パソコン・インターネット

2011年8月18日 (木)

グーグルがモトローラ買収

Facebookが日本でも急速に増殖しているようだ。
私も、試行的に使ってみたが、利用のメリットを実感するところまでは至っていない。
と思っていたら、SNSとして新しくリリースされたGoogle+(グーグル・プラス)の勢いがすごいらしい。

公開された6月末からおよそ1ヶ月経った8月初めの時点で、登録ユーザー数は2500万人。フェイスブックの75000万人にはもちろんかなわないが、こちらのほうは7年かかっての数字だ。
しかも、グーグル・プラスは、まだ招待制の試行運転期間中にすぎない。それでも話題性も好感度もかなり高く、このぶんでは年末までにツイッターを超えて、フェイスブックに迫る第2のSNSに躍進する可能性もある。
http://diamond.jp/articles/-/13536

SNSは、リアルの社会関係をネット上での社会関係にどう反映するか(あるいは、しないか)が基本的な性格を決める。
フェイスブックにおけるつながりは「第一階層」、マイスペースやミクシィは「第二階層」が中心である。
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http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110127/218175/?ST=print
その性格の違いをビジネスモデルとして有効に生かせるかが、多くの事業体においても問われることになろう。
おそらく、スマートフォン等のモバイル端末との連携が決め手になると思われる。

おりしもGoogleがMotorola Mobilityを買収するという発表があったところである。

Googleは2011年8月15日(米国時間)、携帯端末メーカーのMotorola Mobilityを125億米ドルで買収すると発表した。Googleは、Motorola Mobilityの株式を1株当たり40米ドルで取得する。この取得額は、8月12日の終値である24.47米ドルに63%のプレミアムを乗せた金額だ。
Motorola Mobilityは、「Android」の開発を推進するために設立された業界団体である「Open Handset Alliance」のメンバーでもある。Googleは、そのMotorola Mobilityを買収することによって、「Androidのエコシステムを大幅に強化でき、モバイルコンピューティング分野における競争力が向上する」と述べている。

http://eetimes.jp/ee/articles/1108/16/news027.html

私はかつて提携していた韓国の企業が、アジア通貨危機の影響で、自力での事業継続が困難になり、モトローラの傘下に入ってしまうという苦い思い出がある。
Googleの狙いはMotorola Mobilityの所有する特許権にあるといわれる。

Googleは、買収によって取得するMotorola Mobilityの1万7000件の特許を盾として、多くの特許侵害訴訟を抱えるAndroidのエコシステムを守ろうとしている。Androidを搭載したスマートフォンは市場でのシェアを確実に伸ばしているが、同時にGoogleとそのパートナー企業に対する特許侵害訴訟の脅威も増加しているのだ。
・・・・・・
同社の最高法務責任者(CLO:Chief Legal Officer)であるDavid Drummond氏は、
2011年8月3日付けの公式ブログの投稿の中で、「Microsoft、Oracle、Appleをはじめとする企業が、偽の特許を使って、Androidに対する“組織的な攻撃キャンペーン”を行っている」と怒りをあらわにしている。
Googleに対する大規模な一斉攻撃で先陣を切ったのはOracleだ。Oracleは2010年8月、AndroidがJavaプラットフォームに関する複数の特許を侵害しているとして訴訟を起こしている。Drummond氏はブログの中で、Androidを採用するBarnes & Noble、High Tech Computer(HTC)、MotorolaおよびSamsung Electronicsといったメーカーに対して別途起こされた訴訟についても言及した。
Apple、EMC、MicrosoftおよびOracleは、より地道なAndroid対抗策として、コンソーシアム「CPTN Holdings」を設立し、Novellが所有する882件の特許を買い取ろうとしていた。これらの特許は、Linuxなどのオープンソースのソフトウェアを含むさまざまな分野で用いられている。このため、オープンソース推進団体などが懸念を表明、米国司法省が2011年4月に、これら4社に対して、特許購入の取引を見直すよう求めた。
ところが2011年7月、Googleにとって大打撃となる動きが起きる。Apple、Microsoft、Research in Motionなどが参加するコンソーシアムが、Nortelが所有する6000件の特許を45億米ドルで購入したのだ。これらの特許のうちの多くが、無線通信の基礎技術に関するものだという。この動きを受けて、Googleは急きょIBMから1000件の特許を購入したが、これでは十分な対応策とはいえないだろう。

http://eetimes.jp/ee/articles/1108/17/news089.html

まさに、生態系における遷移のごときビジネス勢力図の塗り替えである。
Googleは、ユーザーが多ければそれだけ利便性が高まるという「ネットワーク効果」を最も有効に活用してきた企業である。
SNSやモバイル端末を含め、ビジネスモデルの勝者は誰か?
私のようなビジネスの第一線からは身を退いている高齢者にとっても、まことに興味深いことだが、プレイヤーとして日本企業が登場していないのには、いささか寂しい思いがする。

