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2018年12月

2018年12月31日 (月)

2018年の回顧(3)/安部政権の命運(39)

いよいよ今年も終わりである。
来年には新天皇が誕生し、元号も改まる。
「先今年無事目出度千秋楽」である。

思えば平成の30年は、決して「平らかに成る」とは言い難いものだった。20181230_162239_2
毎日新聞12月30日

天皇陛下のおっしゃるように「戦争のない時代として終わろうとしていることに心から安堵」には同感するが、同時に戦争の空気が濃くなりつつあることも否定できない。

そして今年の漢字が示すように、今年はとりわけ「災」の印象が強かったが、平成を通じても記憶に残さざるを得ない「災」が多かった。
1995年1月の「阪神・淡路大震災」は、オウム心理教事件と相まって、深く心に刻まれている。
そして2011年3月の「東日本大震災」は多くの人に衝撃を与え、強い記憶を残した。
たまたま民主党政権の時に起きたのだが、「東日本大震災」は福島原発事故をもたらしたという意味でも特筆されるべきであろう。
私も当時の菅政権や後継の野田政権の対応には不満がある。
 
しかし今言えることは、もし自民党政権の時だったらより深刻になっていただろうということである。
福島原発について、全電源喪失のリスクについて質した吉井英勝議員に対し、「経済産業省としては、お尋ねの評価は行っておらず、原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである。」と他人事のように答弁書を読んだのは、第1次政権時の安倍首相である。
2016年8月29日 (月) 『東京ブラックアウト』と国会質疑/原発事故の真相(147)
 
原発輸出が全滅し、世界が再生可能エネルギーにシフトしつつあるのは明らかである。
2018年12月19日 (水) 成長戦略としての原発輸出の破綻/安部政権の命運(30)
にもかかわらず、未だに原子力村と一心同体なのが、経産省主導の安倍政権である。
 
自民党政権と民主政権の差異は、私自身が厚生労働省の対応で実感しているが、国交省などでも同様であろう。
財務省といえども民主党政権時ならば、決裁文書の改ざんなどの「犯罪行為」に手を染めることはなかったのではないか。
その意味で、この国をダメにしたのは、自民党であり、安倍政権なのだ。
 
今年の新語・流行語大賞の「ご飯論法」がノミネートされた。
上西充子法政大学教授による造語で、「朝ご飯を食べたか?」と聞かれ、「(パンは食べたが)ご飯は食べていない」と答えて躱す(つもりになっている)安倍政権を批判した言葉だ。
2018年6月27日 (水) 「ごはん論法」と「信号無視論法」では議論にならない/ABEXIT(62)
森友疑惑を一貫して追及してきた菅野完氏には違和感を覚える時もあるが、今年の最後に引用しよう。
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「SPA!」2019年1月1・8日合併号
 
2019年は、 「ご飯論法」や「信号無視論法」を撲滅する年にしたい。

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2018年12月30日 (日)

2018年の回顧(2)/安部政権の命運(38)

第2次政権以降の安倍政治の歩みを振り返ってみよう。20181229_152209
東京新聞12月26日

こうしてみると、評価すべきことが皆無である。
とりわけ好戦性が露わであることが特徴である。
例えば兵器の購入である。
2019年度予算において兵器ローンの残高が5兆円を超えた。20181229_133811
東京新聞12月22日

先日の天皇陛下の誕生日におけるお言葉と対蹠的である。
2018年12月23日 (日) 今上天皇在位最後の誕生日/やまとの謎(123)
韓国駆逐艦のレーダー照射問題で、防衛省が映像の公開に踏み切ったのも、防衛省の反対を押し切って安倍首相が強引に進めたという。20181229_204231
反戦か好戦か、来年は重要な歴史の分かれ目となる。

第二に国会の軽視が挙げられよう。
自ら「私は立法府の長」と何回も言っていることはお笑いにしても、今年の国会運営は酷いもので、法治国家から逸脱してしまっている。
「丁寧に説明する」と口では言っても、「モリカケ疑惑」についてはなんら霧は晴れていない。

内向き内閣の姿を典型的に露出したのはいわゆる「赤坂自民亭」騒動である。
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2018年7月13日 (金) 「空白の66時間」が映し出す思考と志向/ABEXIT(73)
 
高橋洋一というオッチョコチョイなどは、「赤坂自民亭」というネーミングが、反自民党派が作ったものだと思っているようだ。

 立憲民主党など左派野党は、先週(2018年7月)5日夜に行われた安倍首相や自民党議員が衆院議員宿舎で開いた懇親会について、「赤坂自民亭」と批判している。
高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 

しかし「赤坂自民亭」を称しているのは当の自民党議員である。
2018年7月 8日 (日) 緊急事態にもかかわらず「赤坂自民亭」で大宴会/ABEXIT(68) 
2018年7月15日 (日) 「赤坂自民亭」の耐えられない軽さ/ABEXIT(74)

安倍政権を擁護するのは勝手だが、贔屓の引き倒しで逆効果である。
国会軽視のオンパレードであり、閣議決定をすればそれで決まりだと思っているらしい。
しかし「総理夫人は私人である」とか「そもそもの意味は…」などというのは、質問があったからにしても滑稽である。
公務員が世話係としてついていて「私人」はとは是如何に、だろうし、単語の意味は閣議ではなく辞書や国学者によるべきだろう。

捕鯨委からの脱退も、国会に諮ってはいない。20181228_201019
東京新聞12月27日

唯我独尊の政権がやりたい放題だった年として記憶されることになるだろう。
トランプ大統領は側近を次々に解任し、「そして誰もいなくなる」状態に近づいている。
そのトランプ大統領に盲従していると、国際的に孤立することになろう。

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2018年12月29日 (土)

2018年の回顧(1)/安部政権の命運(37)

明治150年の今年は、安倍政治が最悪の形で本質を露呈した年であった。
総裁選への出馬表明に鹿児島を選んだのは大河ドラマ『西郷どん』人気に乗ろうとしたのだろう。
それは良いにしても、自身の出身地山口県を意識して「薩長同盟」と口にしたのは歴史の文脈を理解しない表れであろう。

幕末から明治にかけて、夥しい数の有為で志を持った人間が世を去った。 坂本龍馬もその一人で、1862年に土佐藩を脱藩した龍馬は、1866年に長州藩と薩摩藩の同盟を仲介した。 急進的攘夷論だった長州藩は、禁門の変で朝敵となり、英米蘭仏を相手にした下関戦争で窮地に陥っていたのだ。

翌1867年の情勢は目まぐるしい。
1月に徳川慶喜が第15代将軍に就いたが、その20日後に孝明天皇が崩御した。 6月に薩摩藩と土佐藩の間で討幕の密約が成立し、10月に土佐藩から坂本龍馬の「船中八策」に基づく大政奉還の建白書が提出された。
11月には薩長両藩に対して、討幕の密勅が下りた。
極秘裏だったはずであるが、慶喜は薩長の機先を制して大政奉還を奏上し、受理されて討幕の大義が無くなった。
直後に発案者の龍馬は暗殺されてしまい、討幕派は王政復古のクーデターから鳥羽伏見の戦い、戊辰戦争に雪崩れ込む。
つまり「薩長同盟」の本質は暴力革命路線であったとも言えるのだ。

