敗者の戊辰戦争/幕末維新史(10)
いささか古い論文であるが一橋大学経済研究所が出している「経済研究」という雑誌の1975年1月号に、梅村又次氏の『治水と利水』というレビューが掲載された。
梅村氏は経済学者で、執筆当時経済研究所の所長を務めていた。
水問題に関しては圧倒的に理・工学系の論文が多く、社会科学の専門家による包括的なレビューは珍しく、コピーを取っておいた。
その一節である。
これは以下の図の説明である。
⇒2011年4月23日 (土) 暘谷(フォッサマグナ)論/やまとの謎(30)
何でこの論文を思い出したかと言えば、「・SPA!」誌の9月18・25日号の『敗者の戊辰戦争』の図を見たからである。
戊辰戦争は、新政府軍VS幕軍の戦いであると同時に、西南日本と東北日本の戦いであった。
安倍首相のように官軍史観でしか考えられない人間は、一度石光真人編著『ある明治人の記録 改版 - 会津人柴五郎の遺書』中公新書(1971年5月)に目を通すべきである。
柴五郎は明治維新の際に朝敵とされた元会津藩士である。¥明治維新の際に青森に移封されたが、旧領と職封を合わせると、70万石に達する大藩が、わずか3万石に減封されたのである。
苛酷な処遇であったが武士としての矜持・誇りを失わず、「西南の役」で薩摩軍を殲滅して快哉を叫んだ。
苦難の末に陸軍学校に入学し、陸軍大将となった。
明治人の魂の記録である。
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