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2011年8月17日 (水)

サイバーテロのリスクマネジメント

サイバーテロに対する注目が高まっている。
雑誌「WEDGE」の1108号で、『サイバーテロ』の特集をしている。
同記事によれば、「サイバー攻撃代行サイト」なるものがあるという。
依頼を受けて、特定のウェブサイトをダウンさせてサービスを停止に追い込んでくれるという。
代行サイトのほとんどがロシア語か中国語で、たとえばあるロシア語サイトの場合、1時間5~6ドルで請け負うという。攻撃終了後には、レポートの提出までするそうだ。

サイバー攻撃の質が、不特定多数のサイトを面白半分に狙う愉快犯から、特定の個人や組織を狙う「標的型」に変化している。
目的も、情報窃取などである。
不特定多数への攻撃に対しては、ウイルスソフトを入れるレベルでよかったが、「標的型」の場合は、特定のターゲットだけが感染する。

手口としては、社内の誰かのメールアドレスにメールを送りつける。
送信元のアドレスが「go.jp」や「dpj.or.jp」のように政府や民主党などを偽装し、表題や本文も東日本大震災や福島原発事故などの興味を惹きそうなものにしてある。
不正と思わずメールを開いてしまうと、組み込まれた不正プログラムが作動して、管理者権限が奪われて内部情報が送信される。

産経新聞も8月8日の「主張」で取り上げていた。

官庁や大企業などに不正プログラムを仕組んだメールを送り、機密情報を盗み出す「標的型メール」などを通じたサイバーテロの脅威が急速に高まっている。
最近も防衛省や経済産業省が攻撃を受けた。公文書に見せかけたメールを開くと、ウイルスが侵入して安全保障や原発関連などの重要情報が盗まれる仕組みで、厳重な警戒が必要だ。
今年の「警察白書」もサイバーテロについて多くの事例を挙げて特集した。警察庁自身が受けた攻撃もその一つで、昨年9月16~18日にかけて同庁ホームページに大量データが送付され、機能マヒに陥った。長時間閲覧も接続もできない状態が続いたという。
白書によると、中国最大規模のハッカー集団「中国紅客連盟」と称する組織は、尖閣諸島の中国領有権を主張する民間サイトで、日本の政府機関などにサイバー攻撃を行うよう呼びかけていた。
・・・・・・
企業の被害も目立つ。4月、ソニーがハッカー集団の不正侵入を受け、子会社を含めて世界で1億人分超の個人情報が流出した。サービス復旧に2カ月半もかかり、住所、氏名、クレジットカード番号などの流出は利用者に深刻な不安を与えた。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110808/plc11080802460000-n1.htm

何とも物騒な世の中になったものだ。
私は、ハッカーは愉快犯的なものだと思っていたが、特定の相手に狙いを定めた攻撃が可能ということだ。
攻撃を仕掛ける側は、自ら「アノニマス」と名乗ったように、匿名だから正体不明の相手と戦わなければならない。

1億件もの個人情報が流出したというソニーグループでは、この事業に11年度だけで140億円の費用を計上した。
企業イメージの低下など評価不能の損害まで含めれば甚大な被害といえよう。
サイバー攻撃の場合にも、ハインリッヒの法則が成り立つわれる。
Photo社会全体で情報共有することが有効であることは理解されている。
しかし、インシデント情報は風評被害等をおそれて、表面化しづらい。

2011年版防衛白書でも、政府や自衛隊に対するサイバー攻撃が「国家の安全保障に重大な影響を及ぼし得る」として、防御体制を強化する重要性を強調している。
読売新聞の社説(8月3日)は次のように書いている。

