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2018年8月

2018年8月31日 (金)

研究や教育の評価は市場原理とは別/メルトダウン日本(21)

元財務(大蔵)官僚の高橋洋一氏は「三流官庁」と見下したような言い方をする。
2017年10月16日 (月) 親安倍のイデオローグ(3)高橋洋一/アベノポリシーの危うさ(307)

元来文科省に入省する人には理想主義的な人が多いのではなかろうか。
教育とか研究という分野には長期的な視点が必要で、短期的な市場主義とは基本的に対立するはずである。
しかし、この数年、文科行政には首を傾げざるを得ないことが多い。
1つは「文系不要論」である。
2015年12月29日 (火) 「知のあり方」が問われた年/知的生産の方法(139)

産業界の役に立つか否かという視点の安倍政権ならではの文科行政と言えよう。
しかしノーベル賞受賞者の多くが基礎の重要性を指摘している。
2017年9月25日 (月) 日本の研究力を回復するために・基礎と自由/日本の針路(330)
そして基礎科学は文化なのだ。
2016年12月 9日 (金) 「基礎科学は文化」by大隅良典/知的生産の方法(165)

しかしながら安倍政権は基礎とか文化には疎い。
大学の経営に必要な資金を削り、「競争的資金」を増やすことによって、研究開発分野をで市場主義に晒してしまった。
国立大学における競争的資金の割合および私立大学における補助金の割合の推移は以下のようである。
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東京新聞7月27日

文科省が競争的資金という「ニンジン」をぶら下げ、大学支配の力の源泉にしようとする構図である。
東京医科大が執着した「私立大学研究ブランディング事業」はその1つであろう。
選考に恣意的要素を払拭することは不可能だから「魚心あれば水心」という関係が生ずる。
しかも申請には相当程度の書類が必要である。
「霞が関文学」の書き手が得意とする領域である。
書き方の指南をしたり、天下る地盤になるだろうことは容易に推測される。
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東京新聞7月27日

「人づくり」の根幹に市場主義を持ち込むな!
2017年9月23日 (土) 日本の研究力(知的生産力)の低下を憂う/日本の針路(329) 
「革命」よりも地道な努力が必要なのである。

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2018年8月30日 (木)

「モリカケ」疑惑を放置して総裁選か?/メルトダウン日本(20)

自民党の総裁選が始まったが、自民党は本当に「モリカケ」疑惑を放置して、安倍氏を総裁に選ぶのだろうか?
首相に対抗して立った石破氏に対して、陰湿とも思えるてが打たれている。

 自民党総裁選は、恫喝あり、ネガキャンあり、さらには直前のルール変更ありの“仁義なき戦い”の様相を呈している。
 安倍晋三首相は夏休み中、静養先の山中湖畔の別荘に大臣や党幹部を次々に招いて勢力を誇示してみせた。ゴルフも3回、とくに小泉純一郎氏、森喜朗氏、麻生太郎氏という3人の首相経験者とラウンドした“総理コンペ”では、政権に批判的とされる小泉氏を含めて「元総理たちはオレを支持している」とアピールした。
 いまや勝利は明らかなように見える安倍首相だが、その目は笑っていない。
「石破(茂)本人と石破についた議員は徹底して干し上げる」
 自民党内には安倍首相自身が語ったとされる言葉が大きな波紋を広げている。安倍側近が語る。
「総理は石破氏が総裁選で森友・加計学園問題を蒸し返そうとしていることに腸が煮えくり返っている。石破氏に味方した者も許さないつもりだ」
石破氏のモリカケ蒸し返しに安倍氏激怒、竹下派飛び上がる

何ということだろう。
世間の人は森友疑惑が問題になった時、安倍首相が「私や妻が関係していれば、総理だけでなく議員も辞職する」と大見得を切った。
それが公文書改ざんという前代未聞の事件に繋がったのは皆知っている。
しかも丁寧に説明すると言っていながら、未だ肝心なことは一切語ろうとしていない。

しかし、安倍首相の激怒を聞いて、石破支持を表明した竹下派参議院議員の中に動揺が走った。
8月21日に開かれた安倍支持派閥の合同選対会議には、竹下派の事務総長が参加した。
同派最高幹部の吉田博美・参院幹事長は「(石破氏の安倍首相への)個人攻撃は非常に嫌悪感がある」と露骨に非難してみせた。

個人攻撃とは、「正直、公正」をキャッチフレーズにすることだという。
これでは安倍首相が「正直、公正」ではないと認めたようなもので、安倍首相が怒るかと思ったらそうではないところが不思議なところだ。
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石破氏も、「正直、公正」のキャッチフレーズを封印するとか。
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嗤うしかないだろう。
2018年8月26日 (日) 自民党総裁選を嗤う/メルトダウン日本(18)

前回党員票で後塵を拝した安倍首相は、今回は党員票で圧倒して見せようと、自民党執行部(総裁選挙管理委員会)は土壇場になって党員投票のルールを“安倍有利”に変更した。
党則では、総裁選の投票資格があるのは党費を連続2年納めた党員約90万人だが、今回は「18歳以上、20歳未満の党員にも選挙権を与えるため」という口実で特例として入党1年目(党費納付1回)の党員約16万人全員に投票権を与えることを決めた。
しかし、安倍首相がなりふり構わず党内の締め付けを強めていることは、党員や議員の批判票に怯えていることの表れでもあるだろう。

私には選挙権がないが、現在の国会の状況からすれば、自民党総裁すなわち総理大臣ということになる。
その結果、たとえ自民党が短期的には栄えるにしても(決してそうは思わないが)、国滅ぶであろう。

思えば第2次安倍政権が成立したのは2012年12月であった。
国民の大きな期待を受けて政権交代した民主党政権に対する失望感から、再び自民党が政権に復帰した。

安倍首相は「アベノミクス」を掲げ、大胆な金融緩和政策などによって株高を実現し、有効求人倍率などの指標を好転させた。
その一方で、安全保障関連法の整備は憲法解釈変更も含めて強硬に進め、今年の通常国会でも働き方改革関連法などを強引な採決で成立させ、災害対策よりもカジノ法の審議を優先させた。

とりわけ「モリカケ」と略称される森友、加計学園を巡る問題は、何ら事実解明が進まない中で、「まだモリカケか」という一種の厭戦感が広がったのは事実であろう。
しかし「お友達優遇」批判は、権力の私物化として批判されるのは当然であるが、特に行政が公文書を改ざんするに至るなど、国のガバナンスの根底が揺らいだ。

2018年3月13日 (火) 日本の「闇」の核心/日本の針路(394)
2018年4月11日 (水) 「加計疑惑」について「首相案件」という面談記録/公文書管理(8)

識者は安倍政権の5年8か月をどう評価しているか?
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安倍政権5年8カ月 首相の手腕、何点? 識者に聞く

識者と言ってもいろいろいるなあ、というのが正直な感想だが、「ガバナンス能力を書いた宰相」というのはブラックジョークだろう。
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東京新聞8月28日

総裁選は、地に堕ちた自民党が自浄力を示す格好のチャンスになるはずだが、今の様子では逆のようである。
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少なくとも、「モリカケ」を放置して総裁選というのは、自民党の自滅行為と言うべきだろう。

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2018年8月29日 (水)

自動運転とトロッコ問題/技術論と文明論(109)

東京都がクルマの自動運転の社会実験のための予算を確保し、支援に乗り出した。1808272

たまたま新幹線の電光ニュースでも見た。
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しかし、実用化されるまでには多くの問題を解決しなければならないだろう。
2018年7月19日 (木) 東京都の自動運転実証実験/技術論と文明論(100)

AIの技術は確実に進歩していくだろう。
クルマの運転には、瞬時の的確な判断が必要である。
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「I/O」2017年10月号

状況とアクションの関係はいわゆる「空雨傘」というフレームワークで考えられる。
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分析をまとめ、説得力のあるプレゼンテーションを行う

センサー等の進歩により、外部環境分析は迅速・的確に行えるようになるだろう。
つまり、「雨が降りそうだ」までの精度を高めることは技術的に解決できる。
しかし、倫理的な判断をどうするかは別である。
例えば、「トロッコ問題」と呼ばれる問題をどう判断すれば良いか?
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「I/O」2017年10月号

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2018年8月28日 (火)

ちびまる子ちゃんの昭和の日常・さくらももこ/追悼(130)

国民的な人気アニメ「ちびまる子ちゃん」を生んだ漫画家のさくらももこさんが乳がんで亡くなった。
53歳という若さであり、余りにも早い死である。

「ちびまる子ちゃん」は、1970年代の静岡県清水市(現静岡市清水区)に暮らす山口百恵好きのおっちょこちょいな小学3年生・まる子が主人公だ。
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東京新聞8月28日

いつも味方になってくれる祖父の友蔵(ともぞう)や酒好きの父ヒロシ、叱り役のお母さん、ドライな性格のお姉ちゃんらの3世代6人家族に、親友のたまちゃん、お金持ちでキザな花輪クン、学級委員になることに全てをかける丸尾君ら個性的なクラスメートが加わって繰り広げる昭和のほのぼのとした日常を描く。連載は86年に始まり、90年のアニメ化で爆発的な人気に。同年10月に最高視聴率39・9%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録するなど、平成のお茶の間で絶大な支持を集めた。
昭和の日常描く「ちびまる子ちゃん」 平成を駆け抜けた

