ミスター半導体・西澤潤一/追悼(132)
西澤さんは、何よりも独創性を重んじた人として知られる。
技術開発には、改良・応用技術開発=セカンダリーな独創と基礎からの開発=プライマリーな独創とがある。
たとえば、奇妙な現象にAが気が付き、Bが着目して、Cがアイディアを思いついて、Dが実験で確かめ、Eが理論的に体系づけて、Fが実用化し、Gが工業化した。
A、B、C、D、E、F、Gそれぞれが広義の独創者である。
それぞれが重要であるが、種子から育てていこうとする風土が日本には欠けている。
独創的な成果を生むには、思考の原点において自由でなければならない、というのが西澤さんの意見だ。
⇒2009年10月10日 (土) プライマリーな独創とセカンダリーな独創
そしてそれは日本で初めてノーベル化学賞を受賞した福井謙一博士の理論のバックボーンでもある。
米沢貞次郎、永田親義『ノーベル賞の周辺―福井謙一博士と京都大学の自由な学風』化学同人(9910)によれば、「京都大学が伝統的に持つとされる自由な雰囲気」である。
2009年のノーベル物理学賞は、光ファイバーによる情報通信への貢献を評価された元香港中文大学長のチャールズ・カオ博士と電荷結合素子(CCD)センサーの発明を評価されたウィラード・ボイル博士、ジョージ・スミス博士の3人に与えられた。
光ファイバーが授賞対象になるのであれば、当然、西澤さんが受賞してしかるべきだったと思う。
⇒2009年10月 7日 (水) 今年のノーベル物理学賞と西澤潤一氏の研究
ノーベル賞には恵まれなかったが、日本を代表する独創の研究者だったことは万人が認めるところであろう。
合掌。
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