない/花づな列島復興のためのメモ(243)

政治・社会的には民主党への政権交代(とその失敗)が残念であった。
⇒2009年9月 1日 (火):総選挙における「風」と「空気」
政権交代の総選挙の盛り上がりは、戦後史の特筆すべき事象と言える。
自民党政権へのウンザリ感が、空前の風を呼び起こした。

似たような「風」の威力は、最近の都議選でも見られた。
自民党へのウンザリ感の受け皿となったのは、都民ファーストの会であり、民主党の後継である民進党は、戦う前から敗北していたのだった。
⇒2017年7月 2日 (日):都議選の結果は国政にどう影響するか/日本の針路(323)

民進党(旧民主党)は、なぜ、かくも人心から離れてしまったか?
マーケティングにおいて、顧客満足度は次のように表されるという。
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顧客満足度を高めている企業は「事前期待」を掴んでいる

つまり、期待か大きかった分、結果に落胆したのである。
そのガッカリ感が未だに尾を引いている。

現政権不支持の理由の第1位が「首相が信頼できない」であるにかかわらず、支持の理由は「他の政権よりマシ」である。
地方首長選に事例があるように、与野党対決型の選挙では結構反自民側が勝利しているケースが多い。

民進党は細野豪志氏が離党して新党を目指すという。
若狭勝氏の「日本ファーストの会」との合流・統合も噂されている。
どういう形で反自民党政権の受け皿が現実化するのか想定は難しいが、小異を捨てて大同に付くことが必要である。
小沢一郎氏の唱えている「オリーブの木」方式しかないのかも知れない。
次の総選挙では、野党統一候補を何人立てられるかが鍵になると思う。

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2017年7月18日 (火)

葉っぱのフレディ-いのちの旅・日野原重明/追悼(107)

聖路加国際病院名誉院長の日野原重明さんが、18日、呼吸不全で死去した。
105歳だった。

Ws000001 1911年山口県生まれ。京都帝大医学部卒。41年から内科医として聖路加国際病院に勤めた。同病院内科医長、聖路加看護大学長、同病院長などを歴任。2002年度朝日社会福祉賞。05年に文化勲章を受章した。
 専門は内科学。54年、勤務していた聖路加国際病院で、国内の民間医療機関で初めて人間ドックを導入した。成人病と呼ばれていた脳卒中、心臓病などを「習慣病」と呼んで病気の予防につなげようと70年代から提唱してきた。旧厚生省は96年になって成人病を生活習慣病と改称し、今では広く受け入れられている。
 医師が患者を大切にして、対等に接する米国医療の側面に戦後早くから注目し、看護師の仕事も重視した。51年の米留学後、医師の卒後臨床研修の改革や、看護教育の充実、看護師業務の拡充などを求めてきた。聖路加看護大学長を務め、88年には看護学として日本初の大学院博士課程を開設した。
100歳超えて現役医師 日野原さん「習慣病」も提唱

日野原さんは昭和45年の「赤軍派」ハイジャック事件の日航「よど号」に乗客として搭乗していた。

 日野原氏は45年3月、出張で搭乗したよど号で事件に遭遇。乗客がハイジャックを理解せず、メンバーも説明に窮する中、声をあげて「人質を取る乗っ取り」と説明。「ハイジャックする人が説明できないのはおかしい」とマイクで語り、緊張する機内をなごませた。
 日野原氏は後年、産経新聞への寄稿で、メンバーが革命歌「インターナショナル」を歌うと、乗客が別れの歌「北帰行」を吟じたエピソードなどを回顧。「生きるも死ぬも皆が同じ運命にあるという意識から生じたストックホルム症候群という敵味方の一体感に一同が酔ったといえるのかもしれない」と振り返っていた。
「思い上がりを正した恩人。直接おわびしたかった」日野原氏の訃報によど号メンバーも弔意

