「公正さ」が問われ続けた2017年/日本の針路(360)
暮れて行く2017年をどう総括するか?
2月に森友学園に対する国有地の売却に関して、疑惑が持ち上がった。
発端は同学園が小学校の開設を予定している豊中市の市会議員が抱いた疑問だった。
1.なぜ、「9割引き」だったのか
2.なぜ、価格が非公表だったのか
3.なぜ、購入前に基礎工事が始まっていたのか
同小学校は、本で初めてで、かつ唯一の神道の小学校」の触れ込みで、日本会議の有力メンバーだった籠池泰典氏が理事長を務める学校法人だった。
安倍昭恵夫人が名誉校長でもあった。
⇒2017年2月21日 (火) 森友学園スキャンダル/アベノポリシーの危うさ(135)
高橋洋一氏が「既存メディアの「窮状・劣化」感じた1年 もっと「エビデンス」重視を」という記事を書いている。
確かにそう感じられる面もあるが、「窮状・劣化」と言うならば、まず第一に政権であり、その政権を擁護する発言を続ける高橋氏自身ではないのか?
高橋氏は、「森友学園については、初期段階の近畿財務局が地中ゴミでの説明不足等の事務チョンボ」だと矮小化する発言を続けてきた。
森友問題の本質は「説明不足等の事務チョンボ」などではない。
財務省や国交省にミスがあり、その責は負わなければならないが、そのミスの根底に安倍首相夫妻の存在があったのを、故意か無意識にか分からないが、問わないのは本質を見誤っていると言わざるを得ない、
⇒2017年12月20日 (水) 森友疑惑(62)核心を示す録音記録/アベノポリシーの危うさ(331)
⇒2017年12月 1日 (金) 森友疑惑(60)高橋洋一氏の的外れ/アベノポリシーの危うさ(323)
さらに看過できないのは、籠池夫妻の未決拘留の長期化である。
治安維持法が稀代の悪法になったのは、未決拘留という手段で、政治目的を実質的に実行してきたことにある。
私は、籠池氏などが行っていた幼児教育には真っ向から反対である。
⇒2017年2月24日 (金) 森友疑惑(4)系列幼稚園と日本会議/アベノポリシーの危うさ(138)
⇒2017年2月25日 (土) 森友疑惑(5)特異な法人への破格の優遇/アベノポリシーの危うさ(139)
⇒2017年3月 2日 (木) 森友疑惑(10)幼稚園運動会の園児宣誓/アベノポリシーの危うさ(144)
しかし、民間人の国会招致には慎重だと言いながら、自分に不利な証言をされると、意趣返しのように長期勾留をためらわない安倍政権にはより強く反対したい。
⇒2017年3月21日 (火) 森友疑惑(28)籠池理事長は窮鼠か?/アベノポリシーの危うさ(163)
⇒2017年7月31日 (月) 森友疑惑(53)籠池前理事長夫妻逮捕より先に・・・/アベノポリシーの危うさ(267)
籠池氏らの教育は私立で行われており、選択の自由があるが、政権の姿勢は全国民が被るからである。
その後、安倍首相が自ら腹心の友と呼ぶ加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園の岡山理科大が今治市解説する獣医学部の認可を巡り「加計疑惑」が取りざたされた。
岩盤規制に穴を開けるための行為だったのか、特定利害関係者が優遇される行政の歪だったのか?
何故か2016年度の私大に対するブランディング事業補助金が、加計学園に「だけ」認められている。
東京新聞12月31日
「モリカケ」疑惑の根底は、「公正さ」にある。
「公正さ」を欠かす要因となる「忖度」という普段は余り使うことがない言葉が、お笑いの世界まで席巻した。
「公正さ」が問題視されたのは政界だけではない。
経済界・実業界も同様だった。
日本を代表すべき企業の不正が相次いだ。
⇒2017年10月29日 (日) 日本を代表するメーカーの不正(続)/技術論と文明論(81)
⇒2017年12月19日 (火) リニア不正は大疑獄に発展するか?/日本の針路(358)
そして不正は大企業だけでなく、ベンチャー企業も同様だった。
⇒2017年12月21日 (木) スパコン疑惑の核心としての官邸人脈/アベノポリシーの危うさ(332)
森友学園疑惑もそうであるが、神道のあり方が改めて問題になった。
富岡八幡宮という紛れもない神道の聖域で、神職が係わる殺人事件が起きた。
【富岡八幡宮】宮司・富岡長子が襲撃された時の状況が怖すぎる件…
そして、日馬富士の暴行問題を端緒とする角界の騒動が世間を賑わせている。
角界では過去にも「かわいがり」と称する暴力行為で死に至ったケースがある。
今でも暴力的な指導は日常的に存在すると言われている。
指導に暴力は不可欠なのか?
相撲協会は、被害者側であることは明白と自ら言っているにも拘わらず、貴乃花親方に降格処分を下すべく評議員会に諮ることを決めた。
東京新聞12月29日
貴乃花親方にもオカルト的な感じがすることは否めないが、まずは告発者であると捉えるべきだと考える。
先ずは、「何を正義と考えるか=公正さ」の基準を、協会も貴乃花側も明確にすべきであろう。
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