昨年までの白書は「国際社会の課題」の章で、サイバー攻撃を、大量破壊兵器の拡散、国際テロに次ぐ課題と位置づけていた。今年は、第一の課題に格上げした。
サイバー攻撃には、コンピューター網への不正アクセスによる情報の改竄、窃取や大量のデータ送信による機能阻害などがある。
米軍では、情報通信網にウイルスが侵入し、情報が外部に流出しかねない事態が発生している。
米国防総省は先月、サイバー攻撃を「戦争行為」とみなし、軍事報復も辞さない新戦略を公表した。サイバー攻撃の多くは中国国内が発信元とも指摘している。
日本のサイバー対策は、十分だろうか。政府は昨年5月、セキュリティー戦略をまとめ、今年3月、初の図上演習を実施した。自衛隊も、ようやくサイバー防護隊の創設に動き始めた段階である。
民間の専門家を登用し、研究部門を充実させて、最新の対策を導入することが重要だ。米国など関係国と連携し、防御能力を向上させることも求められる。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110802-OYT1T01132.htm?from=y10

現状は、サイバー攻撃のパンデミックが起きているようなものだという。
基本は各自の対策だろうが、それだけでは充分ではないということだろう。
現代社会が抱え込んだ脅威の1つである。

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2011年4月17日 (日)

原発報道の大本営発表/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(9)

福島第1原発事故の見通しが立たない。
状況がが予断を許さないことは理解できるが、見通しがないまま「計画的避難地域」に指定された住民が、口々に不安と怒りを顕わにするのも尤もだと思う。

問題の根幹に、政府の発表とマスコミの伝え方に、かつての「大本営発表」のような欺瞞性が存在すると感じているのは私だけでないだろう。
悪夢の始まりともいうべき3月12日の1号炉建屋の爆発について、枝野官房長官が記者会見で、「何らかの爆発的事象があった」と説明したことは忘れがたい。
「何らかの爆発的事象」とは、なんともってまわった言い方だろう、という印象だったことを覚えている。
それにしても、この時点では、津波によって広範な地域で「想像を絶する激甚災害」が起きていることは想像できたが、原発事故の深刻さについて、かくもひどいとは「想像を絶して」いた。
⇒2011年3月12日 (土):想像を絶する激甚災害へ対応するための体制を
実際、この日のマスコミの被害地図には、原発が載っていない!

「爆発的事象」という曖昧な政府の発表に、不安感はあった。
⇒2011年3月13日 (日):歴史的な規模の巨大地震と震災
しかし、事故のレベルについては、4~5という専門家の意見を信じるしかなかった。
それが理由はともかく、最終的にレベル7という最悪事態になってしまったのである。
⇒2011年4月12日 (火):福島はレベル7/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(5)

政府当局は、いつから事態のこれほどまでの深刻さを認識していたのか?
すくなくとも、12日に首相がヘリコプターで現地の迷惑も考えずに「視察」した時点では、楽観視していたものと思われる。
それが変わったのは何時か?

隠蔽していたのか、それとも認識する力がなかったのか?
いずれにしろ、しっかりと検証しなければならないだろう。

今の時点で思い当たるのは、3月15日の記者会見である。
以下は、首相官邸のサイトに掲載されている菅首相の記者会見である。

1号機、3号機の水素の発生による水素爆発に続き、4号機においても火災が発生し、周囲に漏洩している放射能、この濃度がかなり高くなっております。今後、さらなる放射性物質の漏洩の危険が高まっております。
ついては、改めて福島第一原子力発電所から20kmの範囲は、既に大半の方は避難済みでありますけれども、この範囲に住んでおられる皆さんには全員、その範囲の外に避難をいただくことが必要だと考えております。
また、20km以上30kmの範囲の皆さんには、今後の原子炉の状況を勘案しますと、外出をしないで、自宅や事務所など屋内に待機するようにしていただきたい。
・・・・・・
【質疑応答】
(記者)
総理、済みません、2号機への言及がありませんけれども、2号機はもっと深刻な事態なのではないでしょうか。
(菅総理)
今、申し上げましたように、何号機ということ等について、いろんな現象がありますので、全体を見て現在対応していますので、そういった意味で一つひとつがどうだという話は、場合によってはまた別の機会に東電の方から報告をすると、こういうふうに認識しております。
http://www.kantei.go.jp/jp/kan/statement/201103/15message.html

悪名高き屋内待機の指示が首相の口から出たのである。
「最悪事態を想定して屋内退避」と言ったが、すでに屋内退避自体が見直しせざるを得なくなっている。
首相たちの「最悪」というのは、次々に更新されるものらしい。

ここでは、質疑応答部分に注意したい。
「2号機」についての認識を求められているのに、明らかに説明を「逃げ」ている。
「逃げ菅」の面目躍如だが、この時、2号機はどういう状況だったか?