私には、レオ・バスカーリアの『葉っぱのフレディ-いのちの旅』のミュージカル化の印象が強い。
同書は子供向けの絵本であるが、1998年10月27日の日本経済新聞朝刊のコラム「春秋」と産経新聞朝刊のコラム「産経抄」が揃って紹介したことが忘れられない。
「産経抄」から引用する。

絵本といえば絵本、童話といえば童話なのだが、「死」についての本である。子どもに「死」を考えさせる絵本は珍しいのではないか▼小欄へ贈ってくださる本は多いのだが、そんなことでご紹介する気になった。本の題は『葉っぱのフレディ』(みらいなな訳、島田光雄画)といい「いのちの旅」という副題がある。作者はアメリカの哲学者レオ・バスカーリア、生涯でただ一冊書いた童話だった▼葉っぱのフレディは大きな木の太い枝に生まれ、夏には木かげをつくって涼しい風を送っていた。しかし、季節はかけ足で過ぎ、秋の寒気がきて紅葉する。霜をうけ枯れ葉となった仲間はつぎつぎに散っていく▼「こわいよう、ぼくも死ぬの?」とおびえるフレディに友人のダニエルは教えた。「その通りさ、でも世界は変化しつづけているんだ。変化しないものはひとつもないんだよ。死ぬというのも、変わることのひとつなんだ。だれでもいつかは死ぬ。でも“いのち”は永遠に生きている」▼だが春に生まれて冬に死んでしまう一生にどんな意味があるというのだろう。「ねえ、ぼくは生まれてきてよかったのだろうか」。よかったのさ、夏は木かげをつくり、秋は紅葉でみんなを楽しませたじゃないか、といってダニエルは夕暮れの光のなか枝を離れていく▼翌朝は雪で、フレディもねむりに入るが、また春はめぐってきた…。わたしたちはどこから来て、どこへ行こうとしているのだろうか。子どもはだれでも一度はそのことを考える。そういう難問に、この本は真正面から答えている。

約20年が過ぎたが、この絵本の問いかけはますます考えさせられる。
人生を1年に見立て、「青春」「朱夏」「白秋」「玄冬」というが、わが人生も、白秋から玄冬へ入った。
生き続けるかのように見えた日野原さんも、自然の摂理に従って、従容として旅立って行ったのだろう。
合掌。

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2017年7月12日 (水)

暗号革命と素数(1)暗号化の基礎/知的生産の方法(161)

素数について、初めて学校で教わった時の記憶がない。
ちょっと調べてみたら、以下のような図があった。
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算数の系統表の一部 (新学習指導要領における算数・数学内容系統一覧表より抜粋)

つまり、小学校5年の教程に位置づけられている。
遙かな昔であるが、小学校の担任教師の顔を思い浮かべても、素数にまつわるエピソードをまったく思い出さない。
しかし、この素数が暗号のパラダイムシフトに深く関係している。

暗号と言って先ず思い浮かべるのは、例えば、ホームズものの『踊る人形』であろう。
森谷明子『春や春』光文社文庫(2017年5月)でも、俳句甲子園を目指す高校生の共通の話題として取り上げられていた。
⇒2017年7月 7日 (金):森谷明子『春や春』/私撰アンソロジー(48)

以下のような図が何を意味するか?
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何かのいたずら書きだろうか?
しかし、ホームズは、これがメッセージだと考え、人形の図形とアルファベットを対応させた。
最初のステップは、英語で最も使用頻度の高い文字「E」の特定である。
ホームズは何とか解読して、対応表を完成する。
古典的な暗号の代表が、文字の置換である。
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このように、暗号化のカギを知っていることが、解読の必要条件である。
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しかし、このカギの安全性をどう担保するか?
カギを盗まれたら、暗号化の意味がなくなる。
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特にインターネットが普及した現代において、「確実な情報伝達」と「情報の保秘」という反対のベクトルの要請にどう応えるかが重要な課題になっている。

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2017年7月 7日 (金)

森谷明子『春や春』/私撰アンソロジー(48)

