W杯西野采配とゲーム理論/知的生産の方法(178)
W杯ロシア大会で、日本はグループリーグを突破し、決勝トーナメントに進んだ。
事前の予想では、大方の人がグループリーグ敗退であったようで、西野朗監督の手腕が賞賛されている。
その一方で、第3戦のポーランド戦の評価を巡っては、賛否が大きく割れている。
特に、終盤で、負けているにもかかわらず、パス回しという戦法を選んだことだ。
その時、日本の戦績は同じグループのコロンビア戦を戦っているセネガルと微妙な関係にあった。
最終的な結果は以下のようであった。
東京新聞6月30日
日本とセネガルは共に1勝1分で、同時に戦っている第3戦の結果次第で、決勝Tに進めるか否かという状態だった。
それは自チームの結果のみならず、他チームの結果次第という典型的な「ゲーム理論」的な状況にあった。
「生きのこり競争」から抜け出したい! ゲーム理論入門
「ゲーム理論」の父は、天才フォン・ノイマンンである。
これでわかるゲーム理論①
グループリーグの最終戦「日本VSポーランド」と「コロンビアVSセネガル」は、同時刻キックオフであった。
「日本VSポーランド」の試合経過は以下のようであった。
後半14分に、ポーランドに先制されて、そのまま行けば予選リーグ突破ができない状況になったが、「コロンビアVSセネガル」でコロンビアが先取点を上げた。
前半は縦へ鋭く攻めるセネガル優勢の中、0-0で折り返した。
後半は攻守の切り替えが激しいテンポで入れ替わる。カウンターの応酬も決定機はなかなか生まれない。同19分、セネガルのゴール正面のフリーキックもFWマネが足を滑らせ、ボールは大きく枠の上の越えていった。均衡が破れたのは後半29分、右CKからコロンビアのDFミナが頭で合わせた。ゴールが決まり、均衡が破られた。
コロンビア、セネガル下し1位突破!日本アシスト
日本チームが決勝Tに進出できる条件は以下のようになった。
サッカー日本代表 球回しは"勇気ある"ゲーム理論で分析
ここで日本は賭けに出たのである。
「コロンビアVSセネガル」が、それまでの経過等からして、そのまま推移するであろう。
その上で、「警告すくない日本突破」に。
パス回しに徹した日本の戦法は、一見消極策に思えるが、リアルタイムでえ考えれば「勇気ある」戦法だったのである。
決勝T進出を決めたのは、「フェアプレーポイント:イエローカードの差」という今大会から採用されたルール、すなわち史上初適用のルールであった。
負けている状況での「パス回し」がフェアでないという批判があるが、トータルの「フェア度」の差を見極めた西野采配である。
まさに日本サーカー史に残る試合だったと言えよう。
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