政権中枢という「権力の腐敗」/日本の針路(385)
安倍政権の腐敗が異臭を放っている。
「森友疑惑」「加計疑惑」「スパコン疑惑」「準強姦疑惑もみ消し疑惑」・・・・・・、まさにオンパレードである。
「リニア中央新幹線工事を巡る談合事件」も安倍政権の性格の表れである。
スーパーゼネコン2社の幹部2人が逮捕された。
東京新聞3月3日
関係者によると、大沢部長は2014年当時、リニア工事の営業を担当。同年10月にJR東海(名古屋市)のリニア工事実施計画が国に認可されると、発注される工事情報を得ようと、JR東海の東京本社に頻繁に出向いていたという。
当時の大沢部長の手帳には、複数回「大川ほか」との記載があり、JR側に対する営業後などに開かれた会合に出席していたことをうかがわせるという。鹿島の関係者によると、この会合にはリニア工事の受注調整に関与したとされる「大林組」の前副社長やJR東海の担当者も参加することがあったが、「清水建設」の担当者は来ていなかったという。特捜部は大手4社のうち当初は大成建設、鹿島、大林組が受注調整を行い、後になって清水建設が加わったとみている模様だ。
大沢部長は特捜部の任意の聴取に対し「名古屋駅や品川駅の工事を辞退すると他社に伝えたかもしれないが、記憶がはっきりしない」などと話し、談合を否定しているとみられる。また、3社やJRが参加する会合の支払いは「割り勘」で、鹿島宛ての領収書も残されているという。
特捜部は2日、大川元常務と大沢部長を逮捕。2人の逮捕容疑は、大林組と清水建設のリニア担当者と共謀し、14~15年ごろ、リニア中央新幹線の名古屋駅と品川駅の新設工事について、受注予定企業を決めたり、その企業が受注できる価格で見積もったりすることに合意したとしている。
手帳に大成元常務の名 鹿島部長、度々会合か
私も昔、この業界の末端に掠った程度に係わったことがある。
その経験からすれば、「膿を出し切る」などというのは至難である。
少なくとも、企画に係わった会社や明らかに技術的優位性のある会社が、入札の金額だけを基準に判断されては堪らない面があることは承知している。
量的な基準だけでは決定的に不十分であり、「働き方」の問題と共通する。
大林組と清水建設は容疑を認め、鹿島と大成建設は「受注調整はしていない」と争う姿勢だ。
談合を認めれば、課徴金の減免と刑事告発をも免れうる課徴金減免制度の適用があり得る。
今回逮捕されたのは、争う姿勢の2社の元幹部らである。
それがどういう意味を持つのか。
見せしめ説もあるが、成行に待ちたい。
たまたまバブル期に関連する内部告発本2冊を読んでいる。
國重惇史『住友銀行秘史』 講談社 (2016年10月)と大塚將司『日経新聞の黒い霧』講談社 (2005年6月)である。
住友銀行は勤務先の取引行の1つであり、「天皇」と呼ばれた磯田一郎氏体制が、バブル期にイトマンによって崩壊して行くことに関しては興味を持っていた。
國重氏はその崩壊の引き金を引き、トドメ迄実行した人であり、その回顧録である。
4半世紀前の出来事を、著者のメモを元に精細に再現している。
そして『住友銀行秘史』 に登場するのが大塚將司記者である。
かすかに毀誉褒貶の記憶があったが、國重氏の本に登場するので、併せて読んでみた。
大塚氏の方が10年ほど早い出版であるが、読んだのは逆だ。
大塚氏も、絶対的な権力を持っていた鶴田卓彦社長の解任決議案を株主総会で上程した記者である。
いずれも、緻密な計画を立て、大胆に実行した結果、成功裡に為し終えた。
しかし、結果的には虚しい感じが残るのは、「祭り」と同様だろうか?
両書を読み終えて改めて思うのは「働き方」の問題である。
時間と賃金いう「量」だけで議論するのは限界があり「質」を問わない「働き方」論議は殆ど意味がない。
「一強」と言われる安倍政権は強烈な異臭を放っている。
この異臭に鼻を塞いで過ごすのか?
東京新聞「筆洗」
ようやく、行政に内部告発的な情報が出てきた。
⇒2018年3月 3日 (土) 森友疑惑(68)財務省が文書改竄?/アベノポリシーの危うさ(337)
城山三郎の『官僚たちの夏』の主人公のモデルと言われる佐橋滋氏に次の言葉がある。
「われわれはその職責において人間の福祉と社会の発展に寄与しなければならない。」
まさに「日本の針路」が問われる局面である。
佐橋の言葉を実行できるか否か、それが問題だ。
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