麻生大臣の教育と税の認識/安部政権の命運(12)
麻生大臣が、福岡市長選の応援のために訪れた同市内での街頭演説で、東京大学卒業の北橋健治・北九州市長について「人の税金使って学校行った」と発言した。
福岡市長選で自民党が支持した独協大学卒の現職高島宗一郎氏の市長としての実績を強調するなかで、北九州市の北橋市長について「学歴はええよ。人の税金使って学校行った。東京大学だろ。しかし、結果として人口は減らして、税収は減らした」などと口にしたのだ。
財務相として、教育への公的支出を否定しているかのようなの発言は如何なものか?
「人づくり革命」を看板に掲げている内閣ではなかったのか?
教育は当人のためでもあるが、結局は「国力」に資するものであって、教育支出を批判する財務相など聞いたことがない。
麻生氏の「失言」を「麻生節」などと呼ぶメディアもあるが、度重なる発言は看過するべきではない。
「ヒトラーの手口を真似よ」という発言は、海外からも顰蹙を買った。
⇒2013年8月 4日 (日) 撤回では済まされない麻生副総理の言葉
⇒2017年8月30日 (水) 麻生氏はヒトラーがお好き?/アベノポリシーの危うさ(286)
そのせいかどうかは分からないが、麻生太郎副総理とペンス米副大統領による「日米経済対話」が、約1年間開かれていないという。
ペンス氏は12~13日に来日し、安倍晋三首相を表敬訪問するが、今回も麻生氏との経済対話は行われないことになった。
日本では「軽口」で済むことでも、海外ではナーバスになることも多い。
OECD(経済協力開発機構)が今年9月に発表した「図表でみる教育2018年版」では、2015年のOECD加盟国において、小学校〜大学の公的支出のGDP比がOECD加盟国の平均が4.2%だったのに対し、日本はたったの2.9%だった。
日本は比較可能な34カ国のなかで最下位である。
しかも、OECD加盟国の半数は大学の学費が無償であるのに対し、日本の場合は、幼児教育と高等教育に対する支出は、なんと50%以上が家計から捻出されている。
この結果について、OECDが国ごとの教育制度の構造、財政、成果をまとめた日本のカントリーノートでは〈各家庭に極めて重い経済的負担を強いている〉とまとめられている。
つまり、教育への公的支出が少なく家計負担を強いているこの状況が、親の所得格差が子どもの教育格差につながるという「貧困の連鎖」を生み出しているのだ。
税の重要な機能が所得の再分配であることなど、まったく頭に入っていないのだろう。
消費税率アップが当然のようになっているが、所得の累進課税や法人税率の見直しなど優先順位を再考するべきだろう。
いくら景気対策を打ったところで、安い労働力というだけで外国人就労を拡大するのではデフレ脱却などできるはずもない。
麻生大臣の問題発言はきりがないが、以下のようなものがある。
麻生氏また舌禍 でも財務相戦後最長更新中
こんな男が中枢に居座っていることが不可解である。
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