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2018年2月 2日 (金)

コインチェック経営陣の認識の甘さ/ブランド・企業論(71)

仮想通貨の話題が賑やかになってきたのは私にも感じられた。
そこで1月19日に「当面仮想通貨に投資する気はないが、ウォッチしておこう」と、心づもりを書いた。
⇒2018年1月19日 (金)  仮想通貨はどうなっていくのか?/技術論と文明論(90)

ところが現実の動きは急で、ゆっくりウオッチングしている間もなく、コインチェックの不正流出事件が起きてしまった。
⇒2018年1月28日 (日)  コインチェックから仮想通貨が580億円分不正流出/技術論と文明論(91)
⇒2018年1月31日 (水)  コインチェックの仮想通貨・分散送金か?/技術論と文明論(92)
この話題はマスメディアの格好のテーマになっているようであるが、帰趨はまだ予測できないと言うべきであろう。

しかし、何となく「起こるべくして起きた」事件という感じがする。
それは、金額の規模に比較して、コインチェックのセキュリティ管理が甘いようだったからである。
それと共に、コインチェック経営陣は、神妙に頭を下げて謝罪しているものの、流出してしまった事態を甘く見ているのではないかという印象を拭えなかった。

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 インターネット上で確認できる取引記録によると、26日午前0時ごろからの約20分間に被害のほぼ全額に当たる約576億円相当のネムが特定のアドレスに流出。同日午前2時57分からの約30分間には、このアドレスから八つのアドレスに分散して送金された。さらに約20時間後の午後11時42分には、九つ目となるアドレスに2次送金されていた。
 コインチェックによると、同日午前11時すぎには社内で異常を感知し、午後11時半ごろから記者会見で被害を発表。九つめのアドレスへの送金は会見中になる。
コインチェック巨額流出、記者会見中もNEM2次送金 分散、9アドレスに

記者会見の最中に新たなトランザクションがあったのでは、シャレにならない。
ノンフィクションライターの窪田順生氏は次のように言っている。

 要するに、「危機は管理できる」という妄想にとらわれた時点で、「危機」を自分たちが理想とするシナリオで収束できるのではないかという甘い期待を抱いてしまうのだ。
 先日会見したコインチェックの経営陣は、まさにこの「罠」に陥っていたように見受けられる。
 セキュリティが甘かったのではという質問に対して、安全性の高いセキュリティシステム・マルチシグの「準備に至れていなかったという形」という回答でやりすごそうとした大塚雄介COO(最高執行責任者)は、「今の説明でお客さんが納得するかと思うか」と厳しく追及され、30秒ほど絶句してしまった。
 被害者の怒り、社会の不信感というものを真正面から受け止めていれば、こんな言葉遊びのような釈明は出てこないが、「危機」を「管理」できるという妄想にとらわれたことで、自分たちが望む答え方でスルーしてくれるのでは、と見込み違いをしてしまったのだ。
 断っておくが、大塚氏やコインチェックの経営陣が無能だと断じているわけではない。
 どんなに頭脳明晰でも、どんなに優秀なカリスマ経営者であっても、1人の人間である。人間というものは、目の前で起きている「危機」をある程度コントロールできると思ってしまった時点で「奢り」が生まれる。その奢りは、「どうすれば自分たちの被害を最小限に抑えられるか」、「この状況でも、なるべくいい印象を与えておきたい」といったスケベ心を生んでしまう。
 ややこしい話だが、「危機」に臨む際にそのようなスケベ心を持っていると、燃えている火に灯油をぶっかけるような事態となり、新たな「危機」を引き起こしてしまう、ということを申し上げたいのである。
コインチェック、はれのひ…炎上謝罪会見を生む「傲慢な思い違い」

これはかなり好意的な見方であると思う。
パソコンショップなどで、分からないから聞いているのに、「そんなことも知らないの?」というような対応をするスタッフがいるが、その時と同じような感じを受けるのである。
「自己資金で弁済する」という発言も、返せば問題ないだろうと言っているように聞こえる。
仮想通貨全体の信頼性を毀損しているという自覚がないようである。

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