グルメ・クッキング

2007年12月30日 (日)

脱メタボ

「脱メタボ」商品というのが流行っているという。
「メタボ」とは、「メタボリック・シンドローム(代謝症候群)」のことで、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖、高血圧、高脂血症のうち2つ以上を合併した状態をいう。
メタボリックは、メタボリズム(新陳代謝)の形容詞形で、10月12日に亡くなられた黒川紀章氏らが、デザイン・建築の方法論として使用したことで知られる(10月14日の項)。

1988(昭和63)年、生活習慣病の三大要素(高血圧・糖代謝異常・脂質代謝異常)がインシュリン抵抗性を基礎に密接に関連して、糖尿病と心血管疾患を引き起こすという学説が、Reaven GMによって「Syndrome X」との研究名で報告された。
その翌年にKaplan NMによる「死の四重奏」と題する研究報告がなされたのを契機に、インシュリン抵抗性症候群の研究が盛んとなり、1993(平成5)年、Hotamisligilが肥満とインシュリン抵抗性の間に炎症が介在することを指摘し、1998(平成10)年にWHO(世界保健機関)が『メタボリック症候群』という名称と、その診断基準を発表した事により、「メタボ」が一般に知られる病態名となった。

高血糖や高血圧はそれぞれ単独でもリスクを高める要因であるが、これらが多数重積すると相乗的に動脈硬化性疾患の発生頻度が高まる為、リスク重積状態をより早期に把握しようという試みが考えられてきた。
このようなリスクの集積は、偶然に起きるのではなく、何らかの共通基盤に基づくと考えられ、世界ではインシュリン抵抗性を共通基盤と考えるのが一般的だが、日本では特に内臓脂肪の蓄積による肥満が共通の基盤として着目されている。

来年から特定健診制度(糖尿病等の生活習慣病に関する健康診査)が始まる。
これは、メタボリックシンドロームの概念を応用して糖尿病対策を行う事を目指し、40歳から74歳までの中高年保険加入者を対象に、健康保険者に特定健診の実施を義務化すると共に、メタボリックシンドローム該当者、または予備群と判定されたものに対して特定保健指導を行うことを義務づける。
5年後に成果を判定し、結果が不良な健康保険者にはペナルティが課せられる。
厚生労働省は、中年男性では二分の一の発生率を見込むなど、約2000万人がメタボリックシンドロームと予備群に該当すると考えられている。
これを平成24年度末までに10%減、平成27年度末までに25%減とする数値目標を立てている。
これにより医療費2兆円を削減することが目標となっている。
Photo_2

脱メタボ商品の典型は、食事である。
厚生労働省と農林水産省から、平成17年6月に、「食事バランスガイド」というものが発表されている。
望ましい食生活についてのメッセージを示した「食生活指針」を具体的な行動に結びつけるため、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかの目安をイラストで示したものだ。
1日に必要な食事量が、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5グループに分類され、適量をコマの形で表現したものだ。
「あなたのコマは回ってる?」というコピーが添えられている。
コマの芯は水分で、回転させるのは運動である。

例えば、「食事バランス幕之内」という駅弁が発売されている。
あるいはナチュラルローソンでは、「しっかり食べよう!バランス弁当」売り出した。
あるいは、ニンテンドーDSの「健康検定」というソフトは、健康的な食事のとり方を学び、腹囲や体重などの記録と肥満度チェックができる。
確かに食事バランスが重要なことは分かる。
しかし、厚生労働省と農林水産省により指導されたくないなぁ、という気分がすることも大方の感覚ではなかろうか。

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2007年9月16日 (日)

すだち

知人からたくさんの「すだち」を頂いた。すだちは、WIKIPEDIA(9月6日最終更新)では、以下のように説明されている。

ミカン科の常緑低木ないし中高木。ユズの近縁種であり、日本では古来から馴染みのある柑橘類である。スダチの名は酢橘(すたちばな)に由来する。花期は5-6月頃で白い花を咲かせる。秋頃に果実が実る。青いうちに収穫し出荷するが、熟すとミカンと同様に黄色くなる。
徳島県の特産であり、県の花に指定されている。徳島県の中でも、鳴門市大麻町板東の中山間部において昔から
栽培され、昭和の時代には「大麻山の見えないところでは、スダチは育たない」と言われていた。

「すだち」は、ポン酢などに加工されているが、産業廃棄物として捨てられている皮などの搾りかすに、血糖値の上昇を抑える効果のあることが、徳島大学薬学部の高石喜久教授(生薬学)、土屋浩一郎助教授(薬理学)らのラットによる研究で明らかにされた(読売新聞060830)。
今後、人間でも効果が確認されれば、社会的関心を集めているメタボリック・シンドローム対策に有効なサプリメントの開発などに活用できる可能性がある。

食通として知られた作家の立原正秋さんは、「すだち」を、秋を代表する味覚としてこよなく好んでいた。立原正秋文学研究会編著『立原正秋食通事典』青弓社(9706)によれば、以下のようにさまざまな作品で「すだち」に触れている。

「すだちの秋」で九月のはじめに、四国から送られてくるすだちを冷蔵しておき、秋刀魚や松茸を焼いて、横に二つ割にして、その汁を絞りかけると初秋の香りがすると書いている。「秋の香り」では、<ことしは松茸は不作らしい。ずだちが待っているのに松茸が顔を見せないのは不都合だ>と書き、<合鴨鍋にもすだちをしたたらせる。味噌汁にも数滴、香のものにも、野菜サラダにも、すだちは味が中和する。カンパリの水割りに一切浮かべると、味がまろやかになる>ともいい、すだちの<数滴>を絶賛している。
(中略)
「旅のなか」の「モーツァルトと魚」では、柚子とすだちを比べて、香りも味もすだちの方が秀れていると書き、
(中略)
「徳島のすだち」では、<緑色の皮をうすく削ぎこまかく刻んでおくと、なんにでも使える。里芋の煮ころがしを小鉢に盛り、その上にこの刻んだのをかけてみたまえ。色合もよいが
味がまた格別である>と書き、徳島のすだちと共に秋を迎え、秋は舌の上からやってくる、ともいっている。

今の季節、焼いた秋刀魚に「すだち」を絞ってかけて食べることは、贅沢な喜びである。幸いにして、その喜びをしばらくの間楽しむことができる。
そして、頂いた「すだち」を知人たちにお裾分けし、この喜びの輪を広げることによってその喜びを何倍かに増幅することができる。

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