安倍政権の本質の表れの第一は、悪い意味で「忖度」の構造が定着してしまったことである。
公文書偽造という近代国家にはあってはならないはずのことが、安倍首相の国会の場での勢いで出た「私や私の妻が関係していれば、総理大臣は当然、国会議員も辞職する」という言葉によって、行政府の根幹である財務省が決裁文書を改ざんしたのである。

安倍首相自身は、言葉の条件を限定して「金品の受理はしていない」などと姑息な言い訳しているが、昭恵夫人の関与が明らかであることは、森友事件をスクープしたことでNHKを退職せざる得なくなった相澤冬樹氏などの著書(安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』文藝春秋(2018年12月) )を見れば明らかであろう。Vsnhk

「忖度」の原点とも言えるさいたま市公民館会報への「九条俳句」不掲載問題も結審した。
しかし、表現の自由は梅雨空のままである。181228
東京新聞12月26日

2019年は清々しい青空になることを願う。

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2018年12月28日 (金)

カジノ化する日本/安部政権の命運(36)

株式市場は、25日に大暴落したが、27日には大幅に上げておおよそ元の水準に戻った。
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東京新聞12月28日

今日は大納会だったが辛うじて2万円をキープして終えた。 しかし年足はマイナスだった。20181228_170619

上図から窺えるのは、政府の必死のPKO((Price Keeping Operation:株価維持対策)である。
終了直前まで2万円以下であり、何とか2万円を維持しようとしたのであろう。
政府が言うように、経済のファンダメンタルズは堅調か?
そんなことはあるまい。
2018年12月26日 (水) 安倍バブルの崩壊/安部政権の命運(35)

財界に偏重した政策は、国民を豊かにしていない。
論壇時評で中島岳志氏が喝破している。20181228_172624
東京新聞12月27日

乱高下する株式市場はまるでカジノのようである。
カジノといえば、大阪府・市が必死で大阪南港を賭場にしようとしている。
いわゆる「カジノ法」もその辺りを視野に入れてのことであろう。
同法成立の裏に米カジノ業者の意を汲んだトランプ大統領からの圧力があったことは公然の秘密化している。
2018年7月21日 (土) カジノ法を成立させて国会閉会/ABEXIT(75) 

そのカジノ業者が大阪万博開催決定の翌日、早速祝意を送ってきた。20181229_093204
東京新聞12月28日

大阪都構想を掲げてW辞任すると報じられている松井府知事と吉村市長は、さぞ意を強くしたことだろう。
しかし「生産性がない」という言葉は、カジノにこそ相応しい。
大阪万博と統合型リゾートで大阪(都)が荒廃していくのが目に見えるようである。
賢明な府民・市民は、松井・吉村を再選してはならない。

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2018年12月27日 (木)

国際捕鯨委脱退とガラパゴス化/安部政権の命運(35)

菅義偉官房長官は26日午前の会見で、国際捕鯨委員会(IWC)から脱退することを決定し、来年7月から商業捕鯨を再開すると述べた。
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東京新聞12月27日

クジラやイルカをいたずらに特別視をすることには違和感があるが、国際的な協調を振り来てまで行うメリットがあるのか、疑問である。
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毎日新聞12月27日

捕鯨は例えば和歌山県などで盛んであるが、自民党二階幹事長の選挙区である。
IWCからの脱退えお決めたことによって、二階氏は地元では英雄視されてもいるという。
オーストラリア等の反捕鯨国の反発は強い。
最近の政権は、国際的なトレンドにあえて反対の行動をとっているように見受けられる。
まさにガラパゴス化である。
満州事変に対する批判に反発して国際連盟から脱退した時のようである。

 日本は1931年、現地軍の関東軍が独自行動で満州事変を起こしたのを機に中国への侵略を開始、満州全土を制圧して、1932年3月に傀儡政権満州国を建国した。これに対して、中国政府は国際連盟に満州国建国の無効と日本軍の撤退を求めて提訴した。それを受けて国際連盟はリットンを代表とする調査団を派遣した。リットン調査団は1932年3月から6月まで現地および日本を調査し、リットン報告書をまとめた。報告書は日本の侵略と認定した。ただし満州に対する日本の権益は認め、日本軍に対しては満州からの撤退を勧告したが南満州鉄道沿線については除外された。
 1933年2月、国際連盟総会はリットン調査団報告書を審議、日本の代表松岡洋右は満州国を自主的に独立した国家であると主張したが、審議の結果、反対は日本のみ、賛成が42カ国で可決された。これを受けて日本政府は翌3月、国際連盟脱退を通告した。
日本の国際連盟脱退 

同じ轍を踏まないためには、安倍政治を終了させるしかないだろう。

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2018年12月26日 (水)

安倍バブルの崩壊/安部政権の命運(35)

25日、株式市場で日経平均株価が大幅に下落した。
ほぼ全面安で、リーマンショック時より下落率は大きかった。
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前日の米国株が急落した流れを引き継ぎ全面安で始まり、朝の売買が一段落した後も多くの業種で売り優勢の状況が続き、日経平均株価の下げ幅は1000円を超えた。21812262
東京新聞12月26日

直接的には海外(トランプ)発ということだろうが、トランプに寄り添ってきたのは安倍政権である。
基礎的な条件としては、異次元金融緩和と称して年金などの公的基金まで動員して高株価を演出してきた安部バブルの崩壊と見るべきだろう。
⇒2015年12月 1日 (火) 究極の公私混同と言うべきGPIFの資金運用/アベノミクスの危うさ(61)
2016年1月15日 (金) いかさま経済政策の破綻/アベノミクスの危うさ(67)

26日には若干戻したものの、勢いに欠けると言わざるを得ないだろう。Ws000006

追証が発生した人も少なくないのではないか?
皮肉にも政府が景気の現状について「いざなぎ超え」を宣言したばかりである。
しかし私の身の回りには好景気を実感している人はいないように見える。

 2012年12月に始まった景気の拡大は、足元も続いているとみられる。年明けの19年1月まで続けば、08年2月までの6年1カ月だった戦後最長景気(いざなみ景気)も超える。
 景気の山と谷は、生産や雇用など9指標をもとに研究会で有識者らが議論し、内閣府が判定する。月ごとに見るとぶれが大きいため1年ほど後まで含めて分析する。その結果、景気の拡大が、少なくとも昨年9月まで4年10カ月間続いたと今回認定した。
 ただ、戦後2番目になったのはあくまで景気拡大の長さで、成長の大きさではない。
 東京五輪の後の1965年に始まり、大阪万博があった70年まで続いた「いざなぎ景気」は、年間の成長率が平均10%を超えた。「3C」とも呼ばれるカラーテレビやクーラーといった品が急速に普及し、多くの人が豊かさを実感できた。対して、今の景気拡大の平均の成長率は1%台にとどまり、当時のような好景気は実感しにくい。14年の消費税率8%への増税後は消費が大きく落ち込み、「景気拡大はすでに途切れている」との指摘も出ていた。
景気拡大長さ「いざなぎ」超え 実感ある?成長率1%台

長期的なGDP成長率の推移を図示してみよう。
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毎日新聞12月21日

好景気などというのはマヤカシである。
GDPはほとんど成長していず、多くの人の可処分所得はむしろ減少しているのだ。

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実収入から税など除いた可処分所得 30年前水準

消費増税対策に錯乱状態の安倍政権が、もはや崖っぷちであるのは明らかである。

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2018年12月25日 (火)

九条デモ俳句不掲載という忖度/安部政権の命運(33)