以下のような号外が出ていることは知らなかった。
私の居住地域では見ることのできない号外である。今回当時の情報を見直す中で、初めて号外が出ていることを知った。
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http://sankei.jp.msn.com/pdf/2011/03/20110315_fukushima2go.pdf

上記の首相の態度から、このような状況であることを読み取るのは難しい。
私は、枝野官房長官の記者会見に、不自然さを感じたはしたが。
⇒2011年3月15日 (火):地震情報と「伝える力」

菅首相は明らかに、「何かから、何故か」逃げているように見える。
枝野官房長官には、何かを隠している節が窺える。
「裏でひょっとしたら」と想像をたくましくしたくなるが、それは疑心暗鬼、風評を生むものでもあろう。
結局、政府自体が風評の源になっているのだ。
⇒2011年3月31日 (木):政府が風評被害の発生源になっていないか?

私は大本営があった時代を知らないが、知識としては「大本営発表」を知っている。
今の時代にもか、と嘆息せざるを得ないが、幸いにしてインターネットによって、政府発表ではない情報も入手し得るようになっている。
マスコミもその真価を問われるときだろう。

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2011年3月 4日 (金)

京大等の入試問題投稿事件について

京都大など4大学の入試問題が、「ヤフー知恵袋」に投稿された事件で、19歳の仙台市内の予備校生が、偽計業務妨害容疑で逮捕された。

逮捕容疑は、2月25、26日に行われた京大の入試のうち、26日に行われた英語で、「aicezuki」のハンドルネームを使い、試験時間中に試験会場から携帯電話で質問サイトに問題を投稿。サイトの閲覧者から解答を得るなどして入試の公正さを害し、京大の教職員を長期間、事実確認などにあたらせて業務を妨害したとしている。

この事件を聞いた時の犯人についての私の予想は以下のようであった。
1.犯人は、本当に入試に合格しようとしたのではないのではないか。
何故ならば、もしそうなら、もっと隠れてやるはずであるにも拘わらず、足跡を平気で残している。
だとすれば、一種の愉快犯で、例えば大学入試なんてそんなに神聖なものではない、というようなメッセージを発したかったのではないか。
2.犯人は、単独犯ではなく、複数の人間の共同によるものではないか。

結果的に、私の予想は見事に外れた。
私の携帯電話のスキャナ機能に対する認識が低いことと、本気でインターネットを利用するならばもっと綿密に準備するだろうという思い込みが、予想を外させた。
Photo
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110303/crm11030319040025-n1.htm

角界の野球賭博問題が八百長を発覚させたように、携帯のセキュリティは甘いと思うべきである。
尖閣ビデオの投稿だって、自首する前にどこから投稿したかがつきとめられていた。
これらのニュースを見ていれば、携帯からの投稿者が特定されるのも時間の問題だということは、通信技術に疎い私ですら容易に想像がつく。
余談だが、「疎い」という言葉はこういう風に使うものだと思っていたので、菅首相や閣僚の「情報をまだ良く聞いていないという意味だ」という強弁にはびっくりした。
⇒2011年1月28日 (金):菅首相の国債発言に唖然。だが閣僚は……

今の時点で言えることは、「携帯カンニング工夫するヒマに勉強しろよ!」であろう。
伊東乾氏の日経ビジネスオンラインの連載「常識の源流探訪」の3月3日掲載分のタイトルである。
HNのaicezukiについてはいろいろ取りざたされている。あれこれ推測するのは自由だが、間もなく分かることであろう。
わが意を得たと思ったのは、次のくだりである。

「京都大学の記者会見で『入試は大学の業務の中で最も大事な社会的な契約事項である、万全を尽くしているつもりだが、それを妨害された』と言っているのを見て、頭がどうかしているのかと思った」
と頂戴しました。実は私も大学慣れしてしまって、入試が最大重要業務という常識に染まりきっていたのですが、その方のご指摘は実に直球で
「大学は本来、学の府として高度な研究と教育の末に社会に役立つ人材を輩出してこそ大学ではないか」というまことに正確なご批判。そうなんですね、京大記者会見は結果的に「大学として一番大事なこと」として「人材育成・研究教育」以上に「入試」が大切、という、現場の常識を語ってしまった。

