東大安田講堂封鎖解除から50年/戦後史断章(33)
1969年の東大闘争の安田講堂の封鎖解除から50年経つ。
節目ということだからであろうが、雑誌や単行本などで、当時を回顧するようなものが目に付く。
例えば「週刊現代1月19・26日号」には『1969年、ニッポンの青春に逢いに行こう』という特集があって、そこに1969年1月19日の朝日新聞が載っている。
社会的に大きな関心を持たれていたから、メディアの扱いも大きかった。
私は関西圏にいたがテレビでリアルタイムで視聴していた記憶がある。
1月18日の毎日新聞では、当時の活動家学生の「今」を好意的に紹介している。
単行本としては、和田英二『東大闘争-50年目のメモランダム』ウェイツ(2018年11月)が目に入った。
奥付を見ると、和田氏は安田講堂の最後の攻防戦に参加し、1972年に東京高裁で執行猶予付判決を受けた。
ご多聞に漏れず長期拘留だったから、実刑判決と大差ないだろう。
解除した側からの著書として、機動隊の陣頭指揮を執っていた『東大落城-安田講堂攻防七十二時間』文藝春秋(原著1993年、文庫版1996年1月)が多くの読者を得たようであるが、まじめなノンポリ学生が闘争が問いかけた問題を正面から受け止め、ついには籠城・逮捕されて行く内面が、もちろん主観的ではあるが、50年後にできるだけ冷静に回顧したものである。
著名な政治学者・丸山眞男法学部教授が東大全共闘を「ナチもしなかった」と非難したと報じられた事件が当時話題になった。
著者はこの報道の真偽を執拗に追いかけた。
結果的には、世に伝えられる「史実」が危ういものであることを示したものと言えよう。
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