集団的自衛権の行使容認に反対するデモを詠んだ市民の俳句が、さいたま市の公民館の月報への掲載を拒否されたという事件があった。
作者の女性がさいたま市に賠償を求めて争っていた訴訟が結審した。
句の掲載は退けられ、賠償は認められた。
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東京新聞12月22日

拒否された句と経緯は以下のようである。

梅雨空に『九条守れ』の女性デモ

 俳句の掲載を拒否したのは大宮区の三橋(みはし)公民館。同公民館は、毎月発行する「公民館だより」の俳句コーナーに、館内で開く俳句教室の一作品を掲載している。
 作者らによると、掲載作品は、この俳句教室の会員約二十人が詠んだ句の中から、互選で一句選ぶ方式。「梅雨空-」は六月に選び、七月号に掲載予定だったが、公民館は月報の俳句欄を削除して発行した。公民館長は「世論が大きく二つに分かれる問題で、一方の意見だけ載せられない」と説明したという。
 公民館を管轄する市生涯学習総合センターの小川栄一副館長は、本紙の取材に「この句が市の考えだと誤解を招いてはいけない。公民館の判断は妥当だ」と話した。
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梅雨空に「九条守れ」の女性デモ さいたまの70代俳句 月報掲載拒否

⇒2014年7月 5日 (土) さいたま公民館の俳句掲載拒否と新興俳句事件/日本の針路(4

小川栄一副館長の「この句が市の考えだと誤解を招いてはいけない」というのはどういうことだろう。
「九条守れ」という考えということだろうが、それは情景である。
まあ、言外にデモに対するシンパシーを感じはするだろうが、それは鑑賞の問題である。
にも拘わらす、教育長は以下のようなコメントを発表した。

稲葉康久教育長は、記者会見で、「集団的自衛権の問題が背景にあり、掲載すべきではなかった。今後もこの立場をご理解いただく」と話し、「世論を二分するような」テーマの作品は載せない基準にする考えを示した。
2014年7月31日 (木) 「九条俳句」とさいたま市教育長批判/日本の針路(16)

市民のささやかな創作活動にまで神経を張り巡らす。
バカバカしいほどの過剰な自己規制である。
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こういう過剰な自己規制を「忖度」というのであろう。
結果として、公文書を偽造し、まじめな近畿財務局の若い職員の命を奪った。
安倍、麻生、佐川・・・は何を思っているのだろうか。

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2018年12月24日 (月)

日産&ルノー、それぞれの内部矛盾/ブランド・企業論(84)

ゴーン前会長が保釈寸前に再々逮捕されたのは、会社法違反(特別背任容疑である。
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東京新聞12月22日

つまり有価証券虚偽記載という形式犯ではなく、会社の財産を棄損したという実質犯である。
しかし、
もし報じられている事態通りならば、日産の企業統治が問題であったことは否めないだろう。
日産の取締役会や監査役会は正常に機能していたのか。
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東京新聞12月14日

一方のルノーはどうか?
ルノーの筆頭株主はフランス政府である。

 取締役会の足並みも乱れてきた。13日の取締役会ではゴーン容疑者の解任が再び見送られたが、ロイター通信によると、ブレア元英首相の妻、シェリー・ブレア取締役が暫定的な経営体制を続けるのは不可能だと主張。複数の取締役もこれに賛同したという。
 筆頭株主の仏政府も「ゴーン容疑者の不正を示す情報は何も得られていない」(政府高官)とのスタンスを維持する一方、水面下で後継候補選びに着手した模様だ。ゴーン容疑者の不在が長期に及べば、現場の士気に影響すると判断したとみられ、仏紙フィガロによると、タイヤ大手ミシュランのジャンドミニク・セナールCEOを会長に起用する案が検討されているという。
 ルノー関係者によると、マクロン仏大統領はゴーン容疑者に対し、日産との提携を維持、強化できる後継者を準備しておくよう指示していた。これを受け、ゴーン容疑者はヘッドハンティング会社を使うなどして外部からの起用を模索していたと言われている。今回もセナール氏ら外部人材を軸に人選が進む可能性があり、トヨタ自動車のディディエ・ルロワ副社長やPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)のカルロス・タバレスCEOらルノーから他社に転じた人物の名前も取りざたされている。
ルノーに亀裂 日産との関係悪化を懸念、ゴーンCEOに怒りも

日産もルノーも企業統治に大きな問題を抱えていると言えよう。

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2018年12月23日 (日)

今上天皇在位最後の誕生日/やまとの謎(123)

天皇陛下が85歳の誕生日を迎えられた。
来年の譲位が確定しているので、天皇としては最後ということになる。
さすがに万感が去来したのであろう、昨日の記者会見で即位後の30年を旅になぞらえたが、何度も声を震わせておられた。
テレビで視聴していても胸が熱くなった。
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東京新聞12月23日

今年の漢字に「災」がえらばれたが、冒頭「この1年を振り返るとき、例年にも増して多かった災害のことは忘れられません。集中豪雨、地震、そして台風などによって多くの人の命が落とされ、また、それまでの生活の基盤を失いました。」と述べられた。

実際に陛下は即位依頼災害地を歴訪されている。
被災者が一様に感動的に感謝の言葉を口にしているのを見ると、お人柄もさることながら「天皇」という制度が日本に深く根付いていることを感ずる。
「やまとの謎」の1つとして良いだろう
感想は多岐にわたっているが、例えば、外国人就労者に対して。
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政権とは多くの点で対蹠的と言わざるを得ない。

沖縄についても「昭和28年(53年)に奄美群島の復帰が、昭和43年(68年)に小笠原諸島の復帰が、そして昭和47年(72年)に沖縄の復帰が成し遂げられました。沖縄は、先の大戦を含め実に長い苦難の歴史をたどってきました。皇太子時代を含め、私は皇后と共に11回訪問を重ね、その歴史や文化を理解するよう努めてきました。沖縄の人々が耐え続けた犠牲に心を寄せていくとの私どもの思いは、これからも変わることはありません。」と述べられた。
口先だけ「沖縄に寄り添い」と言いながら、辺野古の土砂投入の当日、平然とゴルフに興じる安倍首相とはまったく感性が異なるのは明らかであろう。

 安倍晋三首相は15日午前、神奈川県茅ケ崎市のゴルフ場を訪れ、秘書官らとゴルフをした。
 記者団から調子を尋ねられると、「今日は結構冷え込んでいるけど、寒さに耐えて頑張っていますよ」と笑顔を浮かべた。
 しかし、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設工事で名護市辺野古沿岸部の埋め立てが始まったことについて質問が飛ぶと、首相は苦笑い。身体を反転させて無言でゴルフ場に戻った。
安倍首相、辺野古質問に苦笑い ゴルフ場で記者団に

政権には「尊厳」の概念がないという意見もある。
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残念なことではあるが、同意せざるを得ない。

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2018年12月22日 (土)

沖縄を「加害の島」にするなかれ/安部政権の命運(32)

6月23日の「沖縄慰霊の日」に朗読された浦添市立港川中学の相良倫子さんの「平和の詩」に感動した。
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全文は、2018年7月23日 (月) 官僚の作文を棒読みするだけの安倍首相/ABEXIT(76)に掲載。

