勤労統計の怪/安部政権の命運(43)
過去の結果が大きく変動し、統計そのものの信頼性が大きく損なわれる恐れが出てきた。
算出方法が変わった昨年1月調査分から賃金が前年同月と比べて高い伸び率を示すようになり、一部のエコノミストなどから疑念の声が上がっていたが、厚労省が同じタイミングで本来の調査手法に近づける補正をしていたことも要因とみられる。
厚労省によると、調査対象は無作為に抽出した約3万3千事業所。本来、従業員500人以上の大規模事業所はすべてを対象に、5~499人の事業所は抽出で調査が行われている。このうち30~499人の事業所は従来、2~3年に1度全てを入れ替えていた。しかし、政府の経済財政諮問会議などで「入れ替えの際に生じる結果の乖離(かいり)が大きくなる傾向にある」との指摘があり、見直すことになった。
2020年1月分から、30~499人の事業所は、毎年3分の1ずつ入れ替える方法に変更する。その経過措置として、昨年と今年1月分は2分の1の事業所が入れ替えられる。そして昨年の入れ替え後、現金給与総額は昨年6月に前年同月比3・3%と21年5カ月ぶりの高い伸び率を示すなどした。一方、入れ替えがなかった事業所に絞った調査では、1・3%の伸びにとどまった。
この点について、昨年9月の総務省の統計委員会で、厚労省は抽出調査から全体を推計する際に用いる、全事業所を対象とする「経済センサス」の最新結果を反映させたためだと説明。センサスで前回より大企業の割合が増え、毎月勤労統計を算出する際の労働者の企業規模別の比率で、給料が高めの大企業の比率が高まったとした。
だが、厚労省が従業員500人以上の事業所について、東京都分は3分の1しか調査していなかったことが判明。関係者によると、昨年1月調査分から約3倍にして本来の調査対象数に近づける補正を始めた。それまでは抽出した少ない事業所数のまま集計しており、補正でも現金給与総額が押し上げられたとみられる。
勤労統計、昨年1月から急変 算出法変更で賃金高い伸び
厚労省は不適切な調査が始まった2004年にさかのぼり、対象者に不足分を支払う方針を決めた。
毎日新聞1月11日
「また厚生労働省か!」というのが正直な感想である。
こんな役所の下で、「働き方改革」など実行して日しくない。
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