日本の「闇」の核心(2)/日本の針路(395)・幕末維新史(9)
瀬畑源『公文書問題 日本の「闇」の核心』集英社新書(2018年2月)は、まさに現下の日本の最大の問題点である。
明治150年という節目の年に「公文書問題」がクローズアップされるというのも因縁を感じる。
というのは、幕末から維新への動きにおいて、重要なターニングポイントになったのは、「討幕の密勅」が下されたからだ、というのは定説であろう。
これが討幕の大義名分になって、戊辰戦争まで一気に情勢が動いていく。
ところが、この「密勅」が怪しいのだ。
東京新聞等で連載中の中村彰彦氏の連載「幕末明治の残照」は、明治維新の実情を活写していて面白い。
2017年10月1日の『86 密勅は偽造文書』は、「討幕の密勅」が岩倉具視らの策謀による偽造文書だったことを書いている。
つまり、明治維新は捏造文書の果てに成ったということである。
もちろん、政局に陰謀や裏切りはつきものではあり、「勝てば官軍」ではあるが、教科書では殆ど触れられていないのではないだろうか。
映画『日本のいちばん長い日』で、敗戦の決まった後、公文書を焼却するシーンがあったのを記憶している人もいるだろう。
1945年8月14日に出された通達で、閣議や軍事機構の資料を燃やすシーンがあるが、権力者が自己に都合の悪いものの証拠隠滅をしているのだ。
⇒2015年8月25日 (火) 『日本のいちばん長い日』と現在/日本の針路(219)
「文書は廃棄しました」という佐川答弁、防衛省日報問題、文科省内の文書を「怪文書」と切り捨てた等々も、同じ精神構造と言えよう。
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