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2018年10月24日 (水)

免震・制振偽装と五重塔の技術/技術論と文明論(115)

免震・制振装置のトップメーカーKYBの検査データの偽装には驚ろかされた。
2018年10月17日 (水) 偽装国家の本領(10)免震制振偽装・KYB/メルトダウン日本(55)

しかし検査データの偽装はKYBだけではなかった。
東証2部上場の建材メーカーグループ・川金ホールディングス(HD、埼玉県川口市)の子会社が製造した免震・制振オイルダンパーの検査データを改ざんしていた。
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日本経済新聞10月24日

地震列島で免震・制振偽装はどこまで広がるのだろうか?

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免震は東京都、大阪府各2物件の計6本、制振は26都道府県の89物件に使われた計1423本が、いずれも顧客が指定した基準値を満たしていなかった。国土交通省は免震ダンパーに基準を設定しているが、不適合品はなかったという。
 検査データの改ざんが油圧機器メーカーKYB(東京都港区)以外にも拡大したことを重くみた国交省は、免震・制振装置メーカー88社に報告を求めていた不正の有無の調査について、報告期限を従来の12月下旬から今週内に前倒しした。
 問題のダンパーは、ともに川金HDの子会社の光陽精機(茨城県筑西市)が製造し、川金コアテック(川口市)が販売した。今月16日、KYBと子会社による検査データ改ざんが発覚したのを受けて社内調査し、不正が判明。21日に国交省に報告したという。国交省は23日、川金HD側に対し原因究明や再発防止策の報告を指示した。
 不正期間は、ダンパーの製造・販売を開始した2005年2月から今年9月までで、検査機のデータに特定の係数を入力し、顧客が求めた基準値の上下10%以内に収まっているように改ざんしていたという。免震用は総出荷数の1%余り、制振用は約25%が改ざんされていたとみられる。
 改ざん理由について、川金HDは「顧客に性能面、納期で満足いただくためだった」と説明した。今回の公表分とは別に、台湾に出荷した製品にも不正があったことや、データが基準内だったのに精度を高く見せようとして改ざんした製品もあったことを明らかにした。
免震・制振装置データ改ざん93物件1429本 

偽装を発表した川金HDはストップ安で引けた。Ws000002_2

まあ、当然の結果だろう。
それにしても、五重塔などが、美しい建築美と耐震性を両立させてきた伝統はどこへ行ったのか?
2012年5月22日 (火) 東京スカイツリーの開業/花づな列島復興のためのメモ(70)
⇒2011年5月24日 (火):五重塔の柔構造と震災復興構想/やまとの謎(31)
⇒2011年10月29日 (土):猿橋の「用」と「美」と「レジリエンス」/花づな列島復興のためのメモ(10)

五重塔の免震・制振については以下の説明を紹介しよう。
五重塔は耐震設計の教科書

五重の塔の構造
五重塔は、独立した5つの層が下から積み重ねられた構造をしています。各層が庇の長い大きな屋根を有していること、塔身の幅が上層ほど少しずつ狭くなっていること、中央を心柱が貫通していて、5層の頂部でのみ接していること、5層の頂部に長い相輪が取り付けられ、心柱の先端に被せられていることなど、他の建築物に見られない特徴を有しています。これらの構造的特徴の全てが、五重塔の耐震性に深く関っています。
塔の内部を見ますと、各層は軒、組物(柱上にあって軒を支える部分)、軸部(柱のある部分)より構成されています。上層の軸部から柱盤を介して軒の地垂木に伝えられた鉛直荷重は、軒荷重と共に組物に伝えられ、組物の繋肘木(力肘木ともいう)から軸部に伝えられ、そして当該層の荷重と合わせ、下層の軒の地垂木に伝えられていきます。
五重の塔の免震・制振とエネルギー吸収 
柔構造によって1次の振動モードが共振領域を外れたとしても、2次以上の振動モードが共振領域に入ることは避けられません。ここで問題になるのが、層の浮き上がり、飛び上がりです。
各層は積み重ねられているだけで、柱盤は下層の地垂木に緊結されてはいませんから、ロッキング運動が激しくなりますと、片側で浮き上がりを生じる可能性が出てまいります。後述の鉛直方向の振動の影響と重なって飛び上がるかもしれません。
2次の振動モードで共振しますと、3層から4層にかけて曲げモーメントが大きくなり、上方の層では上層からの自重による鉛直荷重が小さくなることと合わせ、4層あたりで浮き上がりを生じる可能性が高くなります。防災科学技術研究所の振動実験でも4層が浮き上がったことが報告されています。
4層で浮き上がりを生じ、心柱の支持点である5層頂部の変位が大きくなりますと、心柱が3層の頂部と接し、梃子の原理で変位に対する抵抗力が5層頂部に発生します。心柱の回転慣性は大きく、偶力だけでも抵抗力になるでしょう。心柱は“綱渡りの棒”のようなもので、上方の層がバランスを失ったときに力となり、同層がバランスを取り戻せば再び塔身に身を委ねます。心柱の繋部分に十分な強度が求められますが、鉛直上向きの力に対して抵抗力をもたない積み重ね式の弱点を、心柱が見事に補っています。
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テクノロジーとして、現代よりも進んでいたような気もする。
しかし、「偽装」は論外であろう。

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