統計不正の責任はどこにあるか/安部政権の命運(64)
私たちは知りたい情報を直接知りえないことが多い。
*明日の天気はどうなるか?
*保有している株はいつ売るべきか?
*彼女の本当の気持ちはどうなのか?
*今、企画検討している事業は進めるべきか否か? etc.
判断を迫られていることに関する情報がそのままの形で存在することは殆どない。
明日の天気は明日にならなければ確定しないし、株式の売買は、先行きの見方が半々なので成立する。
「レオパレス21」の株は2月8日(金)は、ウリ気配のまま推移し、ストップ安で比例配分された。
圧倒的にウリが多かったのだが、それでもカイのチャンスだと見た投資家もいたということだろう。
彼女の「本当の気持ち」など本人にも分からないかも知れない。
知りたい情報がそのままの形では存在しないとしたら、関連がありそうな事柄についての情報を得て、それから推測することになる。
明日の天気を判断するためには、天気予報を聞いたり、天気図をみたり、空模様を眺めたりするであろう。
そして、西空が夕焼けに染まっているから明日は晴れるだろう、などと判断する。
このように、Aという事柄からBという事柄を結論すること(A→B)は、日常的にもよく行っていることである。
この場合の、「A」を根拠といい、「B」を結論という。
また、「→」で示されるプロセスを導出と呼び、「A→B」全体を論証と呼ぶ。
根拠の典型例が統計データである。
従って、統計データは政策の根本であり、精度の高い統計データは近代国家の大前提である。
統計のあり方が揺れている。
インターネット・イニシアティブの鈴木幸一会長は次のようにコメントしている。
毎日新聞2月8日
ここで言われているように、「導出」の方法論としての推測統計学自身は既に確立した分野と言って良いであろう。
伊藤整『氾濫』新潮文庫(初版1961年)は、推測統計学を用いて接着剤の開発にトライする主人公を描いた傑作であるが、単行本の発行は1958年であった。
伊藤は当時、東京工業大学の教授をしていたので、同僚やOBなどからこの方面の知見を得ていたのであろう。
統計不正に関して政権が積極的に指示をしたとは考え難いが、厚労省の「過剰な忖度」があるのではないか。
「モリカケ疑惑」と同じ構図であり。「過剰な忖度」を勝手にやったことで済ます訳にはいかないだろう。
東京新聞2月10日
少なくとも統計データに関しては全く中立的でなければならないことは当然である。
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