「マントルの熱を伝える大地」で、「心地よい湿気を孕んだ風」を受け、「草の匂い」を嗅ぎながら、「遠くから聞こえてくる潮騒」を聞き、今生きている、と沖縄が生命力に満ちた美しい島であることが謳われている。
しかしこの生命の島は、73年前に「死の島」と化したのだ。
「青く広がる大地は、鉄の雨に見えなく」「草の匂いは死臭で濁り」「着弾に揺れる大地」「血に染まった海」に変じて、阿鼻叫喚の戦場になった。

沖縄の意思を無視して、辺野古を埋め立てる暴挙が行われている。
「生命力」が奪われようとしているのだ。
海は生命の起源である。
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波音で眠りにつく~三好達治の詩「郷愁」~

ベトナム戦争の戦場写真で知られるカメラマンの石川文洋さんが、「沖縄を加害者の島にするな」と訴えている。
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東京新聞12月21日

やがて相良さんのような中学生が大人になる。
愚かな政権は、そのことを知らなければならない。

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2018年12月21日 (金)

ゴーン拘留延長不許可と再逮捕/ブランド・企業論(83)

東京地裁が東京地検特捜部から提出されたゴーン&ケリー容疑者の拘留延期願を却下した。
これは極めて異例なことだ。
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東京新聞12月21日

これで保釈かと思われたが、特捜部はゴーン前会長の再逮捕という手段に出た。

 ゴーン元会長の弁護人は21日にも保釈請求する予定だったが、新たな容疑の逮捕によりゴーン元会長が近く保釈される可能性はなくなった。
 逮捕容疑は2008年10月、自身の資産管理会社が運用していたデリバティブ取引の契約を日産に移転させることで約18億5000万円の評価損を負担する義務を日産に負わせた疑い。
 また、日産に移転した契約を資産管理会社に再移転する際に尽力した人物が経営する会社の預金口座に、09年6月~12年3月、4回にわたり日産子会社の預金口座から計1470万米ドルを振り込み入金させた疑い。
ゴーン元会長を特別背任容疑で再逮捕 東京地検

特捜部は拘留延期却下を「理解に苦しむ」とまで言っており、意地でも身柄を拘束したのだろう。
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東京新聞12月21日

ゴーン前会長の身柄の拘束は、捜査のキーとも言える。
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毎日新聞12月21日

地裁の異例の判断の根拠は推測するしかないが、国際的な批判を考慮したのではないかと言われる。
日仏の手続きの違いは下図のようであり、長期間の勾留は自白を得るための「人質司法」として海外メディアの批判の的となっている。
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異なる司法制度 長期勾留批判続く

海外の批判が高まることは必至だろうが、制度の違いは違いとして、適用は誰に対しても平等でないとダブルスタンダードである。
森友事件では、国策捜査の実態が、元NHK記者相澤冬樹氏の著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』文藝春秋(2018年12月)によって一端が明らかにされた。
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「人質司法」が適正か否かが問われているとも言えよう。

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2018年12月20日 (木)

専守防衛からの逸脱・公明党はどうする?/安部政権の命運(31)

新防衛大綱で、専守防衛からの逸脱が明確になった。
たとえば、護衛艦「いずも」の空母化である。
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東京新聞12月19日

どんなに強弁しても、あるいは詭弁を弄しても、米機が発着する空母が専守防衛であろうはずがない。
岩屋防衛相は、辺野古埋め立てを国民のためと言っているが、もはや誰の目にも「対米従属」は明らかである。
2018年12月16日 (日) 心の埋め立てはできない/安部政権の命運(29)181219_2
毎日新聞12月19日

「懸念」というのは抑制的に過ぎよう。
この事態に至っても、公明党は与党のポジションにしがみついているのか?
とすれば結党の精神はどこへ行ったのか?
沖縄知事選では、三色旗の下に、反本部に動いた学会員も少なくなかったという。
2018年9月25日 (火) 沖縄知事選の対決の構図(2)/メルトダウン日本(39)

辺境での変革の動きが、中央を揺さぶる時が来たのではなかろうか?

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2018年12月19日 (水)

成長戦略としての原発輸出の破綻/安部政権の命運(30)

また非論理的な安倍政権の政策の破綻が明らかになった。
日立製作所が中心になって進めてきたイギリスへの原発輸出を断念せざるを得なくなったのだ。
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毎日新聞12月18日

日立製作所の中西宏明会長は経団連の会長でもあるが、「改正入管難民法」の成立を手放しで喜んでいる。
経済同友会の小林喜光代表幹事と対照的である。
2018年12月 8日 (土) 改正入管法を可決した「醜い日本」/安部政権の命運(23) 

時代遅れのセンスの持ち主であることは明らかであろう。
自分の国の原発事故が終息していないのに、他国へ輸出しようという発想が不思議だ。
それで成長しようというシナリオに無理がある。
世界の趨勢は脱原発である。
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東京新聞12月5日

オールドパラダイムで成長戦略を発想することの限界である。

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2018年12月18日 (火)

敗者の戊辰戦争(5)土方歳三/幕末維新史(16)

幕末維新期において、新選組は武闘派のイメージが強い。
学校で教えられてきた「勝てば官軍」史観では、時代の動向を見通せないアナクロ集団と言えよう。
チャンバラ映画の主役ではあり得ても、時代を前進させるヒーローという感じはしない。
しかし、新選組の中でも、土方歳三や沖田総司の人気は根強い。

土方歳三の略歴を見てみよう。

幕末維新期の新選組副長,のちに箱館五稜郭政権の陸軍奉行並。名は義豊,俳号豊玉,別称を内藤隼人といった。武蔵国多摩郡石田村(東京都日野市石田)土方義諄の4男。生前に父を失い,6歳で母も失って兄喜六夫婦に育てられる。文久3(1863)年の上洛浪士組に参じ,近藤勇,沖田総司らと共に京都に残留し新選組副長となる。新選組の名を一夜にしてなさしめた池田屋騒動では,古高俊太郎の拷問で足の甲に五寸釘を打ちつけ,百目ろうそくを傷口に流し込んだといわれる。土方は法の番人的存在で局中法度を徹底的に貫き,山南敬助,河合耆三郎らを切腹に追い込むなど内部粛清に猛威を振るった。明治1年1月3日(1868年1月27日)の鳥羽・伏見の戦以後,新選組の戦闘指揮をとる。宇都宮,会津若松と転戦したのち榎本武揚らと五稜郭に渡り,翌年3月回天艦に搭乗して宮古湾の海戦に参じる。その後,箱館戦争の雌雄を決する激戦において壮烈な戦死を遂げた。<参考文献>釣洋一『新選組再掘記』
朝日日本歴史人物事典の解説

まさにクールな武の人と言えよう。
戊辰戦争の最終段階の箱館戦争において、五稜郭で壮烈な死を遂げたのである。
その意味で「時代の子」であり、明治期に生きたらどうであったかと思わざるを得ない。
Spa180918258
「SPA!」180918・25日号

日野市に土方歳三記念館がある。
Manganji

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朝日新聞3月14日

明治150年も終わろうとしている。
戊辰戦争の敗者を悼みたい。

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2018年12月17日 (月)

ファーウェイ問題と米中対立/世界史の動向(71)

中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長兼最高財務責任者(CFO)で、創業者の娘でもある孟晩舟氏が逮捕され、保釈金を積んで保釈されたが、GPSで所在確認が条件だという。
この事件は、もちろん米中の対立が原因だ。181213_2
東京新聞12月13日

しかしファーウェイ事件は米中対立をさらに激化することのなろう。
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毎日新聞12月14日