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本作は、俳句甲子園を目指すことになった「藤が丘女学院」という架空の女子高の生徒たちの話である。
掲出部は主人公の茜が、国語の授業で富士という女性教師から桑原武夫の第二芸術論を聞き、納得いかないものを感じたシーンで、このことがきっかけとなって俳句甲子園を目指すことになる。

先日、桑原武夫氏の蔵書を寄贈された京都市が、勝手に廃棄処分していたというニュースを目にした。

フランス文学者で元京都大教授、桑原武夫さん(1904~88年)の遺族から寄贈された蔵書約1万冊を、京都市が2015年に無断で廃棄していたことが、遺族側関係者などへの取材で分かった。利用実績が少なかったことから「保管の必要はない」と判断したという。市教委は判断が誤りだったと認め、遺族に謝罪した。
遺族に無断で1万冊廃棄 京都市が謝罪

「学芸員はガンだから一掃すべきだ」という大臣がいたように、学芸の軽視の影響がこういう所にも表れていると言えよう。
桑原武夫氏は仏文学が専門であるが、京大人文研の共同研究のリーダーとして、優れた手腕を発揮した。
「第二芸術論」は、若い頃の桑原が放った伝統芸術への疑問であり、大きな反響を呼んだ。
⇒2007年8月25日 (土):第二芸術論再読
⇒2007年8月26日 (日):第二芸術論への応答

「〇〇甲子園」というのは、高校対抗のイベントの代名詞である。
運動部だけではなく、文化部でも行われている。
この4月に知り合いの娘が高校に入学し、書道部に入ったと言っていた。
「書の甲子園」で地区優勝したこともある高校で、やはり練習量は多いようだ。

「俳句甲子園」は、正岡子規や高浜虚子などを輩出し、俳句の聖地とされる松山市で毎年開催されている。
⇒2010年8月30日 (月):俳句甲子園
高校生とはいえ、なかなかのレベルである。
⇒2011年9月27日 (火):今年の俳句甲子園/私撰アンソロジー(7)

こういう世界でも開成高校が常連校として顔を出すのは、癪ではあるが納得もする。
本書によれば、全国大会へ進むための決め手は、実作もさることながら、鑑賞の優劣にあるという。
俳句作品の優劣を客観的に決めるのは難しいが、鑑賞ならば共通理解が得やすいということもあるのかもしれない。
⇒2007年8月22日 (水):選句遊び
⇒2007年8月23日 (木):「選句」の遊び適性

自分の高校時代を思い出しても、驚くような早熟な批評眼を発揮する友人がいたが、開成高校には、そういうレベルの高校生がぞろぞろいるのだろう。
大会の様子は以下のようである。
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俳句甲子園

森谷氏の小説は初めて読んだが、小川洋子氏と早稲田大学の同期生だという。
⇒2014年2月 4日 (火):小川洋子『博士の愛した数式』/私撰アンソロジー(31)
早大一文と言えば、作家志望の人間の集まりなのだろうな、と思う。

女子高生といっても、アニメの主人公たちとは異なり「萌え」ではないようだ。
最近、必要があって『ラブライブ!サンシャイン!!』というアニメを覗き見してみたが、サッパリ興味が湧かなかった。
ストーリーの違いなのか、アニメと小説の違いなのか。

私は、「プレバト」というテレビ番組で、夏井いつき氏が発する毒舌コメントと劇的に添削するのを楽しく視聴しているが、俳句の奥深さは底なしのような気がする。
まあ、俳句に限ったことではないのだろうが。
1字か2字の添削が多いが、確かに印象に大きな差異をもたらす。
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[プレバト俳句査定]味気ない添削と、好きになれないフジモンの俳句

「印象操作」を論ずるならば、こういう問題を題材にしたらいかがだろうか。
本書には、俳句の創作や鑑賞の手引きとしての性格もあり、楽しく読了した。

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2017年7月 6日 (木)

自民ワーストの主犯は安倍首相自身/アベノポリシーの危うさ(248)

都議選において、自民党は負けるべくして負けた。
野村克也の名言として知られる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」で、自民党の負けは必然であった。
⇒2017年7月 5日 (水):自民ワーストの都議選と自民の「反省」/日本の針路(324)