「入試」はその人の人生を決めるかも知れない重要なイベントである。
私自身は、大学よりも社会に出てからの方が大事なことを学べると、体験上理解しているので、入試をさほど神聖視する必要もないしするべきでもないと考えているが、そうでないと考える人も大勢いるだろう。
しかし、本来的な役割は、入試にはないだろう。
伊東氏は「日本の大学は「入ること」が重要で「出ること」はあまり問題にならない」と書いているが、本当は「出ること」すなわち卒業生の「品質」こそが問われるべきではないか。

同じ日経ビジネスオンラインに3月4日号には、小田嶋隆氏の連載「「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」でこの問題が取り上げられている。
タイトルは、「不正入試とエントリーシートと「orz」な若者たち」。

私は、「orz」の後ろに括弧書きで(落胆・失意を示す記号)という解説を付した新聞記事を読んで、少し笑った。ははは、新聞は、こういう解説が必要な人々のためのメディアになってしまったのだなあ、と。

私も解説が必要なクチだ。
小田嶋氏は次のように言う。

犯罪は、社会的ストレスの露頭であり、その意味で、目新しいタイプの犯罪の発生は、われわれの社会に新たな矛盾が生まれつつあることを告げるカナリヤの歌なのだ。
盗人に三分の理がありテロリストに三行のスローガンがあるように、犯罪者にもいくばくかの正義がある。そして、その彼等のねじ曲がった正義は、時に、時代に特有な欺瞞を鋭く告発する。
・・・・・・
問題は欺瞞なのだ。どんなに苦しい闘いでも、いかに苛酷な競争であっても、ゴールの先に価値ある勝利が待っていて、走り抜けるトラックが公正であるのなら、選手たちは努力を惜しまない。苦しくても頑張ることができる。
でも、競争が欺瞞で、ゴールが不当で、前提がインチキであるという疑念が一瞬でも生じたら、彼等の苦難はにわかに不潔極まる不毛な我慢比べになってしまう。
大学入試における不合格は、結局のところ、その原因を、自身の努力か能力(あるいはその両方)の欠如に求めるほかにどうしようもないテのものだ。その意味で、悔しくはあっても、最終的には納得できる。

そして、次のようにブラックジョーク(?)で締めくくる。
本当に冗談じゃないよ。

受験生がカンニングをし、就活生がバスを横転させ、期間工がトラックで歩行者天国に突入する……というふうに、逸脱の様相が、年齢を経る毎に凶暴になっている。不気味だ。
菅首相あたりが、突然核武装を宣言したりしないか、心配だ。

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2010年12月24日 (金)

ウィキリークスをめぐる謀略の匂い

ウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジが逮捕されたのは、強姦容疑である。
それについては真偽が不明ではあるが、次のようなことだという。
『ウィキリークスのジュリアン・アサンジっていったい何者か』(日経ビジネス オンライン101224)

事件が起きたのは今年8月中旬のことである。
アサンジはスウェーデンで開かれた報道の自由についてのセミナーに招待された際に、主催者の一人だったアナ・アルディンさん(31)から「自分の留守中アパートに泊まらないか」と提案されたという。
彼は、アルディンさんとベットを共にしたが、アルディンさんは警察に対して「私が寝てしまったときにアサンジは性交を強要。私が避妊具を付けるように頼んだのを無視してセックスをした」と供述した。
スウェーデンの刑法では、「女性が避妊具をつけることを要求したにもかかわらず、これを無視して、性交に及んだ場合は強姦とみなす」との条文があり、アサンジは強姦容疑を被せられた。

この強姦容疑は、アサンジ側に言わせると「完全なでっち上げ」ということになる。
アルディンさんは左翼シンパとがされているが、それは「隠れ蓑」で、実際にはCIAの工作員だという。
米情報サイト「Raw Story」によると、アルディンさんはキューバに留学中に、CIAが資金を支援している反カストロ・フェミニスト団体「Las damas de blanco」(白い服の女たち)に所属していたという。
CIAがアルディンさんを使ってアサンジを「強姦容疑」で告発させ、逮捕されるよう仕組んだことは十分にあり得ることだろう。

