電源パラダイムと原発の不良資産化/技術論と文明論(85)
広島高裁が、伊方原発の運転を差し止めるという歴史的な判断を下した。
火山列島であるにも関わらず、巨大噴火に無頓着な原発推進に待ったを掛けたのである。
⇒2017年12月14日 (木) 伊方原発に高裁が停止命令/技術論と文明論(82)
⇒2016年10月 9日 (日) 巨大噴火リスクにどう備えるか/技術論と文明論(77)
伊方原発に限らず、今年は原発にとって大きな転換を示す年だった。
12月27日、原子力規制委は東京電力柏崎刈羽原発の適合性審査に合格を出した。
これは技術審査であって、再稼働すべしということでは全くない。
必要条件と十分条件の違いである。
今や「原発の不利」を示す論拠には事欠かない。
歴史的な岐路を迎えているのである。
東京新聞12月26日
先ごろ一般公開された外交文書で、1986年4月のチェルノブイリ原発事故の一端が明らかになった。
東京新聞12月21日
当時のシュワルナゼ外相が「平和な状況の下においても、核エネルギーは制御し得なくなった」と発言している。
この言葉にも拘わらず、日本(自民党政権)は原発推進を続け、25年後に福島原発事故を招いてしまった。
吉本主義者を自称している副島隆彦氏などは、吉本隆明『「反原発」異論』の巻頭で、吉本隆明の「原子力の研究をストップさせてはならない」という言葉を「原発を稼働させるべきである」と曲解した解説を書いている。
核の研究を続けるということと、現時点で核分裂を電源として使うべきだということとはまったく異なる。
原理論と段階論は、区別して考えなければならない。
現に福島県内には、未だに線量が高い箇所が残っている。
多くの帰還困難者がいるのである。
「この線量は健康被害をもたらすレベルではない」と言われても、子育て世代などは自分たちは帰らないと言うだろう。
東京新聞12月26日
人類といえども、生態系の中でしか生きていけないことは、水俣病をはじめとした多くの教訓が教えるところではなかったか。
安倍政権のように、原発に拘っていると、エネルギーのパラダイム・チェンジに後れをとるだろう。
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