「週刊文春」7月13日号の記事は『安倍に鉄槌!』である。
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基本はここにあるのであって、諸々の敗因分析は増幅要因である。

閣僚経験者の一人は、不祥事や疑惑を引き起こした閣僚や政権幹部の名前を挙げながら都議選惨敗の要因を総括してみせた。「THIS IS 敗因。Tは豊田、Hは萩生田(はぎうだ)、Iは稲田、Sは下村」
自民幹部「安倍おろしの声出るかも」 首相の求心力低下

確かに、豊田、萩生田、稲田、下村は、直近の要因として、自民党の壊滅に寄与したであろう。
しかし、政権の周りにさまざまな不祥事が噴出していたのであり、構造的であったのだ。
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東京新聞7月2日

自民党の竹下国対委員長は、安倍首相の外遊中に前川前事務次官を参考人招致することを提案し、民進党も受け入れた。
しかし、こんな姑息なことをやっているのでは民心はますます離れていくだろう。
民進党も議席が残ったなどとホッとしているようでは未来はないだろう。






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2017年6月27日 (火)

原子力事業で破滅の危機の東芝(8)2部降格と半導体事業の行方/ブランド・企業論(67)

東京証券取引所は23日、経営再建中の東芝の株式について、8月1日付で東証1部から2部に降格させると発表した。
今年3月末時点で、負債が資産を上回る債務超過の状態にあったことを東証が確認したためであり、予測はされていたが、「とうとう」という感慨新たである。

 東芝は23日、2017年3月期の決算内容を記した有価証券報告書(有報)の提出期限の延長を関東財務局に申請し承認を受けたと発表した。新しい期限は8月10日。半導体メモリー事業の売却交渉で官民ファンドの産業革新機構などを優先交渉先に決めたばかりだが、その一方で有報提出は先送りせざるを得ないといった綱渡りの運営が続いている。
 綱川智社長は東芝本社(東京・港)で会見を開いた。冒頭、有報の提出期限の延長などについて説明し「株主など利害関係者に多大な心配をおかけすることをおわびします」と謝罪した。15年春の会計不祥事発覚以降、有報の期限を延期するのは今回で5回目だ。
 提出期限延長の主因は、3月下旬に法的整理に踏み切った米原子力事業会社のウエスチングハウス(WH)。WHは米連邦破産法11条の破綻手続きに入っているが、再生計画が固まるのは7月末がめどとなる。これに伴い決算や監査手続きの完了に時間がかかるほか、米国の原子力発電所建設プロジェクトの工事損失引当金について損失の認識時期が適切だったかどうかの確認も進めている。
 監査法人のPwCあらたとは見解の対立が続いているが、協議を継続し、新しい有報提出期限までに「適正意見」の獲得を目指す。
東芝社長、日米韓連合と基本合意「28日までに可能」 

東芝の失敗は、国策と一体化した原発事業への執着にある。
「週刊エコノミスト」6月20日号に、以下のような図が載っている。
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その国策の推進者が現在の政権を支えているのだ。
政権を変えないと、10年後には日本全体が東芝化する蓋然性が高いと言えよう。

半導体メモリーの売却について東芝は革新機構と日本政策投資銀行、米投資ファンドのベインキャピタルの連合を優先交渉先に選んだ。
しかし、協業先の米ウエスタンデジタル(WD)が売却に反対の姿勢で法的手段にも出ており、前途は不透明だ。
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東京新聞6月22日

半導体メモリーの売却についても、国を「忖度」するようでは、東芝は所詮、その程度の会社、ということになる。
残念であるが、そんな会社にイノベーションは期待できないだろう。
東芝が上場を維持するとしても、ウリという判断だろう。

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2017年6月21日 (水)

アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(4)/アベノポリシーの危うさ(239)