アサンジのターゲットはアメリカ政府だけではない。
彼は「ニューヨーカー」のインタビューで述べている。

ウィキリークスの究極の標的は、一般大衆を抑圧し、言論の自由や人権を抑圧しているアフリカやアジアの国々――中国やロシア、さらにはミャンマーなど――の独裁政権の極秘文書を暴き、全世界の人たちに知らせることです。無論、その前に、不法かつモラルに反する政策を一般大衆に押し付けている支配権力に立ち向かおうとしている西側諸国の人たちを支援するのが先決です。彼らのために極秘文書をリークする。今はそれが大事なことだと思っています。

ウィキリークスの矛先は、将来的には、中国共産党一党独裁政権や金正日世襲独裁政権にも向けられることになろう。
ここで語られているウィキリークスの理念そのものは否定すべきではないように思われる。
問題は、その力が大きすぎる脅威となることである。
インターネットは人が作り出したツールである。
それは原子力と同じように、利用の仕方如何によって、大きな力にもなるし、大きすぎる脅威にもなる。

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2010年11月 5日 (金)

尖閣ビデオ流出の快(?)

官邸がなぜか一般公開を拒んでいた「尖閣ビデオ」が動画サイト(YouTube)に流出してしまった。
この事態に、政府は周章狼狽の態のようである。

政府は5日、中国漁船衝突事件の状況を撮影したとみられる映像がインターネット上に流出した問題について「捜査の観点からも、予期せぬ由々しき事態だ」(仙谷由人官房長官)として、徹底した調査で流出ルートの解明を図るとともに情報管理に万全を図る方針だ。
仙谷氏は5日午前の記者会見で「真偽を調査し、必要ならば司法当局の捜査とする判断もしなければならない」と強調。「流出だとすれば、相当大きなメスを入れる改革が、あらゆるところで必要だ」と述べた。
……
蓮舫行政刷新相は国会審議への影響について「直観的に影響は小さくないと思う」と懸念を表明した。

http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20101105045.html

情報管理を徹底することは当然としても、果たしてメスを入れるべきは、隠蔽体質の官邸か、それとも真実を知りたいと願う国民の気持ちに応えた流出元か?
流出元は、現時点ではハッキリしていない。
しかし、これだけインターネットが行きわたっている社会で、一部の国会議員だけに、大幅な編集を加えたものを見せるだけ、といった措置がいつまでも通用するわけがない。
そんな判断力もない人たちが、高度なインテリジェンスを要求される外交に携わっていることの方が問題である。
蓮舫大臣の「懸念」の鉾先も的外れというべきだろう。
⇒2010年10月 3日 (日):尖閣問題に対する蓮舫大臣の強弁

私はもともと全面公開すべきだと思っていた。
「流出」という形となったのは遺憾というか、残念なことだが、そもそもは政府自ら公開すべきものであったと思う。
⇒2010年9月25日 (土):尖閣諸島事件の船長を釈放
⇒2010年10月19日 (火):なぜビデオを出さないのか?
⇒2010年10月28日 (木):尖閣ビデオ出し渋りの怪
⇒2010年10月29日 (金):まさか証拠改竄? 出し渋りのビデオ 

したがって、何者かによる今回の事件を「快」とするものである。
犯人探しに躍起になるよりも、長期的・戦略的な国益に思いを致すべきであろう。

ところで、YouTubeの映像はどんなものだったのだろう。
残念ながら、オリジナル映像は削除されてしまっているようである。
しかし、それを写した映像がTV等でも放映されており、もはやどうしようもない。
流出ニュースを伝えるTV映像は、たとえば以下のサイト等でみることができる。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101105/crm1011051110015-n1.htm

また、流出映像のコピーと思われるものは以下の通りである。
緊迫感からして、実写に違いない。
http://www.youtube.com/watch?v=PO3icKluj7o

結局、政府の対応は後手に回りっぱなしである。
検察庁や海上保安庁などの現場をないがしろにしたことのツケは自ら負担すべきだろう。
菅首相はやはり続投すべきではなかったと言わざるをえない。
⇒2010年9月11日 (土):菅首相続投で、本当にいいのだろうか?
⇒2010年9月21日 (火):再び問う、「菅首相続投で、本当にいいのだろうか?」
⇒2010年10月17日 (日):危うい菅内閣
⇒2010年10月18日 (月):危うい菅内閣(続)

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