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2018年7月14日 (土)

頻発する異常気象と遊水機能を考慮した治水対策/技術論と文明論(97)

平成史上最悪の水害となった今回の西日本豪雨は、「平成30年7月豪雨」と命名されたが、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は、6~7日にかけて中国・四国地方周辺に大雨をもたらした雨雲を解析した三次元動画を公表した。
積乱雲が数珠つなぎに次から次へと生じる「バックビルディング現象」が各地で多発し、同じ場所に長時間、激しい雨を降らせていたことが確認された。

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 気象庁や国土交通省の気象レーダーの記録から解析した。南西から暖かく湿った空気が流れ込み、最大高度約7キロの積乱雲が帯状に連なる「線状降水帯」が多発していた。さらに、積乱雲の成り立ちを詳しく見ると、積乱雲の風上に次の積乱雲が連鎖的に発生するバックビルディング現象がみられた。
 同研究所によると、積乱雲の寿命は30~60分程度だが、この現象が起きると、地上からは、あたかも一つの積乱雲が同じ場所に長くとどまり、激しい雨を降らし続けるように見えるという。2014年8月の広島土砂災害や、昨年7月の九州北部豪雨でもみられた。
 広島県では6日午後6時以降、局地的に1時間に100ミリ超の猛烈な雨が降り続いた。同研究所の清水慎吾・主任研究員は「広島県の上空で南風と西風がぶつかり合って生まれた強い上昇気流が、線状降水帯を長時間維持させた可能性がある」と分析する。
「バックビルディング現象」各地で多発が判明

バックビルディング現象によって猛烈な雨が長時間継続した。1807102_3
東京新聞7月10日

バックビルディング現象は、4年前の広島を襲った豪雨禍の時にも言われた。
2014年8月21日 (木) 豪雨禍の傾向と対策としての古人の知恵/日本の針路(30)

改めて解説を見てみよう。

激しい雨を降らせる積乱雲が連続して発生し線状に並びその規模が幅20〜50km、長さ50〜200kmになるものが線状降水帯と呼ばれています。
停滞性の線状降水帯は同じ場所で激しい雨が3時間を超えて降り続けることもあり、まさにその場所に居る人にとっては経験したことのない大雨となります。
停滞性の線状降水帯の発生要因のひとつにバックビルディング現象があります。次のような流れで線状降水帯を作り出します。
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最初に風の収束や地形効果などによって積乱雲が発生します。激しい雨を降らせながら上空の風に流されてゆっくりと移動して行きます。風上側のこの積乱雲が発生した場所で新たに積乱雲が発生し、またゆっくりと風下へ移動して行きます。この流れが繰り返され、発達した積乱雲が世代交代を繰り返しながら組織化されて線状降水帯を作り出します。積乱雲させる、水蒸気の供給や上昇気流を引き起こす要因の解消、積乱雲を移動させる上空の風の流れの変化がない限りこの状況が続きます。
集中豪雨をもたらす線状降水帯とは?

継続した豪雨により、小田川が高梁川に合流する地点で小田川がバックウォーターで水位が上昇し、破堤に至ったと理解される。

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 岡山県倉敷市真備まび町で被害が拡大した背景について、専門家は高梁たかはし川の増水で支流の水が流れにくくなる「バックウォーター現象」が、堤防の決壊を誘発したと指摘する。
 国土交通省によると、高梁川の支流・小田川などで少なくとも計3か所の堤防決壊が発生し、広範囲にわたる浸水の原因となった。
 現地調査した岡山大の前野詩朗教授(河川工学)によると、高梁川と小田川の合流点の下流は、川幅が狭く湾曲し、水が流れにくい「ボトルネック」になっている。今回の豪雨では、高梁川の水位が合流点付近で急激に上がり、傾斜が緩やかな小田川の水が流れにくくなって水位が上昇。高馬川など小田川の支流の水位も上がり、堤防が次々に決壊した。前野教授は「高梁川の水位上昇の影響がドミノのように支流に広がり、水位が高い状態が長時間続いた」と推測する。
「バックウォーター現象」で支流の水位急上昇か

記録的な豪雨であったことは確かであるが、異常気象が異常ではなくなりつつあるともいえるのではないか。
洪水防御の切り札のように言われてきたダムも、想定以上の降雨の場合には危険を増す可能性がある。
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東京新聞7月13日

想定以上の現象に対して危険を増すというのはハード的対策に共通である。
基本的には堤内の土地利用を含めた総合的な対策ということになるが、人口減少時代においては、かって行われていた霞提のような遊水機能を持たせる対策を考えることも必要だろう。

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