安倍ヨイショの山口敬之氏のレイプ事件は、この内閣の本質の一面を照射するものであろう。
事件の経緯を、改めて「週刊新潮」6月8日号から引用しておこう。
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この時系列を見ると、事件後、被害者の詩織さんは警察に相談に行き、警察は防犯カメラで確認をした。
その1週間後に、山口氏はTBSワシントン支局長を解任されている。
さらに1週間後、告訴状が受理されたが、約40日後、逮捕状執行が取り消しになっている。

逮捕状実務に詳しい若狭勝氏は、次のように言う。

この種の犯罪で、所轄警察署が入手した逮捕状につき、警視庁本部刑事部長がその逮捕状の執行をストップすることは通常絶対にあり得ない。
裁判官の判断は何だったのか。そもそも、裁判官は、逮捕する理由も相当ではなく、逮捕の必要もない、ひいては、逮捕するに適さない案件に逮捕状を発付したということなのか。
若狭勝議員(元東京地検特捜部副部長)が断言!「元TBS記者山口敬之氏レイプ疑惑、警視庁本部刑事部長がその逮捕状の執行をストップすることは通常絶対にあり得ない」

あり得ないことの連続である。
いかに法治がないがしろにされているかと言うことであろう。
そして、「通常絶対にあり得ない」逮捕状執行取り消しから約1年後、ヨイショ本『総理』が発売され、さらに半年後に第2弾のヨイショ本が発売されている。
つまり、あたかも逮捕状取り消しの御礼の如くである。

法治がないがしろされていることは、「閣議決定の私物化」でも分かる。
安倍首相の夫人昭惠氏が公人か私人か問題になった。
⇒2017年3月 4日 (土):森友疑惑(12)総理夫人は私人か公人か/アベノポリシーの危うさ(146)

これに対し、政府は3月14日、「公人ではなく私人であると認識している」との答弁書を閣議決定した。
閣議決定してもらう「私人」というのも論理矛盾であるが、その後明らかになりつつあることは、私人の域を遙かに超えていると言わざるを得ない。
⇒2017年4月 9日 (日):森友疑惑(43)昭惠夫人の壮大な勘違い/アベノポリシーの危うさ(180)
⇒2017年4月 5日 (水):加計疑惑(1)昭恵夫人の関与/アベノポリシーの危うさ(177)
⇒2017年3月25日 (土):森友疑惑(32)焦点となった昭惠夫人/アベノポリシーの危うさ(167)
⇒⇒2017年3月24日 (金):森友疑惑(31)「藪の中」は解明されたか?/アベノポリシーの危うさ(166)
⇒2017年3月18日 (土):森友疑惑(25)昭惠夫人の役割/アベノポリシーの危うさ(160)

公人と認めてしまうと、首相との一体性を認めることになると考えたのだろうが、ムリにムリを重ねた結果、「閣議決定」そのものの権威性を地に落とした。
その後、昭恵夫人付の公務員は5人いることが分かった。
その内の2人は首相官邸に常駐しており、森友との連絡を担当した谷査恵子氏もその一人だった。
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東京新聞4月11日

このように体制が膨れたのも、安倍首相が「女性が輝く社会」などというスローガンを打ち出し、それに夫人を利用すると共に、夫人もそれに乗ったからである。
空疎なスローガンを打ち上げただけの、後は野となれ山となれ、がこの政権の本質なのは、「魂の殺人」とも言われるレイプ犯を放免させたことに現れている。

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2017年6月11日 (日)

加計疑惑(17)官邸と加計グループの多面的な関係/アベノポリシーの危うさ(230)

加計学園グループの加計孝太郎理事長と、安倍首相が長年の友人関係、首相自身の言葉によれば「腹心の友」であることは公知の事実である。
「週刊朝日」6月16日号に、安部首相の人脈と加計学園グループの関係を表した以下の図が載っている。
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まさに「ズブズブ」というに相応しい関係である。
⇒2017年6月 5日 (月):加計疑惑(12)底なし沼のようなズブズブの関係/アベノポリシーの危うさ(225)