評論家の中森明夫さんは「平成の初期はバブル崩壊や阪神大震災、オウム事件と暗い話題が多かったが、人々は昭和のように上昇しなくても、身の回りの楽しみ、小さな喜びを見つけていったのではないか。ちびまる子ちゃんはそんな時代を象徴する番組だった。SMAP解散、安室奈美恵引退と続き、平成の終わりを感じる」と語っている(同上)。た。

また、作家の吉本ばななさんは 「青春を共に過ごしたももちゃん、闘病は知っていましたが、いつも元気にメールをくれるから回復を信じていました。言いがたいほど淋(さび)しく、残念です。」とがんと闘いながらも、さくらさんが明るく元気なメールを届けてくれていたことを告白。「友だちとして、たくさんの楽しい思い出をありがとう。私たちの時代に、まるちゃんやコジコジをもたらしてくれて、ほんとうにありがとう。」と青春時代から変わらぬ友情に感謝した。
さくらさんの闘病知っていた数少ない親友、吉本ばななさん悲痛、友情に感謝

さくらさんは、今年亡くなった西城秀樹さんのファンで、亡くなった時に自身が闘病中でもあったが。次のようなメッセージを発していた。
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平成が終わりに近づき、昭和はますます遠ざかって行く。

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2018年8月27日 (月)

「#ケチって火炎瓶」と安倍首相/メルトダウン日本(19)

「#ケチって火炎瓶」というハッシュタグがある。
例えば次のように使われる。
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このようなツイートをツイッター社が猛烈な勢いで消しているという。
「#ケチって火炎瓶」とはどういうことか?

安倍首相の地元の選挙事務所が、陣営の候補者を勝たせるために、暴力団組長らと通じていた前科8犯のブローカーに、対立候補の選挙妨害を実行させた。
これが功を奏して選挙に勝ったのだが、500万の謝礼のうち200万をケチって300万しか渡さなかった。
そこで怒ったヤクザが安倍首相の自宅に火炎瓶を投げたという事件があった。

これが「#ケチって火炎瓶」ハッシュタグの背景である。
この事件については、以下の書籍が発行されている。
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寺澤有『安倍晋三秘書が放火未遂犯とかわした疑惑の「確認書」 Kindle版』インシデンツ(2018年6月)

2000年、安倍晋三衆議院議員の自宅や後援会事務所へ火炎びんが投げ込まれるという連続放火未遂事件が発生した。動機などナゾが多い事件だったが、2003年、容疑者の元建設会社会長と暴力団組長らが逮捕された。そこで明らかになったのが、安倍議員と元建設会社会長とのトラブル。1999年の下関市長選挙で、元建設会社会長は安倍派の候補者を支援するが、当選後、十分な見返りを得られなかったという。安倍議員側が元建設会社会長に表沙汰にできないような支援を依頼し、その見返りに関する「念書」もあるとの疑惑が浮上。しかし、2006年、第1次安倍内閣が成立し、事件の真相は闇へ葬られた。2018年、元建設会社会長は懲役13年の刑を終えて出所すると、ジャーナリストの山岡俊介と寺澤有に連絡。「念書」を示しながら、事件の真相を語った。

なぜかマスコミでは報じられることはない。
安倍政権には警察関係が深く関与していることは周知の事実である。
有名なのは平沢勝栄代議士で、内閣官房長官秘書官等を歴任した警察官僚である。
彼は安倍首相の家庭教師をやっていた。

「#ケチって火炎瓶」はアベ政治の本質に触れている。
だからツイッター社も削除に必死だという。
不可解なことに、事件を追っていたジャーナリストの山岡俊介氏は、不測の事態で大怪我を負ったという。

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日本の闇が深い。

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2018年8月26日 (日)

自民党総裁選を嗤う/メルトダウン日本(18)

安倍首相が訪問先の鹿児島県内で自民党総裁選(9月7日告示、20日投開票)への立候補を表明した。
すでに首相自身が実質的な選挙活動を公然化しており、今さら表明ということもないだろう。
それをNHKの御用解説委員として知られる岩田明子氏が、滔々と「総理の意図は・・・・・・」などと解説されると、受信料支払いを拒否したくなる。

ところが、既に立候補表明している石破茂元幹事長は、候補を表明した際に掲げた「正直、公正」のキャッチフレーズを変更する可能性に言及したらしい。

 東京都内で記者団に「別に人を批判するつもりはまったくない。そういうふうにとらえる方がいるなら、変えることだってあるだろう」と語った。
 「正直、公正」は、学校法人「森友学園」「加計学園」の問題を念頭に石破氏が安倍晋三首相(63)の政治姿勢を批判したと受け止められている。しかし、自民党内では石破氏を支持する参院竹下派からも「個人的な攻撃には違和感がある」(吉田博美参院幹事長)という不満が出ていた。
 石破氏の25日の発言はこうした党内の雰囲気に配慮したとみられるが、実際に封印すれば、党員の首相批判票の受け皿になるという同氏の戦略が揺らぐ可能性がある。
「正直、公正」石破氏が変更も

「正直、公正」を個人的な攻撃と受け止めざるを得ないところに自民党の病根(膿)がある。
それほどまでに、安倍政権は「正直、公正」から逸脱していたのである。
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石破氏がどう判断するかについて、コメントする立場ではないが、「正直、公正」の旗を降ろすならば、石破立候補の意味を少なからず減ずることになる。
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かくして総裁選の安倍圧勝が決まっていくのであろうか。Photo_7

もはや嗤うしかないのかも。

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2018年8月25日 (土)

なぜ、今、サマータイムか?/戦後史断章(32)

サマータイムが話題になっている。
五輪組織委員会が猛暑対策として安倍首相に要請し、首相が検討を自民党に指示した。1808112
東京新聞8月11日

日本では、第二次世界大戦敗北後の連合国軍占領期にGHQ指導下で、1948年(昭和23年)4月28日に公布された夏時刻法に基づき、同年5月2日の午前0時から9月11日にかけて初めて実施された。
以後、1951年(昭和26年)9月7日に打ち切られるまで実施された。
私は微かな記憶があるが、まだ幼かったのでどういう影響があったか記憶にない。

一方、1970年代から夏時間が定着している欧州では、健康面への悪影響から廃止を求める声が広がっているという。
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サマータイム、EUで廃止論 是非判断へ世論調査

知り合いの会社で、入力した顧客の誕生日が1日前に変わる不具合が見つかったという話題があった。
原因はサマータイムで、、「誕生日時は当日の0時」と設定してあるものが1時間繰り上がって「前日の23時が誕生日時」として認識されたとのことだという。

これを聞いてY2Kのことを思い出した。
1999年12月31日から2000年1月1日に変わる時、コンピュータの記憶装置が当時は西暦の下2桁を使用していたことへの対処である。
991231から000101と変わることで時間の経過が認識されないということで大きな社会問題になった。
当時に比べ、ICT化は生活の隅々にまで浸透している。
「システム会社の特需」などと言ったレベルを超えて大きな混乱が起きるであろう。

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2018年8月24日 (金)

安倍首相が目指す教育改革/メルトダウン日本(17)

安倍首相が目指す憲法改正の柱が九条であることは確かだろうが、教育に関しても意欲的なようだ。
自民党の改憲案にも「教育環境の整備に努めなければならない」と国の義務を明示化した。
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東京新聞8月22日

改憲勢力の拡大のため、高等教育の無償化を主張している日本維新の会との連携を模索しているというが、自民党の中でも足並みが揃っているわけではない。
首相が総裁選の討論に消極的なため、教育の充実という総論には異議がないにしても、具体論に関しての意見の差異が見えてこない。

安倍首相の教育観は、産業界の要請する人材を供給することに尽きると言えよう。20180801_135641
「サンデー毎日」8月12日号

しかし、産業界という視点に立っても、即戦力=長期戦力とは言えないことは当然である。
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安倍首相は、家系的には東大出身者が多いが、自身は一度も受験によって進学したことがない。
そのためかどうかは別として強固な学歴コンプレックスが指摘されている。
野上忠興『安倍晋三 沈黙の仮面: その血脈と生い立ちの秘密』がその辺りの事情を描いている。

自ら公言するように、祖父・岸信介を深く尊敬し、保守思想に深く傾倒する。その特異な思想や政治手法には彼の生い立ちが深く関わっている。父母と離れて生育し、祖父と教育係の女性に依存し、勉学を嫌って奔放に育った。父との確執を抱えて政界入りし、総理大臣に上り詰めるまでの軌跡を圧倒的な取材と、本人、家族、友人らの証言で余すところなく描く。

要は、本気で勉強をしたことがなく、結果として基礎的な学力を身につけていないのだ。
だから大学教育というもののイメージもビジョンも持ち合わせていないのだろう。
であるから、モリカケ疑惑のようなことが起きるのは必然である。
基本的に教育を語るべき人ではないと言えよう。

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2018年8月23日 (木)

スルガ銀行の蹉跌と「アベノミクス」/メルトダウン日本(16)

地方銀行が窮地に立たされている。
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「サンデー毎日」8月12日号

2017年10月に、金融庁が公表した「金融レポート」によれば、「2017 年3月期決算では、顧客向けサービス業務(貸出・手数料ビジネス)から得られる利益は、過半数の地域銀行でマイナスとなっており、今後も低金利環境の継続を前提とすると、当該利益がマイナスになる金融機関が年々増加することが予測される」とされている。
その象徴的な姿がスルガ銀行であろう。

