自己責任論の起源/世界史の動向(69)
シリアで拘束されていた安田純平さんが解放され、記者会見をした。
読売新聞11月3日
日本では、いわゆる「事故責任論」で批判する風潮が根強い。
しかし、紛争地帯で、何がどう行われているかという実態を、誰かが取材して報道しなければ、情報が遮断されたままである。
紛争を無くし、平和を実現するためには、先ずは紛争の実態を知らなければならない。
毎日新聞11月19日
紛争地帯の取材は公益性の高い仕事と考えるべきである。
紛争は常に拡大していく契機を内蔵している。
誰にとっても、紛争地帯の出来事は無関係ではないのである。
行くか行かないかは、もちろん本人の判断である。
しかし、取材に出かけた人が危険に晒されたら全力で救出する国でありたいと思う。
自己責任論=自分が勝手に行ったんだから税金を使うな、という議論は浅薄である。
いつから日本は利己的なセコイ考えが幅を利かせる国になったのか?
2004年に、イラクで拘束された日本人3人に対して、「自己責任」という言葉が投げかけられ、流行語大賞のトップテン入りした。
「自己責任論」の起源と系譜を検証した『14年前、誰が「自己責任論」を言い始めたのか?』によると、政治家では、環境相だった小池百合子氏が最初だということだ。
《小池環境相は「(三人は)無謀ではないか。一般的に危ないと言われている所にあえて行くのは自分自身の責任の部分が多い」と指摘した》
・・・・・・
読売新聞・夕刊(4月16日)の一面トップは「3邦人 あすにも帰国」とある。しかしそのすぐ横は「閣僚から苦言続々」という記事だった。
「自己責任という言葉はきついかも知れないが、そういうことも考えて行動しないといけない。」(河村建夫文部科学相)
「どうぞご自由に行ってください。しかし万が一の時には自分で責任を負ってくださいということだ」(中川昭一経済産業相)
このほか《「損害賠償を三人に求めるくらいのことがあっていい」との声も》という記載もあった。
救出には税金の投入も含め、全力を挙げるべきだ。
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