このような親しい関係にある場合は、特に疑われないような心構えが必要である。
いわゆる「李下に冠を正さず」であり、「瓜田に履を納れず」である。
⇒2017年3月14日 (火):森友疑惑(21)加計学園の李下の冠/アベノポリシーの危うさ(156)
ところが、安倍官邸は、千葉科学大学学長に「天下り」している木曽功元内閣官房参与が典型であるが、余りにもしばしば「李下に冠を正し」、「瓜田に履を納れ」ている。

獣医学部開設計画が急進展したのは、昨年の内閣改造後である。
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東京新聞6月9日

内閣改造では、地方創生担当相が石破茂氏から山本幸三氏に、文科相が下村博文氏から松野博一氏に交代した。
時を同じくして、今治市では、決定前にもかかわらず開学を前提としたスケジュールが共有されていた。
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東京新聞6月9日

学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が愛媛県今治市で獣医学部を新設する計画を巡り、京都産業大(京都市)も学部新設を希望していたにもかかわらず、内閣府が加計学園側の開学時期についてだけ協議していた疑いが浮上している。政府が「2018年4月開学」とする要件を公式に公表したのは昨年11月だが、毎日新聞が入手した今治市議会の資料からは、公表前から市と内閣府が連携して来春開学を目指していた様子がうかがえる。
「18年開学」内閣府が協議の疑い 公表前に

さあ、これだけの状況証拠が出揃いつつある。
「関与は明白」であろう。
さすがに自民党の中にも危機感が生まれつつあり、「安倍下ろし」の予感もする。
「恋々としがみついている」のは誰なのか?
「国家百年の計」を考えるならば、一刻も早く辞任すべきではないか。

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2017年6月 6日 (火)

加計疑惑(13)前川氏に対する印象操作という墓穴/アベノポリシーの危うさ(226)

安倍首相が、「印象操作」という言葉で、質問を遮ろうとすることが多い。
以下のような記事がある。

Ws000001_2 5月30日の参院法務委員会。友人の加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園との関係を野党議員に問われ、首相が反論した。「1年間に14万円の報酬を受けたことはございます。しかしこれは印象操作であって、まるで私が友人のために便宜を図ったかのごとく議論をしておりますが恣意(しい)的な議論だと思います」
 首相は「印象操作」を今国会でたびたび使う。「忖度(そんたく)した事実がないのに、まるで事実があるかとのことを言うのは典型的な印象操作なんですよ」「我々がまるでうそをついているかのごとく、そういう印象操作をするのはやめていただきたい」
 インターネットの国会の会議録で「印象操作」という言葉で検索をかけると、初登場は2015年3月。同年は4回、16年は8回使われた。今国会(2日夕時点の公開分)、首相は16回発言している。
 「印象操作」と言われた共産党の小池晃書記局長は取材に「事実関係を確認しようと質問しているのに、それに答えず『印象操作だ』と応じるのでは議論にならない。聞く耳を持たないという意志の表れだ。あんな言葉、どこで覚えたんですかね?」と話した。
「印象操作」首相が連呼 野党「どこで覚えたのか」

どこで覚えたのかは知らないが、首相サイドでよく理解していることは、衝撃の証言をした前川前文科事務次官に対して、個人情報をチークしてまで、「怪しい人間像」という印象を植え付けようとしたことでも明らかであろう。
⇒2017年5月25日 (木):加計疑惑(4)衝撃の前川前文科事務次官会見/アベノポリシーの危うさ(215)
⇒2017年5月29日 (月):加計疑惑(8)「王様は裸だ」と言った前川前事務次官/アベノポリシーの危うさ(219)
⇒2017年5月30日 (火):加計疑惑(9)国家の悪事の告発とプライバシー/アベノポリシーの危うさ(220)

しかしその悪だくみも、相手の女性の証言等で覆されつつある。
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「週刊文春」6月8日号

