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2018年1月30日 (火)

明治維新=the Meiji Restoration/幕末維新史(6)

「幕末の思想地図」として下図が掲げられている。
Photo
真説幕末明治維新史「官軍史観」と「逆賊」の真実』 DIA Collection(2017年12月)

私が子供の頃、チャンバラごっこでは、「尊王攘夷」が正義派で、佐幕はワルモノであった。
例えば何度か映画化されている『侍ニッポン』(郡司次郎正)の主人公・新納鶴千代は次のように歌われている。

〽昨日勤王 明日は佐幕
その日その日の出来心
・・・・・・

上図ですべてを尽くしているわけではないが、多方向のベクトルを持ったイデオロギーが入り組んでいたことが分かる。
幕末を「超克」して明治維新になったわけだが、それでは明治維新は思想地図的にどうポジショニングされるだろうか。
「日本資本主義論争」という有名な論争があった。

1933年頃から1937年頃まで行われたマルクス主義に立つ経済学者の論争のこと。広義には1927年頃から1932年頃まで日本共産党と労農派の間で行われた日本民主革命論争を含めていうこともある。日本の資本主義の性格について、講座派と労農派の間で激しく論戦が交わされた。
・・・・・・
共産党系の講座派は、明治維新後の日本を絶対主義国家と規定し、まず民主主義革命が必要であると論じた(「二段階革命論」)。これに対し、労農派は明治維新をブルジョア革命、維新後の日本を近代資本主義国家と規定し、社会主義革命を主張した。
Wikipedia
近代を代表する大論争と言えるが、明治維新の基本的性格の規定の見解の相違である。
詳しくは知らないが、決着がついたとも聞かない。
西鋭夫『新説・明治維新 西鋭夫講演録』ダイレクト出版(2016年4月)は、『A New Theory Of the Meiji Restoration』というタイトルが付いている。
「restoration」は辞書を引くと「もとに戻すこと、返還、もとの状態に戻ること、復職、復位、回復、復旧、修復、復元(作業)、(建物・死滅動物などの)復元(したもの)」とある(weblio)。
西氏の立場はともかく、用例にも載っているので英語では「the Meiji Restoration」というようだ。
この意味では「王政復古」が最も近いのだろう。

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