5Gは次世代の移動体通信の規格で、高速・大容量化、超多数端末接続、超低遅延、超高信頼性などが検討されている。5gcolumn125_02
「5Gって何?」の話

主導権をどこが握るかは力関係に影響するであろう。
政治と経済の両面からの綱引きということだろうが、司法は一定の距離を置くべきだろう。

 中国は自国の半導体産業を育てようと数十年間取り組み、何十億ドルも投資してきたが、国内で製造しているコンピューターやサーバーで使用するハイエンドの半導体は今も95%以上が輸入品だ。その結果、世界最大のエネルギー輸入国であるにもかかわらず、半導体輸入額が2016年に2270億ドルと、石油輸入額を上回っている。
 中国政府が国を挙げて技術発展を追い求める姿勢は、多くの点において、オリンピックなどの競技大会に対する同国の姿勢そのままだ。中国は金メダルにこだわり、手っ取り早く勝つために、他の国が概してないがしろにしている種目(アーチェリー、射撃、カーリングなど)に膨大な資金をつぎ込んできた。しかし、団体競技の競技人口は総じて非常に少ないままで、陸上、サッカー、バスケットボールなど、勝つためには裾野の広い選手層が必要な種目では今も大きく遅れている。
 最先端技術でも、同じような現象がみられる。目覚ましい進歩を遂げたデジタル決済の普及を別にすれば、中国がこれまで成し遂げてきた技術的快挙は、深海潜水艇やハイブリッド米など、どちらかというと従来の延長線上にある技術だった。中国が鮮やかに突破口を切り開いてきた技術はほんの少数にとどまり、同国経済はほとんどが労働集約型のローテク産業で成り立っている。
 中国のハイテク産業の幹部や投資家によれば、同国の教育制度は丸暗記や権威への服従を重視しているため技術革新の妨げとなると言う。政治制度も同じく、自由な意見の表明を抑制するという点で同じ結果を招いている。中国で技術革新を起こした優れた人材の多くが米国で教育を受け、卒業後も米国にとどまるのも必然だ。
ファーウェイ幹部逮捕、米中対立の理由が凝縮 

日本はどうなのか?
基礎を軽視して産業界の役に立つことに偏ると、米中にもますます置いて行かれるのではないか。

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2018年12月16日 (日)

心の埋め立てはできない/安部政権の命運(29)

粛々と(!)埋め立てを進めるのか?
「沖縄県民に寄り添い」の舌の根(というよりも表面すら)乾かぬうちに、強権的に埋め立てを行う。
岩屋防衛省は、「日米同盟のためではなく、日本国民のため」というが、そう口にせざるを得ないのが後ろめたさの表れだろう。

砂川闘争の時、「土地に杭は打たれても心に杭は打たれない」石野昇(元・砂川基地拡張反対同盟宣伝部長)という言葉が生まれた。
辺野古の海は埋め立てられても、沖縄県民の心は埋め立てられない。
いみじくも毎日新聞の社説が論じている。
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毎日新聞12月15日

砂川闘争についてWikipediaを見てみよう。

1955年3月、在日米軍は日本政府に対し、ジェット爆撃機の発着のためとして小牧・横田・立川・木更津・新潟の5飛行場の拡張を要求した。
・・・・・・
土地収用のための測量実施と測量阻止闘争とのせめぎあいが続く中、1956年10月13日には砂川町の芋畑で地元農民らと武装警官隊が衝突、1195人が負傷し13人が検挙される「流血の砂川」と呼ばれる事態に至った。翌10月14日、日本政府は測量中止を決定した。
1957年7月8日、測量阻止のデモ隊の一部が立ち入り禁止の境界柵を壊し基地内に数メートル立ち入ったとして、9月22日に学生や労働組合員23人が検挙され、うち7人が日米安全保障条約に基づく刑事特別法違反の罪に問われ起訴された(砂川事件)。一審では、1959年3月30日に米軍駐留は憲法違反であり被告全員無罪との判断が示されたが(伊達判決)、同年12月16日、上告審で最高裁判所が統治行為論によって原判決を破棄したことから、逆転して1963年12月25日に7人の有罪が確定した。
2008年以降の研究により、伊達判決を早期に破棄させるため日米両国政府間で秘密協議がされていたことが明らかになっている。

アメリカ従属がいまだに変わっていないのだ。
2018年1月21日 (日) 小学校上空の米軍ヘリ/永続敗戦の構造(14)

砂川闘争はやがて「60年安保」の下地となった。
2012年10月22日 (月) 60年安保と岸信介/戦後史断章(3)

学習の嫌いな安部首相は、祖父と同じ過ちをするのだろう。
「茶番」として。

ヘーゲルはどこかで述べている、すべての世界史的な大事件や大人物はいわば二度あらわれるものだ、と。一度目は悲劇として、二度目は茶番(farce)として、と。かれはつけくわえるのをわすれなかったのだ。ダントンのかわりにコーシディエ-ル、ロベスピエールのかわりにルイ・ブラン、1793 年から1795 年のまでの山岳党のかわりに 1848 年から 1851 年までの山岳党、叔父のかわりに甥。そして「ブリュメール 18 日」の再版が出される情勢のもとで、これと同じ漫画が!
マルクス(伊藤・北条訳)『ルイ・ボナパルトのブリュメール 18 日』岩波文庫
http://www.qmss.jp/strategy/condition/brumaire.htm

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2018年12月15日 (土)

辺野古埋め立てを強行する非道/安部政権の命運(28)

沖縄県民の意思を平然と踏みにじって、辺野古埋め立てが強行されている。
県民投票や参院選の前に既成事実を作ってしまおうという姿勢だという。
確かに普天間基地は危険であるが、知事選などで繰り返し示されてきた県民の意思を一顧だにしないということだ。
2018年12月14日 (金) 問答無用で辺野古埋め立てをするとは/安部政権の命運(27) 
2018年9月28日 (金) 沖縄県知事選の政治思想的意味/メルトダウン日本(42)

愚かで非道な政権だと思う。181215
毎日新聞12月15日

沖縄の意思は固く、政権の思うようにあきらめることはないだろう。
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東京新聞12月15日

安部首相は、沖縄県民の戦いなどどこ吹く風といった感じで、ゴルフに興じているという。

 安倍晋三首相は15日午前、神奈川県茅ケ崎市のゴルフ場を訪れ、秘書官らとゴルフをした。
 記者団から調子を尋ねられると、「今日は結構冷え込んでいるけど、寒さに耐えて頑張っていますよ」と笑顔を浮かべた。
 しかし、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設工事で名護市辺野古沿岸部の埋め立てが始まったことについて質問が飛ぶと、首相は苦笑い。身体を反転させて無言でゴルフ場に戻った。
安倍首相、辺野古質問に苦笑い ゴルフ場で記者団に

沖縄県民も我慢の限度というものがあるだろう。
2018年12月 6日 (木) 沖縄は独立に動くか?/安部政権の命運(21)

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2018年12月14日 (金)

問答無用で辺野古埋め立てをするとは/安部政権の命運(27)

何という横暴な政権なのだろうか。
沖縄県の玉城デニー知事が、昨日、菅官房長官、防衛相と会談して、今日の土砂の投入を取りやめるよう申し入れていた。
にもかかわらず、午前8時半に沖縄防衛局から「予定通り土砂を投入する」と連絡があったという。
沖縄の民意は、明らかに辺野古埋め立て反対である。
にもかかわらず、問答無用という形で埋め立て工事を始めた。