2018年1月、不動産会社のスマートデイズが運営する女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」が事実上経営破綻した。
スルガ銀行は、「かぼちゃの馬車」を一括で借り上げ、家賃を保証する「サブリース」について、1人当たり平均1億円と言われる個人投資家向け融資を実施していたのだった。
シェアハウス投資に絡む不正融資を巡り、スルガ銀行の第三者委員会が実施した調査の概要が21日、分かった。

 同行の融資総額は3兆1500億円で、このうち投資用不動産融資は約2兆円。不動産関連融資は1兆円程度とみられていたが、「住宅ローン」として公表していたものにも含まれており、2倍に膨らんだ。融資総額の3割超、不動産融資の半分程度が不適切に実行されていた。
 不適切な手法の一つが二重の売買契約書だ。行内ルールでは融資上限を物件価格の90%としている。販売業者が借り入れ希望者と結ぶ契約書には実際の物件価格を表記するが、販売業者がスルガ銀に出す契約書の物件価格は実際より高くする。それを行員が見逃すことで全額を融資していた。
 中古のアパートやマンションへの融資でも、入居率や家賃収入などを記載した書類が偽装されている事例が見つかった。空室率が高く、半ば不良化している物件でも、稼働率の高い優良な物件に見せる手口として使われていた。
 第三者委関係者によれば、借り入れ希望者の年収や預貯金残高を水増ししていた例も含め、手続きに何らかの不適切な行為が入り込んでいるのは投資用不動産融資の過半に達しているという。
 経営を監督する立場にある取締役らについては、民法上の規定で株主などから委託を受けて注意深く業務を遂行する「善管注意義務」に違反したと認定する方向だ。「毎月1億円の有担保ローンの実行」といった苛烈なノルマが行員を駆り立て、営業担当の元専務は不適切な融資を黙認。取締役らも見逃していたという。
 同行に立ち入り検査中の金融庁は、第三者委の調査結果も踏まえてスルガ銀の経営責任を厳しく追及する構え。スルガ銀は現在、新規の不動産融資の実行を事実上、止めている。不適切な営業や審査に関与した行員は全従業員の2割にあたる300人以上にのぼるとみられる。
スルガ銀、不適切融資1兆円 書類改ざんなど

銀行と言えばかつては堅実な業界であった。
「苛烈なノルマが行員を駆り立て」では、一時期のサラ金のようなものではないか。

バブル期には多くの地銀が堅実ではない融資に手を出して自滅していった。
私はあるプロジェクトの関係で、新潟中央銀行と縁があり、頭取の大森龍太郎氏とも面識があった

新潟中央銀行の頭取だった大森龍太郎は「銀行家は金の貸し借りの前に産業を起こすべき」という理念のもと、3つのテーマパークを開園・融資する3大融資プロジェクト、ゴールデンリング構想を実行した。
しかし・・バブルの崩壊とその煽りを受け、また行き過ぎた融資もあり新潟中央銀行は破綻。3つのテーマパークは資金繰りに苦しみ軒並み破綻してしまう。
大森龍太郎氏は自社銀行を破綻させたとして特別背任で刑事告発され、収監中に病死した。
バブルの残影、日本三大廃墟テーマパークについて

確かにワンマンで緻密さに欠けてはいただろうが、バンカーのイメージからは遠い起業家精神に富んだ人だった。
スルガ銀行はどうか?

創業家の岡野一族が強大な力を持っていたことは間違いない。
しかしゼロ金利時代という環境が、銀行という業態を不要なものにしたというべきであろう。
全国の地銀がどう生き残るのか?
書類を改ざんした民間企業は破綻の淵に立たされる。
監督官庁の財務省に比べ、余りに異なるような気がするが、「頭から腐る」ということか。
地獄のような時代がやってくるような気がする。

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2018年8月22日 (水)

「安倍政治」がリテラシーを危うくする/メルトダウン日本(15)

次のようなツイッターの投稿があった。
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新聞等には載っていないようだったのでネットで検索してみると、以下のような事情が分かった。

少4の時に「将来の夢」っていう作文に
「僕には夢もなければ将来もありません」って書いて、お母さんがすごく心配してたんですよ。
で、去年の12月、小学校6年生になって、
「将来の夢」っていう作文を息子が初めて書いたって、
「嬉しい」って言って、息子に黙って見せてくれたんですよ。黙ってだから、悪いんだけどね、でもそれが素晴らしい作文で、
「自分は将来大きくなったら、夢ができた」と。
「一生懸命勉強して国会議員になりたい」と。
集団的自衛権のことや武器三原則の輸出ができるようになったことなども書かれていて、
「自分は大きくなったら平和な国を作りたい」と
今自分が色々勉強をしていても、安倍さんたちが自分の周りだけで話し合っていろんなことを決めていってるように思う。自分は大きくなったら勉強して国会議員になって、世界に自慢できる平和な国を作りたいっていう、素晴らしい作文を書いたんですよ。
で、彼は、お母さんに聞いたら、なぜ自分が福島から東京に避難しないといけなかったか、なぜ原発事故が起こったか、なぜクラスのみんなは避難していないか、というところから始まって、すごくいろいろ考えて、図書館に通って、インターネットで調べて、でも、「いつの間にか息子は原発事故じゃなくて、平和のことを考えていた」と、お母さんはすごく驚いていたんですよね。
これは素晴らしい作文だと思ったので、私はお母さんに相談して、DAYS JAPANという雑誌にこれを載せさせてくれと交渉して、載せたんですよ。
・・・・・・
そしたらそれがDAYS JAPANに載ったあと、お母さんから連絡が来て、
「実はあの作文が卒業文集に載らなかった」と。
ーー:えーっ!
マコ:なぜかというと、「政治的批判を含んでいるので、載せられない、書き直せ」って言われたんですね。
本当にそれはお母さんもがっかりして、息子ちゃんもすごいがっかりして、で、いろいろ彼らも悩んだんですけど、最終的に担任の先生はすごくいい人で何も言わずにそのまま行こうってなってたんですけど、それが原稿として卒業文集の中に織り込まれて、
「これでこのクラスはいく」ってなった段階で上の先生からクレームがついたっていうことで、息子さんは担任の先生を苦しめたくないって言って、
「いいです書き直します」って言って、
結局彼の卒業文集は「小学校の思い出」っていう、移動教室とか林間学校の話になったんですよ。
で、DAYS JAPANだけがね、その平和な国を作りたいっていう彼の文章を載せられたんですけど、これは東京の普通の公立の小学校です。
「平和な国を作りたい」っていう作文が、「政治的批判を含んでいるからダメだ」っていうふうになる国になったんだな、って思って。
でもその話をすごく聞くんだよね。
今年1月に岐阜に行ってきたんですけど、岐阜の方々に聞いた話は、まぁね、被爆に関する映画みたいなもの「A2BC」みたいな映画の上映は公民館で断られるという話は時々聞くんですよ。今年の1月に聞いた話は「平和展」を公民館でしようと思ったら、「断られた」って言うんですよ。
ーー:えーーっ!
マコ:なぜかというと「平和」っていう言葉は「左翼用語だから」
作文”平和な国を作りたい”「政治的批判含むので書き直せ」と指示(東京都公立小学校)&”平和展”「平和は左翼的用語」と開催断る(岐阜県公民館)

ついにそういう事態なのか、といささかの感慨を覚える。
平和や9条という言葉は、この国では「敵性語」になっているのだ。
2014年に、さいたま市の公民館で、「9条デモ」を詠んだ俳句が会報に掲載されないという事件が起きた。
2014年7月31日 (木) 「九条俳句」とさいたま市教育長批判/日本の針路(16)
2014年7月5日 (土) さいたま公民館の俳句掲載拒否と新興俳句事件/日本の針路(4)

そして、「そもそも」という言葉の語義を閣議決定するなどというオーウェルの『1984年』ばりのことをやった。
2017年5月13日 (土) アホな内閣(12)「そもそも」を閣議決定/アベノポリシーの危うさ(206)

かくして、安倍政権の下で、国民のリテラシーは破壊が進んでいる。
しかし何という愚かなことだろうか。
人間は考える動物であり、いかに規制しようと、思考が進むのを止めることは不可能なのに。

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2018年8月21日 (火)

自民党総裁選と立憲主義(3)/メルトダウン日本(14)

総裁選の日程が、9月7日告示、20日投開票で決定した。
安倍首相が国会議員だけでなく、地方議員とも会食を重ね、圧勝の気配である。
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東京新聞8月2日

そして国会の現在の状況では、三選された首相が、思惑通り憲法改正を発議する可能性が高い。
現在の議席数からして、衆参で可決されるであろうから、国民投票に付されることのなる。
首相は来年にも国民投票を実施したい意向だという。
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東京新聞8月17日

対抗する石破茂は、争点について公開の討論を求めているが、首相は応じない姿勢だ。
争点があるなら、論争すれば良いと普通は思うはずだが、石破氏に論破されるのが怖いのでは、と言われている。
まさかとは思うが、セミは大きな声で鳴いているが、「せみ時雨を聞きながら考える」とした立候補を表明していないのも、討論をしないための時間稼ぎだという。
なんと笑止のことであろうか!

