« 火山列島でどう生きるか?(続)/日本の針路(366) | トップページ | 水蒸気噴火の予測の難しさ/日本の針路(367) »

2018年1月25日 (木)

京大IPS研の不正事件で芽を摘むな/日本の針路(366)

京都大のiPS細胞研究所で、人工多能性幹細胞(iPS細胞)にかかわる論文に捏造と改竄が見つかった。
記者会見した山中伸弥所長は、「非常に強い後悔、反省をしている。心よりおわび申し上げる」と謝罪した。
また、林文科相は「調査結果を精査した上で、公的研究費への応募資格停止など必要な措置を講じる」とした。

まあ、確かに多くの国民の期待に反するような行為であったことは事実である。
不正があった論文は、「血液脳関門」と呼ばれる機能と同様の特徴を持つ脳内の細胞をiPS細胞から作製する手順について、京大iPS細胞研究所の助教がアメリカの科学誌に発表したものである。

Ws000001 
iPS研究論文不正、助教1人で実験データ解析

現時点での報道に限れば、不正は1人の助教によるものである。
特異な事例だと思いたいが、背景には研究者の有期雇用の問題がある。

 位田隆一・滋賀大学長(生命倫理法学)の話 不正は第一には研究者の良心の問題だと思うが、有期雇用のため、短期間で業績を上げないと任期を延長してもらえない恐れがあるなど焦りを生む研究環境も影響しているのではないか。また、不正防止には研究者間のコミュニケーションが重要になる。論文を提出する前に共著者がしっかりと目を通し、承諾する仕組みを徹底できれば、研究不正は起こりにくいはずだ。そうした環境づくりをせずにただルールを厳しくしても、網の目をすり抜けるケースが出てきかねない。
チェック形骸化、有期雇用成果焦りか 京大iPS研論文不正

いずれにしろ、スパコン疑惑のように、代表者が関与を疑われている事案とは性格が異なるのではなかろうか。
私は(珍しく?)産経新聞の「主張」に同意するところが多い。

 研究不正の根を絶つため、そして日本の科学研究が低落傾向から脱するためにも、国は本腰を入れて「行き過ぎた成果主義」の是正に取り組むべきだ。
 山中氏は記者会見で自らの責任について、辞職の可能性も含めて検討するとの意向を述べた。日本の科学のため、多くの難病患者のため、山中氏の所長辞職は責任を全うすることにならない。
 山中氏は「難病の患者を救いたい」という一心で臨床医から研究者に転じ、画期的なiPS細胞を生み出した。
 さまざまな倫理的な課題を乗り越えてiPS細胞を健全な医療技術に育てていくうえで、最も大切なのは山中氏の初心を研究者や医師が共有し、マラソンランナーを励ます沿道の声援のように国民がそれを支えることである。
今回の問題で、大切な求心力を失ってはならない。 研究不正の根を絶つため、そして日本の科学研究が低落傾向から脱するためにも、国は本腰を入れて「行き過ぎた成果主義」の是正に取り組むべきだ。
 山中氏は記者会見で自らの責任について、辞職の可能性も含めて検討するとの意向を述べた。日本の科学のため、多くの難病患者のため、山中氏の所長辞職は責任を全うすることにならない。
 山中氏は「難病の患者を救いたい」という一心で臨床医から研究者に転じ、画期的なiPS細胞を生み出した。
 さまざまな倫理的な課題を乗り越えてiPS細胞を健全な医療技術に育てていくうえで、最も大切なのは山中氏の初心を研究者や医師が共有し、マラソンランナーを励ます沿道の声援のように国民がそれを支えることである。
 今回の問題で、大切な求心力を失ってはならない。
iPS論文不正 山中伸弥氏の「一心」を失ってはならない

林文科相が語っているような、「応募資格停止」などの処分は、スパコン疑惑のようなケースにこそ適用すべきである。
今回のように、組織の1人が行った不正で、研究プロジェクト全体の芽を摘んでしまうことは「羹に懲りてなますを吹く」であろう。
山中教授も「職務を全うする」と言っているようなので安心したが、研究者の待遇を含め、科学技術分野をもっともっと支援して行かないと、国際競争に遅れてしまうのではないだろうか。

|

« 火山列島でどう生きるか?(続)/日本の針路(366) | トップページ | 水蒸気噴火の予測の難しさ/日本の針路(367) »

ニュース」カテゴリの記事

思考技術」カテゴリの記事

日本の針路」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/395349/72758636

この記事へのトラックバック一覧です: 京大IPS研の不正事件で芽を摘むな/日本の針路(366):

« 火山列島でどう生きるか?(続)/日本の針路(366) | トップページ | 水蒸気噴火の予測の難しさ/日本の針路(367) »