ゴーン日産前会長VS検察の構図/ブランド・企業論(81)
日産のゴーン前会長の逮捕は衝撃的だった。
⇒2018年11月22日 (木) ゴーン逮捕をめぐる巷の意見/ブランド・企業論(80)
現時点でゴーン氏は勾留されたままであり、報道は検察サイドの情報に偏っている。
報道されている事件の構図は以下のようである。
ゴーン前会長と特捜部対立 先例ない事件、今後の焦点は
ゴーン前会長と前代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者の容疑は、報酬の虚偽記載という金融商品取引法違反である。
1億円以上の報酬を得た役員の名前と金額は、10年3月施行の改正内閣府令で個別開示が義務化された。
金融庁は「報酬」の定義は会社法の解釈に準じるとし、同法を所管する法務省はこの解釈について、「実際に支払われたものであるか否かとは無関係」に、「その額が明らかなもの」は「当該事業年度に係る事業報告の内容とすることが求められる」という見解を示している。
特捜部も逮捕前に、こうした法解釈を慎重に検討したはずだ。
その上で、将来の支払い文書の作成に直接関与した秘書室幹部と「司法取引」し、将来の支払いが文書で確定しているという判断を固めたとのであろう。
ゴーン前会長が日産側と毎年交わしていた合意文書では、年間報酬の総額を約20億円と明記したうえで、内訳として、その年に受け取る約10億円と、退任後に受領する約10億円がそれぞれ記載されていた。
しかし、実際に支払われていない、退任後に「支払の約束」をした金額については、退任後に顧問料などの「別の名目」で支払うためには、日産側での改めて社内手続を経ることが必要となる。
不透明な支払は、内部監査、会計監査等で問題を指摘される可能性もあるし、今後、日産の経営が悪化し、大幅な赤字になってゴーン氏が引責辞任することになった場合、過去に支払う契約をしていたからといって、引責辞任した後の経営トップに「報酬」を支払うことは、株主に対して説明がつかないだろう。
「支払の約束」の契約の履行には不確定性があり、退任後の「支払の約束」は、無事に日産トップの職を終えた場合に、支払いを受ける「期待権」に過ぎないとも言える。
言ってみれば手形のようなものである。
状況からすれば結果的に不渡りになる可能性が高い。
退任後に支払う約束をした役員報酬が、有価証券報告書の虚偽記載罪に相当するのかどうか。
東京新聞12月9日
森友学園の籠池前理事長夫妻は長期勾留された。
法の前では平等であるべきだが、対仏関係もあるので、そんなことはできないだろう。
検察は再逮捕する見通しだが、果たして起訴に持ちめるのだろうか?
そして有罪の勝算はあるのだろうか?
東京新聞12月8日
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