総裁選の有権者の皆さんは、安倍支持が後世からどう見られるか、考えてみるが良い。
あるいは、枝野幸男『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』 扶桑社(2018年8月)を一読されんことを。

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2018年8月20日 (月)

モリカケ疑惑の源流としてのノモンハン事件/メルトダウン日本(13)

8月15日に放映されたNHKスペシャル『ノモンハン 責任なき戦い』は久しぶりにNHKの良識を感じる見応えのある内容だった。
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多くの人が感じたようだが、安倍政治批判そのものだったと言えよう。
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NHKの中の良心的部分のささやかかも知れないが、無責任性という宿痾を抉った。
それはアベ政治そのものでもある。
例えば、事件に大きな責任を持つ辻政信少佐や服部卓四郎作戦主任参謀は、作戦が失敗しても責任を問われなかった。
船戸与一の畢生の力作『満州国演義六大地の牙』新潮文庫(2016年2月)に以下のような記述がある。
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もちろんフィクションではあるが、辻、片倉、石原、服部、板垣等は実在の軍人である。
いや書きあり得たであろう当時の雰囲気の一面である。
「モリカケ疑惑」とそっくりな構造である。
日本では戦争責任の追及が不徹底のままである。

武井昭夫と吉本隆明が『文学者の戦争責任』淡路書房(1956年)において、新しい視点を提示してからでも62年が過ぎた。
しかしながら、今なお徹底されているとは言い難い。
それを解く鍵の1つが岸信介の存在ではなかろうか?

戦争責任は以下の各過程に分けて考えられる。
1.戦争前史
2.開戦
3.戦争遂行
4.終戦
5.戦後

岸信介は、開戦時の商工大臣であった。
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なぜ岸信介は「A級戦犯」として起訴されなかったのか

戦争前史の岸はどうだったか。
Wikipediaの記述を引用する。

1936年(昭和11年)10月に満州国国務院実業部総務司長に就任して渡満。1937年(昭和12年)7月には産業部次長、1939年(昭和14年)3月には総務庁次長に就任。この間に計画経済・統制経済を大胆に取り入れた満州「産業開発5ヶ年計画」を実施。大蔵省出身で、満州国財政部次長や国務院総務長官を歴任し経済財政政策を統轄した星野直樹らとともに、満州経営に辣腕を振るう。同時に、関東軍参謀長であった東條英機や、日産コンツェルンの総帥鮎川義介、里見機関の里見甫の他、椎名悦三郎、大平正芳、伊東正義、十河信二らの知己を得て、軍・財・官界に跨る広範な人脈を築き、満州国の5人の大物「弐キ参スケ」の1人に数えられた。また、山口県出身の同郷人、鮎川義介・松岡洋右と共に「満州三角同盟」とも呼ばれた。
この頃から、岸はどこからともなく政治資金を調達するようになった。その後、満州から去る際に「政治資金は濾過機を通ったきれいなものを受け取らなければいけない。問題が起こったときは、その濾過機が事件となるのであって、受け取った政治家はきれいな水を飲んでいるのだから関わり合いにならない。政治資金で汚職問題を起こすのは濾過が不十分だからです」という言葉を残している。

上記からも分かるように十分にA級戦犯の資格がある人物である。
ところが何故か訴追を免れ、釈放される。
その後東西冷戦という状況の中で公職追放も解かれ、政界に復帰して1957年2月には、病に倒れた石橋湛山の後を継いで内閣総理大臣になった。
日米安保条約の改定に政治生命を賭けたことは良く知られている。

岸がなぜA級戦犯を免れたかについては、戦後史の1つの謎であるが、収監中にCIAのエージェントになるという密約ができたというのが有力説である。
2014年3月24日 (月) 安倍晋三と岸信介/「同じ」と「違う」(68) 
2009年4月30日 (木) M資金とCIA 
2009年2月10日 (火) 岸信介と児玉誉士夫
2018年8月 7日 (火) 核兵器禁止条約に参加を拒む安倍首相/技術論と文明論(106)

岸信介=CIAエージェント説は確立されているわけではないが、整合的な解釈のための有効な仮説のように思える。

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2018年8月19日 (日)

自民党総裁選と立憲主義・続/メルトダウン日本(12)

安倍首相は自民党総裁選の争点として憲法改正を挙げている。
改憲の内容は昨年5月3日の集会に寄せたビデオメッセージで明らかである。

自衛隊の存在を憲法にしっかりと位置付け、自衛隊が違憲かもしれないとの議論が生まれる余地をなくすべきだ。

つまり、戦争放棄を定めた九条一項、戦力不保持や交戦権否認を定めた二項を維持した上で、自衛隊の存在を憲法に明記する案である。

 党執行部が今年三月にまとめた改憲四項目の条文案で、九条改憲は、首相の考えがストレートに反映された。一項、二項を維持した上で「九条の二」を新設し、「必要な自衛の措置」のため「実力組織として自衛隊を保持する」と明記する内容。首相は総裁選で連続三選されれば、この条文案を軸に他の改憲勢力との間で調整を進めたい考えだ。
 自民党が野党時代の二〇一二年にまとめた改憲草案は、九条二項を削除して「国防軍」を保持すると明記していた。首相は、この案では公明党の理解が得られず、改憲発議に必要な議席に達しないと考え、二項維持を打ち出した。「自衛隊に関する憲法解釈は一切変わらない」とも強調する。
 だが、自衛隊が憲法に位置付けられれば、運用への歯止めがますます弱まり、装備や活動範囲の拡大につながりかねないとの懸念がある。「二項は死文化する」との指摘も。
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<自民党総裁選 改憲の行方>9条 自衛隊明記 戦力不保持、死文化の恐れ

対抗馬の石破氏は以下のように述べている。

 改憲について(1)緊要性の高いもの(2)多くの国民、政党の理解が得られるもの、を挙げた。(1)として参院選の合区の解消と緊急事態条項の新設、(2)として「国は国政上の行為につき国民に説明する責務を負う」という政府の説明責任条項の新設を唱えた。森友・加計問題を「念頭においたものではない」としたが、こちらも対決色の強い改憲項目となる。
9条改正行うべきでない、石破氏が首相と対決色鮮明

私は石破氏の思想に与するものではないが、安倍か石破かの二者択一ならば、現時点では石破を選ぶ。
2018年8月17日 (金) 自民党総裁選の選択肢/メルトダウン日本(10)
2018年8月18日 (土) 自民党総裁選と立憲主義/メルトダウン日本(11) 

弁護士の猪野亨氏も次のように述べている。

 自民党総裁選挙は、安倍氏と石破氏の争いとなりましたが、当初から安倍氏が優勢と言われているように、政策ではなく、締め付けによって議員票を確保しています。
 そのような中で、対立候補の石破茂氏が公開討論を呼び掛けています。しかし、安倍氏側が無視を決め込むつもりです。それとも堂々と拒否しますか。
「総裁選 石破氏が安倍首相に公開討論求める」(日テレNEWS24 2018年8月16日)
「石破氏は、こう述べた上で「候補者同士の討論は、絶対にお願いしたい」と訴えた。しかし、安倍首相周辺は「優勢の中、直接討論をやっても得がない」として、「テレビ討論の回数を減らしたい」と話している。」
 少数であろうと劣勢であろうと、討論によって有権者(議員、党員)に投票行動のための情報を与えるということは選挙の過程においては極めて重要なものです。
 少数(劣勢)であったものが、多くの支持を得て逆転するための機会なのです。どちらの政策の方が理に適っているのかということは討論の過程こそ重要なのです。
 言いっ放しで終わっても意味がありません。
 確かに石破氏と安倍氏の憲法観は似たり寄ったりで、そこに大きな差は出てこないかもしれませんが、森友や加計学園問題、アベノミクス(と言われなくなった)経済政策などは大きな争点です。国民の声にもどう答えるのかというのも大きな争点の1つです。
 その憲法ですら討論を拒否しようというのです。自分で争点だと言っておきながらですよ。
総裁選挙、討論を拒否、安倍氏は国会でも同じことをしていた。討論拒否は少数意見を尊重しないということ トップとして相応しいかよく考えよう

時事川柳欄に以下があった。

石破派がハト派に見えるアベ政治

座布団1枚!

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2018年8月18日 (土)

自民党総裁選と立憲主義/メルトダウン日本(11)

安倍首相は自民党総裁選の争点は憲法改正にあるとし、改憲への強い意欲を示している。
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東京新聞8月12日

安倍首相は、都合によって総理大臣と自民党総裁を使い分けているが、日本は議院内閣制であるから欺瞞であるとせざるを得ない。
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憲法遵守義務違反である。
2017年5月 6日 (土) アホな内閣(9)憲法遵守義務違反の首相/アベノポリシーの危うさ(200)

立憲主義は世界の常識である。
枝野幸男『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』 扶桑社(2018年8月)に次のような箇所がある。
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だから現職の首相が改憲に意欲を示すこと自体がナンセンスであり、自身の憲法認識の浅さを露呈しているということになる。
安倍首相は、例えば、南野森九州大学法学部准教授とAKB48の内山奈月さんの共著『憲法主義:条文には書かれていない本質』PHP研究所(2014年7月)などを読むべきだろう。
2015年6月27日 (土) 言論の自由を蹂躙する狂気の安倍応援団/日本の針路(186)

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2018年8月17日 (金)

自民党総裁選の選択肢/メルトダウン日本(10)

自民党総裁選が9月に行われる。
安倍晋三首相と石破茂元幹事長の一騎打ちと言われている。
2018年8月11日 (土) 自民党総裁選の意味と無意味/メルトダウン日本(8)

