日ロ首脳会談と安倍外交の評価/メルトダウン日本(33)
安倍首相が自信満々で臨んだ「東方経済フォーラム」で、プーチン大統領から、12日、「あらゆる前提条件を抜きにして、年末までに平和条約を結べないか」と投げかけた。
北方領土の帰属を確認してから平和条約を締結することで従来日露両国は原則合意しており、発言に先立つ日露首脳会談でもプーチン氏はこの種の発言をしていないが、この突然の「提案」は、政局にどう影響するであろうか。
東京新聞9月13日
折しも自民党総裁選の大詰めであるが、20日の投開票まであと少しというところで、突然、海外から大型のハリケーンが安倍総理を襲ってきたという評者もいる。
安倍支持者から「外交の安倍」と言われている分野で、「親しい関係」を強調してきた米国のトランプ大統領、ロシアのプーチン大統領から、「裏切り」ともとれる発言が相次いでいるのである。
総裁選告示の7日に、トランプ大統領自身が、「通商問題で日本がしかるべき対応をしなければ、安倍総理との良好な関係も終わる」と発言した。
ワシントンポスト紙がかつての日米首脳会談の席で、トランプ氏が「パールハーバーは忘れない」と発言し、通商問題にも厳しく当たると書いていた。
しかし、これらは反トランプ勢力のメディアによるもので、必ずしもトランプ大統領の意図を反映したリークではないかも知れない。
しかし、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の論説は、トランプ大統領自身との電話で得た情報とされるので、フェイク・ニュースと切り捨てるわけには行かないだろう。
「東方経済フォーラム」でのプーチン大統領の発言は、完全に安倍首相が(外務省が)想定していなかったことであろう。
何故ならば、曖昧な苦笑いしかできなかったからである。
もし「平和条約はもちろん望むところだが、その前に領土問題を」とか切り返していれば核国首脳が受ける印象はかなり異なったものだっただろう。
安倍首相の説明は例によって虚言が含まれているようである。
ロシアのペスコフ大統領報道官は16日放映のロシア国営テレビのインタビューで、プーチン大統領が12日に前提条件なしの年内の日本との平和条約締結を安倍晋三首相に提案したことに関連し、安倍氏本人からの反応はなかったと語った。
安倍氏は16日のNHK番組で、プーチン氏の提案があった後に2人でやりとりを交わし、北方領土問題を解決して平和条約を締結するのが日本の原則だと直接反論したと明らかにしたが、ペスコフ氏の説明とは食い違うことになる。
ペスコフ氏は、プーチン氏の提案後に「実際に安倍氏本人から反応はなかった。東京と外交官から反応があった」と話した。
平和条約締結、首相の説明と相違 ロ報道官「本人からの反応なし」
平和条約締結ということは、その時点で両国の国境が確定することを意味する。
北方領土は第二次大戦でソ連の領土となったということを前提に条約を結ぶわけで、そうなると北方領土交渉はできなくなることになる。
現実的には領土問題に拘らないという選択肢も可能だと思うが、それではコアな支持層が納得しないのではなかろうか。
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