何のための「働き方改革」なのか(5)/日本の針路(380)
国会の「働き方改革」論議が紛糾している。
この問題は、直接には厚労省のずさんなデータ管理にあるが、根本には、「働き方改革」の目的の取り違えにあると考える。
つまり、何のために働き方を改革するのか、ということである。
⇒2018年2月24日 (土) 何のための「働き方改革」なのか(3)/日本の針路(378)
問題になっているのは「裁量労働制」についてである。
厚労省は、一般労働者より裁量労働制の労働者の労働時間が短いというデータを出し、安倍首相がそれに乗って、国会答弁をした。
数字をベースにすると正確な議論のように見えるが、数字の取り扱いには細心の注意が必要である。
⇒2018年1月 7日 (日) シンプソンのパラドックス/知的生産の方法(168)
厚労省は、知ってか知らずにか分からないが、「シンプソンのパラドックス」というような高等の話ではない。
不自然な異常値を元に、しかも比べるべきでないような比較をしていた。
東京新聞2月24日
そして、こんな不自然さは、裁量労働制を取り入れているとされる労働の現場を少しでも知っていれば、当然おかしいと思うべきなのである。
東京新聞2月20日
安倍首相は「データを撤回したのではなく、データに基づいておこなった答弁を撤回しただけ。だからデータは撤回しない」などと意味不明な弁明をしている。
「働き方改革」が、労働者の労働環境の改革ではなく、国の成長戦略の一部品であるのならば、そんな政策は一から出直すべきなのだ。
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