石破氏は立候補に際して、「透明・公平・公正」な政治を強調した。
当たり前のことではあるが、これは安倍政治が「不透明・不公平・非公正」であるというのと同義である。
そして、多くの国民がそう感じているはずである。
安倍首相はなりふり構わず総裁選に必死であるが、それは自分に後ろめたい自覚があるからであろう。
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日刊ゲンダイ8月14日

事実上の首相を決める選挙の選択肢が、安部か石破かというのは日本の将来にとって危機的状況であるが、二者択一とすれば石破を選ぶしかないであろう。
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2018年8月16日 (木)

際立つ今上天皇のリベラル性/戦後史断章(31)

昨日の戦没者追悼式における天皇のお言葉を見てみよう。
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ごく当たり前のようにも思えるが、毎年同じわけではない。
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東京新聞8月16日

明確な戦争に対する反省と今年新たに戦後の平和が強調された。
現在、「昭和天皇に戦争責任はない」という考えが多数説であろう。
それは立憲君主制においては「君主無答責」という考え方があるからである。
日本大百科全書の解説を見てみよう。

君主は、その行為について、だれに対しても政治上・法律上の責任を負わない、という原則。イギリスでは古くから「王は悪をなさず」King can do no wrong.ということばによってこの原則が憲法上の慣習として認められてきた。したがって中世以来、イギリスにおいては、悪政に対する責任は大臣が負うものとされ、大臣に対する弾劾制度が発達した。こうして君主無答責の原則は、立憲君主制をとる国に共通なものとなった。戦後の日本では、天皇は国政に関する権能は有せず、天皇の行う国事行為については内閣が責任をとるとされる。国事行為には内閣の助言と承認が必要である(憲法3条)ということがその法的根拠と考えられる。また、天皇は、象徴的地位にあること(憲法1条)、摂政(せっしょう)は在任中訴追されないこと(皇室典範21条)などから、刑事法の適用を受けることはない。しかし民事上の責任は免れないものとされている。

しかし、戦前・戦中の最高意思決定者は天皇だったのであり、昭和天皇の戦争責任は免れないのではないか。
東条英機から開戦の手順を聞いた昭和天皇は、「うむうむ」と応じたという。
東条からその様子を聞いた湯沢三千男内務次官のメモを遺族が保管していた。

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 メモによると、東条は十二月七日夜、首相官邸に呼び出した湯沢に「戦争開始と国民の処置を決定した」と通告。「陛下の命令を受け一糸乱れることのない軍紀の下、行動できるのは感激に堪えない」と発言した。
 昭和天皇については「いったん決めた後は悠々として動揺もない」「(報告には)うむうむとおっしゃられ、いつもと変わらなかった」「対英米交渉に未練があれば、暗い影が生じるだろうが、そんなことはなかった」と述べたとしている。
開戦前夜、東条首相「すでに勝った」 政府高官のメモ見つかる

東条の責任はもちろんであるが、やはり昭和天皇も無答責で済ませるわけにはいかないだろう。
今上天皇はその辺りの経緯も踏まえておられるのであろう。
今上天皇が敗戦を迎えたのは11歳の時であった。1808142
東京新聞8月14日

現行憲法では天皇は「象徴」であるとされているから、名実ともに無答責であるが、この敗戦時の体験がリベラルの立場にたっていることの原体験であると思われる。
A級戦犯容疑者岸信介を敬愛する安倍首相と対極的である。
2016年8月 9日 (火) 天皇陛下のお気持ちと護憲/日本の針路(285)

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東京新聞8月16日

安倍政権に比べ、今上天皇リベラル性は際立っている。

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2018年8月15日 (水)

敗戦の日の「平和の俳句」/私撰アンソロジー(53)

2015年1月1日から3年間、東京新聞(中日新聞)に掲載された「平和の俳句」が、8月15日に復活、掲載された。
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一面に紹介されたのは、金子兜太さんと共に「平和の俳句」を企画し、選者を務めていたいとうせいこうさんの選句した一句である。
2018年2月22日 (木) 戦争体験・前衛から平和の俳句へ・金子兜太/追悼(118)

今回の選者はいとうせいこうさんと金子さんの後を継いで17 年9 月から選にあたった黒田杏子さん、テレビ番組「プレバト」が評判の夏井いつきさんの3人である。
それぞれ10句ずつ計30句が7349通の投稿から選ばれた。
いとうさんの選句は以下のようであった。1808152_2
それぞれ「なる程」という気がする。
俳句の多様性が窺えるが、「平和の詩」の句は、6月23日の「沖縄慰霊の日」に朗読された「平和の詩」のことだろう。
2018年7月23日 (月) 官僚の作文を棒読みするだけの安倍首相/ABEXIT(76)

東京新聞には、アフガニスタンの在日大使の句も掲載されている。
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見事なものである。
さすがに相手国の文化に通暁している。
戦争が典型であるが、争いは相手を理解しないことによって起こると言われる。
これだけの作句ができる外交官は、それだけで信頼できよう。

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2018年8月14日 (火)

アメリカとの対立で、トルコ・リラが急落/世界史の動向(63)

13日の金融市場は、前週末のトルコリラ急落に端を発した混乱が続き、日本を含む世界の株価が下落した。
日経平均株価は、前営業日比440円65銭安の2万1857円43銭で取引を終え、約1カ月ぶりに2万2000円を下回った。
今日は498円65銭高と急反発し、乱高下の感じである。
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リラ急落は、2016 年に発生したクーデター未遂事件に絡んでトルコ当局が拘束していたアメリカ人牧師の身柄をめぐって、トランプ政権が即時釈放を求めるとともに、トルコの2閣僚に対する制裁措置を発動するなど強硬策に出たことが直接のきっかけである。
トルコのエルドアン大統領もアメリカ政府の2閣僚への報復制裁を発表し、さらにトランプ政権がトルコに対する一般特恵関税制度(GSP)に基づく非関税アクセスの見直しを発表するなど制裁の応酬が繰り広げられている。Vs1808142
東京新聞8月14日つ。

しかしトルコとアメリカの亀裂によって世界貿易が影響を受ければ、経済構造面で輸出依存度が相対的に高い新興国経済は打撃を受けるであろう。
新興国通貨は軒並み下落している。
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トルコ危機は国際金融危機に発展するのか

トルコ・リラの対ドル安は、日本の輸出企業にも打撃を与えるであろう。
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東京新聞8月14日

安倍政権のイカサマ経済政策によって株価を維持してきた日本市場は、トランプ政権の自国第一主義の痛撃を受けることになるのであろうか?

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2018年8月13日 (月)

歴史資料(史料)を軽視する風潮/メルトダウン日本(9)

私はかれこれ10回ほど富士山頂に登っている。
最初は中学生になった年だったと思う。
富士山測候所に勤めていた兄の知人が同行してくれた。
非常にゆっくりと一歩一歩踏みしめるような歩き方で、高い山の登り方を教えられたように思う。
ふり返ってみれば、人生もそのように生きるべきだった。
しかし現実にはジェットコースターに乗っているようになってしまった。

富士山測候所の職員がつづった「カンテラ日誌」というものがある。
それが
「文書整理の一環」で廃棄されていたことが分かった。

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 同気象台総務課によると、日誌は昨年11月までは倉庫にあったが、他の行政文書と一緒に溶解処分したという。取材に対し同課担当者は「毎日の出来事や感想を個人的に書き留めたもの。職務ではなく、行政文書に当たらない。庁舎内のスペースは有限で、必要ないものを無尽蔵に保管できない」と説明した。
 日誌は、測候所が山頂(3776メートル)に移転した1936年から無人化された2004年まで書き継がれ、その後の大半は東京都内の同気象台に保管されていた。毎日新聞は今年1月、情報公開法に基づく開示請求で「不存在」の通知を受け、取材で「庁舎内にない。これ以上分からない」と説明された。3月の報道後、廃棄が分かったという。
 日誌は一部が一般書籍や気象庁発行の冊子、研究論文などに引用されている。観測奮闘記のほか、戦時中は南から飛来する米爆撃機B29の編隊や、空襲に遭った街が赤々と燃える様子を描写。「中都市が攻撃を受け、毎晩一つ、二つと焼土となる。これが戦争の現実」などと記していた。
 NPO法人「富士山測候所を活用する会」理事の鴨川仁(まさし)・東京学芸大学准教授は「世界でも珍しい資料。なぜ廃棄したのか理解できない」と落胆。「戦争被害調査会法を実現する市民会議」(東京都)の川村一之事務局長は「戦争に翻弄(ほんろう)されながら気象観測をしたことが分かる唯一無二の記録。もう読めないのは残念だ」と批判する。
富士山測候所 日誌を廃棄 68年間つづった貴重な40冊

気象専門家ならずとも、ナマの歴史資料(史料)の重要性は共通認識であろう。Photo_2

そう言えば、猪瀬氏は東京五輪招致が決まった後、降って湧いたような資金疑惑で都知事の座を追われることになったが、今考えてみれば謀略の臭いが充満している。
私は桑原武夫氏の蔵書を廃棄するのと共通の、知的営為に対するリスペクトの欠如を感じる。
2017年5月 4日 (木) アホな内閣(8)学芸に対するリスペクトの欠如/アベノポリシーの危うさ(199)

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2018年8月12日 (日)

日航機墜落事故から33年/技術論と文明論(108)