ここでも政権は自ら墓穴を掘っているのだ。
⇒2017年3月28日 (火):森友疑惑(35)連続オウンゴール/アベノポリシーの危うさ(170)
⇒2017年3月30日 (木):森友疑惑(37)ゼロ回答と満額回答/アベノポリシーの危うさ(172)
⇒2017年3月29日 (水):森友疑惑(36)辻元疑惑(?)と対比する愚/アベノポリシーの危うさ(171)
⇒2017年3月31日 (金):森友疑惑(38)辻元批判と拡大する墓穴/アベノポリシーの危うさ(173)

以下のツイッターの感覚に同感する。
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「出会い系バー=買春」と決めつけた発言をした菅官房長官をはじめとする人たちは、自身のゲス性を恥じるべきだ。
籠池前森友学園理事長で成功した「印象操作」であるが、柳の下に何匹もドジョウはいないようだ。
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2017年6月 5日 (月)

加計疑惑(12)底なし沼のようなズブズブの関係/アベノポリシーの危うさ(225)

安倍首相は5月8日、衆院予算委員会集中審議で、学校法人「森友学園」問題に絡み、一時名誉校長に就任した昭恵夫人と学園側が「ずぶずぶの関係」にあったと指摘した民進党の福島伸享議員に、対して次のように言った。

「ずぶずぶの関係」とか、そんな品の悪い言葉を使うのはやめた方がいい。それが、民進党の支持率に出ている。
安倍首相、民進党議員の「ずぶずぶの関係」に不快感

民進党の支持率に言及するのは余計なお世話だろうが、確かに余り上品な語感ではない。
しかし、「ずぶずぶの関係」と言わざるを得ないような実態があるのだ。
「ズブズブの関係って、どんな関係ですか?」というYahoo知恵袋の質問に対し、ベストアンサーに選ばれた回答は以下のようである。

許認可する行政機関と業者が癒着している状態を言います。
国会議員と業者の癒着も言います。
ほとんどは贈収賄や献金がらみで自分の処が儲かるようにしてもらう事です。
解りやすい例が韓国の沈没船セウォル号の過積載を行政が見て見ぬふりをした事や運行ルートを20年間独占させた事など政府機関、政治家、海洋警察、地方自治体も含め韓国社会の闇は深いのでしょう。
まさに国ぐるみで「ズブズブ」の関係です。
ズブズブの関係って、どんな関係ですか?

2014年5月の回答であるが、今なら、森友や加計を例にした方が分かりやすいだろう。
安倍首相の「腹心の友」が理事長を務める加計学園には、首相の周りの人間が深く係わってきた(いる)。
170603
東京新聞6月3日

これ以上「ズブズブ」を説明するに好適な例は簡単に見つからないだろう。
未だに、「加計も森友も違法性はない」という人もいる。
例えば、経済評論家だという渡邉哲也氏は次のように言う。

 国会で籠池問題に次いで、加計学園問題が話題になっている。この二つの問題の共通点は、その違法性が見いだせないことに加えて、重要な憲法違反であり、国民の権利を侵していることにある。
 日本国憲法では第16条で「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない」と請願権を認めており、請願をしたからといって、差別待遇をしてはいけないと規定している。
民進党よ、加計学園問題を追及しても時間のムダである

つまり加計学園側の行為は、「憲法で保障されている請願行為であり、何ら違法性がない」と言っているのである。
問題になっているのは加計学園の行為そのものではなく、行政判断を政権のごり押しによって歪められたか否かである。
渡邉氏は、意識的にか無意識的にか、論点をすり替えている。

前川氏の証言その他により、内閣府が文科省に圧力を加えていた実態が明らかになりつつある。
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東京新聞6月2日

違法でないことは、必要条件ではあるが、十分条件ではない。
政策決定には、公平性や透明性なども必要である。
加計事件は、前川氏の個人攻撃までして、「あるものを、ないことにする」権力犯罪の性格が加わった。
文科省内には前川擁護の動きが見られ、NHKまで、文科省内で件の文書の共有を示すメールの存在を報じている。
官邸はどにような手を打ってくるか。
しかし、「驕る平家は久しからず」で、大きな動きは止められまい。

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