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2018年9月 2日 (日)

安倍首相の無神経な「薩長同盟」発言/メルトダウン日本(23)

自民党総裁選は事実上首相を選ぶ選挙である。
にもかかわらず余りにもバカバカしいことが多すぎるのではないか。
安倍首相が出馬表明の場として選んだのは鹿児島だった。
地方票で差をつけられたことを意識しているのだろうが、NHKに実況中継させるという演出までしている。

鹿児島は森山裕国対委員長の地元だ。
首相が「働き方改革国会」と銘打った先の国会で、「森友学園」「加計学園」問題が再発、財務省の決裁文書改竄などの公文書管理問題も出て、政権は野党の攻撃にさらされた。
森山氏は、野党の攻撃をかわしながら、働き方関連法やカジノ法などを成立させた「功労者」である。
また、「反安倍」に傾きそうだった石原派(近未来政治研究会)を首相支持でまとめた。
その「恩義」に対する返礼だという。
しかし首相が口にした「薩長同盟」とは、リップサービスのつもりだろうが、余りにも国民をなめた言葉と言わざるを得ない。

「ちょうど今晩のNHK大河ドラマ『西郷どん』(のテーマ)は『薩長同盟』だ。しっかり薩長で力を合わせ、新たな時代を切り開いていきたい」
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「薩長同盟」とは何か?
幕末の動きは複雑で、一応の整理として下図がある。
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2018年1月30日 (火) 明治維新=the Meiji Restoration/幕末維新史(6)

「勝てば官軍」と言われてきたが、戊辰戦争時における長州勢力の程度の低さが知られるようになってきている。
例えば、原田伊織『明治維新という過ち―日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリストち』毎日ワンズ; 改訂増補版 (2015/年1月)である。
2018年1月 1日 (月) 年の初めに/日本の針路(361)

それは別として、長州の狙いはどうだったのか?
巨大な軍事力を保持していた幕府と対峙するには長州だけでは格段に劣るため、薩摩と力を合わせて「討幕」の礎になろう、というのが「薩長同盟」と言えよう。

 安倍氏が立ち向かうべき幕府たる「巨大な勢力」とは何だろうか。幕藩体制から近代国民国家たる立憲民主主義へと日本の政治体制を一変する「討幕」に相当する政治的な動きが安倍自公政権にあるとしたら、それは小泉政権以降の「構造改革」・グローバル化だ。
 安倍自公政権が強力に推進している「構造改革」の実態は「働き方改革」や「IR法」に見られるような日本の伝統や慣習の破壊だ。日本の独特な制度や社会の仕組みを破壊して米国流に合わせるグローバル化を進めて、日本を丸ごと米国の51番目の州にすることだ。
 「美しい日本」といいつつ、安倍氏は日本語教育よりも英語教育に力を入れている。それも比較言語としての言語学ではなく、日常会話としての英語教育だ。なんとも薄っぺらな、英語圏では幼児がしゃべっている言語を日本に普及する教育だ。
 安倍氏の言う「骨太の政治」とは何だろうか。国民を貧困化させ、格差を拡大させた安倍自公政権の6年が今後3年も続くとは悪夢以外の何ものでもない。
 シャカリキになって進める日本のグローバル化をなぜマスメディアは正直に報道しないのだろうか。国土強靭化の公共事業予算を削減して、米国のポンコツ兵器を爆買いし、そのリボ払いのための防衛予算を過去最大を繰り返す安倍自公政権は日本国民の生命・財産よりも米国の軍産共同体の儲けに貢献するのが優先させている。
 世界最大の海底カルデラや活火桜島や山阿蘇山に直接抱えている鹿児島県で川内原発を再稼働するという鹿児島県民の安全を蔑ろにしている安倍自公政権を平穏に迎え入れた鹿児島県民にかつて討幕を果たした「せごドン」の気概は皆無だ。
 西郷吉之助が現代に生きていたなら、決して川内原発の再稼働を体を張ってでも許さなかっただろう。せごドンなら森山裕氏は鹿児島県民の恥晒しと厳しく批判していただろう。安倍氏と森山氏が握手して「薩長同盟」とは、歴史を馬鹿にするのもいい加減にしろ。これほど程度の低い男たちを私は知らない。
安倍氏と森山氏が握手して「薩長同盟」とは、恥知らずの馬鹿二人だ。

歴史修正主義者の面目躍如というべきであろうか。

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