8月には「鎮魂」のイメージが拭えない。
お盆があり、無辜の人間の無差別殺戮というべき原爆投下、敗戦の玉音放送などのためである。
1985年8月12日の日航機墜落事故もイメージを増幅している。
犠牲者520人という、世界の航空史上単独機としては最悪の事故であるが、33年という歳月はやはり長いというべきであろう。
ほぼ一世代にあたる時間である。
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東京新聞8月12日

この事故はリアルタイムで見聞していた。
子供たちとキャンプに出かけ、家に着く直前のクルマの中で、ラジオで聞いた。
「羽田発伊丹行きのJAL123便が18時56分頃、静岡上空で消息を絶っている模様――」
後に、歌手の坂本九やハウス食品の浦上郁夫社長などの著名人が搭乗していたことが分かった。

後年のことではあるが、原田眞人監督の映画『クライマーズ・ハイ』(横山秀夫原作)の迫力あるシーンも印象に残っている。
衝撃的な事故であったことは間違いないが、事故原因は解明されているのか?
1987年(昭和62年)6月19日、運輸省事故調査委員会は事故調査報告書を公表した。
Wikipediaによれば、報告書の事故の推定原因は大要以下の通りである。

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事故機の後部圧力隔壁が損壊し、その損壊部分から客室内の空気が機体後部に流出したことによって、機体尾部と垂直尾翼の破壊が起こった。さらに、4系統ある油圧パイプがすべて破壊されたことで作動油が流出し、操縦機能の喪失が起こった。
圧力隔壁の損壊は、隔壁の接続部の金属疲労によって発生した亀裂により、隔壁の強度が低下し、飛行中の与圧に耐えられなくなったために生じたと推定される。
この亀裂の発生は、1978年に起きた同機の「しりもち事故」の際に、米国ボーイング社による修理が不適切なものであったことに起因する。また、点検でこれらの異常を発見できなかったことも事故原因に関与したと思われる。

ところが、事故についてまったく別の見方もある。

日航ジャンボ123便は、8月12日18時12分に、羽田を離陸した。
離陸後、順調に飛行を続け、18時24分には、大島上空を通過し、相模湾上空に差し掛かっていた。このとき、大きな衝撃音がして、機体に異常が発生した。
このときの模様を、123便の生存者で、日本航空CAを務めていた、落合由美氏が、次のように証言している。
3)水平飛行に移るかなというとき、「パ-ン」という、かなり大きい音がした!
「そろそろ、水平飛行に移るかなというとき、「パ-ン」という、かなり大きい音がしました。
テレビ・ドラマなどで、ピストルを撃ったときに、響くような音です。
「バーン」ではなくて、高めの「パーン」です。
急減圧がなくても、耳を押さえたくなるような、すごく響く音だった。
前ぶれのような異常は、まったく何も感じませんでした。」
「「パーン」という音と同時に、白い霧のようなものが、出ました。
かなり濃くて、前の方が、うっすらとしか見えないほどです。」
「その霧のようなものは、数秒で消えました。酸素マスクをして、ぱっと見たときには、もうありませんでした。白い霧が流れるような、空気の流れは感じませんでした。すっと消えた、という感じだったのです。」
「このときも、荷物などが飛ぶということもなく、機体の揺れは、ほとんど感じませんでした。
しかし、何が起きたのだろうと、私は、酸素マスクをしながら、きょろきょろ、あたりを見まわしていました。
4)私の座席からは、ベントホールは、 見えない位置にあり、確認できない!
あとになって、8月14日に公表された、いわゆる『落合証言』では、客室乗務員席下のベントホール(気圧調節孔)が開いた、とありますが、私の座席からは、ベントホールは、見えない位置にあります。ですから、開いたのかどうか、私は確認できませんでした。」
18時24分に衝撃があり、機体に異常が発生して、結局、18時56分、123便は、群馬県多野郡上野村の高天原山の尾根(通称「御巣鷹の尾根」)に、墜落した。
捜索隊が、墜落現場を確認したのは、墜落から10時間が経過した、8月13日午前8時半ころとされている。
・・・・・・
日航ジャンボ機は、ミサイルによって尾翼を失い、調布に緊急着陸しようとしたが、事実関係の発覚を回避するために着陸が阻止され、群馬県山腹に誘導された疑いがある。
米軍は墜落直後に墜落地点を確認したが、迅速な救援活動を行わなかった。
32年の年月が経過しているが、真相は明らかにされていない。
日航機墜落事故には、マスコミ報道 と全く異なる真実が見えてくる! ミサイルで撃墜!

まさかとは思うが、未だ全容が解明されたとは言えないのも事実であろう。
事故の取材にあたった記者がまとめた、北村行孝、鶴岡憲一『日航機事故の謎は解けたか 御巣鷹山墜落事故の全貌』花伝社(2015年8月)なども同様の立場である。
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事故調査の際の供述書が明らかにされたのを機会に、より深い検証がなされることを期待したい。

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2018年8月11日 (土)

自民党総裁選の意味と無意味/メルトダウン日本(8)

自民党の石破茂元幹事長が総裁選への立候補を正式に表明した。1808112
東京新聞8月11日

現時点では出馬を表明しているのは石破氏だけであるが、安倍首相が三選を目指していることは公然の前提になっている。
想定されているのは以下のような図式であり、石原派もバスに乗り遅れまいと安倍支持を決めたので、おそらく安倍圧勝という結果は揺るがないであろう。Spa180807
「SPA!」8月7日号

石破氏の政治生命が断たれるという観測もある。
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「週刊現代」8月17・25日号

しかしそれが本当に国民が望んでいることか?
来年には参院選がある。
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自民党国会議員の過半が、現在の権力者に同調するというのは、明らかに自民党の頽廃であろう。
自民党国会議員は、安倍政権の実績を肯定するのか?
ムードで安倍政権が続くとすれば、この国はどうなるのであろうか。

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2018年8月10日 (金)

「加計ありき」が鮮明になった/メルトダウン日本(7)

8月5日の東京新聞の「新聞を読んで」というコラムに、永田浩三武蔵大学教授が寄稿している。
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私は論旨に全面的に賛成である。
上記記事を敷衍しよう。
8月28日の記事は以下のようであった。1807282

藤原次長(当時)の加計学園と京産大に対する対応の違いをアップすると以下のようである。
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加計学園に対してはコンサル的な厚い対応であるが、京産大に対しては、期限前であるにもかかわらず冷たい対応ぶりである。
この点に関しては当ブログでも、1年以上前に疑問を呈したことがある。
2017年5月28日 (日) 加計疑惑(7)京産大排除の論理/アベノポリシーの危うさ(218)

その疑惑は今年になって深まりこそすれ、説明がされることはなかった。
2018年5月17日 (木) 「加計ありき」の京産大排除は明らか/ABEXIT(27)
まさにネポティズム(縁故主義)そのものではないか!
続発する大学の腐敗の根っ子がどこにあるかは明らかである。

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2018年8月 9日 (木)

長崎への原爆投下という非人道性/技術論と文明論(107)

長崎は9日、米国による原子爆弾の投下から73年となる「原爆の日」を迎え、長崎市の平和公園で平和祈念式典を執り行った。Ws000001
8月9日、長崎から「日常」が奪われた。

既に広島への投下でその威力が確認されていたことを考えれば、長崎は非人道性を上塗りしたことになる。
田上富久市長は平和宣言で、核保有国や「核の傘」に依存している国に対し「核兵器に頼らない」安全保障政策への転換を呼び掛けた。
田上市長は、2007年4月の市長射殺という忌まわしい事件の直後、市役所職員を辞し、急遽立候補した。
本日の東京新聞に、2009年の今日読み上げられた「平和宣言」の中の言葉が紹介されている。
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田上市長は、政府に唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約に賛同し、世界を非核化に導く道義的責任を果たすよう求めた。
しかし、安倍晋三首相はあいさつで、条約に言及しなかった。

 長崎、広島の悲劇が再び繰り返されてはならない。唯一の戦争被爆国として「核兵器のない世界」の実現に向けて、粘り強く努力を重ねていくこと。それはわが国の使命です。
 近年、核軍縮の進め方について、各国の考え方の違いが顕在化しております。
 真に「核兵器のない世界」を実現するためには、被爆の悲惨な実相の正確な理解を出発点として、核兵器国と非核兵器国双方の協力を得ることが必要です。わが国は、非核三原則を堅持しつつ、粘り強く双方の橋渡しに努め、国際社会の取り組みを主導していく決意です。
 その具体的な取り組みとして、昨年立ち上げた「賢人会議」を、本年秋に、ここ長崎で開催予定です。「賢人会議」を通じて得られる知見も踏まえながら、核兵器不拡散条約(NPT)発効50周年となる2020年のNPT運用検討会議が意義あるものとなるよう、本日、ご出席頂いているグテーレス国連事務総長とも緊密に協力しつつ、積極的に貢献してまいります。
長崎の平和祈念式典 安倍晋三首相のあいさつ全文

首相が核禁条約に消極的なことは、確信的にそう考えているからであろう。
「賢人会議」に下駄を預けても、その「賢人」はどういう基準で選んだのか?
毅然として核廃絶に向かうという姿勢がない限り、前身はしないであろうし、被爆者の賛同も得られないであろう。
被爆者は高齢化が進んでいる。
安倍首相らは絶滅するのを待っているのかも知れないが、思いは伝承されていき、決して絶えることはない。

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2018年8月 8日 (水)

辺野古移設反対のシンボル・翁長雄志/追悼(129)