辺野古をめぐる経緯は以下のようである。
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東京新聞12月14日

どちらにも言い分はあるだろうが、沖縄県民の意思は明確に示されたのだし、安全保障環境の変化に対する説明も十分ではない。
日米同盟というが、地元の民意を無視した同盟など、砂上の楼閣だろう。Photo

まさに「ならず者政権」である。
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「サンデー毎日」11月18日号

沖縄の反政府感は強まる一方だろう。
そして、いつかは限界を超える。
2018年12月 6日 (木) 沖縄は独立に動くか?/安部政権の命運(21) 

機動隊や警備会社を配備して実力で突破するやり方は暴力団と無差別と言える。
協力している琉球セメントは、いかにも胡散臭い。
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東京新聞12月14日

翁長前知事の遺志でもある。
不可逆的な行為であり、既成事実化すれば諦めるだろうというのは、まったく幻想であろう。

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2018年12月13日 (木)

「災」の内閣/安部政権の命運(26)

恒例の「今年の漢字」は「災」だそうである。
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今年の漢字、平成最後は「災」に決定

自然災害や人災が相次いだ1年だった、といった理由が寄せられた。
確かに災害の印象が強いが、「赤坂自民亭」が象徴するように何といっても内閣そのものが「災」だった。
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2018年7月 8日 (日) 緊急事態にもかかわらず「赤坂自民亭」で大宴会/ABEXIT(68)

それにしても酷い内閣である。
河野太郎外相の記者会見の様子を見ていて、腹が立たない人はいないだろう。
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毎日新聞12月12日

記念に記者会見の速記をコピーしておこう。

【時事通信 越後記者】日露関係について伺います。先日,ラヴロフ外務大臣が日露平和条約の締結について,第二次世界大戦の結果を認めることを意味すると,日本が認めることが最初の一歩になるというような発言をされていますけれども,この発言に対する大臣の受け止めをお願いします。
【河野外務大臣】次の質問どうぞ。
【読売新聞 梁田記者】今のに関連して伺います。大臣,国会答弁等でも日露関係については交渉に資することはないので,発言は一切控えるというふうにおっしゃってますけれども,今のように,ロシア側ではラヴロフ外相,ペスコフ報道官等々,いろいろな原則的立場の表明があります。これに対して反論を公の場でするおつもりもないということでよろしいんでしょうか。
【河野外務大臣】次の質問どうぞ。
【共同通信 田中記者】引き続き,関連の質問なんですけれども,大臣は良い環境を整備したいということで,発言をこれまで抑制的あるいは抑えてこられたと思うんですけれども,一方でロシア側からは,どんどんこれまでとおりの発言が出てきます。こういった端から見たらアンバランスな状況が,実際の協議にも影響を与えるという懸念もあると思うんですが,その点に関してはどうお考えでしょうか。
【河野外務大臣】次の質問どうぞ〉

昔読んだ「ピーターの法則」を思い出した。
Wikipediaでは次のように紹介している。

能力主義の階層社会では、人間は能力の極限まで出世する。したがって、有能な平(ひら)構成員は、無能な中間管理職になる。
時が経つにつれて、人間はみな出世していく。無能な平構成員は、そのまま平構成員の地位に落ち着く。また、有能な平構成員は無能な中間管理職の地位に落ち着く。その結果、各階層は、無能な人間で埋め尽くされる。
その組織の仕事は、まだ出世の余地のある人間によって遂行される。

まさに絵に描いたような無能ぶりではないか。

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2018年12月12日 (水)

官民ファンド・JICをめぐる混乱の原因/安部政権の命運(25)

官民ファンド・産業革新投資機構(JIC)が迷走している。
取締役の大半が辞任の意向だという。1812112
東京新聞12月11日

主原因は役員報酬だという。
文書で約束したのに反故にされたのだが、報酬額を聞くと「何だ?」という気になる。1812112_2
毎日新聞12月11日

基本的には経産省のチョンボだろうが、そもそも官民ファンドというからには、公的な資金も入っている。
というよりも、大部分が公的な資金ではないか。Ws000000
Wikipedia

民間の知見を活用するというのだが、ファンドの役員報酬は基本的に成功報酬でいいのではないか。
成長戦略一辺倒で、社会的公正を眼中に入れない安倍政策の破綻の一環ではないだろうか。
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東京新聞12月7日

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2018年12月11日 (火)

ゴーン起訴と再逮捕/ブランド・企業論(82)

日産自動車の前会長カルロス・ゴーン氏が、有価証券虚偽記載の疑いで起訴され、再逮捕された。
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毎日新聞12月11日

まあ心情的には報酬額自体がどうかと思う程の額であり、不正流用もしていたとなると許されないと思う。
リストラで生活一変を余儀なくされた社員も多い。
しかし、罪刑法定主義の原則は絶対である。

論点は以下のようである。
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毎日新聞12月11日

不確定な報酬の不記載を罪に問えるのか?
今後の動きを注視したい。

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2018年12月10日 (月)

国会閉会と最低・最悪の政権/安部政権の命運(24)

臨時国会が閉会した。
入管法改正と水道法改正についてはすでに言及した。
2018年12月 8日 (土) 改正入管法を可決した「醜い日本」/安部政権の命運(23) 
2018年12月 5日 (水) 外国人就労拡大の障壁としての日本語/安部政権の命運(20) 
2018年12月 4日 (火) 外国人労働者は現代の「蟹工船」か?/安部政権の命運(19) 
2018年12月 2日 (日) 外国人就労拡大策に対する違和感/安部政権の命運(17)
2018年11月30日 (金) 介護分野での外国人就労拡大/安部政権の命運(15) 
2018年11月28日 (水) 入管法強行採決と民主主義の死/安部政権の命運(14) 
2018年11月17日 (土) 外国人就労拡大の前提データの杜撰/安部政権の命運(11) 
2018年11月15日 (木) 外国人就労拡大と働き方問題/安部政権の命運(9) 
2018年12月 7日 (金) 今、なぜ、水道民営化なのか?/安部政権の命運(22)

その他、漁業法改正などが可決された。
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朝日新聞12月7日

よくも十分な審議をせずに重要な法律を変えられるものだ。
自公の議員の良心はどうなっているのだろう。
斎藤美奈子さんが次のように書いているが、国会は死んだというべきだろう。
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山口二郎氏も技能実習生の死について、安倍首相の言葉を書き留めている。1812092_2
東京新聞12月9日『人間破壊の国』

こんなひどい政治がいつまで続くのだろう。

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2018年12月 9日 (日)

ゴーン日産前会長VS検察の構図/ブランド・企業論(81)

日産のゴーン前会長の逮捕は衝撃的だった。
2018年11月22日 (木) ゴーン逮捕をめぐる巷の意見/ブランド・企業論(80)

現時点でゴーン氏は勾留されたままであり、報道は検察サイドの情報に偏っている。

報道されている事件の構図は以下のようである。Ws000000_2
ゴーン前会長と特捜部対立 先例ない事件、今後の焦点は

ゴーン前会長と前代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者の容疑は、報酬の虚偽記載という金融商品取引法違反である。
1億円以上の報酬を得た役員の名前と金額は、10年3月施行の改正内閣府令で個別開示が義務化された。
金融庁は「報酬」の定義は会社法の解釈に準じるとし、同法を所管する法務省はこの解釈について、「実際に支払われたものであるか否かとは無関係」に、「その額が明らかなもの」は「当該事業年度に係る事業報告の内容とすることが求められる」という見解を示している。

