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2018年7月26日 (木)

櫻井よしこ氏の「美しき勁き」間違い/技術論と文明論(102)

よく、「野党は反対ばかりでなく、対案を出せ」という人がいる。
実は、対案を出していないのではなく、与党が審議に応じていない法案が多数ある。Photo_2

「原発ゼロ基本法案」はその典型であろう。
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東京新聞7月20日

櫻井よしこ氏が産経新聞の「美しき勁き国へ」という欄に、「小泉純一郎元首相の脱原発・・・壮大な間違い エネルギー政策は「科学の視点」で考えよ」という一文を寄せている。
「エネルギー政策は「科学の視点」で考えよ」には賛成であるが、私には、櫻井氏の論は感情的な「反・脱原発」のように見える。
彼女は小泉元首相の原発政策を批判して、次のように言う。

 だが、「日本は単純計算で太陽光だけで原発27基分を出しており、原発ゼロでも自然エネルギーだけで十分にやっていける」という氏の主張が壮大な間違いであることは明確に指摘したい。
 氏の主張は、わが国の太陽光発電は平成26年度末で2688万キロワット、1基100万キロワットの原発に置きかえれば約27基分との計算から生まれたものだろうか。同じ論法で計算すれば28年度末での太陽光発電は原発43基分だ。
 しかし、「それは、kW(キロワット)の数字、つまり、性能上の発電能力の数字だけを見たもので、実際に発電した時間を乗じたkWh(キロワットアワー)の数字を見なければ実態はわかりません」と、東京工業大学特任教授の奈良林直氏は語る。
 kWで示された性能上の能力は晴天時の瞬間的な出力を示す。太陽が強く輝くのは1日の内6時間、24時間の25%だ。しかし雨の日、曇りの日、雪の日、台風の日もあり、25%の半分、13%ほどの時間しか発電できない。太陽光発電の稼働率は13%前後にとどまるのだ。残りは火力発電に頼るしかない。
【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】小泉純一郎元首相の脱原発…壮大な間違い エネルギー政策は「科学の視点」で考えよ

しかし、小泉氏も直ちに今現在、自然エネルギーだけでやっていけるとは考えていないであろう。
重要なことは、将来へ向かってのベクトルである。
世界の趨勢は再生エネルギーに向かっている。
それは核廃棄物の処理が難しいからであると共に、再生エネルギーはイニシアルコストは必要であるが、限界コストが0に接近していくからである。
2018年7月 2日 (月) スマート化に逆行する日本/技術論と文明論(95 

政府が閣議決定した「エネルギー基本計画」は、依然として原発ありきである。
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東京新聞7月4日

私は、今こそエネルギー政策について、議論を深める時ではないかと思う。
例えば、「限界費用ゼロ社会」を提唱しているジェレミー・リフキン氏は『スマート・ジャパンへの提言』を発表している。
スマート・ジャパンが、原発よりも再生エネと親和することは、言うまでもない。
2018年7月 2日 (月) スマート化に逆行する日本/技術論と文明論(95)

しかしながら、政府・与党にエネルギー政策を再考すべきがという問題意識はない。
国の政策を追認する櫻井氏の論は、「美しき勁き」間違いと言うべきであろう。
もっと柔らかな思考に立たないと、先見的な議論はできないのだ。
杉田水脈氏と同レベルでは視野狭窄に陥るのは止むを得ないが。
2018年7月24日 (火) 杉田水脈議員の発言にみる自民党のホンネ/ABEXIT(77)

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