膵の治療を続けていた沖縄県の翁長雄志知事が8日、沖縄県浦添市の病院で死去した。
67歳だった。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に強く反対し、保革を超えて移設反対派の支持を得てきた。
移設反対運動のシンボル的存在だった。

先月には、前知事が下した移設の承認決定を取り消しており、移設問題がヤマ場を迎えている時期であり、さぞや無念だっただろうと察する。
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東京新聞7月28日

翁長氏の死去に伴い、11月に予定されていた県知事選は、前倒し実施される。
果たして新知事は翁長氏の遺志を継ぐ側が就任するか、安倍政権側が就任するのか?
沖縄県民の意思が問われる。
それにしても心労が死期を早めたとすれば、そしてその可能性が大きいと考えるが、過酷なことだと思う。
沖縄の未来は「慰霊の日」に「平和の詩」を読み上げた相良倫子さんのような世代が、しっかりと築いていくと考える。
2018年7月23日 (月) 官僚の作文を棒読みするだけの安倍首相/ABEXIT(76)

次世代を信じて安らかにお眠りください。
合掌。

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2018年8月 7日 (火)

核兵器禁止条約に参加を拒む安倍首相/技術論と文明論(106)

1945年8月、6日に広島へ原爆を投下されたが、それでもなお日本は戦争を継続しようとしていた。
その結果、9日に長崎へ再度の原爆投下を受け、旧ソ連の参加を許してしまった。
この終戦の意思決定の遅延による犠牲者はまったくの犬死と言えよう。
2007年8月 9日 (木) 長崎への原爆投下
2007年8月10日 (金) ソ連の対日参戦 

戦争指導層の責任は大きいが、歴史に学ばなければ同じことを繰り返すことになろう。
安倍首相は、祖父・岸信介(A級戦犯容疑で収監。CIAのエージェントになることで釈放されたという説が有力)と同じ道を歩もうとしている。
2014年3月24日 (月) 安倍晋三と岸信介/「同じ」と「違う」(68) 
2009年4月30日 (木) M資金とCIA 
2009年2月10日 (火) 岸信介と児玉誉士夫

ファシズムの初期兆候として、以下のような警告がある。Photo_2

安倍政権は殆どすべてが当てはまると言えよう。
広島の平和記念式典で、小学生が「平和の誓い」を読み上げた。180807_4
東京新聞8月7日

平和記念式典に臨んだ人は皆、人間がつくった恐ろしいもの-核兵器の廃絶を願ったであろう。
安倍首相を除いて。
被爆者の声を聞く会においても、切実な声を聞こうとしなかった。
2018年8月 6日 (月) 兵器としての核エネルギー/技術論と文明論(105)

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 首相に条約への参加を求めたのは、広島被爆者団体連絡会議の吉岡幸雄事務局長。「日本政府は禁止条約に反対し、署名も批准も拒否している。国民多数の意思に背き続けることはできない。条約に署名し、批准への努力を強く求める」と迫った。さらに「私はこれまでもこの席で、安倍内閣の集団的自衛権の容認や憲法改悪の主張に対し、抗議して撤回を求めた」と強調した。
 首相との面会後、吉岡氏は記者団に「われわれの要望に全然聞く耳を持たない態度は腹立たしいことこの上ない。もう(広島に)来てほしくない」と怒りをあらわにした。
 広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長は記者団に、日本政府が昨年立ち上げた核保有国、非保有国の専門家が核軍縮について議論する賢人会議について「核兵器禁止条約(に賛成)の立場に政府が立たない限り、賢人会議そのものに意味がない」と指摘した。
 被爆者が首相を批判するのは、要望を政策に反映しようという姿勢が感じられないからだ。核廃絶に関しては、日本政府が米国など核保有国に対して、真剣に核放棄を迫っているようにもみえない。
 首相は被爆者との面会で、核軍縮を巡る各国の立場の違いが顕在化していると指摘。日本に求められるのは橋渡し役だとした上で、条約は「アプローチが異なる」として参加は難しいとの考えを示した。賢人会議に言及し「核兵器国と非核兵器国への働きかけを行い、国際社会を主導していく」と理解を求めた。
祈りと怒りの原爆忌 首相、核禁止条約なお「不参加」

日本に求められているのは「橋渡し=調整」ではなく、潮流の創造ではないのか。
「唯一の戦争被爆国」という言葉は、安倍首相にとっては単なる枕詞に過ぎないのだろう。

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2018年8月 6日 (月)

兵器としての核エネルギー/技術論と文明論(105)

広島は6日、米国による原爆投下から73回目の「原爆の日」を迎えた。
今年は西日本豪雨の災害もあって、二重の鎮魂が込められていたように思う。
平和記念公園(広島市中区)で平和記念式典があり、広島市の松井一実市長は平和宣言で「自国第一主義」の台頭、核兵器の近代化などに懸念を表明し、採択1年を迎えた核兵器禁止条約の発効に向け、日本政府が役割を果たすよう求めた。Ws000000

しかし安倍首相は、平和記念式典の後広島市内のホテルであった被爆者7団体の代表らが参加する「要望を聞く会」に出席し、被爆者側からは、被爆国として核兵器禁止条約への署名・批准を求められたが、「条約とは考え方、アプローチを異にしている。参加しない考えに変わりない」と不参加を明言した。

昨年のノーベル平和賞は、「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)に授与された。
核兵器の非合法化と廃絶を目指す国際NGOであり、核兵器禁止条約成立に貢献した功績である。
ノーベル平和賞については疑問の点も多いが、この決定については
ノルウェーのノーベル委員会の意思を評価したい。
2017年10月 7日 (土) 核兵器廃絶国際キャンペーンにノーベル平和賞/世界史の動向(56) 

今日の東京新聞に、14歳の時に原爆投下を現認した被爆者の手記のことが紹介されている。
まだまだ発掘を待っている資料があるに違いない。
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東京新聞8月6日

松井広島市長は平和宣言の冒頭で、参列した85カ国の駐日大使らと欧州連合(EU)代表部らに、「73年前、今日と同じ月曜日の朝。あなたや大切な家族がそこにいたらと想像してください」と呼びかけた。
米国からは初めてハガティ駐日大使が出席したが、安倍首相やトランプ大統領こそ、被爆の現実を見るべきであろう。
核エネルギーは桁違いに大きいが、兵器に利用することが「非人道的」であることは間違いない。

安倍首相はあいさつで、「唯一の戦争被爆国として『核兵器のない世界』への努力は我が国の使命」と言うが、「核兵器国と非核兵器国の双方の協力が必要」と強調して、廃絶のリーダーシップをとることに消極的だった。
核兵器廃絶の方が、憲法改正などよりずっと価値のある目標だと思うが・・・。

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2018年8月 5日 (日)

杉田水脈擁護を変えない安倍首相/メルトダウン日本(6)

杉田水脈議員のトンデモ発言が、自民党総裁選に影響するという見方がある。
もともとバカバカしい発言であり、自民党の責任で処分を下せば良い問題である。
2018年7月24日 (火) 杉田水脈議員の発言にみる自民党のホンネ/ABEXIT(77)
2018年8月 2日 (木) 安倍応援団が杉田水脈を批判/メルトダウン日本(3)
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「SPA!」8月7日号

しかし、肝心の安倍首相にその気がないのだ。1808032
日刊ゲンダイ8月3日

この問題に関しては、作曲家すぎやまこういち氏の次の発言で構図が理解できる。

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 ドラゴンクエストの作曲家・すぎやまこういちは、2011年5月、靖国神社崇敬奉賛会の講演会で「非常に漫画チックな言い方」と断ったうえでこのような見解を披露し、さらに発言を続けた。
「なんと、政府、内閣を反日軍が占めているのです。聞くところによりますと、今の内閣総理大臣を始め、かなりの主要な人達が、日本国家解体を学生時代に夢見て学生運動を行っていたと言われています。(中略)
 この反日軍の人達が大震災を足掛かりにして、どさくさに紛れて日本国家を解体しようという動きをしているように見えます。そのことに大変な危機感を持っていまして、何とかこれを防がなければいけないと思っています」(『平成二十三年度 講演記録集』、靖国神社崇敬奉賛会)
 当時は東日本大震災の直後で、民主党政権の時代だった。つまり、すぎやまは、菅直人元首相らが「反日軍」として国家解体を目論んでいる(ように見える)、といっているのだ。
 ちなみに、すぎやまが「日本軍」「反日軍」の比喩を使ったのは、これがはじめてではない。震災前に刊行された『正論』2011年1月号の寄稿では、「日本軍」のメンバーとして、安倍晋三、西田昌司、稲田朋美、高市早苗、衛藤晟一、山谷えり子の名前があげられている。
 これにたいし、当時の総裁・谷垣禎一は失格らしく、「ため息が出てしまう」とされている(「谷垣禎一総裁へ捧げる退場勧告」)。
杉田水脈に「正論ですよ」 ドラクエ作曲家「愛国発言」を振り返る

こういう層が確実にいて、安倍首相の鉄板の基盤になっている。
であるから、総裁選の争点として明確に位置づけたら良いだろう。1808042_2
東京新聞8月4日

自民党の皆さん、杉田水脈氏を支持するのか批判するのか、2択である。

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2018年8月 4日 (土)

連環し、伝染し、拡散する腐敗/メルトダウン日本(5)

