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2018年2月11日 (日)

水俣病の苦しみを描く・石牟礼道子/追悼(117)

『苦海浄土』の石牟礼道子さんが、10日午前、亡くなった。
90歳だった。
熊本市の介護施設に居たが、パーキンソン病の急性増悪だった。

 熊本県・天草に生まれ、生後まもなく対岸の同県水俣町(現水俣市)に移住した。短歌で才能を認められ、1958年、詩人谷川雁(がん)氏らと同人誌「サークル村」に参加。南九州の庶民の生活史を主題にした作品を同誌などに発表した。68年には、「水俣病対策市民会議」の設立に参加。原因企業チッソに対する患者らの闘争を支援した。
 水俣病患者の心の声に耳をすませてつづった69年の「苦海浄土 わが水俣病」は高い評価を受け、第1回大宅壮一ノンフィクション賞に選ばれたが、「いまなお苦しんでいる患者のことを考えるともらう気になれない」と辞退した。以降も「苦海浄土」の第3部「天の魚」や「椿(つばき)の海の記」「流民の都」などの作品で、患者の精神的な支えになりながら、近代合理主義では説明しきれない庶民の内面世界に光をあてた。
 2002年には、人間の魂と自然の救済と復活を祈って執筆した新作能「不知火(しらぬい)」が東京で上演され、翌年以降、熊本市や水俣市でも披露された。
 晩年はパーキンソン病と闘いながら、50年来の親交がある編集者で評論家の渡辺京二さんらに支えられ、執筆を続けた。中断したままだった「苦海浄土」第2部の「神々の村」を2004年に完成させ、3部作が完結。11年には作家池澤夏樹さん責任編集の「世界文学全集」に日本人作家の長編として唯一収録された。
石牟礼道子さん死去 水俣病を描いた小説「苦海浄土」

NHKの「100分de名著」という番組で、2016年9月に『苦海浄土』が取り上げられた。
解説は若松英輔さんだった。
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若松さんの、静かではあるがきっぱりした語り口に引き込まれた。
石牟礼さんといえば反射的に『苦海浄土』が頭に浮かぶが、直近まで精力的に文学活動を続けていた。
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東京新聞2017年3月24日

近代文明が犯した罪の象徴として、水俣病の教訓を忘れるべきではない。
石牟礼道子さんは、私たちの中に生き続けることだろう。
合掌。

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