エネルギー政策の混迷/技術論と文明論(118)
9月6日、北海道胆振地方を震源とする震度7の地震が発生した。
山が崩れた厚真町や札幌市内の液状化の映像は、地震の強さを物語っていた。
特に戦慄を覚えたのは、ブラックアウトという事態が起きたことであろう。
⇒2018年9月 7日 (金) 大規模集中システムのリスク/技術論と文明論(110)
電力は現代生活に欠かせない。
全系統の電源が失われるブラックアウトという事態は、1977年のニューヨーク大停電が有名である。
日本でこれほど広範囲・長期間にわたり発生したのは初めてと言われる。
電力の供給には、発電システムと送電システムが必要であるが、需要にも供給にも変動があるので、需給バランスを調整する蓄電システムも重要である。
発電システムについては、一次エネルギー源の構成をどう考えるべきか?
池内了『科学・技術と現代社会 下 』みすず書房(2014年10月)に、「課外講義Ⅴ 地下資源文明から地上資源文明へ」という項目がある。
地下資源には、石油・石炭を始めとして、ウランなどが含まれる。
地上資源には、太陽光、水力、風力等が含まれる。
端的に言えば、地下資源は使い捨て、地上資源は再生可能である。
地下資源が大規模集中になじみ、地上資源が小規模分散になじむことは明らかである。
そしてブラックアウトが発生したのは、基本的に北海道の電力供給が極端に集中型であったことも明らかであろう。
東京新聞11月4日
ブラックアウトを教訓とするならば、集中から分散へにシフトを考えるべきである。
しかし泊原発再稼働に必死である。
ネトウヨまで動員したのも如何かとは思うが、動員されたネトウヨが揃って「泊」を「柏」とミスっていたのはお粗末であった。
⇒2018年9月12日 (水) ネトウヨ的原発推進派のお粗末さ/メルトダウン日本(29)
一方の九州電力では、発電量の過剰を抑えるため、太陽光発電を抑制した。
本末転倒のような気がする。
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