悪質タックル問題が起きてから約3カ月、日大の田中英寿理事長が以下のような声明を、同大学のホームページに出した。Ws000000

冒頭で次のように言っている。

調査をお願いしていた第三者委員会から7月30日に最終報告書を受け取りました。一読して、わたくしの心に突き刺さった一言があります。「日大において学生ファーストの精神が見失われていた」
それは、鋭い痛みでした。もとより、大学の基本理念は「学生第一」であります。本学も例外ではありません。だが、長い歴史の中で、おろそかになっているという極めて厳しい指摘です。大学を代表し、統括しなければならない立場にあるものとして、これ以上、心に響いた言葉はありませんでした。

それにしては何とも「心に響かない言葉の羅列」という印象である。
要するに、何の反省もしていないのである。
やり過ごすための時間稼ぎに過ぎないことが透けて見える。
田中理事長と山根ボクシング連盟終身会長との交友はつとに知られているところだ。
2018年8月 3日 (金) 腐った鉄面皮とこわもてが繁殖中/メルトダウン日本(4)

このままでは日大が「造反有理」の嵐を招くことになろう。
2018年5月23日 (水) 日本大学は、再び「造反有理」の嵐に見舞われるか/ABEXIT(31)

大学の腐敗は東京医大にも見られる。
文科省高級官僚の贈収賄である。
2018年7月 9日 (月) モリカケ症候群・東京医科大のブランディング/ABEXIT(69)
2018年7月30日 (月) モリカケ症候群(2)文科省の堕落/ABEXIT(78)

その東京医大で、入試において女性受験者の点数をを一律に減点し、合格率を下げていたことが報道されている。

入試事情を知る同大の関係者は「2010年ごろには、暗黙の了解として女子受験者の得点を一律減点していた」と指摘。得点操作が長期間にわたって行われていた可能性があるという。
長期間「暗黙の了解」か、東京医大入試で女子一律減点 海外メディアも関心

しかも東京医大は「女性活躍」の補助金を受けていたというのだ。
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東京新聞8月4日

かくして、不正・腐敗は連環し、伝染し、拡散して行くのだ。
「膿」を絶たなければ、日本という国のメルトダウンは止まらない。

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2018年8月 3日 (金)

腐った鉄面皮とこわもてが繁殖中/メルトダウン日本(4)

日本ボクシング連盟のドン山根明終身会長のやくざっぽい風貌がTVを賑わしている。
風貌だけで判断するのはいかがかとは思うが、日大のドン・田中理事長と同類のようである。
2018年8月 1日 (水) アマチュアスポーツ界の恥部が表面化/メルトダウン日本(2)

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日刊ゲンダイ8月3日

田中理事長は、本物のやくざ・山口組六代目司忍組長とも親密なようだ。
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「週刊文春」8月9日号

日大の田中理事長は、予想されるように、やりたい放題で振る舞っているようである。
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同上

ボクシング連盟の山根会長の悪行も底なし沼のようで、「奈良判定」というものが実際に行われていたようである。
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東京新聞8月3日

日大田中、ボクシング連盟山根、自民党安倍は相似形である。180803_4
日刊ゲンダイ8月3日

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2018年8月 2日 (木)

安倍応援団が杉田水脈を批判/メルトダウン日本(3)

自民党・杉田水脈衆院議員のLGBTヘイト発言は多くの人びとから批判が集中している。
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東京新聞7月29日

杉田氏の議員辞職を求めるデモも自民党本部前で行われた。
私も、なぜこの人が国会に出てきたのか理解できないが、安倍首相が「発掘」した「人材」らしい。
2018年7月24日 (火) 杉田水脈議員の発言にみる自民党のホンネ/ABEXIT(77)

まともに相手をするのがバカバカしいような発言であるが、自民党の責任ある立場の人から、処分するような見解は出ていない。
稲田朋美氏が、自分の政調会長時代の政策と異なると言ってみたが、所詮同じ穴のムジナであって、すぐに化けの皮が剥がれた。
2018年7月31日 (火) 稲田朋美が杉田水脈を批判/メルトダウン日本

杉田氏と同じ穴のムジナは安倍政権の周囲には大勢いる。
彼らにとっては稲田朋美氏に次いで、“2代目ネトウヨの姫”とも言うべき存在になっている。
ところが、同じ穴のムジナが、急に手のひらを返し始めたのだ。
代表例は、杉田氏を次世代の党時代から応援してきた百田尚樹氏である。

〈「生産性がない」という発言も、乱暴で知的レベルが低い表現だが、それを極限まで拡大解釈して非難する方もどうかしてる。たかだか1回生議員、「バカだね」と嗤う程度の発言〉
〈この問題に関して、人間を生産性という言葉でくくるのは乱暴で知的とは言えない。譬えでもね。〉(7月26日)

杉田発言を批判しているようだが、問題をすり替えている。
まったく姑息な人間だと思うが、7月5日には、お茶の水女子大学がトランスジェンダーの学生の受け入れ方針を固めたと伝えるNHK報道についてこう嘲笑したばかりである。

〈よーし、今から受験勉強に挑戦して、2020年にお茶の水女子大学に入学を目指すぞ!〉
〈ふと思うんだが、女性同士でも愛し合うカップルがいる。ということは、体は男性だけど心は女性という人が、女性と愛し合うことがあっても不思議ではない。しかし、それって、外から見てると、ふつうに男と女のカップルに見えるよなあ。〉(百田氏のTwitterより)

これも問題にするのも大人げないと言えるかもしれないが、性自認を男性と公言している百田が「女子大を目指すぞ!」と宣言することは、以下の発言をしたのと同じことである。
・自分の性自認を偽って女子大に入り込む不逞な輩がいるかもしれない
・トランスジェンダーの人は性自認を偽っているのではないか

市民や有識者やからの大批判を受けて、自民党からもようやく杉田議員を切り捨てる動きが出てきつつあるが、それに便乗しようと言うだけである。
何から何まで姑息なのだ。

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2018年8月 1日 (水)

アマチュアスポーツ界の恥部が表面化/メルトダウン日本(2)

関東学生アメリカンフットボール連盟は31日夜、東京都内で臨時理事会を開き、公式試合出場停止を科されている日本大学の処分を解除しないことを決めた。

 関東学連は有識者による検証委員会を設置して日大が7月17日付で提出したチーム改善報告書を検証した。検証委は31日、理事会に「十分な改善がなされたとは認められない」と答申した。理事会は棄権などを除き出席した理事20人のうち17人が答申を支持した。
 記者会見した検証委の寺田昌弘委員(弁護士)は改善が不十分とした理由として日大の経営トップの田中英寿理事長の姿勢を挙げた。寺田委員は「理事長が真摯(しんし)な反省のもとに組織改革をトップダウンで進めるとか強力なメッセージがあれば社会や対戦相手が受ける印象も変わった。安心感をもたらす『確かなもの』が形になれば結論は異なったかもしれない」と指摘した。
 また、内田正人前監督の支配構造にも言及した。反則行為をした選手と、その父親に口封じを図り、内田氏に近い井ノ口忠男元理事が処分されなかったことも「影響力を完全に排除されたか現時点では不明」と指摘。部活動を管理する保健体育審議会の組織改革に関しても不十分とした。

悪質タックルが内田正人前監督と井上奨前コーチの指示であることは一目瞭然で、学生は可哀そうだが止むをえないであろう。
問題が表面化してから2か月以上経ったが、田中英寿理事長は表に出ていない。
2018年5月20日 (日) 日大アメフト部の悪質タックルが示すもの/ABEXIT(28)
日大職組等から退陣要求が出ているが、やり過ごせば何とかなると思っているようだ。
2018年5月23日 (水) 日本大学は、再び「造反有理」の嵐に見舞われるか/ABEXIT(31)
それにしても、日大の危機管理の拙劣さは、ケーススタディの格好の材料となるだろう。2018年6月 4日 (月) 安倍主導「危機管理学」の実態/ABEXIT(43)

そして、日大アメフト部と同様、アマチュアスポーツの花の一つのボクシングでも不祥事が表面化した。

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 県連幹部らは「日本のボクシングを再興する会」を組織し、6月に山根会長の退任を求める文書を全国の都道府県連に送った。9人で始まった会は、約20の県道連トップや大学ボクシング部監督、元五輪代表選手など300人を超す構成員に膨れ上がった。告発メンバーのひとりが言う。
 県連幹部らは「日本のボクシングを再興する会」を組織し、6月に山根会長の退任を求める文書を全国の都道府県連に送った。9人で始まった会は、約20の県道連トップや大学ボクシング部監督、元五輪代表選手など300人を超す構成員に膨れ上がった。告発メンバーのひとりが言う。
「山根会長は2011年の就任以来、“恐怖政治”で権力を固めてきた。選手を人質に取られている傘下の組織はみんな声を上げられなかった。だけど、このままでは競技が衰退していくばかり。実際、2023年からの国体でボクシングは隔年開催に“降格”が決まった。そういう危機感が我々を突き動かしたのです」
ボクシング連盟“悪行”会長告発状と「日大のドン」親密写真

どうみても「悪役商会」の顔つきであるが、2人は昵懇で、数十年来の仲だという。
今年4月には山根会長が日大の客員教授に就任している。
まさに、私物化である。
権力による不当で恣意的なディシジョンが日本という国をメルトダウンさせる。

どんなに恐怖で統治しようと考えても、決して永続することはない。
紆余曲折はあるだろうが、ボクシング協会も日大も正常化に向かうだろう。
安倍政権も同じことである。

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