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2018年5月 9日 (水)

技術研究者から絵本作家へ・加古里子/追悼(124)

絵本作家の加古里子さんが5月2日亡くなった。
「だるまちゃん」シリーズ、「からす」シリーズ、『地球』『地下鉄のできるまで』をはじめとした科学絵本、『こどものとうひょう おとなのせんきょ』などの民主主義をテーマにした絵本などが代表作。
子どもたちの知的好奇心を刺激する多様な絵本を残した。

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5月2日に92歳で亡くなった福井県越前市出身の絵本作家、加古里子さんが武生(現越前市)で暮らした時期は7歳までと短かったが、古里に対する愛情は周囲が驚くほど深かった。近年は越前市のまちづくりにも協力を惜しまず、昨年8月には加古さん監修の「だるまちゃん広場」が武生中央公園にオープン。連日多くの子どもたちが絵本の世界観の中で、遊びながら加古さんが願った「生きる力」を育んでいる。
 「ふるさとはどこかとたずねられたら、もちろん、武生だと答えます」
 自叙伝的作品「未来のだるまちゃんへ」(文藝春秋)に古里への思いをつづった。2011年の越前市文化功労者表彰時に市から提案を受け開館した「かこさとしふるさと絵本館」のコンセプトを屋外に広げる形で、「だるまちゃん広場」の監修に力を注いだ。
 市の広場計画案に対し、加古さんが返した手書きの書面には自然科学の知識を生かしたアドバイスがびっしり。広場を見渡す市文化センターの壁には、加古さんが描き下ろした原画を基にした壁画「越前山歌(さんか)」(縦5メートル、横34メートル)が掲げられ、日野山、村国山に向かって歩くおなじみのキャラクターが子どもたちを見守っている。
 絵本館の谷出千代子館長(73)は15年に加古さん宅を訪れた際、武生の学びやや日野川での思い出を「懐かしいなあ」と目を細めていたことが忘れられない。「子どもたちが自ら考え、発見し、行動に移す大切さを絵本に託した先生の足跡を、越前市や福井県、日本、世界の子どもに伝えたい」と力を込めた。
 0歳の長女と7日に同館を訪れた近くの女性(35)は「温かみのある加古さんの絵本が子どものころから好きで、新作が出るのが楽しみだった。高齢だけどお元気と聞いていたのに」と驚いた様子だった。
加古里子さん「ふるさとは武生」

加古氏は『こどものとうひょう おとなのせんきょ』という絵本で、民主主義の誤解について書いている。
選挙で選ばれた為政者が、少数派の意見をいっさい聞き入れず強権的な態度で議論を封殺することが、「多数決」のお題目のもとで強行的に行われるのは、本当の民主主義ではない。
まさに、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪など、安倍政権のもとで幾度も繰り返されてきたことである。

今朝の東京新聞のコラム「筆洗」は、追悼文である。
1805092

「自由な発想の多様性とそれを認め合う寛容さ」は、今の政権に欠けているものである。
加古さんが、「安倍政権は大本営の参謀の戦後版」と痛罵したのも尤もと言えよう。

1926年3月31日生まれ。
東京大学工学部応用化学科を卒業し、昭和電工に入社。
研究所勤務と並行して、セツルメントなど地域活動を行い、47歳で退職して絵本専業となった。
野坂昭如、大橋巨泉、菅原文太、金子兜太のなどの戦中派の多くが鬼籍に入りつつあり、戦争をリアルに知らない世代が、過ちを繰り返そうとしている。
敗戦直後の初心を忘れてはならない。
合掌。

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コメント

>「多数決」のお題目のもとで強行的に行われるのは、本当の民主主義ではない。
そのうえ彼らの信じる多数決では正しい世論を反映できない。
シュルツ方式やボルダルールなどの選好投票を用いるべきなのだ。

投稿: | 2018年5月13日 (日) 11時15分

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