晴れるはずもない加計疑惑の首相答弁/ABEXIT(63)
記者会見は加計学園が2時間前に地元の報道各社にファクスを送って一方的にスタートし、押し切る形でわずか25分で終わった。参加できるのも地元の記者に限られた。東京や大阪で加計学園の獣医学部新設の疑惑を追及する社会部記者たちははじき飛ばされた格好となった。
国民は一連の「もりかけ疑惑」で安倍政権に大きな不信感を抱いている。こんな記者会見で世論を納得させようとするのは、不信感に拍車をかけるだけである。なぜ、加計氏はそのあたりが分からないのか。
安倍首相と加計理事長の記憶力は大丈夫か
この会談を受けて、参院予算委員会で質疑が行われた。
しかし、霧は晴れるはずもなく、疑惑は深まるだけであった。
安倍晋三首相は25日の参院予算委員会で、学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、加計孝太郎理事長が記者会見で首相との面会を否定したことについて「政府としてその内容や評価についてコメントする立場にない」と論評を避けた。国会会期が7月22日まで延長されて初めての審議だが、首相は加計問題で従来の答弁を繰り返し、疑念の払拭(ふっしょく)には至らなかった。首相の過去の発言と加計氏の会見には食い違いも表面化しており、野党は真相解明のため加計氏の証人喚問を求めた。
首相は獣医学部新設について「行政プロセスに全く問題がなかった」と重ねて強調。加計氏が19日に開いた記者会見についても「会見は独特の雰囲気があり、不慣れな人は一問一答で畳み掛けられると、質問の趣旨を取り違えて答えることもあり得る」と擁護した。
首相は昨年7月、学園が事業者に選ばれたのは首相と加計氏の親友関係が理由ではと野党に問われ、「時代のニーズに合わせて新しい学部や学科の新設に挑戦していきたいという趣旨のお話は聞いたことがある」と答弁した。加計氏と仕事の話はしたが、獣医学部計画の具体的な話はしていないと強調した。しかし、加計氏は会見で「仕事のことを話すのはやめようというスタンスでやっている」と発言した。
また、加計氏は会見で、獣医学部新設の話を初めてした時期について、計画が認可された「2017年1月20日以降か」と聞かれ、「そういうことだと思う」と述べた。一方、首相は今年5月、「昨年から今年については(加計氏と)話をしていない」と答弁している。食い違いを問いただすため、野党は加計氏らの国会招致を求めたが、首相は「国会で自主的に決めること」と述べるにとどめた。
一方、首相は25日、愛媛県文書に記載がある首相と加計氏の「15年2月25日」の面会を重ねて否定した。加計氏は19日の会見で「記憶にも記録にもない」と面会を否定しており、この点では一致している。ただし、「15年2月25日」に加計氏が地元の岡山にいたか、面会が可能な東京にいたかも明らかでない。首相、加計氏とも記録がなく、面会を否定する根拠を示せていない。
首相、疑惑一掃至らず 加計氏会見と矛盾
加計理事長も、国会招致があった場合のことを訊かれ、「お待ちしています」と答えているのだから。
「モリカケ」に倦んではいるが、そう感じてしまえば思うつぼにハマるのではなかろうか。
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