特捜部も逮捕前に、こうした法解釈を慎重に検討したはずだ。
その上で、将来の支払い文書の作成に直接関与した秘書室幹部と「司法取引」し、将来の支払いが文書で確定しているという判断を固めたとのであろう。
ゴーン前会長が日産側と毎年交わしていた合意文書では、年間報酬の総額を約20億円と明記したうえで、内訳として、その年に受け取る約10億円と、退任後に受領する約10億円がそれぞれ記載されていた。

しかし、実際に支払われていない、退任後に「支払の約束」をした金額については、退任後に顧問料などの「別の名目」で支払うためには、日産側での改めて社内手続を経ることが必要となる。
不透明な支払は、内部監査、会計監査等で問題を指摘される可能性もあるし、今後、日産の経営が悪化し、大幅な赤字になってゴーン氏が引責辞任することになった場合、過去に支払う契約をしていたからといって、引責辞任した後の経営トップに「報酬」を支払うことは、株主に対して説明がつかないだろう。
「支払の約束」の契約の履行には不確定性があり、退任後の「支払の約束」は、無事に日産トップの職を終えた場合に、支払いを受ける「期待権」に過ぎないとも言える。

言ってみれば手形のようなものである。
状況からすれば結果的に不渡りになる可能性が高い。
退任後に支払う約束をした役員報酬が、有価証券報告書の虚偽記載罪に相当するのかどうか。
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東京新聞12月9日

森友学園の籠池前理事長夫妻は長期勾留された。
法の前では平等であるべきだが、対仏関係もあるので、そんなことはできないだろう。
検察は再逮捕する見通しだが、果たして起訴に持ちめるのだろうか?
そして有罪の勝算はあるのだろうか?181208_2
東京新聞12月8日

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2018年12月 8日 (土)

改正入管法を可決した「醜い日本」/安部政権の命運(23)

本日未明、改正入管法が、自民党公明党、日本維新の会などの賛成多数で可決成立した。
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毎日新聞12月8日

経済界の「人手が足りない。経済成長の足かせになる。」という言葉を鵜呑みにし(たふりをして)、具体的な制度設計は省庁に丸投げである。
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毎日新聞12月8日

下村博文氏が、憲法審査会に消極的な野党議員を「職場放棄」と非難して、結果的に陳謝することになったが、これこそ賛成議員は「職務放棄」と言うべきだろう。
特に、技能実習生として来日した外国人が多数死亡しているという事実が明らかになったばかりである。
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東京新聞12月6日

劣悪な環境で、実習生の名目で職業選択の自由もないまま過酷な労働を強いられる。
『蟹工船』そのものではないか。
2018年12月 4日 (火) 外国人労働者は現代の「蟹工船」か?/安部政権の命運(17)

しかも法務省は聴取票の原票を改ざんして取りまとめを行っていた。
野党議員は原票をスキャンもコピーも許されず、手書きで書き写さざるを得なかった。
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妨害としか思えないが、法務省は裏付けも取っていなかった。
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毎日新聞12月5日

経済界でも入管法改正に対し、経団連の中西宏明会長は「歓迎する」だが、経済同友会の小林喜光代表幹事は批判的である。Ws000000
改正入管法に財界から「議論不足」の声も 労働側も懸念

経団連の方々は「日本資本主義の父」渋沢栄一の『論語と算盤』に立ち戻るべきではないか。

安部首相は自分の国家ビジョンを『美しい国へ』文書新書(2006年7月)に纏めたことがある。
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誰がゴーストライターなのか知らないが、「労働力が足りないから、日本で働いてくださ。ただし人間的な生活は保障しません」という国が「美しい」といえるはずがないだろう。

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2018年12月 7日 (金)

今、なぜ、水道民営化なのか?/安部政権の命運(22)

水道法改正が可決成立した。
7月に衆議院本会議で可決されたが、参議院では時間切れとなったものである。
なぜ、臨時国会で、入管法改正など、審議を尽くすべき法案がある中で、今法律を改正する必要があるのか?

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朝日新聞12月7日

きっかけは麻生太郎財務相が2013年にワシントンの講演で「日本の水道をすべて民営化する」と話したことである。
水道事業を営むためには、安定的な原水の確保と供給網の維持管理が必要である。
全国的に見ると高度成長期に整備された水道管などの老朽化施設の更新が遅れている。
そこで、民営化によって効率化を図り、設備の更新を促進しようという狙いだとされる。

「コンフェッション方式」と呼ばれる「所有を公、運営を民」という上下分離型で民営化を促進するという。
しかし運営権を得た企業は、収益に直結しにくい設備投資には消極的になるのではなかろうか。

山口県の2歳の男児が、3日間野外で過ごしたがスーパーボランティアと呼ばれる男性に無事救出されたのは今年の明るい話題だった。
経験に裏打ちされた知恵に敬服するが、男児が無事だったのは近くに清流があったことが大きいと言われている。
水は生物の生存に必須の物質であり、「命の水」という言葉が実感される。

イザヤ・ベンダサン(山本七平の筆名)の『日本人とユダヤ人』に、「日本人は水と安全はタダと思っている」という言葉がある。
安全はともかく、水があって当然なのは、国民皆水道がほぼ実現しているからである。
明治23年に制定された水道条例において「水道ハ市町村カ其公費ヲ以テスルニ非サレハ之ヲ布設スルコトヲ得ス(第二条)」と規定されて以来、水道事業は殆どが公営である。

アラブの謎々に「あればタダ同然だが、なくなればとてつもなく高価なものは何だ?」がある。
答は水である。
今年は異常気象による災害が頻発したが、多すぎると災害になり、水ほど状況によって価値の異なる物質はない。
災害時には全国の自治体が被災地に出向き、無償で給水する協定を結んでいる。
民営化された場合、災害時の水の確保はどうなるのであろうか。

その他にも「水道料金は?」「水質の安全性をチェック・監視する機関は?」等々の課題が不透明なままである。
不安の声も全国的に根強い。
新潟県議会では改正法案反対の意見書が自民党も賛成に回り10月に可決されているように、地方の自民党議員には反対の声もあるだろう。
国民の生命・財産を営利事業の供する愚は再考すべきである。

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2018年12月 6日 (木)

沖縄は独立に動くか?/安部政権の命運(21)

辺野古への土砂投入を14日から行うべく準備が進めらえている。
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毎日新聞12月4日

これは沖縄の民意を挑発する行為と言わざるを得ない。
繰り返し選挙で示されてきた普天間飛行場の辺野古移設反対という沖縄県民が示した見解を一顧だにしないということである。
2018年9月29日 (土) 沖縄知事選に垣間見える国政の現状/メルトダウン日本(43)

政府が埋め立てを強行するのは、佐藤優氏に倣えば、「沖縄は植民地だ」と言っているに等しい。
2018年9月28日 (金) 沖縄県知事選の政治思想的意味/メルトダウン日本(42)
現代版琉球処分である。
2018年2月 6日 (火) 琉球処分/幕末維新史(7)

さすがに沖縄県民も堪忍袋の緒を切るのではないか。
さしあたり県民投票がその機会になるだろうが、その前に既成事実化して民意を削ぐことが狙いとも開設されている。
冗談抜きで「沖縄独立論」が盛んになるのではなかろうか。
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東京新聞12月4日

