辺野古埋め立てに関する政権の冷酷/安部政権の命運(71)
沖縄県の辺野古埋め立ての是非を問う住民投票の期日前投票の最中である。
賛否の2択から、「どちらでもない」を加えて3択になった。
その影響はどう出るか?
琉球大学の久保慶明准教授(政治学)が、選択肢の提示方法が有権者に与える影響を調査し、結果をまとめた。
結果は「賛成」「反対」の2択では賛成34・7%、反対63・8%、白票1・5%だった。3択では賛成36・9%、反対40・1%、どちらでもない22・3%、白票0・6%で、2択に比べ埋め立て否定の割合が23・7ポイント低下した。
「容認」「反対」の2択では容認44・9%、反対54・5%、白票0・6%となり、「賛成」の2択に比べ、埋め立て肯定の割合は10・2ポイント増加し、埋め立て否定の割合は9・3ポイント下がった。
久保准教授は「『どちらでもない』という中間的な選択肢の追加や、『容認』という表現を使うことは単純な2択に比べ埋め立てに否定的な割合だけを低下させる可能性がある」と分析。その上で「(投票条例は)いったんは2択で可決した。選択肢の変更は投票行動を左右する可能性が大きく影響は大きい。県議会与野党ともに説明する責任がある」と事態を混乱させた県議会の対応を問題視した。
「どちらでもない」が加わったことで減る票は「賛成」?「反対」?
反対派に不利な影響であることが推認される。
にもかかわらず菅官房長官は、「結果に関わらず工事推進の考え」だという。
名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票が告示されたことを受け、菅義偉官房長官は14日午前の会見で「政府としてはコメントは控える」と述べた上で、移設問題の原点は普天間飛行場の危険性除去だとし、「住環境や生活環境に十分配慮しながら進める考え方に変わりはない」と話し、投票結果に関わらず移設工事を進める考えを示した。
県民投票に向け、政府や与党として移設に理解を得る取り組みをするかについては「(自主投票を決めた自民党)県連の意思が優先される」とした上で「移設の必要性はあらゆる所で答えてきた」と語った。
投票が行われる24日までの間、工事を止めることについては「考えておりません」と否定した。
一方、岩屋毅防衛相は14日午前、国会内で記者団に「地方自治体の取り組みについて防衛省としてコメントすることは控えたい」と述べた上で、「普天間基地の一日も早い全面返還に向けて(辺野古移設)事業を進めさせていただきたい」と強調した。県民投票の結果は「まだ仮定の話」としつつも、辺野古移設を進める方針は変わらないとの考えを示した。
菅官房長官、結果に関わらず工事推進の考え 県民投票告示を受け
安倍首相は、再三「沖縄に寄り添う」と口にしてきた。
「沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、基地負担の軽減に全力を尽くす。これが政府としての一貫した方針であります」
しかし実際は埋め立て工事をゴリ押ししてきた。
もはや口にさえもしない気らしい。
聖学院大教授の石川裕一郎氏(憲法)は次のように言う。
「安倍首相は過去、『民意を問う』と言って衆院選挙に打って出ましたが、沖縄の民意についてはまるで無視です。昨年9月の沖縄県知事選で新基地建設反対の知事が誕生しても、何事もなかったかのように埋め立て工事を強行しています。国政選挙では都合よく民意を振りかざすのに、沖縄の民意を無視するのはダブルスタンダードです」
自民は、県民投票が盛り上がるのを避けるため、投票の呼びかけを行わずに“死んだフリ”作戦を貫いている。
「住民投票に法的拘束力がないとはいえ、無視するのは、地方自治をうたう憲法原理に反する。安倍政権の沖縄への行為は、嫌がらせや暴力と同じです」(石川裕一郎氏)
「馬の耳」のいじめっ子たちを、いつまでも政権に居座らせてはダメだ。
結果が出る前に…安倍政権は沖縄県民投票“ガン無視”モード
もはや政治とも言えない冷酷さではないか。
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