「働き方」法の本質はどこにあるか/ABEXIT(65)
本会議へ上程する前の参院厚生労働委員会で、この法律の本質、言い換えれば法に賛成する人たちのホンネが浮き彫りになった。
26日の安倍首相が出席しての審議だった。
野党からの質問は、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)に集中したが、安倍首相はこれまでと同様の答弁に終始するだけであった。
議論すべきことが多い「高プロ制」であるが、安倍首相は法案の内容を熟知していないのか、トボケテいるのか分からない。
分かったのは、審議が一向に深まらないことだった。
東京新聞6月1日
しかし、「高プロ制」については、竹中平蔵氏の発言の「残業代という補助金を無くせ」という意見が示しているように、労働コストの縮減がホンネであろう。
⇒2018年6月26日 (火) 竹中平蔵氏の残業認識と高プロ制/ABEXIT(61)
私は、報酬が時間よりも成果に基づくべきであるという考え方には賛成である。
「週刊現代」6月29日号
しかし成果の測定が主観的になりがちであるから、次善の策として時間で測らざるを得ないのではなかろうか。
議論に火が点いたのは、電通の新入社員・高橋まつりさんが過労自殺をしたことが大きい。
高橋さんは新入社員だったが、そのまま行けば「高プロ制」の対象になっていたはずである。
電通のライバルの博報堂は、電通の「働き方改革」の余波で仕事が増えているという。
同社も一斉消灯を実施しているらしいが実態は以下のようだという。
「週刊現代」6月29日号
マルクス生誕200年というある種の記念年である。
改めて、誰のための、何のための「働き方改革」であるのか、もう一度立ち止まって考えてみるべきであったのではないか。
⇒2018年2月18日 (日) 何のための「働き方改革」なのか/日本の針路(375)
~
⇒2018年3月 2日 (金) 何のための「働き方改革」なのか(9)/日本の針路(384)
⇒2018年3月12日 (月) 政府の「働き方改革」の馬脚/日本の針路(393)
⇒2018年5月27日 (日) 「働き方改革法案」を強行採決/ABEXIT(35)
しかし、真摯に審議するという姿勢がないまま、法律が成立したのは禍根を残すことになると思う。
安倍首相の答弁の「働き方」法の目的が時短ではないに象徴的にホンネが現れたのではなかろうか。
東京新聞6月27日
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