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2018年12月 5日 (水)

外国人就労拡大の障壁としての日本語/安部政権の命運(20)

安部政権はなりふり構わず外国人就労拡大に向かって、猪突猛進している。
確かに介護分野等における人手不足は深刻である。
2018年11月30日 (金) 介護分野での外国人就労拡大/安部政権の命運(15)
2018年11月28日 (水) 入管法強行採決と民主主義の死/安部政権の命運(14)

もちろん介護業界もいたずらに手を拱いているわけではない。
海外人材を広くリクルートしている。
しかしながら、思うように人が集まっていない。
それは必ずしも低賃金のためではない。
介護職の待遇は一般に流布されているよりは恵まれている。
ただ、日本人には3Kイメージが定着してしまったので、高校生が就職したがらないのだ。

外国人にとっての障壁は「日本語」である。
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東京新聞12月2日

介護の専門学校に入学するためには、最低でもN3程度の日本語能力が必要である。
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しかし、現地の日本語学校でN3レベルに到達することは難しい。
実際には日本で、日本語学校に入ることになるが、そうなると学費が大変である。
その学費に見合うだけの厚遇ではないのである。
外国人材拡大のためには、入管法の改正よりも効果的な日本語学習メソッドの確立と「働き方改革」が必要なのではないだろうか。
人手が足りないので外国の方いらっしゃいませんか、居留条件は緩めますよ、と言うだけでは人は集まらない。

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2018年12月 4日 (火)

外国人労働者は現代の「蟹工船」か?/安部政権の命運(19)

入管難民法などの改正案の衆院通過は余りに非常識だった。
2018年11月28日 (水) 入管法強行採決と民主主義の死/安部政権の命運(1) 

衆院議長が再質疑を求める異例の発言を行った。
審議のあり方に問題ありと議長も認識しているわけで、政府・与党は重く受け止めるべきだろう。
なんでそんなに前のめりなのか?

外国人実習生の労働実態の把握についても、きわめて消極的だ。
実習生の声に耳を傾けず、調査票の開示も不十分だ。
2018年12月 2日 (日) 外国人就労拡大策に対する違和感/安部政権の命運(17)

外国人実習生の失踪が問題になっている。 
野党が聴取票を集計したところ、3分の2が最低賃金を下回っていた。
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毎日新聞12月4日

また、シャープ亀山工場では、大量の外国人が雇い止めになっている。
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東京新聞12月4日

2008(平成20)年に、小林多喜二の『蟹工船』がブームになった。
オホーツク海でカニを捕獲し缶詰を製造する船で過酷な労働に従事する労働者の闘いを描いたプロレタリア小説の代表作であるが、作家雨宮処凛と高橋源一郎の対談がきっかけだと言われている。
フリーター、日雇派遣、ネットカフェ難民などの集会やデモに参加し、ワーキングプアの実態を知っていた雨宮が、『蟹工船』の描く世界が現在のフリーターの状況と似ていると発言したのに対し、高橋も同意したのだった。

10年後、劣悪な労働は外国人にし集中してえいるのだろうか?
いくら入管法というバルブを開けても、働きたい環境でなければ外国人の就労が拡大するはずもない。
政府はもっと労働条件の改善に努力すべきだ。

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2018年12月 3日 (月)

消費税率アップの影響と本質/安部政権の命運(16)

消費増税アップに伴うマイナスを軽減させるべく、政府はシャカリキである。
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東京新聞11月27日

キャッシュレス決済の場合は5%のポイント還元をするとか、マイナンバーカードにポイントを付与けするとか、軽減税率適用の境目をどう設定するかなどが議論されている。
涙ぐましいような努力とも言えるだろうが、見方によってはもはや錯乱状態である。
何が錯乱の原因か?
根幹を置いておいて、末節の議論になっているからである。

税徴収の体系と水準をどう考えるか?
税の使途配分をどう考えるか?
これを飛ばして、消費税の10%は不可避だから、景気の悪化を招かないように対策を打つ。
逆進性の消費税に頼る限り消費のその分の低減は、一時的な目くらましに拘わらず不可避である。
もっと本質的な議論を行うべきであろう。181101_2

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2018年12月 2日 (日)

外国人就労拡大策に対する違和感/安部政権の命運(17)

政権が前のめりになっている外国人就労拡大策は中身をこれから検討するというのだから、先に箱だけ用意しようというものである。
確かに習い事のおいて、「形から入る」というのは1つの方法である。
しかし、この場合はどうなのか?

安部首相は、「人手不足は深刻で、喫緊の課題」と言った。
また、「労働条件は日本人と同等以上」とも言っている。
何が問題なのか?

現場を知らないからである。
人手不足が問題になっている業界の多くは待遇に問題がある。1811142
東京新聞11月14日

技能実習生として来日した外国人が劣悪な労働条件に耐えかねて失踪するケースが多い。
その調査データに、改ざんといわれても仕方がないような誤りがあった。

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政府与党が率先して調査票に当たらないでいて適切な政策立案ができるわけがない。
技能実習生として来日した外国人の少なからぬ人が、安い労働力として劣悪な条件下で働かせられているのである。
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東京新聞12月1日

こんなことをしている国が「美しい国」であろう筈がないではないか。
日本は、いずれアジア諸国からも見放される国になりかねない。

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2018年12月 1日 (土)

大阪万博への違和感/安部政権の命運(16)

2025年の大阪万博開催が決まった。
前回の大阪万博は1970年だから55年ぶり、東京五輪は1964年と2020年だから56年ぶりで、何やら似ていると思っていたら、以下のようなtweetがあった。Photo_3

歴史は繰り返すのか?
それにしても政財界挙げて喜色満面である。Ws000000

オリンピックの現状を考えるとこんなに手放しで喜んでいいのかと思うのが大人の感覚ではなかろうか。
しかし、なぜ、いまさら、日本で「万博」をやる必要があるのだろうか?

いまや、国を挙げて行うような万博(EXPO)は、発展途上国や権力をアピールしたい強権国家以外は興味を示さない。
何故か?
ネットが進展し、情報も技術も瞬時で共有できる世の中になったのに、わざわざ「展示パビリオン」をつくって観客を集める万博を行う意義がなくなったからで、万博はその使命を終えたのである。

ちなみに、過去何回も万博を開催し、今回も当初エントリーしていたパリは辞退した。Ws000003_3
Wikipedia

その理由は、「フランスの納税者がリスクを負わないという保証がない」だ。
大阪・日本は大丈夫なのか?

大阪万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」である。
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東京新聞11月25日

大阪万博誘致の根拠は「経済効果」である。
大阪府の試算では直接効果が2兆3000億円、万博に合わせたイベント開催や観光客の増大などの間接的な誘発効果が4兆1000億円、計6兆4000億円の経済波及効果が見込めるという。
しかし、それはあくまで「皮算用」である。
この経済効果のために、会場建設費に約1250億円がつぎ込まれ、さらに会場となる夢洲へのアクセスで、夢舞大橋の整備と大阪メトロの伸長工事などで約540億円がかかるとされている。

費用も「試算」だから、東京オリンピックの例を持ち出すまでもなく、今後次第でどうなるかはわからない。
結局、予算はどんどん膨らみ、最終的に税金が投入されるだろうという見方がある。
そうならないことを願うが、そうなる蓋然性は高い。
見方が甘いからである。

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