兵器としての核エネルギー/技術論と文明論(105)
今年は西日本豪雨の災害もあって、二重の鎮魂が込められていたように思う。
平和記念公園(広島市中区)で平和記念式典があり、広島市の松井一実市長は平和宣言で「自国第一主義」の台頭、核兵器の近代化などに懸念を表明し、採択1年を迎えた核兵器禁止条約の発効に向け、日本政府が役割を果たすよう求めた。

しかし安倍首相は、平和記念式典の後広島市内のホテルであった被爆者7団体の代表らが参加する「要望を聞く会」に出席し、被爆者側からは、被爆国として核兵器禁止条約への署名・批准を求められたが、「条約とは考え方、アプローチを異にしている。参加しない考えに変わりない」と不参加を明言した。
昨年のノーベル平和賞は、「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)に授与された。
核兵器の非合法化と廃絶を目指す国際NGOであり、核兵器禁止条約成立に貢献した功績である。
ノーベル平和賞については疑問の点も多いが、この決定についてはノルウェーのノーベル委員会の意思を評価したい。
⇒2017年10月 7日 (土) 核兵器廃絶国際キャンペーンにノーベル平和賞/世界史の動向(56)
今日の東京新聞に、14歳の時に原爆投下を現認した被爆者の手記のことが紹介されている。
まだまだ発掘を待っている資料があるに違いない。
東京新聞8月6日
松井広島市長は平和宣言の冒頭で、参列した85カ国の駐日大使らと欧州連合(EU)代表部らに、「73年前、今日と同じ月曜日の朝。あなたや大切な家族がそこにいたらと想像してください」と呼びかけた。
米国からは初めてハガティ駐日大使が出席したが、安倍首相やトランプ大統領こそ、被爆の現実を見るべきであろう。
核エネルギーは桁違いに大きいが、兵器に利用することが「非人道的」であることは間違いない。
安倍首相はあいさつで、「唯一の戦争被爆国として『核兵器のない世界』への努力は我が国の使命」と言うが、「核兵器国と非核兵器国の双方の協力が必要」と強調して、廃絶のリーダーシップをとることに消極的だった。
核兵器廃絶の方が、憲法改正などよりずっと価値のある目標だと思うが・・・。
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