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2019年3月13日 (水)

内閣の番犬・横畠内閣法制局長官/人間の理解(24)

内閣法制局長官は「法の番人」と呼ばれている。
しかし現長官の横畠裕介氏は「法の番人」というよりも「権力の番犬」と言った方が相応しいようである。
古雑誌を整理していたら、たまたま「紙の爆弾」15年10月号に横畠氏を論評する記事が載っていた。
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集団的自衛権が行使できることを目的に、安倍内閣は法制局長官を、小松一郎から横畠の成立にに替え、彼は期待された役割を果たしたとことになる。
集団的自衛権を認める安保法案が衆議院で審議されたとき、横畠氏は次のように答えている。

 横畠裕介・内閣法制局長官は19日、安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会で、国際法上の集団的自衛権と、安倍内閣が主張する「限定的」な集団的自衛権の違いを「フグ」に例え、「毒があるから全部食べたらそれはあたるが、肝を外せば食べられる」と答弁した。
 他国防衛を目的とする包括的な集団的自衛権は違憲となる一方、「限定的」な集団的自衛権なら合憲という趣旨だが、厳密な法解釈を行う立場の法制局長官が、こうした例え話を持ち出すのは異例。法案への理解が広がらない現状の裏返しと言えそうだが、長官経験者からは「好ましくない」との批判も出ている。
「集団的自衛権はフグ」 法制局長官が異例の答弁
2015年7月16日 (木) 法治国家であることを放棄した政府・与党/日本の針路(197)

その横畠氏は、小松長官の下の次長時代、病欠の小松氏に代わって集団的自衛権行使の憲法解釈について問われ、「憲法で許されるとする根拠が見いだしがたく、政府は行使は憲法上許されないと解してきた」と政府見解を説明していた。
2014年2月14日 (金) 安倍首相の暴走をコントロールするのは?/花づな列島復興のためのメモ(307) 

長官に昇進して安倍政権に忠勤を尽くすことを決意したのかどうかは本人に聞かなければ分からない。
しかし上記のサブタイトル「軽薄すぎる『法の番人』は言い得ていると思う。
なお、「非理法権天」はwikipediaによれば以下のようである。

江戸時代中期の故実家伊勢貞丈が遺した『貞丈家訓』には「無理(非)は道理(理)に劣位し、道理は法式(法)に劣位し、法式は権威(権)に劣位し、権威は天道(天)に劣位する」と、非理法権天の意味が端的に述べられている。非とは道理の通らぬことを指し、理とは人々がおよそ是認する道義的規範を指し、法とは明文化された法令を指し、権とは権力者の威光を指し、天とは全てに超越する「抽象的な天」の意思を指す。非理法権天の概念は、儒教の影響を強く受けたものであるとともに、権力者が法令を定め、その定めた法令は道理に優越するというリアリズムを反映したものであった。

安倍首相は、「法の支配」と「人の支配」の区別がつかないようだが、権は天に勝てないのだ。

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