「新聞読まなければ・・・」の論理学/知的生産の方法(177)
麻生副総理兼財務相が、24日の新潟県新発田市の講演で、昨年秋の衆院選に関し、30代前半までの若い有権者層で自民党の得票率が高かったとした上で「一番新聞を読まない世代だ。読まない人は全部自民党(の支持)だ」と述べた。
これに対して、共産党の小池晃書記局長は25日の記者会見で、「新聞を読んで真実が伝われば自民党支持にならないというのは、ある意味でその通りだ」と皮肉った。
まあ、私の周辺を見ても新聞を購読しない若い人が増えているのは事実である。
論理学の基本は、「pならばqである」という命題の真偽である。
そして、「逆・裏・対偶」の関係は高校(?)で学んだはずだ。
逆、裏、対偶の意味と具体例
麻生大臣の言葉を「新聞を読まないならば、自民支持である」という命題と考えれば、「逆・裏・対偶」は智偽のように考えられる。
逆:自民支持ならば、新聞を読まない。
裏:新聞を読むならば、自民支持ではない。
対偶:自民支持でないならば、新聞を読む。
小池氏の批判は、裏に相当すると言えよう。
もし、麻生氏の命題を真とすれば、小池氏の発言は偽ということになる。
しかし、もともとの麻生氏の「新聞を読まない人は、全部自民党の支持だ」という命題が真とは言えない。
逆・裏・対偶を考えるケースとしては不適切である。
小池氏の命題を「真実が伝われば、自民党支持にならない」と考えればどうであろうか?
逆:自民党支持であれば、真実が伝わっていない。
裏:真実が伝わらなければ、自民党支持になる。
対偶:自民党支持であれば、真実が伝わっていない。
どうやら、命題として成立しそうである。
しかし、ある要因と政党支持との関係を確定的に言うことには問題があろう。
それはともかくとして、逆・裏・対偶の関係は混乱しがちである。
以下のようなジョークを楽しんだ方が精神的には良いようだ。
『裏・逆・対偶』~論理的に正しいシャツの着方~
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