何のための「働き方改革」なのか(7)/日本の針路(382)
政府は今国会をぃ「働き方改革」国会と位置づけている。
にも拘わらず、根拠とすべきデータに数多くの不適切な点が見つかった。
にも拘わらず、方針を変えようとしていない。
何故か?
それは、「働き方」ではなく、「働かせ方」に係わるからである。
つまり、法案に対する態度・賛否がリトマス試験紙になっていることになる。
グロービス経営大学院大学学長の堀義人氏は次のようにツイートしている。
確かに現代は工業社会から情報通信社会への転換期であり、その文明史的な変化に対応することは、「働き方」としても重要だと思う。
⇒2018年2月25日 (日) 何のための「働き方改革」なのか(4)/日本の針路(379)
アルビン・トフラーの「第三の波」が人口に膾炙しているが、私には梅棹忠夫氏の「文明の情報史観」の方が説得性があるように思える。
⇒2009年4月10日 (金) 「情報産業論」の先駆性
⇒2009年4月14日 (火) 文明の情報史観
⇒2010年7月 8日 (木) 梅棹忠夫さんを悼む(続)
梅棹氏が人類史を「農業の時代」「工業の時代」「情報産業の時代」と分けたことはトフラーと同じようであるが、ユニークなのはそれを、人間の体が受精卵から成体になるまでの発達とパラレルだと説明していることである。
いま「情報産業の時代」と聞くと当たり前だと思うかもしれないが、「情報産業論」が発表されたのは1962年だ。これは情報革命の訪れを論じて、世界的なベストセラーとなった「第三の波」(1980年)が発表されるよりも、20年近く前に日本で情報革命が予測されていたことになる。これが、「情報産業論」が"知の大預言書"と言われる理由のひとつである。
情報社会は既に現実のものになっているが、堀氏が政府案を本当に「労働の柔軟性を高め、選択肢の幅を広げる制度」だと考えているとしたら、余りのも楽天的過ぎよう。
現実の「裁量労働」の現場の多くは、人命に係わるような過酷な条件であることは、この問題が社会的関心を惹いたきっかけが、電通の女性新入社員の過労自殺であったことを想起すれば良いだろう。
「規制改革」を言う前に「現在の法規」を守って、過労死や過労自殺に至らないようにすることが先決であるはずだ。
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