さりげなく計算されつくした演技・樹木希林/追悼(131)
女優の樹木希林さんが亡くなった。
9月15日2時45分、東京都渋谷区の自宅で家族に看取られ、75歳で生涯を終えた。
東京新聞9月17日
さりげない自然に見える演技だったが、計算された演技でもあったと思う。
私は、是枝裕和監督の「万引き家族」がカンヌ国際映画祭で、パルムドールに選ばれたというニュースを聞き、近くのシネコンで先行公開されていたのを観に行った。
期待に違わない作品で、いろんなことを考えさせられた。
日本的な感じもするが、それを超越した普遍性が審査員に響いたということだろう。
是枝監督は、登場する各世代で、最もうまい役者に頼んだという趣旨のことを話していた。
日本映画史に残る名優であろう。
行動派でもあった。
2015年に東海テレビで放映された『戦後70年 樹木希林ドキュメンタリーの旅』では、ナビゲーター役を務め、残留孤児、原爆、特攻隊、沖縄戦など戦争の悲惨さについて、真剣に迫っていた。
沖縄をテーマにした回では、辺野古の新基地建設に反対する人びとが集うキャンプ・シュワブのゲート前に現れ、座り込みを続ける86歳のおばあ、島袋文子さんの手を握り、語り合った。
沖縄知事選の最中に、安室奈美恵が出身地である沖縄で25年の芸能活動にピリオドを打ったのと同期するかのようにこの世を去った。
行く末を見届けられなかったのは残念だろうが、安らかにお眠りください。
合掌。
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