保守政治家の軸となった戦争&差別体験・野中広務/追悼(116)
小渕内閣の官房長官や自民党幹事長などを歴任した野中広務氏が亡くなった。
東京新聞1月27日
権力の中枢で辣腕を振るっている頃、余り好感できる人ではなかったが、出自や育ちなどで大変な苦労をした人だ。
野中氏、反戦・反差別訴え「一番まずかったのは安保法」
安倍首相、稲田元防衛相などが、まことに安易に「戦争のできる国」にしたがったのとは真逆で、己の戦争体験や被差別の体験が軸になっていたことは間違いない。
自民党を一時離党したが、16年に復党した。だが「憲法9条を守る」との立場は貫き、それに関連する講演や取材なら積極的に引き受け、時の政権を厳しく批判もした。
17年、朝日新聞のインタビューでは「最近の新聞の中には政府の都合の悪い報道はせず、かばうところも出てきた。安倍首相に意見する人が党内にも少ないんだ。一番まずかったのは集団的自衛権の行使を認める安保法制をつくり、戦争をできる国にしたこと。他国の人を傷つけ殺すことは、自分たちも殺されることになる」と語っていた。
野中氏、反戦・反差別訴え「一番まずかったのは安保法」
骨のある「昭和の政治家」がまた一人亡くなった。
それは宿命であるとしても、書物からでも歴史は学べる。
軽躁な政治家ばかりがはびこって、この国の針路は大丈夫なのだろうか、と思う。
合掌。
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