60年安保を引きずった人生・西部邁/追悼(115)
「保守派」の論客・西部邁が、多摩川で入水自殺したと報じられている。
評論家の西部邁(すすむ)さん(78)が21日、死去した。東京都大田区田園調布5丁目の多摩川に自ら入り、警視庁と消防が西部さんを救出したが、約2時間後に搬送先の病院で死亡が確認された。
警視庁によると、同日未明に家族が「父親がいない」と110番通報。行方を捜しているなかで、多摩川で発見された。河川敷に遺書が残されており、自殺とみられている。最近は体調が優れなかったという。
1939年、北海道生まれで東大経済学部卒。元東大教授。保守派の論客として活躍した。著書に『大衆への反逆』などがある。最近まで雑誌『表現者』顧問をしていた。
死去した西部邁氏が昨年末に語っていた言葉
2017年12月18日号の「AERA」で、ウーマンラッシュアワー・村本大輔氏と対談し、40歳以上の年齢差にもかかわらず、意気投合して話題になった。
ウーマン村本氏については殆ど知らないが、たまたま垣間見た「朝生」で、孤立無援のように、リベラルな発言をしていたように思う。
西部さんは近代経済学批判の『ソシオ・エコノミックス 』イプシロン出版企画 (2006年3月、原著は1975年)で言論界にデビューした。
以後は、一般に「保守派」の論客と言われている。
自身も、左翼運動とは22歳の誕生日に訣別したと書いている。
私には「センチメンタル・ジャーニー」のサブタイトルを付けた『六十年安保』文藝春秋1986年10月)が印象に残っている。
上掲書は「センチメンタル・ジャーニー」が示すように、青春期の回想であるが、素直に心情が表出しているように思えた。
テレビの討論番組などで殊更に相手をやり込めようとしているかに見えたが、心の中に深い空洞を抱えていたのだろう。
入水自殺する時には、ほとんどが故人となってしまったかつての仲間の顔が思い浮かんでいたのかも知れない。
合掌。
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