改元のスケジュール/日本の針路(356)
1979年に制定・公布された「元号法」によって、「元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める」とされた。
いわゆる「一世一元の制」の法制化である。
しかし歴史は意外に新しい。
明治政府は、慶応4年を改めて「明治元年」とするとともに、一世一元の詔で天皇一代につき一元号とする一世一元の制を定めた。
明治以前は、天皇の在位中にも災害など様々な理由によりしばしば改元が行なわれていた。
また、寛永や慶長のように、新たな天皇が即位しても、元号が変わらない場合もあったのである。
第二次世界大戦後に制定された日本国憲法、1947年(昭和22年)施行の皇室典範では元号の規定が明記されず、同年5月3日を以って元号の法的根拠は消失した。
しかし、その後も元号が「慣例として」用いられていたが、昭和天皇の高齢化に伴い、元号法制化を求める声が高まり、元号法の制定になった。
最近、自民党の竹下亘氏が、宮中晩さん会の国賓に同性パートナーが出席することについて、「私は反対だ。日本本国の伝統には合わない」と 発言し波紋を呼んだ。
その後撤回したが、、「皇室を考えた場合に、日本人のメンタリティーとしてどうかな という思いが私の中にあったものだから、ああいう言葉になって出 た」と言わずもがなの弁解をして、何が問題なのか分かっていないことを露呈した。
「日本国の伝統」ばどと言えば、保守層に好感されると考える根性がさもしい。
1日の皇室会議で、天皇陛下が2019年4月30日に退位する日程が決まった。
退位を実現する特例法が6月に成立し、政府が退位時期の決定に向けた検討を本格化して以降、宮内庁と首相官邸は妥当な時期を巡り駆け引きを続けたという。
官邸が昨年から探ってきたのは「18年12月末退位・19年元日改元」案。陛下が退位の意向をにじませる昨年8月のビデオメッセージで「平成30年(2018年)」に触れたからだ。18年の誕生日に85歳を迎えられる区切りの良さもあった。
先手を打ったのは宮内庁だった。「1月1日は皇室にとり極めて重要な日。譲位、即位に関する行事を設定するのは難しい」。西村泰彦次長が今年1月17日の定例記者会見で18年末退位案について難色を示した。宮内庁が退位を巡って公の場で異例の言及をしたことに、菅氏は「政府の立場でコメントは控えたい」と言葉をのみこんだ。
「なんだかんだ言っても陛下のお気持ちというのは本当に大きい」。退位特例法の成立後、退位時期をめぐり宮内庁との調整に入るにあたって、官邸の高官はこぼした。
宮内庁がこだわったのは19年1月7日。昭和天皇の死去から30年の式年祭をいまの天皇陛下で開くことだった。官邸に求めたのは「19年3月末・4月1日改元」案。年度替わりの節目でもある。同庁関係者によると、官邸側に年末年始と3~4月の皇室行事を示し、どちらが皇位継承に伴う陛下と皇太子さまの負担が少ないか説明した。
・・・・・・
宮内庁の山本信一郎長官は11月21日夜、19年4月末退位案が浮上したとの報道を受け、同庁長官室前で記者団に硬い表情で繰り返した。ある宮内庁幹部は「12月1日の皇室会議の日取りを聞いたのが21日夜。4月末退位案は寝耳に水で長官も知らなかったと思う」と話す。
「4月末」という国民的に決してきりの良くない退位時期。それ自体が、官邸と宮内庁の溝の深さを物語る。
皇室の事情、官邸のメンツ 退位時期巡り溝浮き彫り
改元は日本人全体に影響することである。
5月1日という日の是非についてはいろいろ意見があろうが、「象徴天皇」というファジーな概念を、全身全霊で追求し実践しようとされてきたことに疑問はない。
静かに滞りなく皇位継承と改元が行われることを願う。
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